冲方丁のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
まるでハンターが正義ではないのか?と思ってしまうような8巻目。この巻に限っては、ハンターが主人公と言えるような立場。
『マルドゥック・アノニマス』は時系列が前後しながら、少しずつ進んでいる。
1年に1巻しか進まず、そういう書き方をしているから、何がどうなっているのか戸惑ってしまう。
今回、星3つの理由は、なかなか読み進めることができなかったから。これは、ハンターサイドの話の重苦しさに起因する。だからといって、この8巻がなくてもいいということにはならないだろう。
これからどれだけ続くのかはまだ分からないが、一つの転換点になりそうな気がする。 -
Posted by ブクログ
やっぱり冲方丁さんの作品は読ませる。特に序盤の物語に引き込む力の強さが半端ない。
主人公の了助を突き落としていく序盤が特に引き込まれました。父を理不尽に殺され、恩人を大火で喪う。了助を襲う運命の過酷さ、そして大事な人を喪っていく彼の悲しさの描写や場面に思わず感情が入ってしまいます。
そんな中で身体能力や独学で身につけた棒術を買われ、了助は幕府の隠密組織に誘われることに。ここで登場するのが水戸光圀。同著者の『光圀伝』を読んでいたので、ここでまた出会うとは意外な喜びでした。豪胆でしきたりに縛られない『光圀伝』の光圀らしさも健在。
こうして信頼できる大人や心の師、同年代の友人とも出会い徐々に運命が好転していくように見えた了助。しかし物語は平和に進まず、了助に再び起こる悲劇。ここの落差がまた心に響く。そして物語は江戸すべてを巻き込む陰謀につながっていきます。
了助のキャラクターであったり、心や技術が成長していく過程がよく描けていたと思います。また了助の敵役となる敵もキャラクターが濃くて物語として非常に映える。成長ものとしても、エンタメとしてもいい作品だったと思います。
ただ物語が一本の長編ではなく、途中から連作短編のような形式になったため、序盤から中盤にかけての話の盛り上がりが落ち着いてしまったことが少し残念でした。
また敵役との決着や、陰謀の決着がつかないまま次巻へ持ち越しとなってしまったのも少し拍子抜けしてしまいました。
最初からそういう作品だと思って読んでいたらまた違ったのだろうけど、個人的には了助が絶望、希望、また絶望へとたたき落とされ、その物語のテンションを保ったまま、敵と決着をつけるまで走り抜けてほしかったなあ、とも思ってしまいました。