冲方丁のレビュー一覧
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ネタバレ【収録作品】「鯨と煙の冒険」中田永一…『百瀬、こっちを向いて。』番外編/「一服ひろばの謎」貴志祐介…「防犯探偵・榎本径」シリーズ番外編/「皇帝の宿」宮木あや子…『校閲ガール』番外編/「街で立ち止まる時」東直己…「ススキノ探偵」シリーズ番外編/「同窓会」垣根涼介…「君たちに明日はない」シリーズ番外編/「心の距離なんて実際の距離にくらべれば、」狗飼恭子…『遠くでずっとそばにいる』番外編/「平和と希望と」中山七里…『さよならドビュッシー』番外編/「ゴロさんのテラス」笹本稜平…『春を背負って』番外編/「雁首仲間」冲方丁…『天地明察』番外編/「落としの玲子」誉田哲也…「姫川玲子」シリーズ番外編/「オレンジの水面」貫井徳郎…『北天の馬たち』番外編/「多田便利軒、探偵業に挑戦する」三浦しをん…「まほろ駅前」シリーズ番外編
*知っている作品は楽しく読め、知らない作品は本編を読みたくなる。 -
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それぞれの作品の番外編というか、タイトル通りサイドストーリーを集めた短編集です。
読んだことがあるのもちらほら。
名前だけ知ってて、気になってはいるけど〜というシリーズも結構収録されていて、良いきっかけになりました。
中田永一はやっぱり面白かった。脇役だった彼がいい味だしてます。
あとは中谷七里も。音楽シリーズしか読んでないけど、他にもいろいろミステリ出してるし、これを読む限りそっちも良さそうですね。
初めてのものだと、「校閲ガール」「君たちに明日はない」「北天の馬たち」「まほろ駅前」が読みやすくて惹かれました。
ぜひそのうち本編を読んでみたいとおもいます。 -
Posted by ブクログ
シェルの犯罪を裏付けるデータがカジノに保管された4つの100万ドルチップ内にあることを知ったバロット。チップを合法的に手に入れる為、カジノでの勝負に挑む。物語の完結編。
なんだろう、このモヤモヤ感。最終的にバロットが獲得した自身の価値がウフコックの存在に依存しているからか。人は結局、誰かと共に生きることで希望を見出すしかないという語られ尽くした結末に至るのかと。孤独や苦痛は自分ひとりで抱えるほかないのに、希望や愛情は他人の存在に依存するしかないのだろうか。それが種の存続の為の人の本能か。ならば愛されない存在に価値などないのか。彼女自身で完結する彼女の価値を見出してくれることを期待していたので少し残念。
ブラックジャックの勝負シーンの緊迫感は良かった。逃げずに挑む意志を持ち続けようとするバロットの成長が上手く描かれていたし、あれだけの長い勝負を飽かせず読ませる筆力もすごい。
後半のシェルの記憶を紐解く場面はただ悲しかった。シェルは自身と同じ絶望を抱える少女を見つけては殺し綺麗なものに変えることで、過去から自分を救っていた。記憶を封印することで歪みが生じていくシェルと、立ち向かい殻から出たバロットの対比が上手い。
ラストのボイルドとの戦いは、彼自身が定義づけしたボイルドの価値の悲しさを描き、ウフコックへの執着を描くことで、一層寂しさを際立たせていた。彼は彼の存在価値を戦闘に見出していただけなのに、それは否定されるべきことだったんだろうか。彼も救ってあげて欲しかったけれど、彼は共に生きる相手がいないから救えないのかな。
全体を通じてウフコックの存在が偉大すぎる。無償の愛を与えてくれる模範的な親のようであり、寄り添って生きてくれる恋人のようであり。存在の価値を問う物語なのに、彼ありきで価値を見出す結末はどうなんだろう。もちろん彼を濫用することへの危うさや、殻を出て意志を持ち選択することの尊さも描かれてはいたのだけれど。
