橋本治のレビュー一覧
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シリーズ第四弾。今回は、「無花果少年」こと磯村薫と、「瓜売小僧」こと木川田源一のカップルがたどった運命が語られます。
これまでとはちがって、登場人物の語りによって物語が進められていくのではなく、作者がみずからの考えを過剰なほどに織り込みながら二人の関係の危機をえがくという手法が採られています。「大人」になれない自分の現在の立場に満足してしまっている磯村への鋭い批評的分析がおこなわれる一方、そうした磯村を見下しながらも彼に依存してしまっている源一が陥る苦難が、ストーリーの進展とともにはっきりとさせられていきます。こうした著者の叙述には、若い二人の少年を突き放しながらも根底には彼らに対するあたたかいまなざしが存在していることをうかがうことができるように感じられました。
個人的には、本シリーズのなかでもっともおもしろく読める内容でした。 -
Posted by ブクログ
あぁ、分かる分かる。と思いながら読んでいくも、最終的に愛されるために若さと直感信じて突っ走れと言われたようで、卵子老化著しい私はもーどーしよーもねーな。としか思えず。
子供産むためには結婚してないと辛いんだよね。教員やってるから分かる。シングルマザーを支えるサポートがまだまだ万全じゃない。お母さん、一人で頑張ってるのすごく分かる。でも子どもがその状況を理解してないと、歪みが出てくる。「なんで僕は、わたしは構ってもらえないのか。愛されてないのか」お母さんがどんなに頑張っても、100%結果オーライに繋がらないリスクがある。分かろうとしてもうまく受け入れられなくて学校生活に支障が出たり。
非難でもなんでもない。一馬力で何もかも背負って、そんなことわたしにはできやしない。だから教員は出来る限りのサポートをしなくちゃならんってことだけだ。ただお母さんにも余裕がなくて伝わらないことも多くて。
わたしはひとの子にかまけてここまできてしまった。産んでみたいなぁ、と思う。でもりんこと同じ。そばにいることを決断してくれる相手がいない。うまく歯車が回ればいいんだけどなぁ…。
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Posted by ブクログ
なかなか難しいんだけども、おばさんの件はズキンとくるわな。おばさんはセクシー系が苦手で、理想と現実の可愛い折衷案を体現していく、みたいなところ。
正直批判覚悟で言うのなら、昔はおばさんの概念ってもっと狭かったと思うんよね。
今はさ、「○○系」とか言って自分の裁量に見合う主義を選んでうまーくオブラートに包んで見せるも、その実オンナ、オバサンの概念ってなんも変わってないよね。あー、痛い。
オバサンは処女である、というのも面白い。現実は子どももいるわけで、野獣になれる現実の旦那さんがいるわけだけれども、「心は別物」と。で、心の中の理想が全ての現実であると。だからオバサンは処女。乙女心を忘れない永遠のガールなんだろう。
今はどうかな。「旦那がいながら不倫」そっちが本当の純愛で現実。でも処女じゃない…。捻じ曲がってイヤーな、方向に行ってる気がするな。 -
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「相談なさる方の多くが、自分で、自分の悩みがどんなものか、理解なさっていることです。また、その悩みの多くが、対人関係にかかわるものです」
親子関係、兄弟関係、職場関係、友人関係。そういう悩みを選別しているからなのかどうかは分からないが、本書に書かれている悩みはすべからく対人関係である。
本書の秀逸な点は、質問文から、人となりを論理的に推測し、解決策を展開していくという点である。
例えば「43歳無職の弟。職探しをする気配もなく、家族でもてあましている」といった趣旨の質問に対して、
「弟さんは、“自分に欠点がある”ことを自覚しているのです。だから、“たわいもない会話には応じますが、肝心の話をしようとすると貝のように口を閉ざします”になるのです。自分にとって都合のわるいことを突っつかれたくないのです」
また、19歳になる女性の、「勉強が嫌いです」に対しては、
「あなたは勉強より、両親のいいなりになることの方が嫌いなんです」
解決策も様々で、質問者に合うと思うであろう、解決策を示している。
「人間の悩みは全て対人関係に帰する」はアドラーの言葉だが、著者も同じ考えなのだろう。 -
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普段購読している新聞にも週に1回人生相談がある。複数の回答者がいるのだが、一読してその質に優劣があることがわかる。優秀な回答者は、(通常視野の狭くなっている)相談者が気づかない側面から新しい視点を提供し、「なるほど」と思わせる気付きを与える。そうでない回答者は表面的な回答に終始し何の役にも立たないアドバイスで締めくくる。
橋本氏の場合は明確に前者であり、「何でそんなことまで読み取れたの」というものが多い。この差はいったい何なんだろう。文章を編み出すことを職業としているから読解力はもちろん桁違いなのだろうが、それだけでもないような気もする。 -
