久坂部羊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。
前半で漆原先生の原稿、後半で編集者の注という構成にまず驚いた。そして作品全体に常に漂う気味の悪さ。
テーマとなっているAケア自体の不気味さ。閉鎖環境で患者やデイケア施設の関係者がある種ハイになっているような状況の不気味さ。事情を曲解して関係者を追い詰めるマスコミのグロテスクさ。漆原先生の本当の目的がわからない怖さ。。
老人の手足を切断するという非常にショッキングな術式をテーマにしているが、著者が医者ということもあってか、作中での漆原先生の説明は非常に合理的で、現実でもそのうち実現するのではないかと思わせる説得力が作品を身近に感じさせ、より薄気味悪い。
しかし構成や文章 -
Posted by ブクログ
がんと診断された時、人はどうやって生きていくのか。
本人や家族、友だちが、がんとどう向き合っていくのか考えさせられた。考えても答えはでない問いだし、読んでいて辛い描写もあったけど、現場の医師、医療ベンチャー、研究者、がんとなってしまった人、その友だち、様々な立場からの視点とミステリーが描かれていて、とても読み応えがあった。
キュブラー・ロスの死への5段階。教科書で読んだだことがあるが、真に理解できていなかったなと実感。小説で読んだからといって、真に理解できたと言えるわけではないし、もし自分に降りかかったとしてもどう乗り越えるのか、乗り越えられるのか?受容の段階までいけるのかもわからない。
大切 -
Posted by ブクログ
認知症の患者も、がんや糖尿病などさまざまな病気を患う。彼らをどのように治療すべきか。一般の患者なら、検査や治療に協力も得られるが、認知症の患者はスムーズにはいかない。認知症患者専門病棟「にんにん病棟」では、主人公の医長の三杉や看護師たちが、日々認知症相手ならではの奮闘を続けている。
久坂部羊さんならではの医者の目で描かれている。
高齢化社会が進む中で、認知症、そして介護の問題は本当に大きな課題だと思う。特に認知症になった家族をどのようにしてケアしていくのか。認知症の介護の仕方にマニュアルがあってこうすればよくなるってことが分かればいいけどそんなものはありません。介護が楽になるのは、患者が死ぬし -
Posted by ブクログ
久坂部羊『砂の宮殿』角川文庫。
医療サスペンス小説。
なかなか面白い。超高齢化社会が到来した日本に於いて、医療は非常に重要な砦となるが、全ての医療従事者が清廉潔白で患者のために愚直に働いているとは限らない。中には私服を肥やし、名声を得ることだけに拘る医療従事者もいるのだろう。そんな医療従事者への不信感を煽る恐ろしい小説だった。
『砂の宮殿』というタイトルは、『高い志も富や名声の前では脆いものだ』ということと舞台となりクリニックが『カエサル・バレスクリニック』という2つにかけたものであろう。
最先端の医療チームを持ち、海外から裕福な患者を集め、自由診療を行うカエサル・バレスクリニックで -
Posted by ブクログ
外科医である著者の父親の死生観。自身、麻酔科医でありながら医療を信じず、ストレスが諸悪の根源と考え、節制をせず、検査の類は一切積極的に受けなかった。それで87歳まで長生きした。
この本を真に受けて検査を軽んじたり医療不信に陥るのは避けたい。この父親には死への覚悟があったり、自身や息子が医者である点でも一般的ではない。あくまでn=1の挿話として読みたい。心配性、不安がちな自分は本書のおかげでだいぶ気が楽になった。
「世間では長生きをよいことのように言う人も多いが、実際の長生きはつらく過酷なものだ。足腰が弱って好きなところにも行けず、視力低下で本も読めず、聴力低下で音楽も聴けず、味覚低下でおい