橋本治のレビュー一覧

  • 「わからない」という方法

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    読書録「「わからないという」方法」4

    著者 橋本治
    出版 集英社

    p99より引用
    “そして、初心者にとってなにが一番いやか
    と言えば、「基礎を確実にマスターする」の
    間のチンタラした時間である。”

    目次より抜粋引用
    “「わからない」は根性である
    「わからない」という方法
    なんにも知らないバカはこんなことをする
    知性する身体”

    小説・評論・演出など多方面で活躍する著者
    による、挫折の乗り越え方や物事の上達に対す
    る方法を記した一冊。
    わからないことを知ることから身体を使って
    覚えることについてまで、著者の実地をもとに
    書かれています。

    上記の引用は、わかることと納得すること

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    2014年08月26日
  • 浄瑠璃を読もう

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    この夏「女殺油地獄」で文楽デビューして文楽の華やかさ・シュールさ・今っぽさ・そして、人間を見つめる深さに驚愕し、なにか浄瑠璃の本を、と本書を手に取りました。しかも橋本治印だし。期待にたがわず橋本節は人形浄瑠璃という芸術の中でのストーリーを縦横無尽に語っています。そもそも浄瑠璃そのものが破天荒な物語であるのですが、その意味合いをなんとか一生懸命伝えようとする著者の熱情が面白い。一生懸命理解しようとしているのが面白い。いろいろ話題になった芸術ですがちょっとはまってみようと思います。

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    2014年08月23日
  • 失楽園の向こう側(小学館文庫)

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     著書すべてを読んだわけではないが、本書は橋本さんの思想エッセンスがすべて盛り込まれているのではないかと思えるほどの完成度。集英社新書のシリーズも良かったが、本書の守備範囲のほうがより幅広い。

     世の中、あるいは自分に何かしらの「ひっかかり」があるとき、橋本さんの考え方はとりあえずの解決を導く「とっかかり」となる。あくまでも「とっかかり」であって、そこから先は個人の選択肢が残されている。良質な思想とはそういうものなのだろう。

     橋本さんの文章は突然自分の中に入ってきて、次の瞬間に考え方のベクトルが大きく動く。それほどの威力がある言葉を持つ思想家はそれほど多くはない。各著書がすべて有益な文章

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    2014年07月12日
  • 橋本治と内田樹

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    賢い人って世の中にはいるんだなあと実感。
    でも、あの窯変源氏を書き上げる人が
    まともなはずないの(笑)
    でも、気張りすぎてないので、
    電車の中で読むのにちょうど良かったです。

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    2014年06月28日
  • 上司は思いつきでものを言う

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    上司が思いつきでものをいうのは、故郷をなつかしむひとが故郷からやってきた若者の改革プランにケチをつけるのに似ていると、著者は卓抜な比喩で説明します。上司は「現場」から離れてしまっているにもかかわらず、会社が現場を収奪する「上から下へ」の流れはあっても、「下から上へ」の流れがなくなってしまったことが、思いつきでものをいう上司の出現の理由だと述べられます。

    本書の最後には、儒教的伝統と民主主義の葛藤のなかに置かれている日本の社会状況について解説がなされていますが、もうすこしていねいに説明してほしいという気もしました。

    冒頭に紹介されている、「よく考える」と「ちょっと考える」のちがいについての考

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    2014年04月10日
  • 初夏の色

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    どれもいい作品なのだが、「渦巻」と「団欒」は特にいいな、と個人的に好き、と思った。それぞれ強調するでなく震災が絡んでいるが、「団欒」家族っていいな、と思わせる。

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    2014年04月04日
  • 青春つーのはなに?

