冲方丁のレビュー一覧
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藤原道長の娘で国母となった彰子の話。
入内してときは、小さな少女だった彰子が、漢詩を学び、政治を学び、国母となって、天皇や関白となった一族を支えていく姿は本当に尊敬に値する。
周りの男の人たち(藤原の親族たち)は、自分の権力を誇示することに躍起になってて、一歩ひいて控えめに和を持って政治を行う彰子とは対照的。皇族(天皇になる方々)のみなさんもみんな温厚で、思慮深い。この人たち、ほぼ全員血族かと思うと、ものすごい小さな世界の話のような気もしないでもないですが‥。
とても読み応えがあったのと、平安時代を知ることができてので、読んでよかった。 -
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上巻より読むのに時間がかかってしまった。
後半は、小説というより、淡々と事実が並べられ、彰子の伝記という雰囲気だった。
この巻で最も盛り上がる(と私が思った)のは、やはり一条天皇崩御後、敦康親王立太子をめぐって、彰子が父道長に反旗を翻すくだりだろう。
母から皇子を取り上げ、女性を政から遠ざけようとする摂関政治のやり口に、仕える女房達を従えながら、否と主張するのだ。
小説の後半は、これまで中心的には論じられてこなかった、彰子の「母后」としての力を描いていく。
一条天皇の漢学に由来する政の理想を、彰子が引き継いでいったともあるのだが・・・。
彼女が力をふるったのは人事であり、後宮政策だ。
官人 -
Posted by ブクログ
ネタバレ藤原道長の娘、彰子が主人公の物語下巻。
摂関政治の頂点とも言われる道長、頼通の時代のことが語られるのだけど、ちょっと思っていたのとは違った。
一条天皇が存命の頃から中宮定子の忘れ形見の息子が亡くなる当たりまでは彰子の細やかな感情が伝わって読んでて面白かったのだけど、それから後は、ほとんどが身内の昇進や天皇への娘の入内、病に罹った折の加持祈祷、内裏の火災などが人を変え、場所を変え、何度も語られるので、なんというか飽きてしまった^^
彰子を主人公にしたため仕方ない面はあるのだけど、政治的な面、例えば前九年の役に対する朝廷の動きとかそういうのはほぼ語られない。ちょっともったいないと思ってしまった -
Posted by ブクログ
彰子が描かれた小説って、そんなに多くない気がする。
まして主人公というのは、私にとっては本作が初めて。
寛仁二年、藤原威子が後一条天皇の中宮に立った、有名な宴の場面が描かれた後、物語はすぐに二十年ほど前の、彰子自身の入内の頃から語り起こしていく。
重圧の中で、夫の一条天皇にもすぐには心を解くことができないさまなど、なるほどなあ、と思いながら読み進める。
定子皇后が崩御して、三人の遺児を育てることとなったこと、そして一条の母でもある皇太后詮子との対話などを通して、次第に宮中での自分の役割に目覚めていく。
一条天皇の理想とするところを理解しようと、自ら紫式部に漢籍の進講を求め、紫式部の忠義を勝 -
Posted by ブクログ
『天地明察』や『十二人の死にたい子どもたち』の冲方さんしか知らなかったのですが、もとはSFがメインの作家さんと言うことだったので読んでみました。
代表作の『マルドゥック・スクランブル』は巻数も多いので断念。カバーイラストがラノベっぽくって躊躇しましたが、1冊で完結するので当作を選択。いやラノベでも構わないのですが、、、
前半は耳慣れない用語や固有名詞に戸惑いましたが、慣れてきた後半は読書スピードもアップ。フォースディメンショナー、シュレッディング、超胞体、、、SF初心者ゆえどこまでが一般的なSF用語でどこからが作者のオリジナルなのか判らないのが残念。ヒロインのラファエルが聖女すぎて、ラノベとい