貫井徳郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
【2006.11.29.Wed】
維新から7年。欧米の文化がどんどん押し寄せ、いまだ興奮冷めやらぬ帝都東京。霧生家の屋敷で突如起こった殺人。誰が、どうやって、なぜ…。いくつもの謎を抱え、霧生家の呪いが鬼となってゆく。ワトスン役の公家の三男坊九条。ホームズ役の変人朱芳。話の展開としては王道のミステリー小説だ。しかし、時は明治。維新後の東京を鮮やかに描き、欧米の文化がもたらす光と闇をミステリーの中にうまく組み込んでいる。時々出てくる朱芳のうんちくも決して無駄ではなく、ミステリーの本質を突く論理、哲学。次々と出てくる手がかりに心を奪われ、大事なことを忘れているうちに、真相は意外なところから現れる。し