久坂部羊のレビュー一覧

  • 医人の夢

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    医療だけではないが、世の中に完全というものはなく、異常潔癖で何でも白黒つけたがる国民性に、グレーな等身大医療の現実をつきつける、いつもの久坂部節炸裂。大病経験もして、普通にERCPで炎症経験ある身からすれば、至極当然のことが書かれている。医者は病気を治すのではなく、一所懸命に治す手伝いをしているという当たり前のことが理解できない者たちが多いからこそ成立する本だともいえる。

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    2026年07月04日
  • 無痛

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    ネタバレ

    再読。
    面白かった。最初読んだ時より面白く読めた。
    病気がわかるという、ファンタジー寄りの設定だけど、嫌悪感なく読めた。

    責任能力のない人間を罰することは、非人道的なことなんや。それは罪の償いやない。ただの報復や。それがどれだけ恐ろしい人権侵害につながるか、わかるやろ。

    刑法三十九条の話。

    無罪はおかしいと思う。病気でもなんでもその人がやったんだから。嘘か本当か判断がつかないなら、全部悪にしてしまったらいいのに。

    最後はイバラが消えて終わり。
    為頼先生は麻痺が残った。
    ナミコの理想主義はイライラした。
    イライラする登場人物ばかりなんだけども。

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    2026年07月02日
  • 廃用身

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    内容の重さと文章量に圧倒されながらも面白くて手が止まらない本でした。

    あらすじ

    廃用身という言葉、すなわち麻痺したり事故や病気によって動かなくなった体に出会った漆原医師は、廃用身を切断し、残った人体で生きていく。そんな医療を考案して、自身が経営するデイサービスの患者に対して行っていた。しかし、その理屈を理解できない、またはその恐ろしさに狂乱するマスコミと大衆、漆原医師周辺の思惑によってどんどん自体は悪化していき。


    廃用身という言葉自体も初めて聞きましたね。麻痺くらいで使うのかと思いきやもっと率直な意味、使い道のない体のパーツ、医療用語にはそういうものが多くあります。本当にその通りです。

    読んでいて72歳死亡法案を思い出しました。割といい本だな、面白い案だなと思っていたこともあり、お年寄りと介護者、医療者全員が納得するのであれば切断するのも悪くないのだろうなとか考えていたら、漆原医師自身の話に変わっていくんですね。

    政治やアイドルなんかでも思いますけど、私生活とビジネスを一緒の範囲で語りたがるのはどこも同じなんですね。公明正大で一つも汚点がないような医師だったらこの治療は受け入れられたのか、多分人間は感情的に自分が受け入れ難いと思ったものは何という理由をつけても拒否してしまうんだと思います。だから多分、一般的に受け入れ難い、その認識だけでそこまで狂乱してしまったのかな。

    最初の方ではなく、後の方に漆原医師が治療範囲を広げるためにチーム分けたり、経験談話させたり、そういうのは少しずつん?って思っていましたがまさかのそれが伏線。

    でも医療職だから言えるけど、本当に介護問題は身に染みて感じますよね。火葬代を安く済ませるために献体に登録する老人、相次ぐ老人虐待、家に帰ってくるなという介護者たち。なんと世知辛い世の中。早めに人生を終わりたいとすら思います。

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    2026年06月21日
  • 廃用身

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    映画見る前に絶対に原作を読みたい!と思い、急いで読み始めたけど、面白すぎてすぐに読み切ってしまった。こんな面白い作品が20年近く前の作品なんて信じられない。もっと早く読みたかった!
    物語として面白いのはもちろん、今現在の介護の状況にもリンクしていて、凄く考えさせられた。初めの方は四肢が欠けた老人の姿を想像して思わずゾッとしてしまい、流石にダメでしょ…なんて思っていたのに、読み進めるうちにだんだんとAケアの有効性や効果に気持ちが傾くのが自分でも分かって、なんともいえない気持ちに襲われた。
    漆原医師の人間性についても凄く興味深くて自分なりに色々考えさせられた。確かに思うところは沢山あるけれど、漆原医師は、その腕も患者を思う気持ちも、医師としてはとても優れた人物だったんじゃないかなと。全体的に凄く面白くて映画も楽しみ!

