橋本治のレビュー一覧

  • 大江戸歌舞伎はこんなもの

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    なんだかよくわからなかったけど面白かった。
    後書きを読むと、まさに「よくわからないけど魅力的」でありたいと著者も思っていたようなので、これでいいのか。

    *語り口はあまり整然としていない。
    *豆知識的に、素直に「へ~」と思えることもたくさんあった。
    *江戸時代と今とでは、根本的にものの考え方とか、そりゃあ違うよなあ、と再認識。そして、今の歌舞伎(観賞)の常識とされていることが、明治以降の常識でしかなかったりすることも、まあそりゃそうかあと認識。
    *例えば、江戸時代には自我という意識がないから客観という視点もなくて、江戸の町人たちは、歴史というものを英雄たちのエピソード群として把握している、とか

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    2013年10月11日
  • 上司は思いつきでものを言う

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    仕事人間になって早10年以上が過ぎ、知らぬ間に上司と呼ばれることも出てくる立場になってきた。こればかりは、なりたくないからといって回避できる訳でもなく、誰しもが否が応にも“上司”になっていく。でもやっぱりまだまだ上に文句言ってたいと思う自分と、それじゃダメ、しっかり下を引っ張れるようにならなきゃと思う自分と。上司になる前には上司じゃなかった自分がいた訳で、そのときの感覚を忘れないように上司を演じていけば、それなりにいいんじゃないか、と思います。ってこれ、この本の感想じゃないかも(苦笑)

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    2013年10月06日
  • 橋本治と内田樹

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    ネタバレ

    天才橋本治について、内田センセイが尋常ならざる興味を持って切り込んでいく、という体の対談。したがってこのタイトルはちょっとヘンだな、と思う。内田樹ミーツ橋本治なのである。どちらも世の常識からすると相当ヘンな人なのだが、やはり橋本治という人はどこか超越してしまっているような風格がある。人を食ったような、でもこれ天然なのかな?とかよくわからない。それでいてその言葉がしばしば本質を鋭く突いているように感じるから始末が悪い。データで説得しない説得力の最たるものではないだろうか。

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    2013年08月28日
  • 「三島由紀夫」とはなにものだったのか(新潮文庫)

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    三島由紀夫が死んだ時、それまで明確に信じられていた自己達成の道は、消え行く光を放つ不思議な幻想となり変わった。
    自分の想定した人生を認識することーこれこそが、三島由紀夫にとっての生きるだった。
    三島由紀夫はどこかで、自分の作品、そして自分の人生が、観念だけで作られた細工物のようだと感じていたのである。

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    2013年08月13日
  • 古事記

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    面白かったというより、興味深かったです。古事記を読むのは初めてだったけど、なんとも人間味溢れる神様たちにびっくりしました。なるほどなーと思うところもあれば、えっ?!と思わず読み返してしまうところもあり…笑
    もっと詳しく読み深めてみたいなと思わせるお話でした。
    でも神様の名前はどうしてあんなに長いのか…(T_T)

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    2013年07月23日
  • ちゃんと話すための敬語の本

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    正しい敬語とは何か?と考えるために必要な道具を教えてくれる本。
    著者が考えまくる人だと伝わって来る。
    敬語に限らず、考え方の本としても優秀。

    以下、書の内容と、私の解釈が混ざり合ったレビュー。

    教科書に載っている正しい敬語。
    今の世界で、その正しい敬語を使う。
    それは果たして正しいのか。
    おかしいに決まってる。
    「お召しによりまして
    参上仕りましてございます。」

    敬語は道具だ。
    敬語は、離れた距離にいる人・モノとを繋ぐ。
    距離を感じて選べば良い。

    偉い人と尊敬できる人は違う。
    敬語とは、偉い人には使わないといけないものなんだ。
    例え、尊敬していなくても。


    尊敬している人→

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    2013年07月21日
  • 双調平家物語3 近江の巻

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    不比等の興隆と天皇家。

    サラリーマン小説とも、企業小説とも読める。
    この時代に、日本人の感性の原形が出来たのかな。

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    2013年06月02日
  • 双調平家物語1 序の巻 飛鳥の巻

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    壮大な歴史絵巻、開幕の書。

    権力と栄華にとりつかれた人間の物語。
    期待を持たせる第一巻。この先の展開が楽しみ。

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    2013年06月02日
  • 窯変 源氏物語1

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    気障でいけすかない源氏。ほぼ中二病です。橋本源氏は源氏の一人語りでお話が進行しますが、文末全てに「フッ、参っちゃうよなァー!」を付け足して読むのがお約束。

    危うさを感じさせる程の美貌、全ての才に秀で、帝の子でありながら愛ゆえに臣下に降された境遇。潔癖だった思春期には、最低野郎としか思えなかった光の君ですが、今読むとなかなかに痛くて宜しい。

    なにより、当時の「通い婚」文化が案外魅力的に思えてくるから不思議。
    この巻には桐壺、帚木、空蝉、夕顔が収録されております。源氏出生から17歳まで。

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    2013年08月16日
  • 巡礼(新潮文庫)

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    一人の男性の人生を通して、時代とは、家族とは、発展とは何かを問うた作品。正直「こんな締めなの?」と思いました。でも、そういうものかも知れません。人生って。

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    2013年04月26日
  • 橋本治と内田樹

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    ネタバレ

    読む人を選ぶ本である。五十歳代の男性なら、共感できるところが多いだろう。対談集だが、どちらかと言えば、橋本治が主で、内田樹が控えに回っているところが面白い。内田樹といえば、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで、次々と本を出しまくっている超売れっ子である。

