久坂部羊のレビュー一覧

  • 老乱

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    認知症の介護の話。
    最初は高齢者の車の事故が増えていることから、義父にも運転をやめてもらった方がいいと嫁の雅美が言い出したことから始まる。
    義父を説得しているうち、何か様子がおかしいと思うようになり、なんとか脳ドックという名目で病院に連れていく。
    初めは事故が起こったら自分たちにも被害があるとか、世間体ばかりだった。
    とにかく介護が進むに連れて色々なことがある。
    介護される側もする側も疲れてくる。
    壮絶な日々である。
    自分も近いうちに介護をする側になり、その先には介護される日が来るだろう。
    それがわかっていても、受け止められないような過酷で残酷な真実がある。
    そんな重い話でも、目を背けることは

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    2024年06月09日
  • 生かさず、殺さず

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    誰もが直面する現実。だからこそたくさんの人に読んでほしい作品だと思いました。
    認知症病棟で働く人は本当に大変で、人の親のために、こんなにも一生懸命働いていてくれることに感謝と尊敬しかないです。
    簡単にネットで調べられるようになった医学の知識が、本当に正しいのか、その選択で合っているのかを家族はよく考えないと行けないとも思いました。
    ただただ暗くなるようなこの病棟の話を、サスペンスも含めて描かれているこの作品は読みやすく、勉強にもなりました。

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    2024年05月27日
  • 悪医

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    がん患者を診る医者と患者の両面の心理を、細かな描写で綴っている。どちらの心理も胸を突く内容で、どちらも辛い。患者側の心理が時間と共に安らかに落ち着いていく様が興味深い。あがいてあがいてどこまでも治療に執念を燃やす気持ちに、健康な自分は理解ができないが、その立場になればどうなるんだろうと恐ろしくなる。
    最後には、両者が寄り添うようなシーンがあり、読んでいてスッキリする瞬間がある。

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    2024年05月21日
  • 神の手(下)

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    長かったけど、退屈せず読み終えられた!
    黒幕はなんとなく予想ついた。

    個人的には安楽死賛成なんだけど、でも「安楽死を認めることは、そんなに苦しいなら死んだ方がいい=他人から見たら死んだ方がいい状態(例えば、高齢者や障害者とかに当てはめちゃう)っていうのがあることを認めること」って大学の教授が話してたことがあって、100賛成とは言えない。この本は賛成派でもなく否定派でもないから、安楽死について考えるきっかけには○
    こういう問題に対して、はっきりとした根拠で意思を示せるようになりたいな

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    2024年05月20日
  • 神の手(上)

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    長かったけど、退屈せず読み終えられた!

    「安楽死が必要とされる人=高齢者と思われがちだが、実際過酷な延命治療で苦しむのは高齢者より若者(体に蘇生力が備わっているから身体は苦しんでいるのにいつまでも死ねない)」っていうのは目から鱗。
    「安楽死」は度々話題になってると思うけど、法制化にはまだまだ遠いんだろうなーと。法制化することは「死生観」にも影響を与えてくると思うから、慎重にならんといけんってこと。

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    2024年05月20日
  • 生かさず、殺さず

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    久坂部羊『生かさず、殺さず』朝日文庫。

    在宅医療を知る医師でもある著者の『老乱』『老父よ、帰れ』に次ぐ認知症小説。

    古くは、有吉佐和子の『恍惚の人』、ここ数年で読んだ認知症の元刑事を主人公にした佐野広実のミステリー小説『わたしが消える』と認知症を描いた小説は幾つかあるが、現役医師の描く認知症小説というのは非常に珍しい。

    本作では、高齢者の医療、介護、認知症と様々な高齢者問題が赤裸々に描かれており、読んでいると歳を取ることに恐怖を感じて来る。

    伍代記念病院で各科の認知症患者を集めて治療する通称『にんにん病棟』で病棟医長を務める三杉洋一を主人公にしたサスペンスフルな小説。


    少子高齢化の

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    2024年05月14日
  • 祝葬

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    端からみれば同じ短命でも、それぞれ背景や死に様が違って面白い。
    後悔と納得の分水嶺はどれくらい自分で悩めたか、が直結するのかな、と思っているのですが、死に方なんて自分自身も周りの環境も変化していくなかで、どれくらい悩んだ結果だ、と胸を張ってそのときを迎えられるんでしょうね。

    文中で幸福とは微分という人もいれば積分という人もいる、みたいなフレーズがありますが、もっといろいろ指標はあるんだろうな、と思います。

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    2024年05月10日
  • 人はどう死ぬのか

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    死に目に遭うことを大事にするより生きている時に会う時間を大切にするということを心に留めて、大切な人たちとの時間を過ごしていきたいとおもいました。死に方についてというより、生き方を学べる一冊です。

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    2024年04月26日
  • 人間の死に方 医者だった父の、多くを望まない最期

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    ネタバレ

    医師で作家の久坂部羊さんの父のお話。医者にかかりすぎるのはよくないが、ここまでほったらかしにはそうそうできないとも思う。でも、こういう生き方があるのだと参考になった。
    何もしないで大丈夫。あるがままを受け入れる。それがよりよく生きるヒントだと学んだ。
    ・ストレスが諸悪の根源説
    ・父の信条は「無為自然(よけいなことはせず、自然に任せるのがよい)」
    ・退職後はたくさん海外旅行
    ・定期検診の意味
    ・長生きする苦しみがある
    ・何もしないで大丈夫。あるがままを受け入れる。

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    2024年04月23日
  • 人はどう老いるのか

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    あきらめることは受け入れること。今のところどこも悪くない40代なのに、延命治療はしないでと家族に伝え済の自分にとっては、思っていることを言語化してくださっている良書。

