綾辻行人のレビュー一覧
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ネタバレ災厄を避けるために「いないものとして扱う」設定が秀逸である。クラスという隔絶した空間を丸々因習村のように仕立て上げたのは見事な手腕である。と、同時に「いないものとして」扱われることを逆手に取って、好きに休めず、時間割に則って行動せざるをえず、放課後ぐらいしか自由時間がないとあう中学生特有の行動制限の縛りを、咎める大人を制したことで一時的に無くしたというのも面白い。
記憶が辻褄が合うように都合よく消され、記録すら改竄されるという立証不可能な災厄が迫る中、誰が「死人」なのかという作中最大の謎の正体は大掛かりな叙述トリックであり、これは流石に見抜けなかった。学校の先生である三神先生=主人公の叔母の怜子というのは驚くしかなく、記録や記憶の改竄があるからこそ少しズルい気もしたが、これはミステリではなくホラーだからこそできる芸当でもあり、その若干の「ズルさ」こそが本格ミステリとホラーを分けるものでもあるのだ。
ただ、父親の電話や九官鳥の言葉などの伏線は散りばめており、それでいながら減った席は職員室の席だったという理外の部分であったのも面白い。
一番驚いたのは上巻から曰くありげな振る舞いをしていたヒロインのミサキ・メイが実は何でもないただの少女であり、思わせぶりな台詞のほとんどはただの厨二病だったのでは?となった点だろう。一応全部筋が通っていて辻褄は合うものの、隠された眼以外は本当にただの人だったというのは意外すぎた。
そのミサキ・メイの能力も明かされるのは終盤であり、クライマックスは疑心暗鬼に駆られての殺戮パーティというぶっ飛び具合も凄い。しかしながら、ラストの意外性のある驚きも含めて、実力派の作家にしては珍しいほどに力技かつエンタメに完全に振り切ってて凄く良かった。学園ホラーとしては一級品である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本格ミステリの俊英が描く学園ホラー。夜見北という田舎に転校してきた転校生を巡る過去の事件とクラスに纏わる奇妙の謎が魅力的で、全編に渡って常に何かが起こりそうな不穏な雰囲気を描くのが非常に上手い。病室の死の気配から始まるどことなく寒々しい雰囲気わ、同じ言葉を繰り返す九官鳥や思わせぶりな祖母や叔母、クラスメイトの面々など、ホラーの手つきとして素晴らしく、どこかじめじめとした忌まわしさすら漂っている。上巻の半ばまでは主人公が述懐するほどに思わせぶりな展開が多く、やや辟易としたものの、展開は遅くても怖い描写だけで読ませるあたりは流石の筆力であるとも思う。
設定だけ捉えるとラノベのようでありながら、しっかりと親世代が出てくるのもポイントであり、それ故に突飛な設定でも地に足のついた生活感がある。いないことにされてる謎の少女、ミサキメイは果たして生きているのかいないのか?それとも実は主人公が死んでいるのか?というシックスセンス的な展開を予感させながらも、クライマックスでしっかりとその謎を明らかにするあたりはやはり本格ミステリを手がけてきたが故の、謎に対して明確な解答を出してくれる安心感がある。しかし恐怖は始まりに過ぎず、因習村ならぬ因習クラスとなった中でどのように「災厄」が起こり、どうすれば解決になるのかが気になったまま次巻に手を伸ばすことにする -
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うっわ!!!!が何よりの感想。
すぐ読める短編ばかりだが、全てが全て気持ち悪い。もちろん良い意味で。ホラーと言うよりは、グロめのゾワゾワしてくる系。
『特別料理』は特に。夜中のバス車内で読んで、思わず一旦閉じてしまったレベル。
どの話も、気持ち悪いけど面白い。加えて、言葉選びが綺麗だなと思う場面が多々あった気がする。内容グロさと表現の美しさとのギャップが、余計に気持ち悪さを際立たせているのかも?