    一方、橋本治はといえば、「背中の銀杏が泣いている。止めてくれるなおっかさん。」のポスターで売り出したことを知っている人が今どれだけいるだろうか。それよりも、『桃尻娘』や、その桃尻語で訳した『枕草子』に始まる日本の古典の現代語訳シリーズのほうが今では有名かも知れない。美術、歌舞伎にも造詣が深いマルチ・タレントとして異彩を放つ。

    ではあるが、橋本の本はま

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    2013年03月06日
  • 巡礼(新潮文庫)

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    ゴミ屋敷の住人忠市。戦後の好景気を迎える日本で、まっとうに生きてきたはずなのに、何故ゴミにすがる晩年に落ちぶれたのか。
    人間の生き方の難しさを知る。完璧な人生などない。有り得ない。いつ災いが降りかかるか解らない。マニュアルなどない。
    最後の眠りに就くとき、自らの魂が安寧の地に向かうことができるのか?少し不安に感じた。

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    2013年03月03日
  • リア家の人々(新潮文庫)

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     スピーディな語りと、めまぐるしく変わる語り手。ある男を中心とした家族の戦中戦後昭和史を怒涛の勢いで読まされた気持ちです。すごい!
     そういえば私この人の源氏物語すごく好きだった。

     章のはじめに「リア王」からの引用があるのですが、シェイクスピアの方を知っていればもっと思うことがあったかなあ?とはいえ読むには敷居高い。「あらすじでわかるシェイクスピア」とかどっかにありませんかね(怠惰!)

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    2013年02月22日
  • 日本の女帝の物語 あまりにも現代的な古代の六人の女帝達

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    橋本治の言うことに納得させられてしまうことが多いのだが、これもそうだった。
    個々の事柄はすでに知っていることでも(実際この本でも、日本書紀と続日本紀という基本中の基本文献に拠って論を展開している)、ちょっと違う視点から照射してみせることで、目から鱗の思いを抱かせる。
    女帝は中継ぎなんかじゃない論は結構あるが、天皇の役割を果たせるからこそ中継ぎとして登用されたんだ、と言われて、確かに…(本命が若年で役割を果たせないからすぐに即位させられなかったんだもんね)。
    蘇我氏の力が最大の時になぜ蘇我氏と血縁のない舒明の即位を認めたかとか、なぜ天智がなかなか天皇にならなかったかとか、通説などではモヤモヤして

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    2013年02月08日
  • その未来はどうなの?

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    あとがきを読んで驚いた。
    橋本さん、面倒な病気で長く患っているらしい。
    地に足のついた並じゃない知性とまっとうさをもった、
    日本の知的財産と言ってもイイ人が
    「気力が続かなくて物が書けない」というのは尋常じゃない。
    その中でぽつぽつと書きすすめたこの本は、分量としては少ないが、
    橋本治らしく、たくさんの示唆と、物を考え直すきっかけに溢れている。
    「美人は権利になった」
    「日本は結論ありきでスタートし、どうするの?ではなくどうなるの?で考える」
    「民主主義という究極の政治形態が行き渡り、
    何事も簡単に決まらないのは当然の流れ。
    力でねじ伏せるこれまでの長い歴史の前提は崩れ、
    強いリーダー不在→待

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    2013年02月06日
  • 橋本治という立ち止まり方 on the street where you live

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    日本の病院には幽霊がでる
    高度経済成長を支えた団塊の世代のエラソーな幽霊が。

    なんて書き出しの小説が書けそうな闘病記

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    2013年01月27日
  • 橋本治という立ち止まり方 on the street where you live

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    賢い人だなぁ
    と 思ってしまう

    「わからない」ということを
    これほど「わかりやすく」書けてしまう
    その柔軟な思考力と筆力に
    そりゃ そうだ と
    何度も 頷いてしまう

    読んでいて
    一緒に 思考ができる
    作家のお一人です

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    2013年01月23日
  • リア家の人々(新潮文庫)

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    橋本治は実ははじめて読んだのだけれど、すっごく読みやすくて、おもしろかった。
    敗戦後から60年代まで、三人の娘と父親、ごく一般的な家族が、昭和の歴史とともに描かれていて、読みごたえがあった。「公職追放」とかはじめて知った。そういう知らなかった歴史や、あと、大学紛争とかなんとなく知ってる歴史についてもすごく興味深く読んだ。
    年代的には、娘たちがわたしの親世代くらいなんだろうけど、ここで描かれている昭和の家族の感じがなんだかすごくよくわかって。父親との距離とか、親戚との関係とか。今とは家族ってものが全然違うような気もするのだけれど。今の若い人が読んだらどう思うのかなあ。
    戦後の家族とはいっても、三

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    2013年01月19日
  • リア家の人々(新潮文庫)

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    戦後の昭和史を通して家族一人一人のモノの感じ方、思惑を丁寧に描いた作品。
    昭和は激動の時代だったと思うけど、
    その空気をどう感じるかは人それぞれで、
    個々人が色々な事を考えながら生活している家族の在り方は今も昔も同じだと思った。

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    2013年01月17日
  • 大不況には本を読む

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    中途半端な豊かさは、すべてを失う。

    豊かさに慣れてしまう。

    書かれていないことを読む。

    書かれたことを読んで、書かれていないことを読む。

    過去を拒絶して、時代はただ若くなる。

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    2013年01月08日