あらすじ
桜が満開に咲き誇る4月。帰国子女の栄美にはその美しさを楽しむ余裕はない。何しろ今日、日本での高校生活の初日を迎えるのだ。「アメリカの話はなるべくしないように。日本人は、みんな一緒なのが好きなんだ」パパの忠告はしっかりと胸にしまってある。けれど予想に反して高校生活は心弾むものだった。ある日、栄美は気になる男の子と遊びに行く約束をしたのだが、なぜか二人は必ずすれ違ってしまい……。時は流れ、栄美は大学生となった。ある人との出会いをきっかけに、高校時代の大切な思い出と痛みの記憶はまったく別の形を見せてゆく――。「誰かのために」清廉な願いを名手が鮮やかに描く、忘れられない青春ミステリ。
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Posted by ブクログ
作品紹介を読んで興味を持ち、BOOK・OFFで購入。
なるほどなるほど。あの行動はこういう理由があったのね。
あのときのあれは、ここに繋がるのね。
最後まで読むと、なんの脈絡もないと思っていた文章にちゃんと意味があったことがわかる。
わかったうえで、もう一度読みたくなる。
Posted by ブクログ
『私に似た人』に続き、貫井作品ちょうど20作目。貫井先生にしては珍しい青春ミステリィ。確かに“どんでん返し”でした。二章の主人公が一章の飛鳥部君だと、思ったんだけど違った… (^^; 三章に至っては(山崎さんが)今度こそ飛鳥部君かと思ったら、また違った… (^^;; こうゆう結末を迎えるとは思いませんでした。面白かった!星四つ。
Posted by ブクログ
これはクロウいらなかったなー!!
これさえなければすごいいい作品だった。やっぱり筆力ある人は読ませる吸引力尋常じゃないなー。貫井さんの筆致力と叙述トリックが珍しく噛み合わなかった作品かも。でもその叙述トリックがなければ生まれない食い違いもあったし、この作品の面白さの一端を担っているのは確かなんだろうけどなー。叙述トリックにとらわれすぎて人物の性格に矛盾が生じちゃったのが残念伊坂幸太郎のアヒルと鴨の方がまだしっくりきたかな?
青春の一ページが丁寧に描かれている。人種差別と絡めて、帰国子女ね。なるほど。無理がない。十代の恋愛観もバッチリ。
Posted by ブクログ
三部構成になっており、一部の話と二部の話がまったく違うので短編作品が3つあるのかと思ってしまったぐらい。そして三部目で一部の続きが語られるのだが、そこで、あーそういうことか、と一部で引っかかっていたことの謎が解ける。随所に、さりげなく伏線を張っているところが憎い。一部を読んでいて違和感は確かにあった。そして最後のどんでん返しというか、文字で読むだけの小説ならではの手法も・・・。
ネタバレになるのでくわしく書かないが、伊坂幸太郎や歌野晶午の作品でも同じ思いをしたなあ。
Posted by ブクログ
青春恋愛小説かと思いきや、ちょっとしたミステリー要素も含まれていて面白かった。読者の先入観をうまく利用したトリックだった。トリックに関しては賛否両論あるようだが、私は違和感なく読むことができた。ただ、小説だからできる技であり、映画化などは難しい印象を受けた。小金井くんの行動はある意味常軌を逸しておりリアリティは欠けているが、小説と割り切って読めば、すんなりと受け取ることができるだろう。心温まる良いお話だったと思う。
Posted by ブクログ
貫井作品の中でも珍しい青春小説仕立てのミステリ(私の記憶ではない、と思う)。
英語表題のIt will be fine tomorrowが、この小説の核でもある。
ずっと貫井作品を追いかけてきて、生まれて初めて買ったサイン本がこの作品というのは本当に何と言う縁かと思う。
ずっと心をテーマにミステリを書かれている貫井作品に魅せられて、不条理な心のあり方を描かれる方がむしろアリだと思う人間なのだが。この作品もまたアリ、そう変えて行きたくて日本に帰ってきた人間には何と言うタイミングで心に響くか……。
各作品には読者にとっての読み頃があると思う。
まさにこの作品は、私にとって今読んで正解。
幸せな時間でした。
Posted by ブクログ
無理があるところもあるけど、面白かった。何より色々日本人として考えないといけないことを沢山含んでいると思う。良いところも当然一杯あるけど、独特な陰湿、妬み、それらを根本とした差別を何とかしなければね。
