久坂部羊のレビュー一覧
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老いも死も嫌なものだが、欲望や執着を捨て、老いや死を受け入れること。与えられた状況に感謝し足るを知る方が心安らかに過ごせる。
武道というのは与えられた状況に最適化することを目指すこと。最適化とは相手の状況に合わせて最も自由度の高い状態を作ること。そうすることで次の行動の選択肢が最大化し、何が起きても大丈夫と言う心持ちになる。
認知症になるのは悪いことばかりではない。
病気になった後病気であることを認識できないから、恐れる必要も悔やむ必要もない。無理解の平安に帰還する。認知症でない人が感じる。不安や恐怖軋轢や葛藤から解放されるから決して悪い状況ではない。
今のところ認知症予防に効果的なものはない。
癌は5ミリ以上でないと発見できない。2人に1人は生涯癌にならない。がん検診で30人に1人は検査被曝で癌になっている。 -
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五十川幸造(78)が認知症で次第に衰えていく過程を綿密に綴った物語だが、医師でもある著者の幅広い見識がストーリーをリアルにしていると感じた.妻 頼子を亡くし一人暮らしだった幸造は自炊の生活を営んでいたが、土鍋を焦がしたり、散歩で迷ったり、家出をして遠くの町まで出かけたりすることがあり、診断の結果レビー小体型認知症が判明.自宅にケアマネージャーが来るようになったが、セクハラ行為が露見する.その後化粧をしたり、車を動かしたり、包丁を振り回すいった行為が目立つので施設に入る.息子知之と妻の雅美が献身的に介護するが、最終的に有料老人ホームで過ごす事になる.費用捻出のため自宅と土地を売却したことに衝撃を受ける幸造.医師や介護者の様々なアドバイスが紹介されていたが、和気医師のものが良かった.「認知症をよくしようと思うなら、そう思わないほうがよい」 「介護者がお返しをしているという態度で接することで相手に安心感を与えている」 考えさせられる本だ.
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医師でありながら小説家でもある9人の短編小説が詰まった作品でした。あんなに忙しそうなのに、いつ小説書いてるんだろうって不思議に思う凄い方々。
医師であるからこそのリアルな感じが伝わってきて、とても面白かったです。
特に空中テントは、認知症の家族を介護したことある人なら誰しも共感出来る部分がたくさんあると思いました。施設の入所は、家族を見捨てることではなく、プロがみてくれる安全な場所にいれるという考えが広がったらいいな。
私も主人公のお母さんにとても同情しました。介護する人は、自由が奪われて当然なのか、当事者じゃない人達から見捨ててるなんて文句言われる筋合いはほんとにない。文句を言うなら1週間でいいから、在宅での介護を経験してみたらいいと思う。どれだけ大変かはやったことのある人にしか分からない。
あとは救いたくない命も面白かったです。医療従事者であれば、色んな患者がくる。犯人であろうと、被害者であろうと、どんな人であろうと病院に来たら、全力で治療をしなければならない。そこに差別はあってはならないけれど、医療者も人間だから色んな考えが浮かぶよなと改めて考えさせられました。たくさんの人の命を奪った人を救うことは、正しいのか。でも真相解明のためには、犯人に生きててもらって動機を聞き、罪を償ってもらうのがいいような気もする。難しい問題だと思いました。
こんなにたくさんの医師が書いた作品をたくさん読めて楽しかったです。
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*今日、患者が死んだ──。倫理に反する言動で白眼視される医師村荘を描く「医呆人」。ある朝、心が毒虫に変じた女医の葛藤「変心」。高級老人ホームに住む男女の恋愛ドラマ「カネと共に去りぬ」。そして高慢きわまる医師の手記「アルジャーノンにギロチンを」。久坂部羊が名作に鮮やかなメスを入れ、現代医療の噓と欺瞞を浮かび上がらせる。ブラックでシニカルな、七錠の劇薬エンターテインメント*
最高過ぎました!
