久坂部羊のレビュー一覧

  • 医療幻想 ―― 「思い込み」が患者を殺す

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    ■医療幻想

    A.一般の人は、抗がん剤の治療でがんが治ると思っている。
    だが、抗がん剤はがんを治す薬ではなく、数カ月程度の延命効果を期待するだけのものである。

    B.点滴は脱水症には有効だが、それ以外では意味がない。血液を薄める作用があるため、むしろ有害なことが多い。

    C.コラーゲンなどのサプリメントは効果がない。それでも売れているのは、幻想にだまされる人が多いからである。

    D.高血圧の診断基準は厳しくなった。かつては収縮期血圧160mmHg 以上が高血圧だったが、今は140 以上で高血圧とされる。その裏には、製薬会社の存在がある。報道によれば、基準を決める学会の委員全員が製薬会社から寄付

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    2013年04月10日
  • 日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか

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    ネタバレ

    昔から引退後の生活を見据えていまを犠牲にするという考え方に違和感があり、いつしんでもいいやと思ってテキトーに生きてきたが、それでも「上手く、しに時にしぬ」ことがいかに難しいか知らされるだけで果たしてラクな臨終を迎えることができるのか不安になる。もっともな主張とそれを裏付ける豊富な臨床例、構成もまとまっていて非常に読みやすかったです。ひさびさに新書でアタリだった気が、、、

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    2012年12月25日
  • 日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか

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    日本人の平均寿命が世界第一位であることは有名ですが、平均で男性は六年、女性は七年、最後は要介護状態になるという数字が出ているそうです。私の父方の祖母もパーキンソン病を何年も患い、胃ろうでした。最後の数年は精神的にも不安定だったことが母の日記から読み取れます。死ぬ時期や死ぬ要因は自分で選べないことがほとんどだと思いますが、延命治療は残される人たちの思いのために施されるべきではない、という一文を憶えておこうと思いました。

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    2012年12月27日
  • 思い通りの死に方

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    私はまだ世間的には、死を意識するような年ではないけれど、思い通りの死に方、について様々な思うところがあるので、読んでみた。
    しかしこれが痛快!このふたりの高齢者医療に携わる医者のふたりは、私が常々疑問に思ってたけど、不謹慎かも知れないと感じていたことを、次から次へとバサバサ斬り込んで、膝を打つような話を気持ちよくしてくれた。
    例えば、70を(60でも?)過ぎて癌の手術をするなんてのは、本人にも社会にも大いなる無駄ではないか?と、感じていた。医療費の削減の為に必要なことは、ちゃんとヒトをヒトとして死なせる、ということではないかと。
    このふたりは、医療費についてはなにも言わないけれど、なにより本人

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    2012年11月17日
  • 神の手(上)

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    いつもながら複雑な気分にさせてくれる。
    安楽死推進派と安楽死阻止派の手練手管の交渉。
    『廃用身』の時もそうだったが「回復の見込みのない」状況にあるものをどう扱うべきか?可能性がゼロでなければ救う必要があるのでは?と言いつつも医学的見地から様々な見解が出るのは当然で(例えば内科医の見解と外科医の見解)白黒ハッキリ出来ないのが症例の殆どであろう。勢い、責任回避の為に延命治療するのが不正解にならない選択、ということになるのだろうが、、、
    推進派の方が積極的に未来を選択し切り開こうとしているように思う。

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    2012年06月21日
  • 神の手(下)

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    ネタバレ

    安楽死の是非をめぐる問題が主題。作者が医者であることもあって、専門用語がたくさん使われており、現場の臨場感を感じることができてとっても面白い作品だった。

    医者にとっての安楽死や安楽死を望む患者側の視点や家族の視点に加えて、官僚や政治家・製薬会社まで巻き込んだ論争を描いているのが良かった。ただ、安楽死推進派がカルト的な要素を含んでいるところとかに少し偏見をかんじた。推進派・否定派の論拠もありきたりなものに加えて、あまり言われていないような論拠もあり勉強にもなった。


    ストーリー的には、自ら望んでないにもかかわらず矢面に立たされた医師が主人公というものであり、とっても楽しめた。真面目なのだが、

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    2012年05月28日
  • 神の手(上)

