冲方丁のレビュー一覧
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やっぱり冲方丁さんの作品は読ませる。特に序盤の物語に引き込む力の強さが半端ない。
主人公の了助を突き落としていく序盤が特に引き込まれました。父を理不尽に殺され、恩人を大火で喪う。了助を襲う運命の過酷さ、そして大事な人を喪っていく彼の悲しさの描写や場面に思わず感情が入ってしまいます。
そんな中で身体能力や独学で身につけた棒術を買われ、了助は幕府の隠密組織に誘われることに。ここで登場するのが水戸光圀。同著者の『光圀伝』を読んでいたので、ここでまた出会うとは意外な喜びでした。豪胆でしきたりに縛られない『光圀伝』の光圀らしさも健在。
こうして信頼できる大人や心の師、同年代の友人とも出会い徐々に運命が好転していくように見えた了助。しかし物語は平和に進まず、了助に再び起こる悲劇。ここの落差がまた心に響く。そして物語は江戸すべてを巻き込む陰謀につながっていきます。
了助のキャラクターであったり、心や技術が成長していく過程がよく描けていたと思います。また了助の敵役となる敵もキャラクターが濃くて物語として非常に映える。成長ものとしても、エンタメとしてもいい作品だったと思います。
ただ物語が一本の長編ではなく、途中から連作短編のような形式になったため、序盤から中盤にかけての話の盛り上がりが落ち着いてしまったことが少し残念でした。
また敵役との決着や、陰謀の決着がつかないまま次巻へ持ち越しとなってしまったのも少し拍子抜けしてしまいました。
最初からそういう作品だと思って読んでいたらまた違ったのだろうけど、個人的には了助が絶望、希望、また絶望へとたたき落とされ、その物語のテンションを保ったまま、敵と決着をつけるまで走り抜けてほしかったなあ、とも思ってしまいました。 -
Posted by ブクログ
リェロンとアーティ、二人の覚醒の物語としての「ストーム・ブリング・ワールド」でした。「カルドセプト」というゲーム内ではどんな立ち位置になるのかはわからないけど、主人公的な立ち位置の二人の始まりの終わり。
過去も未来も見ずに、現在だけを見ることで己を生かしていたリェロン。
物事の深層を見ずに、表面を取り繕うことで己を確立させていたアーティ。
「黒のセプター」との戦いで二人が出会い築いたものが、互いに欠けていたものを補完するような形で、成長を促しあう。物語の序章にしては、大掛かりな仕掛けだったけども、旅立ちの日を迎えるにあたっては十分な経験を積めたことと思います。
今回の事件の黒幕の人の最期が三流でよい。
もうあなたは用済みなのに、強者感出されても困るんだよなぁ、と思っていたところだったので、退場の仕方は腑に落ちるものでした。
解説は田中芳樹。解説最後で「いつまでも待つので、フランス奇談モノをぜひお願い」と書かれています………が、それは冲方さんも含めて田中のお父さんにこそ言いたいセリフです。新作も待ってるけども、やり残しというか中断している作品を、ぜひお願いします、というのは読者全員の総意です。
この解説は2009年。この時期では「タイタニア」も「アルスラーン」も「創竜伝」も終わっていなかったはず。というか「タイタニア」は再始動もしてなかったのではなかったかな。
それから時は流れ2022年。「タイタニア」も「アルスラーン」も「創竜伝」も完結を迎えました。ありがとうございます。
「灼熱の竜騎兵」と「七都市物語」をお願いします。
話それました。
冲方丁のファンタジー作品なのに、世界観にすんなり入り込むことができたのは、既にゲームとして完成された世界を舞台とした作品だったからでしょう。構想から関わっていたそうですし。
作者独特の言葉回しが作り上げる世界観に入り込めるかどうかで、楽しみ方がだいぶ変わってくる冲方丁作品の数々。そういう点では、ちょっと拍子抜けでした。するする読む進められたので、疾走感は存分に楽しみましたけどね。なかなか珍しい体験となりました。 -
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「カルドセプト」シリーズの開発に冲方丁が関わっていたことから生まれたノベライズ。そんなこととは露知らず購入、そして積読のまま10年以上経過してしまいました。作品誕生の経過を知ったのはあとがきなので、読み始めた時は「カルドセプト」の世界ということが理解できず、ただ聞いたことのある設定の物語だなと思っていました。そもそも「カルドセプト」自体が名前は知っているども、遊んだことはないという自分です。
カードゲームはMTGをかじった程度です。エクソダスが発売されたぐらいかな離れたのは。ぶっ壊れカードといえば、ブラックロータスの思いは揺るがない。双璧を成すのは、初代のアリエッタ。黒猫のウィズですね。
話がそれました。
少年リェロンと少女アーシェ。リェロンは復讐のために、アーシェは存在理由のために、自分を偽り暮らしています。どちらかというとアーシェの方が、闇は濃いと思う。自分自身の存在理由を他人からの要求で叶えようとするのは、他人への依存ありきになってしまうので、人としての土台がないように感じました。リェロンは後悔から復讐に逃げ込んで、自傷行為に及んでいるようなもの。気持ちのいいものではないけども、精神の危うさが見えている感じられる点が、救いがありそうな気がします。
〈黒のセプター〉の策略にはめられたリェロンと、その手駒として使われているアーシェ。彼らの大逆転が待ち遠しい。 -
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ネタバレ勝海舟を主人公に江戸城無血開城を成し遂げた彼と西郷との会談に焦点を当て、その後の成り行きを描いた歴史小説。
うん、えっと有名なエピソードであり、その困難さと偉業はよくわかるのだけど、小説としてここだけを取り出すのは、ちょっと難しかったなあと思った。
なんと言うか、幕末のそれまでの色んなことがあって初めてその場の困難さと、それ故の感動が起こるのだと思うのだよね。
それを端折ってしまうのは、さすがに無理がある。
それこそ長い長い物語の果ての感動が欲しい所だ。
とは言え、江戸無血開城後の細々した出来事にはあまり知らなかったこともあり、興味を持って読み進められた。
まあ、作者には一度幕末を腰を据えて描いてほしいと思う。 -
Posted by ブクログ
前巻から時間が経っているので、ウフコックが潜入捜査していることぐらいしか記憶になく… 完結したら読みなおそうかなぁと思うんだけど、そう思ってるうちに違う本を読み始めちゃうんだよなぁ…
個人的にはウフコックとバロットの共依存みたいな関係が良い感じにシフトすると良いなぁと思っていたら、唐突に出てきた(感じがする)ライムがバロットの良いお相手みたいになってきたので不満。別にそういう話じゃないけど、無いからこそ別に恋愛挟まんでもな~と思ったりする。特に状況が大変だし。(反対に状況が大変だからこそ恋愛が入ってくるんだろうか?)まぁぶっちゃけるとライムが好きになれないってだけなんですけどね。ぶっちゃけ。
次ぐらいから法廷闘争が入ってきそうで面白そう…ではあるけれども事件の時系列順に起こったこととか、色々忘れているので付いていけるか…とりあえず続巻も楽しみ。