唯一、『バースデー・プレゼント』だけは内容がよく分からなかった。
全話通して、ユイと言う子が出てくる。ただ、同名の別人らしい。
あとがきで、『そのような趣向を凝らした意図は?と訊かれたとして、ここで明確な答えを示すつもりはない。読み手の自由な想像に委ねられるべき問題だろう、と思うので。』とあった。一晩考えても全然わからん。意図。誰か情報もしくは考察あれば教えて欲しい。
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ネタバレ館シリーズ第7弾 3巻目 (全4巻)
2つの殺人事件の犯人が絞れない中、玄児の口からダリアの宴や十八年前の事件について語られる。そして、惑いの檻の意味や玄児の出生の秘密まで。
真相は徐々に明らかになっていくが、暗黒館と浦登家の闇と事件の謎は深まっていく。
前回の疑問を整理したメモの答えが出たものの、中也にしてみたら簡単に理解し納得できるものではないよね〜。
「なにを勝手に巻き込んでくれとんねん!」だわ~。
〈視点〉もなんだか不気味だし、そして、双子の姉妹が!!
とうとう次はラスト!
真実はいつもひとつ!となるのかしら、楽しみ〜 -
Posted by ブクログ
ネタバレサービスアパートの図書室で借りた。
夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。同級生で不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げた。この“世界”ではいったい何が起きているのか――。
ホラーって書いてあって躊躇してたけど読んでみた。
1998年が舞台。
主人公の恒一だけがなにも知らされなくて、こちらも一緒になって気になりまくる。
三年三組の生徒やその血縁者が亡くなるという超自然現象。
“「それが起こってしまうと――始まってしまうとね、その年の三年三組では毎月、必ず一人以上の死者が出るの。生徒自身の場合もあれば、その家族の場合もあったり。事故死だったり病死だったり、ときには自殺だったり、何かの事件に巻き込まれてしまったり……で、これはきっと呪いだ、なんて云われたりもして」”
“「クラスの人数が一人、増えるの。誰も気づかないうちに増えているの。誰がそうなのかどうしても分からない〈もう一人〉が」”
恒一の叔母の怜子が怪しいとは思ってたけど…三年三組で以前亡くなった人には当てはまらないよな~と思って除外してた!
怜子=三神先生が見抜けなかった!
ヒントは散りばめられていたのに。
同一人物の叙述トリックは、「十角館の殺人」で経験してたのに!悔しい…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいろんな方が書いていたが、それぞれの話が短編とは思えない面白さ!精神病院の患者が主人公なので、読んでいて何が現実で何が現実でないのか、一緒に二転三転事実と思ったことが変わっていく。
1話目の悪魔の手、主人公の立ち位置が二転三転…見えているものが現実なのか、妄想なのか。自分が書いた記憶のない日記が出てきて徐々に記憶が明らかになるけれど、その記憶も二転三転。双子の兄妹の記憶とも混同し、現実に存在したのかしないのかも曖昧になっていく。主人公が病んでしまった原因は、そもそも偶然に起きたことだから、主人公が責められるべきではないはずなのに、そう思ってしまったのって両親の在り方が大きいんだろうな。真相を追っていく体験ができたのが面白かった。
2話目、409号室の患者。これも主人公と同じ目線で自分が何者なのかをたどっていく。いつまでも包帯が取れなかったり、見つかった死体と記憶の時期がずれていたり、徐々に違和感を感じる部分が増えて、そこから少しずつ真相に近づいていく。主人公の正体に関してはそうきたか、と驚いたけど、正直あまり感情移入はできなかった。事故にあった夫婦の事件や事故のきっかけが旦那の方の浮気であって、そこから一気に2人の人生がダメになってしまった。それがなんか、一気に冷めた。ストーリーは面白い!
3話目のフリークス。これは1番現実と妄想の区別がわかりづらかったけど、話に出てくるミステリーは惹きつけられた。内容はおぞましいのだけど、しっかりとヒントを読み解けば解ける謎になっている。そのバランスがよいと思った。謎解きも楽しみつつ、現実と妄想の曖昧さに戸惑う。それが面白かった。