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    第1章は警句集。第2章以下はエッセイという構成です。

    「フェリーニと『サテリコン』」というエッセイでは、フェデリコ・フェリーニの映画『サテリコン』について語られています。この映画でフェリーニが示しているのは「青春あるいは若さというものはおろかな時期だけれども、自分が青春物語の主人公だと思ってしまった青年にはそのことが決して自覚されず、ただただ自分を取り巻くものに翻弄され、そのことをふっ切った途端に青春は終わり、終わった青春の先にはなにもない」ということだと著者は言います。

    この残酷な認識をまだ獲得した「大人」は、この映画の豪華絢爛な世界を「自分のいる現実というものがじつはそういうものである

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    2017年08月12日
  • これで古典がよくわかる

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    とっかかりにくく思える日本の古文。それでも結局、古文も時代は違えど同じ日本人が書いたものなんだと思い直せる内容。
    漢字だけ、ひらがなだけで書かれた文章から和漢混淆文に至るまでの歴史、感情を基にして詠まれる和歌、それぞれの時代に生きた人のリアルな想いが書かれた文章。教養としての古文が、生身の人間が書いた生き生きとした文章に思える、そしてこう思えることこそが古文への理解の第一歩だと思えてくる。だからこそ、

    ◼️p172 古典をわかるうえで必要なのは、「教養をつけるために本を読む」じゃなくて、「行き当たりばったりで"へー"と言って感心してる」の方なんです。

    昔の人も抱いかようなこんな自然な感情を

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    2016年02月28日
  • これで古典がよくわかる

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    *日本語の歴史。
    文字はないけど言葉はあったところに、漢字がやって来る。漢文の時代。英語にカタカナでルビをふるように、レ点をわきにふって読む。(古事記、日本書紀)
    →漢字の読みだけを拝借した万葉仮名。(万葉集)
    →漢字を崩して読みだけを拝借したひらがな。(竹取物語)
    →ひらがなで、より複雑な内容も書き表すようになる。(源氏物語、枕草子)
    →書き下し文方式で漢字+カタカナの和漢混淆文。(方丈記)
    →漢字+ひらがなの和漢混淆文。やっと現代文の原型といえる形。(徒然草)
    ↑こうした変化が大体100~200年周期で起こった。という話。
    *昔の人たちもその時代の現代人。今の私たちと一緒だよ、という話。源

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    2014年02月14日
  • ぼくらのSEX

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    橋本治の性愛論ですが、中高生向けのきちんとした性教育の本です。「セックスは恥ずかしいことではない」というごまかしがないところに好感が持てます。

    「男」として、あるいは「女」として、身体が成熟し、性的な関心を持つようになるプロセスを、「恋愛」や「性愛」という形で相手との関係を築いていくプロセスとして解説しています。

    ただ、自分が中高生のときにこの本を読んだとして、きちんと理解できただろうかと考えると、首を傾げざるをえませんが。やっぱり、とつぜん自分の身体の中に生じた「性欲」というものを、「自分」の問題としてしか理解しようとしていなかったなあ、と思ってしまいます。

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    2014年02月12日
  • 恋愛論

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    表題作の「恋愛論」のほか、3つのエッセイを収録し、カバー・デザインを手がけ、さらに「解説」まで著者本人が書いています。

    「気むずかしい赤胴鈴之助」は、ヒーローに憧れた少年時代の回想、「誰が彼女を殺したか?」は有吉佐和子論、「セーター騒動顛末紀」は『橋本治の手トリ足トリ男の編み物』を出版したことをめぐって、技術を自分の知識の中に上手く位置づけられないインテリに対して、身体を甘く見ているのではないかと批判したもの。

    そして表題作の「恋愛論」は、1985年の講演で、著者が自身の初恋(同性愛)を赤裸々に語っています。本書を読むまで、この人ほど人間が見えてしまっている人に、いったい恋愛ができるのだろ

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    2014年02月12日
  • 初夏の色

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    橋本治さんの著書はいつも難しくて理解し切れていない気がするが、この震災後の短編集はその描写が的確で吸い込まれ、わかる気がした。

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    2014年02月09日
  • 人はなぜ「美しい」がわかるのか

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    もう一度読み返したい本。
    よくわからないが、なんとなくわかる、と言った感じ。後半に行くに連れておもしろくなる。

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    2014年01月09日
  • これで古典がよくわかる

