貫井徳郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ後東いい奴過ぎる&可哀想過ぎるだろ!
「烙印」の改訂版小説です。貫井作品では初期の作品が元となっているだけあって、ちょっと不慣れ感があるかな?
緊張と緩和のバランスがいまいち取れていないような・・・倉庫での麻薬受け渡し辺りから緊迫感がようやく出てきたかな。
迫水の未熟さは好感持てました。自分の行動が他人に迷惑をかけている。それは間違いない事実なんだけど
「こうしていれば・ああしていれば」と甘えを捨て切ることができないのは、人間として仕方のない部分でもありますよね。
迫水・絢子・後東。この人たちの行動については同意しかねるぞ。小説的なご都合主義を感じてしまうよ。
絢子が「どうせ途中で諦めるから」と消えた理由を告げなかったのも、とは言え中途半端に首を突っ込むのだって危ないはずですし。
迫水が兄を最後まで頼り切らなかったのも「苦手だから」では通じないでしょ。絢子を台湾人と思い込んで
「もし強制送還になったら・・・」と考えるのも分からなくはないけど、じゃあ不法入国かどうかを確認する寸法に
切り替えていけばいいんじゃない?と思ってしまいます。
後東に関しても友情の為に命を懸ける、という言うは易し行うは難しを深い葛藤もなく行ってるように見えたような。
全体を通して娯楽作として悪くはないんだけど、人物たちがプロットに沿って生きている印象が残った作品でした。
ダチョウは危険が迫ると土に首を突っ込んで危険が去るのをただ待つ。これ本当かな?面白い薀蓄だね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ桜の咲き誇る四月。
日本の教室でわたしは彼に出会った――。
これは「さよなら」の先にある物語。
忘れられない思い出を抱くあなたに贈る、青春ミステリ。
Part1:帰国子女の栄美が、日本の高校に転入してくる。
幸いにも友達ができ、気になる男の子とも仲良くなれたのだが、
やがては辛い別れの日が訪れる。
Part2:六本木にて。ユージは黒人のアンディに出会う。彼の人間性に惹かれたユージだったが……。
Part3:ふたたびのエイミー。大学入学後、彼女に迫る危機を山崎という男に助けられる。彼の語る過去とは――。
短めのお話で、登場人物が少ないところからある程度予測のついたお話でした。
解説で「乱反射」との比較されている部分がなるほどと思わされます。
貫井さんの他作品とは毛色が違います。
ミステリ :☆☆☆
ストーリー :☆☆☆
人物 :☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆☆ -
Posted by ブクログ
主人公は帰国子女の高校3年生、エイミー。
父親の助言に従い、あまり目立たないように、日本的な協調性を大事に、と
慎重に日本での高校生活を送り始めたのだが、それほど気負うこともなく
みんなと馴染むことができ、さらには気になる同級生と接近することも。
しかし、その同級生とデートをしようとすると、なぜかいつもすれ違う。
明らかに人為的な妨害が入っているのだが、なぜそんなことができるのか、
そして、その目的は一体何なのか分からないままとなり、、、
といった感じの謎を残したまま、全然別の男二人のエピソードに移ったり、
またまたエイミーを主人公に戻して大学生活を描いたりしながら、
最終的に謎が明かされていくという、青春ミステリとなっている。
まぁ、なんとなく展開は読めたんだけどね。
あと、アレ系(これを言うとつまんなくなるのでぼかす)なのかなぁと
伏線が散りばめられていないかと気をつけつつ読んだな。
物語自体はさらさらと読めるんだけど、
なんだか描写がすべて箇条書きっぽくて
感情移入とか共感とかはしにくかったな。 -
Posted by 読むコレ
ズゥーンと重たい方の貫井作品。やはり読んでいても
なんだか精神的疲労を伴うのですが、それが決して
不快じゃないんだから、やはり凄い。
ミステリ作家の描く宗教作品の場合はどうしても
カルトに寄ったものが多いイメージですが、今作は
もうガチでテーマが救済だけあって、まるでイメージ
したものと違ったのも自分にとっては良かったような
気がします。
本当の絶望の中から抜け出すという事。救済とは
どういう事なのか。そして新興宗教というシステム。
様々な事が絡み付きながら、ゆっくりと静かに
ストーリーは常に破滅ち終焉を孕みながら進んでいく様は
ある意味圧巻で、ページを捲る手と目を休ませてくれません。
主人公の「雪籐」の視点のパートと、母娘関係の破綻から
家出した娘を探す主婦「嘉子」のパートが挿入されて、
展開されるのが少々疑問だったのですが、終盤にその
2つのパートが交錯し、この2人が繋がってくる時の
恐怖と驚愕は、流石ミステリ作家。救済をテーマにしながらも
ただ重く描くだけではないところが流石。
500P越えの長編ですが長さを感じず、かと言って
軽く読み流せる訳ではない、貫井さんらしい楔を
打ち込むような作品。そして珍しく読後感は...
