久坂部羊のレビュー一覧
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脳死と判定された男性からスケーターの池端麗へ心臓移植を、臓器移植コーディネーターの立花真知が担当するが…。
心臓移植手術の描写は細かく真に迫っているので説得力があった。
脳死という人間の死に対するそれぞれの思いを、医師側の視点から描いているので、読者はどうしても脳死を死として受け入れてしまう。
一方通行的な思い込みに少し立ち止まる視点があっても良かったかもしれない。
命の機微に触れる重要な問題であるのに、コーディネーターの立花の幼さが最後まで気になってしまった。
しかし、脳死という科学と心情が責めぎあう問題の難しさを、切実に描いている部分は大変好感が持てた。 -
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ネタバレ考えさせられる内容だった。
今まで、ドナーになることも、ドナーを待つことも、正直意識したことがなかった。
突然の家族の死に対して、哀しみ以外何も感じないまま、他人に臓器を提供することについて考えられる余裕はないだろう。一方で、それが故人の願いなのだとしたら、叶えたいとも思う。
心臓が動いていても、脳死は死であることを意味するのであれば、そこに縋ることは遺された者たちが納得するまでの時間を引き延ばす権利でもある一方で、自己満足になるうるのかもしれない。
反対に、ドナーを待つ側の気持ちも、考えるだけであまりにつらい。誰かの脳死を望みながら、日々治療に耐え、残された時間を数える。残酷にも感じられる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ通称『にんにん病棟』と呼ばれる認知症患者専門の病棟の日々を担当医と看護師の目線で描いた小説。時々クスッと笑えるところもあるが、笑うに笑えない箇所もあったり、現役の医師が描いたリアルな内容でした。
自分が医療を施す側の立場、患者の立場、患者の家族の立場で、読後の印象は全く違うのだとは思うが、久坂部羊さんの小説は本物の医者だけに実際に起こりうることだらけなのかと思う。
本文の中で、患者の足を切断させないためにマゴットセラピー(蛆に壊死した傷口を食べさせる治療)を施す描写がゾッとした…
『老乱』『老父よ、帰れ』等々、久坂部さんの認知症をテーマに書かれた小説を読んできたが、その家族がその時にどう -
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医師で作家の久坂部羊さん。
『廃用身』を以前読んだことがある。
(目次)
爪の伸びた遺体
闇の論文
悪いのはわたしか
絵馬
貢献の病
リアル若返りの泉
6篇の中では「闇の論文」が良かった。
西国大学の生命機能研究科が舞台。
「生検により起こり得るがん転移のリスクについての洞察」
助教授の山極温(やまぎわゆたか)は、丸山の論文を科学雑誌に掲載すべく手を尽くすが、思わぬ壁に阻まれてしまい…。
「研究にはタブーがある。生検による転移の論文は学界にとっての"不都合な真実"なのだから!」
研究医が触れてはならない領域があると、医学の闇の深さを感じさせる一篇だっ -
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はじめにから
この新書の前に上梓した『人はどう死ぬのか』で、私は上手な最後を迎えるためには、死を受け入れることが大事と書きましたが、その「死を受け入れる」ながむずかしいのだという反響を、すくなからずいただきました。
どうすれば、楽に死を受け入れられるのか。
それはやはり悔いのない人生を送ることではないでしょうか。言い換えれば、うまく生きるということです。
高齢者だからといって、手遅れということはありません。残された時間をどう使うかによります。
ということから始まっていて、
来るべき“その日”を穏やかに迎えるために、残された時間をどうすごすのがいいのか。
みなさんといっしょに -
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脳外科医の白石ルネは、担当していた患者が意識不明で運ばれて来た後、悲惨な状態になるのが目に見えていたことから、家族に延命治療の中止を投げ掛けた。
家族の同意も得たが、最後の別れの場で思いもかけない状況が起こり混乱があった。
しかし、最終的には家族の理解は得られた。
ただ、それから3年後にルネを気に入らない麻酔科医がやってきて、その際の延命治療に安楽死だったと焚き付けた。
そこからの病院側や遺族、治療に関わった看護師の態度に、ルネは愕然とする。
それは人間不信になるにも十分なものだった。
そして終末医療の難しさを痛感する。
2025.8.15 -
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優れすぎた観察眼により外見から病気を診療できる医師、為頼と彼が町で偶然助けた親子のお話。
為頼は犯罪者特有の犯因症も見分けられたがため親子を無差別殺人から救うことになる。その能力を見込んで母親、菜美子は自身が務めるサナトリウムにいる少女のことを相談する。
時を同じくして医療界の拡大勢力となっている白神メディカルクリニックの白神院長も為頼と同じ能力を持ち、とある患者の治療にあたるが、二者の考えは全く異なっていてー
自分には割とグロ耐性がある方だと思っておりましたが、物語の後半、初めて文章をまともに読めなくなり何度も本を閉じながら、深呼吸をしてしまいました。でも読まずには先に進めない、でも想像