貫井徳郎のレビュー一覧
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横浜、馬車道のとある喫茶店を舞台にする探偵ミステリー。
一階に店舗を構える喫茶店の上が、空き家となり、ある時二人の探偵が事務所として契約することに。
若くて図体がデカい喫茶店マスターが、見習い兼業で探偵稼業も始める。探偵業には似つかわしくない復讐や会ったこともない男女を付き合わせたりと、その仕事内容に戸惑いつつも、一つずつ成長してゆくマスター。
時を経るごとに複雑に絡み合っていた糸が、さらに絡まり、絆、裏切...
貫井作品には珍しく、友情や人間の繋がりや成長などヒューマンタッチがメインの一冊。
しかし、伏線の張り方はさすが巧み。
横浜、馬車道、地場の古い喫茶店、美味い珈琲、探偵。読 -
Posted by ブクログ
自分の好きなシチュエーションに時間ものがある。なぜ時間ものが好きなのかと問われるとそれはもとに戻せない、さきに進めない世界であるからだ。
この作品もタイムスリップを扱っている。
劇団うさぎの眼の新米役者、和希の前に現れた少女祐里、彼女は27年後の未来からやってきたという。そして和希に近づいた目的は劇団内で起きた殺人事件の容疑者を救うことだった。だが殺人事件は起きてしまい容疑者はつかまる。彼女と容疑者との関係は?そして未来から来たという真意は?
謎をちりばめながらも軽妙なタッチで迫る。いちおう青春ミステリーとなってるが本書はれっきとしたSFだ。筒井康隆の時をかける少女、眉村卓のなぞの転校生を -
Posted by ブクログ
新興宗教をテーマにした物語。
救いと狂気の揺らぎの中から、宗教の本質?に迫っていくような物語でした。
新興宗教やカルト集団がどのように立ち上がっていくのかが理解できる物語です
主人公雪藤は事故で妻子を失って絶望の中惰性で生きている人物。そんな雪藤が遥と出会ったことから、人生が変わっていきます。遥はその人の触れたものから気持ちを読み取ることができる特殊能力を持つ人物。たまたま雪藤の落し物に触れてしまったときに雪藤の心の絶望を理解し、共感することで雪藤に癒しをあたえます。
彼女によって救われたと信じた雪藤はこの経験をより広く人に知らしめたいという活動をすすめ、ついには「コフリット」という会員