久坂部羊のレビュー一覧

  • 生かさず、殺さず

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    認知症専門病棟に勤務する三杉。元同僚で現在は自称小説家の坂崎。ストーリーをひっかき回す坂崎は出てこなくてもいいけど認知症患者の病気治療をどこまでするか?検査やオペの意味を理解できないから安静にできない、それでも家族は治療を要求する。医師が治療しないやり方を提案しても受け入れない、そのくせクレームをつける…三杉の様に心があり優しい医師は感謝すべき存在だけど、日本の将来を考えるともっとクールな人材が求められるのかも。久坂部羊氏の本は読むたび違う学びがある。小説内でも医療がきちんと機能しているので読みやすい。

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    2026年10月22日
  • 廃用身

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    これは最高に面白かった。けど何がどう面白かったのかを言語化するのが難しい。「面白い」という表現すら語弊があるように感じる。この感じた衝撃をどのように表現したらいいのか。

    とにかくこのような病院が、事件が実際にあったら、実際にこのようにセンセーショナルに扱われるのだろうな。と感じた。リアリティがあった。流石著者の本業が医師なだけはある。

    映画版を是非見たい、と思っていたら劇場公開が終わっていた。配信に来るのを待っている。

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    2026年10月21日
  • 老乱

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    初読みの作家さん。何かの紹介で取り上げられており、認知症がテーマということで目を背けられない。
    とにかく読むのが辛かった、が読む手が止まらない。幸造の症状が進行していくのと介護にまわる家族、主に雅美の気持ちが怖いくらい細かく描かれる。
    認知症の心情、家族の重みになって居なくなってしまいたい思い、介護側の思い、はじめは巻き込まれて自分に被る迷惑など己の方にばかりに向いていた黒い気持ち、どちらも想像するとネガティブになるけど分かる気がする。

    そしてやはり最後は今までの生き方が問われる。
    単純じゃないけど、それが苦闘してきた雅美を変えたんだ。
    どう締め括るのかと思ったが、最後の最後は穏やかでよかったか。
    とにかく他人事じゃない。少し先に迫っている問題だ。それを改めて呼び起こしてくれた。

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    2026年10月20日
  • 老乱

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    何度目かの再読。毎回心を揺さぶられる。認知症の父親が記入する日記が表紙になっていて切ない。なんとなくわからなくなっていることに気づき漢字の書き取りをチラシ裏にする。その一方覚えていない時の行動の理由も本人なりにある。車の鍵がない、窓を割りニュートラルに入れ押しがけする様子が浮かび、本当に恐ろしい。でも私だって同じ様になる可能性はある。父親の息子夫婦が近くに住んでいて、嫁は夫に義父の危険行動を訴えるが大げさな、と取り合わない。認知症を治そうとするから良くない、過剰反応せず全てを受け入れるようにすると本人も落ち着く、正論だけど当事者ならきっとそうは思えない。事故や火事を起こされる前に対処し、目を摘みたいと思ってしまう。結局は長生きしすぎ病だろうな…辛い。おすすめです。

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    2026年10月18日
  • 廃用身

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    ネタバレ

    医療従事者として、最初からAケア賛成派で読ませていただきました。実際に、発行当時よりも高齢化は深刻化しており、家族や職員への介護負担はかなり大きいものです。そうしたところに思い切った一筋の光。当人と周りの気持ちの差にはリアリティを感じます。そして、社会的に知れ渡った瞬間の周囲の反応の変化、マスコミの執着、後から知る当事者の想い、全てがリアルでゾッとします。まるで、実際の話しを聞いてるかのような、、そんな感覚にさせられる1冊です。複雑な個性を持つ医師の新しい試みが、いつか新しい医療として役立つことを祈っております 。

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    2026年10月18日
  • 医人の夢

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    中山裕次郎さんと久坂部羊さんは私の中では全巻読んだ二大医師作家なのですが、中山さんがシナリオライターのように現場の人間関係を中心に絶妙な物語を書かれるのにに対して、久坂部さんは医療にかかる問題にフォーカスし、問題提起する報道作家のように感じています。お二人とも秀逸、医師なのにここまでできるというのは驚かれる方も多いかと思いますが、医師は人間にとって重要な生老病死とともに生活されていますので、書きたいテーマが満載で、結果作家としもよい作品を書かれるのではと思いますね。手塚治虫さんもそうだったような気がします。

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    2026年10月16日
  • 老乱

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    介護「する」側の人間視点だけでなく、介護「される」側の人間の視点が交互に入れ替わるという構成がとても良かった。
    自分自身祖父は物心つく頃から亡くなってるし祖母は認知症とは程遠いほど元気だからあまり高齢者介護という現場を見た事がないが、非常に楽しめる作品だった。寧ろ介護を見た事がないから(介護の苦労は文面の情報でしか分からないから)楽しめたのかもしれない。

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    2026年10月13日
  • MR(下)

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    MRさんの仕事ぶりを通じて、製薬業界のあれこれを専門用語少なめで分かりやすく表現されていました。主人公たちの奮闘に爽快感もあり、ほぼ一気読みでした。

