冲方丁のレビュー一覧
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シェルの犯罪を裏付けるデータがカジノに保管された4つの100万ドルチップ内にあることを知ったバロット。チップを合法的に手に入れる為、カジノでの勝負に挑む。物語の完結編。
なんだろう、このモヤモヤ感。最終的にバロットが獲得した自身の価値がウフコックの存在に依存しているからか。人は結局、誰かと共に生きることで希望を見出すしかないという語られ尽くした結末に至るのかと。孤独や苦痛は自分ひとりで抱えるほかないのに、希望や愛情は他人の存在に依存するしかないのだろうか。それが種の存続の為の人の本能か。ならば愛されない存在に価値などないのか。彼女自身で完結する彼女の価値を見出してくれることを期待していたので -
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本因坊道策。
彼もまた、己の生き様をカタチに残そうと悩み苦しむ一人です。
碁の世界で道策。算術で関孝和。
春海という人間を構成する一つ一つの要素で、自分と同じように悩み苦しむ人物と出会い、そして彼らの覚悟に打ちのめされながら、前へ前へ進みます。
改暦の儀へと。
戦う相手は暦から、朝廷へ。
丁寧に根気よく向き合っていくことのできた暦という理論。それとちがって、のらりくらりと伏魔殿の様相の朝廷。
理想だけを追い求め、熱意があれば正道と、突き進んできた春海たちに立ちはだかった、過去・前例遵守の公家衆。
徒労と挫折に捕らわれた時に、道策との初手天元を賭けた真剣勝負は、これ以上ないカンフル剤となったは -
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Posted by ブクログ
ネタバレ「何が幸福で何が不幸せなのか」。自分で全く考えるということをしてこなかった少女娼婦(そのような環境だった)が自分で生きたいと願った事により立場や環境がまるで変わり考えなければならなくなった話。
副題?の圧縮には次巻への助走というイメージがよくあっている。
この話は圧倒的に彼女の成長がキモであるが、これからの話しを想像するとウフコックのはたまた、機械工学、システムの成長が書かれるような気がしてならない。
彼女という雛がすでにある常識に縛られた大人達のハリボテをどのように見抜き、その力を持ってして破壊するか。
1巻は彼女の判断力や善悪を見定める力を養い、考え方を示す巻だった。
文章自体にも少 -