あらすじ
島民の健康向上に奔走する若き研修医・新実一良。「がん検診」「在宅医療」「認知症外来」など新たな施策を試みるも、意外な問題点が次々と明らかに……?!現代医療に一石を投じる著者渾身の医療エンタメ!
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Posted by ブクログ
医療について考えさせられた。
延命治療や過度な検査は歳を重ねると、
本当に良い事なのか。
自分はどのような医療行為を今後求めたいのか。
何となく手に取った小説でこんなに考えることになるとは思わなかった。
周りに医療関係の知り合いがおらず、実際の医療と乖離するところはあるのかも知れないが大切にしたい価値観を知ることができた。
Posted by ブクログ
うーんそうかもしれない!
私も死ぬ時は こういう病院にかかりたい!
現代の病院が忘れてしまったこと
自分が死ぬ時 どんな病院にかかりたいかということを
考えさせられました。
Posted by ブクログ
赴任/臨終/自由/検診/青年/嫌煙/縮命/離任
あぁ おもしろかった。命とは、医療とは、さて私は?
患者の立場、医師の立場、個人の思い……
それらが絡み合い渦巻いて思わない方へ進むこともあって、へぇーとかふむふむとか、えぇっ!とかブツブツ言いながらいろいろ考えながらラストへ。一良君 大丈夫??が最後の感想でした(笑)
Posted by ブクログ
新実一良(にいみ いちろう)は、研修医期間の最初の二年を東京の、白塔(はくとう)大学病院で務めた後、離島の病院に赴任した。
院長以下のゆるい医療体制に唖然とし、積極的に色々な提案をしては当たって砕ける。
岡品院長は、自分のやり方に異を唱える人たちの意見にも、「お試しで」やってみましょうとあっさり同意する。
上手くいかないことは予測済みの『お試し作戦』は「やらずに悔やむより、やって後悔する方がいい」という方針である。
大病院の医療が「生存日数を延ばすこと」に特化されていることに対しての問題定義である。
本人はもう死なせてくれと思っているのに病院と家族が許さない。
自分はどう死にたいのか考えておかなくてはいけないと思った。
自分の希望と担当医師の考え方が合えばラッキーなのだけど・・・
深刻な問題を扱っているが、キャラクターは皆個性的に事件はコメディタッチで描かれ、テンポ良く面白く読める。
最後のオチが・・・!
一良のその後をぜひ見てみたい。
『Episode 1 赴任』
一良は内科の外来を担当するが、患者が皆自由すぎ、医師の指示に従わないのでびっくり。
『Episode 2 臨終』
一良が夜勤を務める深夜、末期がん患者の脈が止まり、家族の到着を待つ間に救命措置を行う。
『Episode 3 自由』
一良は、病院に来られない患者のために訪問診療を始める。重い糖尿病患者の詩人は、自由を優先する。
『Episode 4 検診』
患者の家族であった製糖会社の重役から、検査に積極的でない岡品院長のやり方を批判され、がん検診を行うが・・・
『Episode 5 青年』
研究医になりたい孫と、スーパー外科医になってもらいたい祖父。
『Episode 6 嫌煙』
東京から、一良の叔母が来る。エッセイストでコメンテーターの有名人。病院に喫煙コーナーがあることに抗議し、やがて大きな騒ぎに発展する。
『Episode 7 縮命』
「延命治療」の対義語は「縮命治療」
『Episode 8 離任』
一良の後期研修期間が終了する。岡品院長は、研修医は一良で最初で最後にするという。一良に掻き回されて懲りてしまったのだろうか?
Posted by ブクログ
都会の大病院での研修を終えた主人公が、今度は離島での研修のため、岡品病院へ赴任する。若く使命感に燃える主人公は、島民のために前の病院でやってきた通り、老人に延命治療を施したり、訪問医療やがん検診を積極的に提案する。
昨日、テレビでがん検診を推奨するような番組を見たし、私の会社でもがん検診を受けるようにいわれているので、がん検診のくだりはなかなか考えさせる内容だった。
Posted by ブクログ
今回は、当たり前のように思っていた病院での治療について考えさせられた。オカシナ記念病院と南沖平島に住む人々の考え方が、本当は一番よいのだと思う。がん検診や認知症外来などについても、そういう考え方のほうがいいかもと、目から鱗で興味深かった。
Posted by ブクログ
帯が全てを物語る。
舞台は離島。設備は整っている、そこそこの病院だ。
積極的な検査や治療は実施しない。
患者が求める治療を行う。
死を間近にしても、それは変わらない。
患者の家族もまたそれを望む。
離島という環境も大きく関わっているのだが、院長の意向でもあるというから東京からやってきた研修医が混乱するのも無理はない。
患者を救いたいから検査をする、治療を施す。
その当たり前が通用しない。
早期発見、早期治療が当然の謳い文句の世の中にあって、両極だ。
研修医が旗振り役となってお試し健康診断を実施する件では、検査の意義だとか医療機関の儲けの構図のようなものが浮かび上がって、なるほどなーと。
登場する病院の様に利益に執着せずとも運営していける仕組みが一般的になったなら、この究極の医療が普通となる世の中が到来する可能性もあるんだろうか。
現場で働く人達からすれば絵空事だろう。
けど、医師も患者も心穏やかに病と向き合えるなら、究極の医療も悪くないと私は思う。
Posted by ブクログ
久坂部羊『オカシナ記念病院』角川文庫。
医療とは何かを考えさせる少しコミカルな小説。
確かに今の医療は過剰とも思われる検査や予防医療と延命治療など、やり過ぎの部分があると思う。まるで病院は製薬会社や医療機器メーカーと手を組んで患者や国から多額の医療報酬を搾取しようとしているかのようだ。
その結果、高齢者が激増し、高齢者施設は順番待ちの大行列で、死んだ頃にやっと施設に空きが出たと連絡が来るという笑うに笑えない状況。余りにも高齢者が増加したので、政府は高齢者の医療負担や介護負担を増やすというが、もはや焼石に水。待機児童ならぬ待機老人であふれた今の日本に未来は無い。
南国の南沖平島にある岡品記念病院に医療研修で赴任して来た若き医師の新美一良は、病院と患者との関係や病院の医療方針に驚愕する。最新設備を備えた裕福な病院なのだが、過酷な治療や検査を止め、患者の要求のままに投薬などの安易な治療と経過観察だけを行っていた。やる気に燃えた新美はショックを受けながらも2年間の医療研修を全うする。
本体価格740円
★★★★