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    2026年06月19日
  • 廃用身

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    映画化を期に、原作ものだと知り手に取りました。2005年にこの作品が書かれていたことに、まず衝撃を受けました。2026年の今読むと、本作はより現実味を帯びて感じられます。

    構成が非常に秀逸で、医療をテーマにした作品ならではの重さと恐ろしさがありました。きつい描写も多く、読み進めるのはかなり体力が必要でした。

    久坂部さんの他の著書も読んでみたい気持ちはあるものの、またあの重さに向き合うには覚悟がいるため、なかなか重い腰が上がりません。読み続けたら精神を病みそうなので笑。

    とはいえ、その他の著書も読破したい位面白い。

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    2026年06月19日
  • 老乱

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    ネタバレ

    最後は涙。

    お嫁さんすごいよ。最初からちゃんと舅さんの心配して、これでいいのかって自問自答して。
    ちゃんと施設にも通って、介護して。
    私だったらどう?義母はもちろん、両親ですらできる気がしない。
    両親のことは憎んでいるから。
    そうするとこれから先介護が必要になった時どうしたらいいんだろう。
    穏やかな気持ちで見守ることができるだろうか。
    作者さんが番組で、楽に死ぬ準備をするって言っていたけど、認知症だとなかなかそうもいかないよね。
    自分がなったら嫌だなぁ。迷惑かけたくないってやっぱり思う。
    長寿はいいことなのかな。


    ラスト
    十二月二十日、午前三時五分。
    ベッドサイドにはだれもいない。
    夜明け前のしんとした闇が、幸造を包んでいる。

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    2026年06月13日
  • 悪医

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    人はいつか死ぬ
    残酷だけどそれは変えることは出来ない…
    そして、医者の葛藤も胸に迫るし
    患者の生きたいという気持ちにも
    涙が溢れました。

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    2026年05月30日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医師作家のアンソロジー。自分の好みの医師作家の発掘のためには最適な一冊。私もやはりこの人は好きだな〜。この人はちょと苦手かも〜。などと楽しみながら読みました。好みはあれどどれも読み応えの医療短編でした。

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    2026年05月30日
  • オカシナ記念病院

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    今までモヤモヤしてたものはコレだった⁈と気づかせてくれた本。現代の医療をネタに楽しく教えていただきました。ありがとう!

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    2026年05月27日
  • 善医の罪

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    久々にのめり込んで一気読みした!
    尊厳死とか安楽死についてはもともと興味があったけど、医療者の中での認識と世間とのズレなど、考えさせれるテーマが盛りだくさん。
    次から次に嫌な奴が出てきて、ちょっと胸焼け。
    お金欲しさや保身のために事実をねじ曲げるのは論外だけど、終末期の尊厳死とか安楽死の判断においては全員の意見が一致するなんてことのほうが稀なんだろうなと思う。
    そういう意味でも、ラストすっきりと終わらないところもかえって良かった。
    命の尊さとか、生きてさえいればとかそういう文言みんな大好きだけど、ベッドから動くことも出来なくて毎日苦痛に耐えるだけなら、むしろ殺して欲しいって思う人の方が多数だと私も思う。
    少なくとも私はそう思う。

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    2026年05月18日
  • あなたの命綱

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    『健康の分かれ道』がすごくよかったので、こちらも。というか、山田詠美さんが久坂部先生のことを「こんなにおもしろいテーマで、こんなにつまらない小説が書けるなんて」と酷評されていたという逸話を知り、どんなにおもしろくてつまらないのかが気になって手に取りました。

    たしかに・・詠美さん、言い得て妙すぎてすごい!

