久坂部羊のレビュー一覧
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お医者さんの本であり、脳神経系の本棚に置かれていたので、「人が悩む時、脳はどういう挙動をするのか」というような物理的、医学的な内容かと思って手に取ったが違った。「人はみんな悩むよ」と教えてくれる、温かい本だった。
本書のキモは「はじめに」の部分で、悩みとは「できないことや、状況の不運さなどの悩みのタネを、なぜ自分が…と受け入れられない」状態のことで、大抵の悩みのタネはライフステージによって自然と生まれるもので、みんなそうなんだよと思うこと、あらかじめそういうことが起こるもので普通、と思うことが大切。ということだった。
9章に分かれていて、それぞれ老年期から遡っていく順番で、悩みを世代ごとに解説している。
特に老年期の章は分厚い。筆者は、終末期医療の経験があり、そのときの患者に寄り添った経験から、老年期の悩みについて深く分析している。
私は今30代だが、今の私の悩みに通づる部分は多くあった。どうにもならないことに気づき諦めることや、自分の悩みは欲望であることに気づくことが大事らしい。
今の悩みについて書いてある青年期は辛くて読めない。
また落ち着いたら読もうと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み始めた瞬間から、本作が「小説」であることを忘れ、最後のページに辿り着くまでずっと現実に起きた話だと思っていました。それほどまでに日付や登場人物の設定が細かく、読み終えた後も「これはフィクションだったの?本当に?」と疑っていました。
本編の衝撃的な展開も去ることながら、個人的は介護業界が抱えている闇や、人知れない苦労の方がグロテスクだと感じました。私の両親も近いうちに介護対象の年齢になりますし、私だっていずれはなります。そのとき、自分はそのグロテスクな存在になるべくなりたくないと誰もが考えると思いますが、ではそのために自分には何が選択肢として残されているのでしょうか?
映画化されることを機に作品を知り、読み終えた頃には映画の上映期間が調度終わってしまっておりましたが、読んですぐに映画を見に行きたかったと後悔しました。大満足の作品です。 -
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健康をいかに維持するかのHOWTO本かと思いきや真逆の内容で驚いた。
著者はアンチ健康を提唱する稀有な作家だ。健康を目的とする事で人生の満足度や楽しさを下げては本末転倒である。健康診断は会社の義務であるくらいに留めておいて重要異常箇所以外の項目は無視していこうと腹が座った。長生き信仰がまだ根強い日本だが平均寿命に惑わされずに60歳まで生きれたら個人的には御の字ぐらいの気持ちでいれば65で死んで世間でいう早死でも気にならなくなる。つまり自分軸が大切という事だ。あえて傍若無人に不摂生をしようとは思わないが適度に楽しみ適度に気にするくらいが一番楽しく生きれるのではないだろうか。
これからの長寿社会を生き抜くとても達観した考えはこれからも大切にしたい。 -
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ネタバレ再読。
面白かった。最初読んだ時より面白く読めた。
病気がわかるという、ファンタジー寄りの設定だけど、嫌悪感なく読めた。
責任能力のない人間を罰することは、非人道的なことなんや。それは罪の償いやない。ただの報復や。それがどれだけ恐ろしい人権侵害につながるか、わかるやろ。
刑法三十九条の話。
無罪はおかしいと思う。病気でもなんでもその人がやったんだから。嘘か本当か判断がつかないなら、全部悪にしてしまったらいいのに。
最後はイバラが消えて終わり。
為頼先生は麻痺が残った。
ナミコの理想主義はイライラした。
イライラする登場人物ばかりなんだけども。 -
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ネタバレ最後は涙。
お嫁さんすごいよ。最初からちゃんと舅さんの心配して、これでいいのかって自問自答して。
ちゃんと施設にも通って、介護して。
私だったらどう?義母はもちろん、両親ですらできる気がしない。
両親のことは憎んでいるから。
そうするとこれから先介護が必要になった時どうしたらいいんだろう。
穏やかな気持ちで見守ることができるだろうか。
作者さんが番組で、楽に死ぬ準備をするって言っていたけど、認知症だとなかなかそうもいかないよね。
自分がなったら嫌だなぁ。迷惑かけたくないってやっぱり思う。
長寿はいいことなのかな。
ラスト
十二月二十日、午前三時五分。
ベッドサイドにはだれもいない。
夜明け前のしんとした闇が、幸造を包んでいる。 -
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久々にのめり込んで一気読みした!