パロディと言うには質が高過ぎる作品ばかりで、どの作品も感嘆の一言です。
特に良かったのは「アルジャーノンにギロチンを」と「変心」。
久しぶりに原作も読み返したくなりました。 -
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「人はどう老いるのか」作家であり医師である筆者が書いたのは、どう老いてどう死ぬのか?ということに向けて、多くの死を見つめてきた医師の視点からの提言。
人の命は何者にも変え難い。自ら捨てていい命なんか一つもない。そんな通り一遍のごたくではなく、死とはどういうものか?と正面から死を見つめる真実。
老いるということは、その結論として死を迎える。
どう老いるのか?ということは、どう死に向かうかというこのに他ならない。
年金受給資格を満たし、死を身近なものとして見つめる世代に入りつつある私には、多くの示唆に富んだ一冊だった。
本書を読んで「求めない」という詩集を読むことにした。 -
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新実一良(にいみ いちろう)は、研修医期間の最初の二年を東京の、白塔(はくとう)大学病院で務めた後、離島の病院に赴任した。
院長以下のゆるい医療体制に唖然とし、積極的に色々な提案をしては当たって砕ける。
岡品院長は、自分のやり方に異を唱える人たちの意見にも、「お試しで」やってみましょうとあっさり同意する。
上手くいかないことは予測済みの『お試し作戦』は「やらずに悔やむより、やって後悔する方がいい」という方針である。
大病院の医療が「生存日数を延ばすこと」に特化されていることに対しての問題定義である。
本人はもう死なせてくれと思っているのに病院と家族が許さない。
自分はどう死にたいのか考えておかなくてはいけないと思った。
自分の希望と担当医師の考え方が合えばラッキーなのだけど・・・
深刻な問題を扱っているが、キャラクターは皆個性的に事件はコメディタッチで描かれ、テンポ良く面白く読める。
最後のオチが・・・!
一良のその後をぜひ見てみたい。
『Episode 1 赴任』
一良は内科の外来を担当するが、患者が皆自由すぎ、医師の指示に従わないのでびっくり。
『Episode 2 臨終』
一良が夜勤を務める深夜、末期がん患者の脈が止まり、家族の到着を待つ間に救命措置を行う。
『Episode 3 自由』
一良は、病院に来られない患者のために訪問診療を始める。重い糖尿病患者の詩人は、自由を優先する。
『Episode 4 検診』
患者の家族であった製糖会社の重役から、検査に積極的でない岡品院長のやり方を批判され、がん検診を行うが・・・
『Episode 5 青年』
研究医になりたい孫と、スーパー外科医になってもらいたい祖父。
『Episode 6 嫌煙』
東京から、一良の叔母が来る。エッセイストでコメンテーターの有名人。病院に喫煙コーナーがあることに抗議し、やがて大きな騒ぎに発展する。
『Episode 7 縮命』
「延命治療」の対義語は「縮命治療」
『Episode 8 離任』
一良の後期研修期間が終了する。岡品院長は、研修医は一良で最初で最後にするという。一良に掻き回されて懲りてしまったのだろうか? -
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私は、両親を、時期は異なるがそれぞれ孤独死で亡くしている。日本人の平均寿命よりかなり早くに。もちろんどちらも心の準備は全くなかった。
残された子供たち(私たち)は、事あるごとに「死ぬときは病院で死のうね」と合言葉のように言い合っている。だって、死ぬときに誰かに看取ってもらえるから。心の底からそう思っていた。
けれどこの本を読んで、欲が出てしまった。治療で苦しみたくないし、家が好きな私はやはり住み慣れた自宅で過ごしたい。
そのためには準備が必要だ。自分の死に方についてよく考え、希望を家族に伝える。
そして、人は必ず死ぬのだから、つまらないことで意地を張ったり、ケンカしたり、ムキになってこだわったりする事はやめようと思った。
知らないことを多く得る事ができた本だった。
読んで良かった。
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医療に関する短編集。
診断された病名に納得できず、ドクターショッピングを繰り返す女性。
他人の不幸に快楽を感じてしまう女医。
旦那宛に届いた自分を誹謗する手紙に情緒不安定になる妊婦。
デイサービスに通う老人たちに公平に対応しようと努める医師と老人たちの狂気。
自分の発作の原因が接種したワクチンの副作用思い込む女性。
どれもが悪意に溢れ、疑心暗鬼になっている人たちが描かれている。
だけど、とても他人事とは思えない。
自分にもそういうところがあるのでは…これから、自分も同じようなことが起こる可能性があるのでは…と考えてしまう。
2024.12.5
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医師でありながら作家でもある方々の医療小説9編。
私の知っている作家さん以外にこんなに多くの医師作家さんがいることに驚きました。どれも医師であるだけに小説の内容は臨場感が溢れていて迫力がありました。
中山祐次郎さんの『救いたくない命』は救急で運ばれてきた患者が犠牲者15人以上を出した通り魔事件の犯人と知り、葛藤をしながらも必死に命を救う姿に京アニ事件を思い出しました。
南杏子さんの『空中テント』は家族の介護の経験がある人は共感出来るはず。
どれも本当に良い作品ばかり。若手医師の過酷な労働時間、医療ミスの隠蔽、不都合な論文を闇に葬る等、医療小説が好きな人なら興味のある内容ばかり。でも朝比奈秋さんの『魚類譚』はちょっとホラーぽくて異色でした。