久坂部羊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。私自身医療に関係する立場であり、身体中に管をたくさん繋がれて、何かを感じているのかも分からないような患者を何人も見てきた。その人たちが安楽死しろとは思っているわけではないが、自分がもしあの状態になったらと考えると、「安楽死」を選択できる社会であってほしいというのが、私個人としての意見である。
結局物語の中で安楽死は合法化され、それによって救われた者は少なくない。しかし、法律を悪用して、患者に安楽死を半ば強いるような家族や医師も存在しており、死ななくていい人間まで死ぬことになるのが安楽死法であるのだと、改めて実感した。
安楽死とは、あってもなくても困るもの。現代の日本において、安楽死は違法とされているが、本当にそれでいいのか。安楽死を合法とする法律ができたとしても、本当にそれでいいのか。考え続けていかなくてはならない問題であると感じた。
物語全体として、政治と医療が複雑に絡み合っていて1回では理解しきれなかった部分があるので、少し時間を置いてまた読み直したい。物語の顛末を知った上で、「センセイ」が誰かを知った上で読むのもまた楽しいだろうと感じた。 -
Posted by ブクログ
現在の老人医療に疑問を持っているので、共感して読めた。
2026年現在においても、2007年の本の内容の問題にほとんど変化がないように感じるので、そこは残念な気持ちになった。
P195
「人生でやりたいことは、死に時までにしておかなければなりません。六十歳を死に時にしていると、人生が短いので早めに努力せざるを得ません。八十歳だと余裕もあるので、ついサボってしまう。ところがいろいろやるつもりでも、機能も能力も衰えるので、最後のほうはなかなか思う通りにできなくなってしまう。六十歳ならまだ能力もさほど落ちていないし、体力もあるので想定通りの力が発揮できる。」
自分自身も60歳ぐらいで死ぬ気持ちで、人生を楽しみたいと思う。 -
Posted by ブクログ
「日本人は健康を大切にするあまり、健康の奴隷になっているのではありませんか」
「日本人は守銭奴ならぬ"守健奴"だというのか」
皮肉にもその通りだと思う
確かに早期発見 早期治療は病を克服する手段なのだが 病だと言われて治療するも加齢のせいとも思えてきて なんだかなぁ…とやるせなくなる
医者の地位向上のためには病気が必要
治すと収入が減る
その場しのぎの励ましと検査と投薬が金になる
病気のバラマキが必要だと?
外科医ならではの 患部は根こそぎ切り落とす大胆さにゾッとする
「無痛」の後の話なので間を空けずに読んだのだが
病が視診でわかる医者の対決も 刑務所上がりのイバラの悪用も 恋愛も 読み応えがあった(文庫版は608頁ある)
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Posted by ブクログ
名作。かなり現実的な問題が描かれている。
実在する医師が書いた医療記録のような読ませ方をしてくるので、あれ?これノンフィクションだったっけ?モデルになった事件があるのかな?実際の医療現場で起こってたりするのかな?と、読んでいるうちに混乱させられる。そのドキュメンタリーっぽい書き方がおもしろくて、熱中しました。
私は少数派で物事に取り組み、考え、自分の内面ととことん向き合うことができる人をリスペクトしてしまうので、終始、漆原先生の肩を持つ派で読んでいた。
その処置をすれば本人も家族も楽になるのなら…と思う。でも実際は周囲からの奇異な視線や偏見によるストレスに耐えられるのだろうか、と考えさせられる。自分自身が受けるのならともかく、家族に同じことをする自信はない。
でも、それは壮絶な介護を経験したことのない立場からの、軽い言葉なのだろうなとも心から思う。
結局は「数」なんだろうな。
成功例がたくさん出て、流行のようにメディアやSNSで取り上げられて、カリスマ的なインフルエンサーまで出てきたりして、街でもよく見かけるようになってしまえば、人は慣れていく。見慣れてしまえば、それが当たり前になる。倫理観も国の方針次第だと思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ解説でも賞賛されていた通り、とっても読みやすい
確かにこれを映画化するのは困難だと言われた理由が分かるくらいに救いようがなく、グロテスクだった。
実話だと思うようなリアリティと小説の書き方もあって、医療系の本だけどとても読みやすく、引き込まれた。
映画と違うのは、結末。映画では漆原氏だけが無くなるが、本では奥さんも亡くなること。
中の細かい所などがちょいちょい違った。
漆原氏が自殺に追い込まれたという遺書の存在や
一人一人の事例が細かくかかれていたような気がした(半年前に映画鑑賞したので間違っているかも)
本も映画もどっちもおもしろかったーჱ̒˶ー̀֊ー́ )✧︎ -
Posted by ブクログ
なるべく聞きたくない、考えたくないと皆が目を背けているテーマを、顔面に思いっきりぶつけてくるような内容。
自分が介護する側だとしても、される側だとしても、考えることを先送りしたくなる問題は山積みなんだよなぁ…。
自分で自分のこと何も出来なくなって、ベッドで寝たきりで全部誰かに世話してもらって生きるくらいなら早めに死にたい。
だけど、回復してまた動けるようになるかもという望みも捨て切れないと思う。
家族が寝たきりになったとしたら、生きててくれてよかった。私が何でもしてあげようって最初は思うだろう。
でも、この先一生自分の時間全部介護に費やすことになるとしたら… -
Posted by ブクログ
ネタバレ(ネタバレを含みます)
リハビリに親しみのある医療従事者の立場から、麻痺した四肢の切断というテーマにとても興味が出て読みました。
ストーリー自体、何度も「事実なのか、創作なのか」と検索してしまいました笑
切断を最良の治療と信じていた医師の心境は、最後までよく分かりませんでした。
私の考えですが、本当に切断は良い結果ばかりだったのか。
悪い作用は、患者のバックグラウンドをきっかけに精神面にのみ現れてしまうのか?