多くの人はウフコックのような稀有な存在と共にいられないんだろうな。それを手放したのは大きな間違いだったのかな。
*以下引用*
*ルーン・バロットーそれが、あの子の名前さ。誰がつけたんだか知らないけどね。殻の中で死んだ鳥の名前をつけるなんてさ。哀しい名前、切実な名前だよ (p66)
*それでもあのとき自分の心は、殻の中に閉じこもること以外に生きるすべを見つけられなかった。 (p125)
*我々が生きていること自体が偶然なんだ。そんなこと、ちっとも不思議じゃないじゃないか?偶然とは、神が人間に与えた中で、最も本質的なものだ。そして我々は、その偶然の中から、自分の根拠を見つける変な生き物だ。必然というやつを (p135)
*「父親の元には戻りたくないの」女の子が言った。ひどく切迫した声で。深い共感の念がどこからともなく湧き上がった。「お願い、父親の所には戻さないで」いいとも。俺が守ってやる。お前を安全な場所に連れていこう。 (p190)
*女の子の声がする。深い共感の念が湧いた。「あたしを父さんに会わせないで。何でもするから父さんにだけは会わせないで」大丈夫だ。俺が守ってやる。俺は知っている。そのストレスを。 (p194)
*ブルーダイヤ。天使の涙。身につけた人の代わりに泣いてくれる宝石。あなたが指につけてるそれを見せてくれたときに思ったの。これさえあれば涙はいらない。最悪の日もきっと笑って過ごせる。 (p196)
*愛されたいと思った人は沢山いた。でも愛したいと思った人はあなただけ。 (p259)
*敵対する者だけが自分たちの価値を認めるのだし、今が互いに親しく会話をすべき唯一の瞬間なのだと告げるように。相手の命を奪う、この決定的な瞬間だけが。 (p273)
*そばにいることーそれができる相手と共にいることが、この都市に残された最後の希望だった。 (p298) -
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本因坊道策。
彼もまた、己の生き様をカタチに残そうと悩み苦しむ一人です。
碁の世界で道策。算術で関孝和。
春海という人間を構成する一つ一つの要素で、自分と同じように悩み苦しむ人物と出会い、そして彼らの覚悟に打ちのめされながら、前へ前へ進みます。
改暦の儀へと。
戦う相手は暦から、朝廷へ。
丁寧に根気よく向き合っていくことのできた暦という理論。それとちがって、のらりくらりと伏魔殿の様相の朝廷。
理想だけを追い求め、熱意があれば正道と、突き進んできた春海たちに立ちはだかった、過去・前例遵守の公家衆。
徒労と挫折に捕らわれた時に、道策との初手天元を賭けた真剣勝負は、これ以上ないカンフル剤となったはずです。 -
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ネタバレ「何が幸福で何が不幸せなのか」。自分で全く考えるということをしてこなかった少女娼婦(そのような環境だった)が自分で生きたいと願った事により立場や環境がまるで変わり考えなければならなくなった話。
副題?の圧縮には次巻への助走というイメージがよくあっている。
この話は圧倒的に彼女の成長がキモであるが、これからの話しを想像するとウフコックのはたまた、機械工学、システムの成長が書かれるような気がしてならない。
彼女という雛がすでにある常識に縛られた大人達のハリボテをどのように見抜き、その力を持ってして破壊するか。
1巻は彼女の判断力や善悪を見定める力を養い、考え方を示す巻だった。
文章自体にも少し引っかかった。
まず冲方さんはこういう書き方の文章を書くんだ〜って思った。天地明察をすこし読んだくらいなので。
結構この本はラノベみたいな読み口を感じた。文も、キャラクターもそんな感じ。
文章は結構無駄がなく、ある種無感動に進んでいくイメージ。語りてや世界観の支配がそこによく現されているようでSFらしさ(古典の海外SFを読んでるみたいな)がある気がした。