    医療ベンチャーも、医師と病院も、代替医療も、メディアも、やっぱり信じられないなと思った。そして必死でがんを治そう死を遠ざけようとする患者も滑稽だ。私はこうはならないと思う。
    最終的に、久坂部先生が他の本でもおっしゃっていたとおり【病にあらがわず、病を受け入れて共存する】という結論にうまいこと(=予想どおり)たどりつきました。

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    2026年05月13日
  • 健康の分かれ道 死ねない時代に老いる

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    健康な人がピンピンコロリを叶えるなんて幻想だよねという哲学(コロリといけるのはむしろ不摂生な人)、病気の治療には望まぬ延命治療のリスクがついてくるという警告、外国には健康診断も人間ドックもないとの話、、、はじめて聞いた。読んでよかった。

    長寿なんて目指さなくていいし、異常値なんて異常じゃないから放置してかまわないし、なんなら病気も治療しなくていいし、キリのいいところで人生を終えればいいでないかという本書後半部分。ぜひ自分の親に読ませたいが、きっと受け入れられないんだろうなぁ。。

    『廃用身』の告知動画をきっかけに、久しぶりに手に取った健康本。以前は仕事だったから健康法の本を実によく読んだし、健康法の世界はめちゃ楽しかったけれど、健康法をいくら実践したとて読者全員が健康になるわけではない。(健康法を実践する自分への高揚感は、多くの方が得てくださっていたと思うのだが。だから、健康本をたくさんつくれたことは心からよかったと思っているのだが。)多くの高齢者と接し、「健康とか長寿とか、べつに追い求めんでええやん」にたどり着いた久坂部さんには全面的に共感する。

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    2026年05月10日
  • あなたの命綱

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    がんと診断された時、人はどうやって生きていくのか。
    本人や家族、友だちが、がんとどう向き合っていくのか考えさせられた。考えても答えはでない問いだし、読んでいて辛い描写もあったけど、現場の医師、医療ベンチャー、研究者、がんとなってしまった人、その友だち、様々な立場からの視点とミステリーが描かれていて、とても読み応えがあった。
    キュブラー・ロスの死への5段階。教科書で読んだだことがあるが、真に理解できていなかったなと実感。小説で読んだからといって、真に理解できたと言えるわけではないし、もし自分に降りかかったとしてもどう乗り越えるのか、乗り越えられるのか?受容の段階までいけるのかもわからない。
    大切に日々を生きられているのだろうかと自問し、大切に生きなければと思う。

    主人公が信頼する医師の言葉が心に残っている。
    「治療が難しいがん患者に、どう接するべきかということ。考えているうちに患者ほうが死ぬこともある。それは必ずしも悪いことではない。終わりが見えないほうが辛いから。あるいは、心の準備もできないまま、心筋梗塞やくも膜下で突然人生が断ち切られることもある。生きていることを実感しつつ、死に向けてゆっくり準備できるがんの最後は、必ずしも最悪ではないよ」
    そして主人公の到達した気持ち
    「死ぬのはまちがいない。だけど今日死ぬわけではない。明日でもない。たぶん、来週でもない。だったら自分には時間がある。それを精いっぱい大事に使おう。そう思えるのが死の受容だ」

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    2026年05月01日
  • 生かさず、殺さず

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    認知症の患者も、がんや糖尿病などさまざまな病気を患う。彼らをどのように治療すべきか。一般の患者なら、検査や治療に協力も得られるが、認知症の患者はスムーズにはいかない。認知症患者専門病棟「にんにん病棟」では、主人公の医長の三杉や看護師たちが、日々認知症相手ならではの奮闘を続けている。
    久坂部羊さんならではの医者の目で描かれている。
    高齢化社会が進む中で、認知症、そして介護の問題は本当に大きな課題だと思う。特に認知症になった家族をどのようにしてケアしていくのか。認知症の介護の仕方にマニュアルがあってこうすればよくなるってことが分かればいいけどそんなものはありません。介護が楽になるのは、患者が死ぬしかないってことが現実。この本を読んで切に思う。ミステリー要素もありで、読みがいがあった。

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    2026年04月24日
  • 命の横どり

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    ネタバレ

    移植医療がテーマ。レシピエントの側から見れば、移植はほとんど無条件に肯定されるべき医療である一方、ドナーの側に目を向けた瞬間、脳死という状態においては、医学的には死とされながらも、身体はなお生命の徴候を保っている。「死後の贈与」なのか「命の切り上げ」なのか。ここで浮かび上がる「生ききる権利」。完全なる回避不能なトレードオフ関係。この非対称性が、タイトルにつながる。さらに、レシピエントはドナーとその家族のために品行方正に生きるべきなのか?移植医療の背後に色んな葛藤や問題があった。他人事ではないと感じた。⑤