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    2024年04月16日
  • 人はどう死ぬのか

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    ・病院での最後の場合、
    心肺停止になった時は、無益な蘇生処置は必要ありません、と伝えておく。
    →安らかに死ねる可能性が高くなる
    死に目に会うことに執着しない。

    ・がんとの共存
    根絶しようとすると過度な治療を受けて副作用で苦しんだり、場合によっては逆に命を縮めてしまう。
    過度な治療ではなく、ほどほどの治療で様子を見て、治療の効果より副作用の方が大きくなったら潔く治療を止める。
    がんで上手に死ぬ。
    腫瘍内科・化学療法科(抗がん剤(分子標的薬)・免疫療法(オプジーボ))

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    2024年04月10日
  • 悪医

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    僕自身、末期がんなどの終末医療に携る医療者がどのように患者さんと接するのか気になっていたためこの本を手に取りました。
    頭では理解していても、死への恐怖は克服など到底不可能なのだろうなと改めて思いました。
    何よりも、ここではどのようにするのが正解とかは具体的にはなく、小説ありきなハッピーエンドもなく現実味があります。

    医療を学ぶ身として、本当に自分がいつ死ぬかは分からないものなのだと実感します。
    だからこそ、今を生きていくしかないのだと。
    そしたら後悔しないとかではないのだけれど。

    死とは永遠のテーマですね

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    2024年03月17日
  • 人はどう老いるのか

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    スマートニュースで気になりようやく借りられました。
    高齢者医療に携わっている医師が書くなら大体そうであろう内容。

    本当に本人が望まない延命は苦しいだけ。点滴以外にも食欲落ちてきている人に高カロリー食品を延々と食べさせたり。一度始めるとなかなかやめられないのが怖いところです。一時的な食欲低下なら確かに栄養補助食品で様子見た方がいいけど、それで細々といくのも辛いですよね。結局必要栄養量は賄えないから褥瘡になりやすかったり治癒もできないし。

    やっぱり老化を受け入れて楽しそうに年をとっている本人や家族は幸せそう、に尽きます。

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    2024年03月16日
  • MR(下)

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    おもしろかった。
    難題が出るたびにどうにかして解決していく(ただ一筋縄ではいかないところにハラハラする)のがおもしろい。

    解説の通り、たしかに悪者は悪者ではないのかもしれないと思った。
    「悪者」にも正義があり、守るものがある。

    視点が変わりながらの進んでいく話、おもしろい。
    最後の終わり方も良かった。

    高血圧の診断基準が昔より低くなってる点、
    学生の頃知ったときは、素直にいいことだと思ったけれど
    単なる症状悪化改善の他に
    薬(製薬会社)の売上増、病院の儲け、ひいては医療費の増大…と確かにそうなるわけだ。あと薬価というものを気にしたことなかったけどそれも前述に繋がる。。

    何においても健康

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    2024年02月29日
  • 芥川症

    購入済み

    芥川の作品をもじって医療に繋げているのが面白かった。久坂部さんは総じて過度な医療反対なんだなあと思った。

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    2024年02月20日
  • MR(上)

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    MRの仕事は大変と聞くけれど、どんな仕事をしているのか?どんなことを考えてるのか?を知りたくて本書を手に取った。

    予想通り…とも思えるような仕事内容だったが、
    おもしろかった。
    話の展開は池井戸潤みたいな。

    気づいたら世界に引き込まれていた。

    下巻も続けて読みます。

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    2024年02月01日
  • 怖い患者

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    ネタバレ

    医療にちなんだ短編集。
    後味の悪い作品でしたが、自分はこのようなブラックな作品が好きなのだと思わされました。
    高齢者施設で起きる事件、ゾクッとしました❗

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    2024年01月31日
  • 善医の罪

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    くも膜下出血の終末期医療を行った医師が、悪意も落ち度もなかったにもかかわらず、周辺の思惑に押し流され、殺人罪で有罪判決を受ける。

    実際に起きた事件を元に書かれたという本書は、安楽死、尊厳死が制度化されていないために、終末期医療の現場で医師たちが負わされている過大なリスクと責任を如実に示した。

    本書は返す刀で司法制度の欠陥にも切り込んでいる。

    人の死をタブー視し必要な議論を避ける風潮は、防衛論議とも共通する。

    悪意というか、保身と視野狭窄に陥った人物ばかり登場する展開に辟易とするが、控訴審に向かう主人公たち、特に宗旨替えした雑誌記者の存在は、そんな現実に対する作者のわずかな希望の象徴とも

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    2024年01月22日
  • 院長選挙

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    最後まで面白く読ませていただきました。院長選挙を題材としてとんでもない医者の実態が面白く書かれてあります。この作者の他の作品もよんでみたいです。

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    2024年01月17日
  • 善医の罪

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    事実を基にしたフィクションとのこと。
    それだけに真に迫った説得力があり、死を肯定する安楽死や尊厳死の問題に目を向けない世間に対し、鋭く問いかけるサスペンス。
    主人公の女医白石ルネが担当する患者が、これ以上生存の見込みがない状態に陥る。延命治療を断っていた患者を思い、最善の治療を行うが、その甲斐無く死に至る。
    その死がマスコミにリークされ、安楽死の疑いがかけられる。患者の死が発端となり、賠償金を狙う患者の家族や、死の責任を医師個人に押しつけようとする病院、同僚や看護師の裏切り、医療の専門知識が無いまま彼女に罪をかぶせる警察と検察。
    様々な思惑が絡み合い、やがて起訴され裁判に持ち込まれる。己の信じ

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    2023年12月27日