尊厳死とか安楽死についてはもともと興味があったけど、医療者の中での認識と世間とのズレなど、考えさせれるテーマが盛りだくさん。
次から次に嫌な奴が出てきて、ちょっと胸焼け。
お金欲しさや保身のために事実をねじ曲げるのは論外だけど、終末期の尊厳死とか安楽死の判断においては全員の意見が一致するなんてことのほうが稀なんだろうなと思う。
そういう意味でも、ラストすっきりと終わらないところもかえって良かった。
命の尊さとか、生きてさえいればとかそういう文言みんな大好きだけど、ベッドから動くことも出来なくて毎日苦痛に耐えるだけなら、むしろ殺して欲しいって思う人の方が多数だと私も思う。
少なくとも私はそう思う。 -
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『健康の分かれ道』がすごくよかったので、こちらも。というか、山田詠美さんが久坂部先生のことを「こんなにおもしろいテーマで、こんなにつまらない小説が書けるなんて」と酷評されていたという逸話を知り、どんなにおもしろくてつまらないのかが気になって手に取りました。
たしかに・・詠美さん、言い得て妙すぎてすごい!
医療ベンチャーも、医師と病院も、代替医療も、メディアも、やっぱり信じられないなと思った。そして必死でがんを治そう死を遠ざけようとする患者も滑稽だ。私はこうはならないと思う。
最終的に、久坂部先生が他の本でもおっしゃっていたとおり【病にあらがわず、病を受け入れて共存する】という結論にうまいこと(=予想どおり)たどりつきました。 -
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健康な人がピンピンコロリを叶えるなんて幻想だよねという哲学(コロリといけるのはむしろ不摂生な人)、病気の治療には望まぬ延命治療のリスクがついてくるという警告、外国には健康診断も人間ドックもないとの話、、、はじめて聞いた。読んでよかった。
長寿なんて目指さなくていいし、異常値なんて異常じゃないから放置してかまわないし、なんなら病気も治療しなくていいし、キリのいいところで人生を終えればいいでないかという本書後半部分。ぜひ自分の親に読ませたいが、きっと受け入れられないんだろうなぁ。。
『廃用身』の告知動画をきっかけに、久しぶりに手に取った健康本。以前は仕事だったから健康法の本を実によく読んだし、健康法の世界はめちゃ楽しかったけれど、健康法をいくら実践したとて読者全員が健康になるわけではない。(健康法を実践する自分への高揚感は、多くの方が得てくださっていたと思うのだが。だから、健康本をたくさんつくれたことは心からよかったと思っているのだが。)多くの高齢者と接し、「健康とか長寿とか、べつに追い求めんでええやん」にたどり着いた久坂部さんには全面的に共感する。 -
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がんと診断された時、人はどうやって生きていくのか。
本人や家族、友だちが、がんとどう向き合っていくのか考えさせられた。考えても答えはでない問いだし、読んでいて辛い描写もあったけど、現場の医師、医療ベンチャー、研究者、がんとなってしまった人、その友だち、様々な立場からの視点とミステリーが描かれていて、とても読み応えがあった。
キュブラー・ロスの死への5段階。教科書で読んだだことがあるが、真に理解できていなかったなと実感。小説で読んだからといって、真に理解できたと言えるわけではないし、もし自分に降りかかったとしてもどう乗り越えるのか、乗り越えられるのか?受容の段階までいけるのかもわからない。
大切に日々を生きられているのだろうかと自問し、大切に生きなければと思う。
主人公が信頼する医師の言葉が心に残っている。
「治療が難しいがん患者に、どう接するべきかということ。考えているうちに患者ほうが死ぬこともある。それは必ずしも悪いことではない。終わりが見えないほうが辛いから。あるいは、心の準備もできないまま、心筋梗塞やくも膜下で突然人生が断ち切られることもある。生きていることを実感しつつ、死に向けてゆっくり準備できるがんの最後は、必ずしも最悪ではないよ」
そして主人公の到達した気持ち
「死ぬのはまちがいない。だけど今日死ぬわけではない。明日でもない。たぶん、来週でもない。だったら自分には時間がある。それを精いっぱい大事に使おう。そう思えるのが死の受容だ」 -
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認知症の患者も、がんや糖尿病などさまざまな病気を患う。彼らをどのように治療すべきか。一般の患者なら、検査や治療に協力も得られるが、認知症の患者はスムーズにはいかない。認知症患者専門病棟「にんにん病棟」では、主人公の医長の三杉や看護師たちが、日々認知症相手ならではの奮闘を続けている。
久坂部羊さんならではの医者の目で描かれている。
高齢化社会が進む中で、認知症、そして介護の問題は本当に大きな課題だと思う。特に認知症になった家族をどのようにしてケアしていくのか。認知症の介護の仕方にマニュアルがあってこうすればよくなるってことが分かればいいけどそんなものはありません。介護が楽になるのは、患者が死ぬしかないってことが現実。この本を読んで切に思う。ミステリー要素もありで、読みがいがあった。