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    2026年04月22日
  • 命の横どり

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    ネタバレ

    人の気持ちを変えるのは難しい
    現実はドラマのようにハッピーエンドにはならない
    ただし、時間の効用はある
    悩みも怒りも苦しみも、時の流れが輪郭をぼやかしてくれる

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    2026年04月14日
  • 嗤う名医

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    現役医師の書く小説。
    リアルな医療現場が書かれてるんだろうなー楽しみだなーって軽はずみな気持ちで読んだら、
    かなり別の世界のあまりにもリアルな描写が…
    電車で読むの気まずかった…
    でもおもしろかったです。
    解説もよかった。他の作品もとても読みたくなった。

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    2026年04月10日
  • あなたの命綱

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    久坂部羊『あなたの命綱』。実用書ではたくさん学ばせてもらったが小説は初読みの作者さん。医療ジャーナリスト中道颯子ががん治療について取材する一方、末期がんの宣告を受けた友人との葛藤や混乱に直面する…。榊の「癌との共存」論は説得力がある。全読したい作家さんに出会った!期待通り。

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    2026年04月08日
  • 人はどう死ぬのか

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    幸せな死を迎えるための予習。

    友人に借りた本だけれど
    何度か読み返したいので買おう!!

    100歳まで生きちゃう時代
    どう生きるかを考えることも
    どう死ぬかもちゃんと考えておきたい

    読みおわった、
    これは数年後また読みたい
    死を意識して生きる
    上手い死に方、下手な死に方
    こんなことを言うとどう非難されるかと
    わかっていてここまで書いてくれた著者に感謝。

    どう死ぬか、いつ死ぬかわからないのに
    これはやだとか、こうしたい、なんて
    あれこれ言う方がナンセンス、
    確かに、神のみぞ知る、

    そして医者にいかないこと、、
    著者はまじめにそう言っている
    下手に延命治療や高度治療をすることで
    本来の生き方ができなくなる、
    父が亡くなる前、、、なんで無理に食べさせようと
    したのか、、リハビリをやっていたのか、、
    辛そうな痰の吸引、、自宅で亡くなった時に
    救急車を呼んでしまったこと、、
    後悔してもしきれないけれど。
    知識がないし、初めてであったし、、
    いいと思ったことをやっていたけど。
    介護の本は読んだけど最期の本は
    読んでいなかった、というより適切なものが
    なかったのかもしれない。

    読みごたえもあり深く考えさせられた一冊

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    2026年06月06日
  • 砂の宮殿

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    久坂部羊『砂の宮殿』角川文庫。

    医療サスペンス小説。

    なかなか面白い。超高齢化社会が到来した日本に於いて、医療は非常に重要な砦となるが、全ての医療従事者が清廉潔白で患者のために愚直に働いているとは限らない。中には私服を肥やし、名声を得ることだけに拘る医療従事者もいるのだろう。そんな医療従事者への不信感を煽る恐ろしい小説だった。

    『砂の宮殿』というタイトルは、『高い志も富や名声の前では脆いものだ』ということと舞台となりクリニックが『カエサル・バレスクリニック』という2つにかけたものであろう。


    最先端の医療チームを持ち、海外から裕福な患者を集め、自由診療を行うカエサル・バレスクリニックで理事長を務める外科医の才所准一は、抗がん剤・免疫療法の趙鳳在、放射線科の有本以知子、予防医学の小坂田卓という優秀な3人の理事とともに癌治療を行い、順調に実績を重ねていた。

    ところが、久し振りにカエサル・バレスクリニックを訪れていた顧問の福地正弥がクリニックを出て自宅に戻る途中で倒れ、直ちにクリニックに運ばれたのだが、突然死を遂げる。死因は急性心筋梗塞と診断されるが、顧問の死には不審な点が多く存在していた。

    その後、福地の不審死を含め、カエサル・バレスクリニックに渦巻く黒い噂に関連して、才所准一の近辺を嗅ぎ回っていた怪しげな老ジャーナリストがシンガポールで不審死を遂げる。

    最先端医療の発展に尽力する外科医とその周辺で渦巻く黒い噂の正体は……

    本体価格1,000円
    ★★★★★

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    2026年03月31日