冲方丁のレビュー一覧
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ネタバレ明智光秀の話がお気に入りです。お話の構成が巧みで、ミステリーを読んでいるかのような爽快感がありました。
本能寺の変を前にして、明智光秀が過去を振り返ります。
一切ハゲてないのに日常的にハゲ呼ばわりされたこと、過酷な環境で超大変な任務を任され苦労したこと、仏教施設でジェノサイドを命じられたこと、近頃信長の子供たちばかりひいきされるようになってきたこと、重要な戦から外されて手柄をあげにくくなってきたこと。
果たして、一体どの要素が謀反への決定的なトリガーとなったのか。何が光秀をここまで駆り立てたのか…。
ラストで明らかになる光秀の激情と、炎上する本能寺がとても美しいと思いました。
教科書で習った「三日天下」だと、秀吉に美味しいとこどりされた哀れな光秀という印象でしたが、本書を読むと大分かわりますね。
信長に「もうお前とは同じチームで遊んでやらねぇよ」と言われた。だから遊び仲間から対戦相手にシフトチェンジした。そんな風に読めました。 -
購入済み
絵の威力
原作、コミック両方とも読んでみた。
小説ではわかりにくかった幾何の問題がコミックでは解説抜きでよくわかる。
コミックの生命線である「絵」の力を改めで実感した。 -
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本能寺を主題に沿えた、7作家によるアンソロジー。
実行者は明智光秀であるが、その動機あるいは黒幕については、いまだに諸説紛々。
本作では、葉室麟著『鷹、翔ける』は、明智光秀の家臣斎藤内蔵助こそ、変を起こした随一の者としている。
木下昌輝著『幽斎の悪采』では、細川藤孝の謀を示唆する。
天野純希著『宗室の器』は、宗室の独白で信長への思惑が語られる。
裁判などで分かるように、事実の裏にある真実や当事者の心理などを正確に明らかにすることは、現代の事件においてさえ困難を極める。まして、過去の歴史上の事件など。
だからこそ、あれやこれやと、作家の想像力を刺激するのだろう。読者にとっても、歴史小説を読む楽しみとなる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2017年発行。あの攻殻機動隊の世界を土台にした、全編書き下ろしのアンソロジー。
このアンソロジーの中では円城塔の「Shadow.net」が一番好きな作品だったけど、これは『年刊日本SF傑作選 プロジェクト・シャーロック』に再録されているので、個人的にはそちらを購入するほうがオススメかなと。
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Shadow.net 円城塔 ★★★★☆
* 相貌失認症を持つ「わたし」は、プライバシーの観点から街の監視を行うシステム一部としての役割を担っている、という設定が、なるほど、と。近年(リアルの世界の近年)のAIによる顔認識技術は監視システムを強化したり、あるいは相貌失認症の人を支援したり、という発想が、普通なら出て来そうなものだけど、円城塔はそこをディストピア的な逆の発想をして話を膨らませている点が面白い。
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金目銀目 Heterochromia 三雲岳斗 ★★★☆☆
* 草薙素子に憧れて全身擬態化した元SP。草薙素子と同スペックの擬態パーツを手に入れる代わりに暗殺業を始める。草薙素子の気を引き、会いたいがために。
* どうやらこの作者はラノベライターらしい。
攻殻機動隊 Soft and White 朝霧カフカ ★★★★☆
* 世界一のリゾート島は全員が脳に幻想を見せることで実現している夢の空間だった。そこにテロリストが現れると聞き、調査員の主人公ヒデは乗り込む。
* 最後にヒデが久世英雄だと判明するがSAC2を見てないので、なんのことやらわからない。
* なんか文章がプロっぽくないなと思うところがいくつかあったけど、この人もシナリオライター/ライトノベル作家の人らしい。
自問自答 秋田禎信 ★★☆☆☆
* ここはどこ私は誰状態の草薙素子の目の前に自分が現れ、自分と対話する。
* (ネタバレ) 襲撃によって意識不明の昏睡状態だった草薙素子が見た夢のような状態だった
スプリンガー 冲方丁 ★★★☆☆
* 内務調査中の一人語り。オリンピック選手用の高性能擬態が強奪された。
* スプリンガー・レイジ・シンドローム(激怒症候群ウィルス)
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購入済み
書きつくされたテーマだけに
川中島の合戦はあまりにも有名で書きつくされたテーマだけに、これだけの気鋭の作家を並べても「どこかで見たこと読んだことのある視点」と思えてくるのが残念。各作者の中で乾緑郎の作品が印象に残った。
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「心に触れる」ありきたりな言葉だが、本当にそんな本だった。
感動って、他人の「価値」(大切なもの)との邂逅とそれを自己消化することで起こると思う。それは、本書の中で言わせれば常に「在る」ものであり、気付くか気付かないかだけの違いであるらしい。
著者は本書に描いた千差万別の話の中にも共通点を見つけた。その共通点こそが人類共通の「良心」の存在だという。誰しも自分の良心に気付きさえすれば、これらの物語の主人公のように強くなれるんじゃないか。他人の「価値」を推し量り、後悔する前に伝えたい誰かに「ありがとう」を伝えられるんじゃないか。そう思った。 -
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ネタバレ清少納言のはなし。
彼女の他の人と違うところは、歌を詠む際に、ふつうは詠まれないような、微妙な、あや、を詠むことであった。誰も面白いとは思わないような、白黒さだかでない、うっすらと、ほのかなもの、花の色の濃淡、そういう例えようもないものに心が引かれるのである。
清少納言が仕えた一条帝の中宮定子様は一条帝の妻であり、恋人であり、おもてなしをする座の主ともなり、ときに舞台の演出を司り、教師として導き、そして、興味を共にする学友として交流する、そういう存在だった。そんな、中宮定子に仕え、また、気に入られた清少納言は、機転の利く歌を詠むことにたけており、中宮もたよりにするのであった。
清少納言は、一乗の法って感じった。法華経こそただひとつの真理であるという考えである。つまり、絶対的な恋愛を信じる、ガンコナ一夫一婦の信仰者ということだ。当時、妾という慣習は普通のことであったにしろ、妻となる方はただ諦めていただけであり、気持ち的には納得はしていなかっただろう。清少納言は、それを平然と口にし、歌にし、態度にもした。
して、信頼する中宮定子から、下賜された真っ白な紙の束に献上のための歌を詠むこととなった。それは、天然痘で他界した夫の子供を身籠っていた清少納言が実家に出産のため里帰りしていたときに作っていった。
清少納言は、ずば抜けた歌才があるわけではなく、漢籍の達人でもない。ただ、機転でもって相手の意表を突くことにかけては、右に出るものはいなかった。ときには、炭櫃の消し炭で相手に返歌するといったように。
そんな中、宮中の政争から、清少納言の仕える中宮定子にかかわる一族が都を追われることとなった。道長が追いやったのだ。清少納言は、道長に荷担したと疑われ、里へかえる。これほどまでに、定子に尽くしてきたのに、嫌疑をかけられ、どうにでもなってしまえ、という思いと、定子様に明るい話を、という思いと、宮中の華やかさへの思いと、がないまぜになり、そんな心境を枕に語ったのだ。それが、都で様々な人の目に触れることになろうとは思いもよらず。
中宮定子は、3人の御子に恵まれたが、三人目が難産で出産後に亡くなる。それを期に清少納言も表舞台から姿を消したが、枕草子だけは永遠と世に残る傑作となった。