ストーリーの中では、オペ後の経過を追っているのはせいぜい1〜2年ほどでした。
「審美性」という言葉があります。
医療の中でもよく使われる言葉みたいです。(私も使います。)
機能しなくても、外見に重きを置いて整えたり、補填することを優先したりしますよね。
(義眼とか、義肢とか。)
そういう点からすると、めちゃくちゃ人の心ないな……と思いました。
作者は医師で、実際に患者から「麻痺して動かないなら切ってしまいたい」という愚痴を聞いていたらしいです。
果たして本当に切断が治療の選択肢に入った時、切断を希望する人はどれだけいるんだろう。
そんなことを考えてしまいました。
ストーリーでも、麻痺側を切断していることが社会に露見した際、反対意見がわんさか出るし、医師への誹謗中傷もたくさん出ました。
医師がどう対応するのかも結構見もので、「どう動く?」と、続きを焦ってしまうほどのめり込みました。
想像力が豊かな人だと、少しエグい描写もあり、気分が悪くなる場合があるかもしれませんが、機会があればぜひ読んでほしいです! -
Posted by ブクログ
ネタバレ前半は、健康法で自費出版してそうな医療エッセイを読んでる気になってしまった。
持論と経緯、そして改善した実例。
通販の医学博士がおすすめするような胡散臭さが漂っていて、繰り返すことで洗脳されるような怖さ。
後半はその原稿の編集者による取材で、一つの事実と二つの考え(漆原/マスコミと漆原へ悪意を持つ者)が解説される。
時折身体に痺れや可動域が狭くなっている自身の老化が進んで、麻痺して、自身の部位の不自由さに苦しめられる未来は確実にやってくる。
その時、切断して身が軽くなり晴々とした人が現れたら、私もそうなりたいと願ってしまう…
五体不満足(乙武洋匡)を参考文献に挙げて、無くなれば有るものを活かす方へ気が向くことでQOLが上がるというのを、他人には肯定するが自身では受け入れるだろうかと自問して、答えが出ない。
デビュー作だからすごいのか、この作家の他の作品も読もうと思う。 -
Posted by ブクログ
お医者さんの本であり、脳神経系の本棚に置かれていたので、「人が悩む時、脳はどういう挙動をするのか」というような物理的、医学的な内容かと思って手に取ったが違った。「人はみんな悩むよ」と教えてくれる、温かい本だった。
本書のキモは「はじめに」の部分で、悩みとは「できないことや、状況の不運さなどの悩みのタネを、なぜ自分が…と受け入れられない」状態のことで、大抵の悩みのタネはライフステージによって自然と生まれるもので、みんなそうなんだよと思うこと、あらかじめそういうことが起こるもので普通、と思うことが大切。ということだった。
9章に分かれていて、それぞれ老年期から遡っていく順番で、悩みを世代ごとに解説している。
特に老年期の章は分厚い。筆者は、終末期医療の経験があり、そのときの患者に寄り添った経験から、老年期の悩みについて深く分析している。
私は今30代だが、今の私の悩みに通づる部分は多くあった。どうにもならないことに気づき諦めることや、自分の悩みは欲望であることに気づくことが大事らしい。
今の悩みについて書いてある青年期は辛くて読めない。
また落ち着いたら読もうと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み始めた瞬間から、本作が「小説」であることを忘れ、最後のページに辿り着くまでずっと現実に起きた話だと思っていました。それほどまでに日付や登場人物の設定が細かく、読み終えた後も「これはフィクションだったの?本当に?」と疑っていました。
本編の衝撃的な展開も去ることながら、個人的は介護業界が抱えている闇や、人知れない苦労の方がグロテスクだと感じました。私の両親も近いうちに介護対象の年齢になりますし、私だっていずれはなります。そのとき、自分はそのグロテスクな存在になるべくなりたくないと誰もが考えると思いますが、ではそのために自分には何が選択肢として残されているのでしょうか?
映画化されることを機に作品を知り、読み終えた頃には映画の上映期間が調度終わってしまっておりましたが、読んですぐに映画を見に行きたかったと後悔しました。大満足の作品です。 -
Posted by ブクログ
健康をいかに維持するかのHOWTO本かと思いきや真逆の内容で驚いた。
著者はアンチ健康を提唱する稀有な作家だ。健康を目的とする事で人生の満足度や楽しさを下げては本末転倒である。健康診断は会社の義務であるくらいに留めておいて重要異常箇所以外の項目は無視していこうと腹が座った。長生き信仰がまだ根強い日本だが平均寿命に惑わされずに60歳まで生きれたら個人的には御の字ぐらいの気持ちでいれば65で死んで世間でいう早死でも気にならなくなる。つまり自分軸が大切という事だ。あえて傍若無人に不摂生をしようとは思わないが適度に楽しみ適度に気にするくらいが一番楽しく生きれるのではないだろうか。
これからの長寿社会を生き抜くとても達観した考えはこれからも大切にしたい。