冲方丁のレビュー一覧
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まるでハンターが正義ではないのか?と思ってしまうような8巻目。この巻に限っては、ハンターが主人公と言えるような立場。
『マルドゥック・アノニマス』は時系列が前後しながら、少しずつ進んでいる。
1年に1巻しか進まず、そういう書き方をしているから、何がどうなっているのか戸惑ってしまう。
今回、星3つの理由は、なかなか読み進めることができなかったから。これは、ハンターサイドの話の重苦しさに起因する。だからといって、この8巻がなくてもいいということにはならないだろう。
これからどれだけ続くのかはまだ分からないが、一つの転換点になりそうな気がする。 -
Posted by ブクログ
オンラインゲームを父と息子が協力してプレイすると聞くと、どうしても「光のお父さん」を思い浮かべてしまう。「光のお父さん」が大好き且つ感動させられたのもあって、こちら(本作)も良いのだが、ちょっと予定調和な感じがしてしまって残念。あとバトルのシーンが冗長に感じる。
普段からバトルロイヤルゲームをしていて好きな人は楽しいのかもしれない。私は完全にロープレ派で、バトルロイヤル系はフォートナイトのプレイ動画をちょっと見た程度。何だか操作が複雑そうだなと思った。
人が良過ぎて騙されてばかりいる父をずっと信頼している息子の姿には心打たれるものがあった。
性格が良い人の周りには自然と良い人が集まるんだろう -
Posted by ブクログ
やっぱり冲方丁さんの作品は読ませる。特に序盤の物語に引き込む力の強さが半端ない。
主人公の了助を突き落としていく序盤が特に引き込まれました。父を理不尽に殺され、恩人を大火で喪う。了助を襲う運命の過酷さ、そして大事な人を喪っていく彼の悲しさの描写や場面に思わず感情が入ってしまいます。
そんな中で身体能力や独学で身につけた棒術を買われ、了助は幕府の隠密組織に誘われることに。ここで登場するのが水戸光圀。同著者の『光圀伝』を読んでいたので、ここでまた出会うとは意外な喜びでした。豪胆でしきたりに縛られない『光圀伝』の光圀らしさも健在。
こうして信頼できる大人や心の師、同年代の友人とも出会い徐々に運 -
Posted by ブクログ
冲方丁さんが好きなので読んでみた。
「天地明察」が圧倒的に好きだけれど、SF小説も面白い人だと思う。
とても不器用なお父さんで、結果、離婚されてしまうダメな人だけれど、ちゃんと家族を愛していたことがよくわかる。
いい人すぎて、会社経営できない人。
でも、家族のために一生懸命だった。
事故で意識不明の状態の息子。
からの、ゲーム内では会話ができる!という設定が面白い。
息子を助けるために、ゲームの世界大会に向けてチームで頑張る様子が、良い。
成長していく話は面白い。
厚みがある本だが、中学生にも理解しやすいと思う。
ゲーム好きな男子に勧めたい本。
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Posted by ブクログ
『はなとゆめ』に比べて重量級(分量的に)なのは、25歳で薨じた定子と87歳まで生きた彰子の差か。量は多いがさくさく読める。
義母/伯母詮子(反面教師として)、夫一条帝、父道長、紫式部を師に、国母として宮廷の和に腐心した彰子像を描く。皇統や一族の繁栄の観点では無策に見える、後一条後宮が一夫一婦状態のままにしたことや、頼通を尊重しすぎて教通が蔑ろにされたことをどう描くのかと思ったが、特に後宮で后妃(=後見の諸侯)が競うことで女たちが苦しむことを忌避したという理由で、なかなか納得感のあるものだった。しかし、結局、後朱雀後宮では頼通意向を尊重しすぎて正に争いを引き起こし、禎子内親王を苦しめることになっ