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橋本治さんが亡くなり、内田先生が何度もその知性を褒めたたえるので、読んでみたくなったが、正直自分には対談本を読むだけでは知性のすばらしさがわからなかった。面白かったのは、官打・位打という言葉。これは初めて聞いた概念だが、とても面白かった。何かというと、武家が増長していった時代に、頭角を現すものをつぶす方法である。実力のある者に対して、明らかに不つり合いな大出世をさせる。しかし、不釣り合いな仕事をこなせるわけもなく、その人物は失墜するというエスタブリッシュを武器にした攻撃。後白河法皇の義経の猛プッシュは官打だったという。平安の貴族たち、和歌を詠んでるだけじゃなくて、なかなか手ごわい。。 -
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いつもなら橋本氏の著書を読むと新しい視野が開けてきて、「言われてみれば確かにそうだ!」と手を打つのだが、今回は納得感に乏しかった。
総論として言わんとするところは、「もう進歩を目指すのは止めようよ。地球も社会も壊れちゃって幸せになれないよ。」というもので、産業革命以前、それが難しければ1960年以前の生活に戻ろうという提案。その象徴として高層ビルを禁止し、大量生産して外国へ貿易戦争を仕掛けるのもやめようと説く。1960年から人口が3000万人も増えているのだから、1960年の生活に戻すには3000万人の日本人を国外追放するか抹殺しなければ収支が成立しないのだが、著者が言いたいのはそういう各論の議論ではなく、「進歩=良い事という固定観念を疑い、みんなで貧乏になろうぜ」と言う思想なのだろう。それはそれでミニマリストにも通じる一つの見識ではあるものの、それで「何かおかしい」が解決するとして、人々は幸せになれるのだろうか。そうかも知れないし、違うような気もする。 -
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2010年~発行した同タイトルの全三巻の構成を二分冊に編集したもの。
まず本書は「評論」であって、日本の近代文学史を体系立てて理解するような近代文学史の本ではないし、近代に活躍した文豪の生い立ちなどがわかる評伝本でもない。
我々が近代文学史を学ぶと必ずぶつかるいくつかのテーマ、キーワードについて、橋本治がそれって本当のところはどうなの?その評価、理解は正しいの? …と橋本治なりの切り口で考察を加えていく評論本です。
論文風の格式張ったものではなく、まるで橋本治が目の前でおしゃべりをしながら考えを纏めているような書きぶりなので、同じ話が繰り返し出てきたりテーマが行きつ戻りつするので、読者は若干煙に巻かれた印象を受けるところもありますが、(学術的な根拠は置いといて)橋本治なりのオリジナルな考え方が見えて面白い。
上巻で取り扱ってるテーマは
・言文一致体成立までの流れ、そしてそもそも言文一致体とはなんぞや?
・「自然主義」ってなんなの?
この2点です。
本書を読む前に、論じてる内容をより楽しむために読んでおくと良いと思われる文豪の作品は
二葉亭四迷「平凡」「あいびき」(「浮雲」は、余裕があれば…)
田山花袋「少女病」「蒲団」
森鴎外「ヰタ・セクスアリス」
以上となります。
特に、二葉亭四迷の「平凡」に対する熱量高めの高評価は、そこまで深読みするか…?と思うところもありましたが、頷けるところも多々あって面白かった~。 -
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長く、枕元本として安眠のための導眠剤本としてころがっておりましたが、製本が独特で、ページが固いのが玉に瑕で、寝転がりあおむけ読書には向きません。寝てしまうと結構分厚い本が顔のうえに落ちてきますが、その際ページが自然に閉じて頭にこつんと当たるというわけです。
だからというか、仕方なくうつ伏せで読むことになりますが、両手で押さえておかないとページが閉まってしまうのです。布団の中で、ぬくぬくしながら読みたいにもかかわらず、肩から上が布団から出てしまいます。冬場には、少々つらいものがあります。
そこで、寝転がり読書用ブックスタンドの導入となったのですが、漸く読み終えました。何をくどくど書いているのかといぶかしむ方もいらっしゃると思いますが、橋本治君の「双調平家物語15巻」が、「祇園精舎」から「殿上闇討」にたどり着くのにほぼ10巻の記述を必要とすることになった、いわば理由が延々と書かれている本書については、この程度の前振りは当然ということですね。
手に取られるとご理解いただけると思いますが、この本はそういう重さと厚さの中に、橋本君の思考の過程が綴られているのですが、一番の楽しみ方は、枕にすることかもしれないと気付く頃に読みえることができるわけです。
さて、二冊目の枕候補に取り掛かることにしようか。 -
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橋本治は19世紀も、20世紀も、江戸も、あれこれみんな総括して見せて、たぶん、最近の新書では「平成」も総括していたと思うが、おしまいには借金も総括して逝ってしまった。さびしい。
1969年で終わるこの小説は、「昭和」というよりも、「戦後」を総括して見せているとぼくは思った。
しつこく低いアングルで撮り続けながら、延々とナレーションを入れていく。ここで解説を入れているのは誰だと思っていると、細目の笑顔の作家の顔が浮かんでくる。笑うしかないようなものだが、そうは言いながら、という気分で、その世界へ引きずり込まれてしまう。いつもの橋本治だ。
戦後史をこの角度で書いている人はそうはいない。小熊英二の仕事を面白いと思う人は、橋本治を見逃してはいけないとおもう。