悪くないです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ思慮深かった中学二年の息子、優馬が飛び降り自殺を遂げた。
父親は、その真相を知るために同級生達に話しを聞き始める。
しかし、その後、一人、また一人と彼らも自殺していく。
彼らはなぜ死んだのか。自殺?他殺?
14才の彼らの「子供の論理」とは何なのか。
違法な薬物、乱れた性…
彼らが何をしていたか、何を知られたくなかったか、
それがわかった時、そりゃ死にたくもなるよなぁと納得してしまう自分がいた。
もっとも、彼らはただ絶望しているわけではなく、その裏にはもっと強い意思があるのだけれど…。
大人びた口調、落ち着いた雰囲気、成績だっていい。
でも、彼らはやっぱり14才なのだ。
たった14才なのだ。
全て分かったような顔をしていても、時に大人から見ればものすごく愚かになる。
でもそれは大人の理屈で…。
彼らにはそれしか方法はなかったのだ。
それが切ない。 -
Posted by ブクログ
カード詐欺で細々と生計を立てる詐欺師高杉は、耳くそほどの役にも立たない舎弟園部と共に、田舎の成金を狙う。
ところが、偶々居合わせた美人同業者に思わぬ邪魔をされ、挙句アジトまでつけられてしまう。
こうして出会った3人の詐欺師は、園部が考えた"極めて人道的な"犯罪計画を実行に移すが...
二転三転"オチはすぐ読めた"とドヤ顔で語る人は多いだろうが、何度も攻守交替の訪れる展開のすべてを読めた人は少ないはず。
前半つまらなくて止めそうになったけど、どんどん無茶苦茶な展開になっていく中盤以降は一気に読める
貫井さんの他の作品に慣れてる人の目には新鮮と映るか裏切りと映るか。 -
Posted by ブクログ
ロマンチックな話を想像していたのに、
内容は人の悩みと苦悩と苦しみからの脱出の話だった。
交通事故で妻と娘を亡くし自分一人だけが生き残った男、雪藤は、妻子を助けられなかったという自責の念から逃れられず、日々地獄の中にいるような生活を送っていた。
そんな中で知り合った女子大生・天美遥は、その人の持ち物に触れただけで、それまでのいきさつや持ち主の気持ちがわかるという特殊能力の持ち主だった。
彼女と話すだけでそれまでの苦しみが、ウソのように楽になった雪藤は、無欲な彼女を励まし、もっと多くの人の苦しみを解いてあげようとするようになる。
やがて娘が東京に出たまま行方知れずだという女性が現れて、なぜか真実がわからないと答える遥に対して不信感を持つようになり、恐ろしい事件へと発展する・・・。
詳しい経緯と人間描写は、以前にあめん坊さんが書かれているので、
私はサラリと述べておいた。
新興宗教というものはこんな形でできていくのかとまずは驚き、
次に特殊能力など無い方がいいと単純に思った。
どうしょうもないほど苦しい悩みを持った時、人は誰かに救ってもらいたいと思うものなのだろう。だから、教祖ともいうべき誰かの元には、人が集まるようになってくる。
だが、教祖も一人の人間であった。
この作品では、教祖である遥自身も自分の力をどこまで人に使えるのか、悩んでいるところが描かれている。
神から選ばれて特殊な能力を授けられたのなら、それを人のために使うのか、金銭目的に使うのか。無欲に人のためにだけ使いたいのに、ビジネスにしようと企む人も遥の周りに集まってくるのだ。
人が集まればどうしても金銭トラブルや人間関係で又地獄を見ることになるのだろう。これもみな人間であることの証なのだろうか。
新興宗教が人の苦しみを救うところに意義があるのなら、人が自分たちでまくトラブルは余計なものだ。苦しみを話して救ってくれる人が自分の近くにいるのなら、誰にも知らせずに、独占しておきたいと思った。