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「慟哭」以来の貫井徳郎さん。重い作品が多いイメージだったが、これはちょっと古い感じのする「青春ミステリ」。Part1とPart2で描かれた内容が、どう繋がるのか分からないままPart3に入って、見事に解き明かされた。
彼を間にはさんて知り合って、「ひとりひとりが他人のために何かしてあげられたら、ちょっといいことに繋がりそうじゃないか」とバトンを渡された主人公と、バトンを渡した山崎さんが、彼の思い出を語り合っていってほしい。
Posted by ブクログ
帰国子女の高3女子が主人公
高校生活の章
大学生活の章
間に男が語る章がある
高校での出来事はまぁなんかちょっと邪魔されてる
感じでしたが・・・
大学生活で出会った男の話から・・・
まぁそれなりには楽しめた感じです
Posted by ブクログ
物語はPART1~3に分かれておりPART1を読んだだけでは、釈然としない悶々とした感じが残り、続くPART2でも(何か伏線があるんだろうな…)とは思いつつもスッキリせず、そしてPART3で一気に全ての伏線の謎が溶けてスッキリ…と言う展開になっています。
謎が溶けてスッキリしたのも束の間、ラストに至るまでに又悲しい気持ちになり、それでも最後の最後には希望が見える、そんなお話です。
恋のお話にミステリー、そして人間の裏、温かみ、色々な要素が含まれていて後味の良い作品に仕上がっていました。
Posted by ブクログ
ある人との出会いが、甘くて苦い高校時代の思い出を別の形にする。空を見上げたくなる青春ミステリー。
貫井さんには珍しく女性が主人公。栄美の純粋過ぎる性格が、逆に周囲の男たちの悪意を際立たせる。繋がりがないような各章がピタリとはまる構成力は流石である。
Posted by ブクログ
あらすじを読んで読んだことない本だ、と思って読み始めたのに、既読の本であることに途中で気づいてちょっとショック。
初めて読んだ時にも思ったけど、身近にまったく血のつながらないソックリさんがいるってリアリティないよなぁ。
Posted by ブクログ
貫井さんらしくない単なる若者の恋愛小説かと思いきや、終盤で展開が…。でも、他作品とは異なり淡々とした青春ミステリー?でした。今回は後味も良く、スッキリとした読後感。こんな作品も書かれるんですね、貫井さん。
Posted by ブクログ
表紙に夏を感じたので手にとってみた。短いのですぐ読み終えた。
ミステリーとしてはイマイチだが、青春ストーリーとしては面白かった。ミステリーにしなくても良かったんじゃないかな?
安易に登場人物同士でくっつかないのもいい。
Posted by ブクログ
他の貫井作品と比べるとインパクトに欠けるけど、でも爽やかな青春ミステリーでした。
日本は差別はないつもりでもグルーピングするところがあるね。高校生女子なんてまさにその象徴。帰国子女は、妬みからなんだけどね。。それを上手く描いた作品だったと思う。
登場人物が少ないのに、アンジーの正体が全く見抜けなかった!さすがです。
Posted by ブクログ
★★★☆☆
差別と平等
【内容】
栄美はアメリカで生まれ、現地で育った。そんな彼女が日本の高校に編入してからを描く。
【感想】
読んでる途中で、「なんて、唐突なんだ!」って腹が立ってきた。でも最後まで読むとその気持ちが過ちであることがはっきりした。
どの世界にも差別がある。それはマイナスだけではなくプラス側にもあるのだ。
そしてその呪縛を解くには長い年月が必要となる。
リンカーンが奴隷制度を撤廃したような出来事が必要なのだ。でもそんな大それたことは一番ピーポーである僕らにはできない。だったらせめて差別に加担しないようにしよう。誰かに優しくしよう。
問題点ははあまりにエピソードが出来過ぎなところと、偶然がすぎるところでしょうか。もう少し長編にしたら納得感が増しただろうな。
映像化は無理ですね、もしくは芸人のアントニー主演でww
Posted by ブクログ
貫井作品としては新しい爽やかすぎるお話。
一応どんでん返し?はあるけれども爽やかすぎて貫井作品だ!とおもって取り組むと、ん…?と感じる
一作品としては爽やかで素敵なお話ではある。
Posted by ブクログ
爽やかな青春ミステリ