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    2026年10月09日
  • 神の手(下)

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    ネタバレ

    面白かった。私自身医療に関係する立場であり、身体中に管をたくさん繋がれて、何かを感じているのかも分からないような患者を何人も見てきた。その人たちが安楽死しろとは思っているわけではないが、自分がもしあの状態になったらと考えると、「安楽死」を選択できる社会であってほしいというのが、私個人としての意見である。

    結局物語の中で安楽死は合法化され、それによって救われた者は少なくない。しかし、法律を悪用して、患者に安楽死を半ば強いるような家族や医師も存在しており、死ななくていい人間まで死ぬことになるのが安楽死法であるのだと、改めて実感した。

    安楽死とは、あってもなくても困るもの。現代の日本において、安楽死は違法とされているが、本当にそれでいいのか。安楽死を合法とする法律ができたとしても、本当にそれでいいのか。考え続けていかなくてはならない問題であると感じた。

    物語全体として、政治と医療が複雑に絡み合っていて1回では理解しきれなかった部分があるので、少し時間を置いてまた読み直したい。物語の顛末を知った上で、「センセイ」が誰かを知った上で読むのもまた楽しいだろうと感じた。

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    2026年10月03日
  • MR(上)

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    ドラマ化と聞き、手に取りました。
    タイトルのとおりMRさんのお仕事内容が少々派手ながらも分かる内容でした。
    文章は医学薬学用語もありますが、描写は流れるように読めました。下巻も期待です。

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    2026年10月03日
  • 嗤う名医

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    ほとんどが知らない病院、医者の裏側。そのエグさが6編も!
    知らないからこそ、ありえるかもしれないエグさ。
    好きなのは大きな声では言えないが、「至高の名医」、「名医の微笑」デス。
    また、仲野徹さんの同窓生ならではの遠慮ない解説が笑える。

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    2026年09月27日
  • 健康の分かれ道 死ねない時代に老いる

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     39歳の現在、この世で一番大事なのは健康だと思っていたけど、健康はいずれ失うもので自分ではどうしようもできない時がある。そんな健康を追い求めるより健康な今を大事に生きること、つまり時間が一番大事だということがわかった。まだまだ時間はあると思わず、自分のやりたい事を家族に迷惑かけない範囲で楽しもうと思う。

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    2026年09月26日
  • 日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか

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    現在の老人医療に疑問を持っているので、共感して読めた。
    2026年現在においても、2007年の本の内容の問題にほとんど変化がないように感じるので、そこは残念な気持ちになった。

    P195
    「人生でやりたいことは、死に時までにしておかなければなりません。六十歳を死に時にしていると、人生が短いので早めに努力せざるを得ません。八十歳だと余裕もあるので、ついサボってしまう。ところがいろいろやるつもりでも、機能も能力も衰えるので、最後のほうはなかなか思う通りにできなくなってしまう。六十歳ならまだ能力もさほど落ちていないし、体力もあるので想定通りの力が発揮できる。」

    自分自身も60歳ぐらいで死ぬ気持ちで、人生を楽しみたいと思う。

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    2026年09月20日
  • 第五番 無痛II

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    「日本人は健康を大切にするあまり、健康の奴隷になっているのではありませんか」
    「日本人は守銭奴ならぬ"守健奴"だというのか」
    皮肉にもその通りだと思う
    確かに早期発見 早期治療は病を克服する手段なのだが 病だと言われて治療するも加齢のせいとも思えてきて なんだかなぁ…とやるせなくなる

    医者の地位向上のためには病気が必要
    治すと収入が減る
    その場しのぎの励ましと検査と投薬が金になる
    病気のバラマキが必要だと?
    外科医ならではの 患部は根こそぎ切り落とす大胆さにゾッとする

    「無痛」の後の話なので間を空けずに読んだのだが
    病が視診でわかる医者の対決も 刑務所上がりのイバラの悪用も 恋愛も 読み応えがあった(文庫版は608頁ある)

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    2026年09月12日
  • 廃用身

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    名作。かなり現実的な問題が描かれている。

    実在する医師が書いた医療記録のような読ませ方をしてくるので、あれ?これノンフィクションだったっけ?モデルになった事件があるのかな?実際の医療現場で起こってたりするのかな?と、読んでいるうちに混乱させられる。そのドキュメンタリーっぽい書き方がおもしろくて、熱中しました。

    私は少数派で物事に取り組み、考え、自分の内面ととことん向き合うことができる人をリスペクトしてしまうので、終始、漆原先生の肩を持つ派で読んでいた。

    その処置をすれば本人も家族も楽になるのなら…と思う。でも実際は周囲からの奇異な視線や偏見によるストレスに耐えられるのだろうか、と考えさせられる。自分自身が受けるのならともかく、家族に同じことをする自信はない。

    でも、それは壮絶な介護を経験したことのない立場からの、軽い言葉なのだろうなとも心から思う。

    結局は「数」なんだろうな。
    成功例がたくさん出て、流行のようにメディアやSNSで取り上げられて、カリスマ的なインフルエンサーまで出てきたりして、街でもよく見かけるようになってしまえば、人は慣れていく。見慣れてしまえば、それが当たり前になる。倫理観も国の方針次第だと思う。