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    民族の思想のルーツは、その国の文字や「話し言葉」に現れるということから、このごろ古典の重要さを感じるようになった。言語学者や民俗学者の本を1冊読むのも骨が折れるのに、この入門書はサクサク読める。
     対象がこれから古典を学ぶ中高生向けだと思うので平易に書かれているのだけれど、その中でも『漢字しかない中国で、日常に起きたことをそのまま表現する日記のような文章を書き記すのは大変なことで、どうしても表現が「白髪三千丈」みたいに極端になってしまう』など、言葉の違いが根本的な考え方の違いに繋がるような本質的な筆者の指摘が新鮮だ。
     古典で和歌がらみになると途端に点が取れなくなった自分は、和歌の根本的な意義

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    2013年12月31日
  • 巡礼(新潮文庫)

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    「昔はあんな人じゃなかったよ」
    ゴミ屋敷に住む老人の一生。

    ゴミ集めが「無意味」な事は判っている。が、その無意味を指摘されたくなかった。

    自分が巡るあてもない場所を巡り歩いていた事。 会いたい人に会いたい。 そう思いながらの生涯はとても判る気がする。

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    2013年12月21日
  • 失楽園の向こう側(小学館文庫)

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    相変わらず目からウロコな洞察。
    「自分とは余りであり、自由とは2つの義務とセットとして存在する。友人の重要さは義務の中にある許しであり、自由の容認である。」というのを、愛のために2つか3つの丸を書いてみようとか肩の力を抜きながらもズバッと言ってのける。

    すごく共感したのは、「自己主張」についての言及。自己主張とは、他人の存在する日常の中で、相手に侵略されたり自分を埋没させないために行われる、「地道な」ものだということ。日本人は普段から自己主張することに慣れていないので、自己主張の「度合い」もわからない。ちょうどいい自己主張には「美意識」が必要で、その美意識を育てるには自己主張がノーマルに存在

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    2013年12月18日
  • これで古典がよくわかる

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    日本語の成り立ちについて言及してあり、なるほどと思った。
    物事を大づかみにとらえ、その骨格を浮き彫りにするのが上手い人。
    ほとんどの内容について納得したが、『源氏物語』の「いとやむごとなき際にはあらぬが」の「が」を同格でなく逆説でとらえているのが気になった。

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    2013年11月21日
  • 「わからない」という方法

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    こないだ読んだ『わかりあえないことから』に引き続き、
    「わからない」がどう方法になりえるのか、
    興味を持って読んだが、それはわからなかったのだ。

    しかし、新書を読みながらこんなにくすくす笑ったのは初めてだった。
    途中からの内容は、正直よくわからないことが多かったが、
    出だしから著者の脱力した文体に引きこまれて、最後まで一気に読んだ。

    「わからなくて、これでいいのだ」
    的な脱力感には、老子に通じる居心地の良さを感じた。

    あとがきにあるように、著者はからだを使って思考する人である。
    現代は多分に脳化しすぎていて、「俺には全てわかっている」という前提で話す人が多すぎる。
    そしてそういう人の話は

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    2015年03月03日
  • これで古典がよくわかる

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    ネタバレ

    これで古典が分かったか?と言われれば「?」ではあるが、
    古典の成り立ち、日本語の成り立ちなど、
    文学史の要素が大きい本であった。

    奈良時代には中国から伝来した『漢字』のみで文章、つまり漢文を書かなければならなくて、
    古事記や日本書紀は漢字のみ、万葉集も万葉がなが使われていたが、漢字のみ。
    どうしても堅苦しい感じが否めないし、読みづらい。

    そこから、万葉がなが変化していく中でひらがなが生まれ、
    分かりづらい漢文を読みやすくしようと、当時の学生が漢字の一部分を切り取ったことでカタカナが生まれ、
    それを補助的に用いた漢文書き下し文が生まれた。

    平安時代には漢文だけの文章とひらがなだけの文章が対

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    2013年11月13日
  • 初夏の色

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    「震災後」の小説。どれもすとんと腑に落ちた。震災後撒き散らされた粗雑で空疎な言葉に嫌悪感を抱いてきたが、言葉にはまだ力があると再確認できるような、心を潤してくれる1冊だった。

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    2013年11月11日