でもまさか叙述トリックだったとは。もちろん記述に矛盾はないけど、人物像が違いすぎて戸惑った。
テーマとしては、日本人があまり意識できてない部分に切り込んでいて良かった。
ただラストでそれを滔々と語らせてしまうのは野暮な気がする。アンディの言葉だけで十分伝わったし、むしろそのほうが押し付けがましくならずに余韻も残ったんじゃないかな。
Posted by ブクログ
青春ミステリー。人が人に認められるということの、なんと偉大なことか…一人ひとりが偏見のない受けいれるものの捉え方をするようにすれば、世の中はもっとさわやかになるんだろうな、と強く感じた作品。青春だもん。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
帰国子女の栄美は桜の美しさを楽しむ余裕もなく、不安いっぱいで日本の高校での初日を迎えた。幸いにも友達ができ、気になる男の子とも仲良くなれたものの、やがて辛い別れを経験することに…。時は流れ、大学生となった栄美の前に現れたある人との出会いをきっかけに、高校時代の思い出はまったく別の形を見せてゆく―。『慟哭』の著者が仕掛ける、忘れられない青春ミステリ。
Posted by ブクログ
貫井さんの本にしては珍しく軽めのタッチ。ラストのネタばらしについてはなるほど~というかんじだったけど、なんか伊坂の「アヒルと鴨~」と乾くるみの「イニシエーション・ラブ」が合わさったみたいな、既読感のある作品だったので、評価は並、で。ワタシの中ではなぜかずっとエイミーは山本美月ちゃんのイメージでした。
Posted by ブクログ
あああああ これ、前ハードカバーで読んだや!
■ ■ ■ ■ ■
最近のなんだかもやもやもやな貫井作品に慣れた身には
なんだか眩しいわ~。(笑。
そのぶん
物足りなさも感じちゃったりするけど。
わがまま。w
Posted by ブクログ
たとえ振り向いてくれなくても、自分が愛したいから愛する、という行為はやはり危険であると思っている。往往、対象相手にも自分と同じ感情を押し付けるべく見返りを欲し、えてして犯罪ネタにも発展しやすい。
この物語は見返りを期待しないせつない愛の話としてわかりやすいが、ペイ・フォワードするには容易でないテーマに思える。
Posted by ブクログ
桜の咲き誇る四月。
日本の教室でわたしは彼に出会った――。
これは「さよなら」の先にある物語。
忘れられない思い出を抱くあなたに贈る、青春ミステリ。
Part1:帰国子女の栄美が、日本の高校に転入してくる。
幸いにも友達ができ、気になる男の子とも仲良くなれたのだが、
やがては辛い別れの日が訪れる。
Part2:六本木にて。ユージは黒人のアンディに出会う。彼の人間性に惹かれたユージだったが……。
Part3:ふたたびのエイミー。大学入学後、彼女に迫る危機を山崎という男に助けられる。彼の語る過去とは――。
短めのお話で、登場人物が少ないところからある程度予測のついたお話でした。
解説で「乱反射」との比較されている部分がなるほどと思わされます。
貫井さんの他作品とは毛色が違います。
ミステリ :☆☆☆
ストーリー :☆☆☆
人物 :☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆☆
Posted by ブクログ
主人公は帰国子女の高校3年生、エイミー。
父親の助言に従い、あまり目立たないように、日本的な協調性を大事に、と
慎重に日本での高校生活を送り始めたのだが、それほど気負うこともなく
みんなと馴染むことができ、さらには気になる同級生と接近することも。
しかし、その同級生とデートをしようとすると、なぜかいつもすれ違う。
明らかに人為的な妨害が入っているのだが、なぜそんなことができるのか、
そして、その目的は一体何なのか分からないままとなり、、、
といった感じの謎を残したまま、全然別の男二人のエピソードに移ったり、
またまたエイミーを主人公に戻して大学生活を描いたりしながら、
最終的に謎が明かされていくという、青春ミステリとなっている。
まぁ、なんとなく展開は読めたんだけどね。
あと、アレ系(これを言うとつまんなくなるのでぼかす)なのかなぁと
伏線が散りばめられていないかと気をつけつつ読んだな。
物語自体はさらさらと読めるんだけど、
なんだか描写がすべて箇条書きっぽくて
感情移入とか共感とかはしにくかったな。