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    2026年09月08日
  • 廃用身

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    ネタバレ

    解説でも賞賛されていた通り、とっても読みやすい

    確かにこれを映画化するのは困難だと言われた理由が分かるくらいに救いようがなく、グロテスクだった。
    実話だと思うようなリアリティと小説の書き方もあって、医療系の本だけどとても読みやすく、引き込まれた。

    映画と違うのは、結末。映画では漆原氏だけが無くなるが、本では奥さんも亡くなること。
    中の細かい所などがちょいちょい違った。
    漆原氏が自殺に追い込まれたという遺書の存在や
    一人一人の事例が細かくかかれていたような気がした(半年前に映画鑑賞したので間違っているかも)

    本も映画もどっちもおもしろかったーჱ̒˶ー̀֊ー́ )✧︎

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    2026年08月29日
  • 廃用身

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    久坂部羊さんのデビュー作。
    今年(2026年)には映画化もされている。

    「映像化、絶対不可能!」と言われていたのは
    おそらくはビジュアル的な面を主題に置いたもの言いだったのだろうと思うけれど、
    読んでみるとこれだけ複雑なメッセージ性をどうやって映像作品に落とし込んだのか、の方が気になってきた。

    上梓されたのが2003年。
    そこから20年以上の時を経て、
    ようやく現実的な問題と感じる人が多くなったからこその映画化だったのだろうと感じる。
    久坂部さんの医者としての立場からのリアリズムには迫力がある。

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    2026年08月27日
  • 廃用身

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    なるべく聞きたくない、考えたくないと皆が目を背けているテーマを、顔面に思いっきりぶつけてくるような内容。
    自分が介護する側だとしても、される側だとしても、考えることを先送りしたくなる問題は山積みなんだよなぁ…。
    自分で自分のこと何も出来なくなって、ベッドで寝たきりで全部誰かに世話してもらって生きるくらいなら早めに死にたい。
    だけど、回復してまた動けるようになるかもという望みも捨て切れないと思う。
    家族が寝たきりになったとしたら、生きててくれてよかった。私が何でもしてあげようって最初は思うだろう。
    でも、この先一生自分の時間全部介護に費やすことになるとしたら…

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    2026年08月25日
  • 廃用身

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    ネタバレ

    (ネタバレを含みます)

    リハビリに親しみのある医療従事者の立場から、麻痺した四肢の切断というテーマにとても興味が出て読みました。

    ストーリー自体、何度も「事実なのか、創作なのか」と検索してしまいました笑

    切断を最良の治療と信じていた医師の心境は、最後までよく分かりませんでした。

    私の考えですが、本当に切断は良い結果ばかりだったのか。
    悪い作用は、患者のバックグラウンドをきっかけに精神面にのみ現れてしまうのか?

    ストーリーの中では、オペ後の経過を追っているのはせいぜい1〜2年ほどでした。

    「審美性」という言葉があります。
    医療の中でもよく使われる言葉みたいです。(私も使います。)

    機能しなくても、外見に重きを置いて整えたり、補填することを優先したりしますよね。
    (義眼とか、義肢とか。)

    そういう点からすると、めちゃくちゃ人の心ないな……と思いました。

    作者は医師で、実際に患者から「麻痺して動かないなら切ってしまいたい」という愚痴を聞いていたらしいです。

    果たして本当に切断が治療の選択肢に入った時、切断を希望する人はどれだけいるんだろう。

    そんなことを考えてしまいました。

    ストーリーでも、麻痺側を切断していることが社会に露見した際、反対意見がわんさか出るし、医師への誹謗中傷もたくさん出ました。

    医師がどう対応するのかも結構見もので、「どう動く?」と、続きを焦ってしまうほどのめり込みました。

    想像力が豊かな人だと、少しエグい描写もあり、気分が悪くなる場合があるかもしれませんが、機会があればぜひ読んでほしいです!

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    2026年08月23日
  • 廃用身

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    ネタバレ

    前半は、健康法で自費出版してそうな医療エッセイを読んでる気になってしまった。
    持論と経緯、そして改善した実例。
    通販の医学博士がおすすめするような胡散臭さが漂っていて、繰り返すことで洗脳されるような怖さ。

    後半はその原稿の編集者による取材で、一つの事実と二つの考え(漆原/マスコミと漆原へ悪意を持つ者)が解説される。

    時折身体に痺れや可動域が狭くなっている自身の老化が進んで、麻痺して、自身の部位の不自由さに苦しめられる未来は確実にやってくる。
    その時、切断して身が軽くなり晴々とした人が現れたら、私もそうなりたいと願ってしまう…
    五体不満足(乙武洋匡)を参考文献に挙げて、無くなれば有るものを活かす方へ気が向くことでQOLが上がるというのを、他人には肯定するが自身では受け入れるだろうかと自問して、答えが出ない。

    デビュー作だからすごいのか、この作家の他の作品も読もうと思う。

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    2026年08月08日