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    ネタバレ

    安楽死の是非をめぐる問題が主題。作者が医者であることもあって、専門用語がたくさん使われており、現場の臨場感を感じることができてとっても面白い作品だった。

    医者にとっての安楽死や安楽死を望む患者側の視点や家族の視点に加えて、官僚や政治家・製薬会社まで巻き込んだ論争を描いているのが良かった。ただ、安楽死推進派がカルト的な要素を含んでいるところとかに少し偏見をかんじた。推進派・否定派の論拠もありきたりなものに加えて、あまり言われていないような論拠もあり勉強にもなった。


    ストーリー的には、自ら望んでないにもかかわらず矢面に立たされた医師が主人公というものであり、とっても楽しめた。真面目なのだが、

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    2012年05月28日
  • 日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか

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    ネタバレ

     やはり、衰弱して老死。が、一番幸福なようだと改めて思った。
     私の家族で、病院で死んだ人がいないため、実は病院で死ぬとはどんなことなのかを知らなかった。無理やり生かされる、というのがどんなにつらいものなのか。よくわかった。
     私の曽祖父・祖父ともに、自宅で看取った。二人とも幸せな最期を過ごせてよかったのだな、と今になって思える。
     ただ、自宅で看取ってもらいたい人は、「家族」を大切にしなければならない。愛してもいないものを、たかが「家族」という繋がりだけで面倒を見ることができるわけがない。
     病院で死にたくないと思う人が増え、家族を大切にする人が増えてくれればいいと思う。
     

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    2011年06月09日
  • 破裂(上)

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    社会問題が盛りだくさんの衝撃作。
    医療や命の尊厳に関する理想と現実という重いテーマがあり、読後にはずしりと何ともいえない不気味さと後味の悪さが残ります。これは人間として避けられない死への恐怖と老人福祉への不安にも重なります。
    久しぶりに寸暇を惜しみ一気に読んだ作品でした。

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    2011年04月02日
  • 日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか

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    人の、少なくとも俺の生き方にまで影響しそうな本。残されたリソース(金、時間)をどう使っていくか。死ぬ事、老いる事を避けるより、日々を大事に生きていこう。ジタバタするなよ!

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    2011年01月08日
  • 日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか

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    長生きはそんなにいいことばかりじゃないよと、悲惨な事例や老人の嘆きがこれでもかというほど紹介される。著者は、老人医療に携わる現役の医師だ。医者の口から、「医療によって無理矢理生かされることは、本人のためにならない」という言葉が聞かれようとは。

    アンチエイジングや「スーパー老人」報道に批判的なことなど、著者は現代の欲望肯定主義や、若さを追い求める風潮に違和感を持っている。医師として多くの老人、多くの死を看てきたことも大きいだろうが、同時に、父親が仏教や道教に造詣が深いことや本書でも兼好や良寛を引いていることからして、著者自身が東洋的な死生観に共感を持つ素地があるんだろうという気もする。その意味

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    2009年10月04日
  • 日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか

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    当たり前のことがセンセーショナルになる瞬間。
    これを読んで、認知症である祖父の世話をしている知人が神に思えた。一瞬。

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    2009年10月04日
  • 大学病院のウラは墓場 医学部が患者を殺す

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    大学病院の現実と世間の意識のギャップを的確に著していると思う。
    世間の認識を変えることが必要であるという主張にも説得力がある。
    医局が崩壊していること、医療がいまや崖っぷちの状況であること。
    ジャーナリズムとして客観的によく書き切ったと思う。

    オレは理学部出身だけど医学部の一部の連中とは特に気が合ったんで、3年4年の頃には毎週のようにスキーや飲みに行ったもんだ。
    しかし、自分が病気にかかったら、彼らだけには診て欲しくないと思ったものだった。
    どこも実態は似たようなもんなんだろうけどね。
    オレが付き合ってた連中(10人くらいか)が特にバカ揃いだったこともあるけど…
    (2008/5/6)

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    2009年10月04日
  • 大学病院のウラは墓場 医学部が患者を殺す

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    タイトルだけ見るとどんなとんでも本かと思うのだけど、中身は素晴らしかった。確実に確かな医療が受けられると信じて疑わない現在の私たち。患者、医師両サイドの意識改革の必要性を警鐘している。医療崩壊と言われて久しい日本であるが、この書籍を読むと内実がよく理解できる。

    <今後の医療発展のために必要だと感じたこと>
    ・医療ミスを糾弾するのではなく、補償制度を充実させることで対処。
    ・研究、臨床の分離。研究分野で先進医療を受けるものは治験を受け入れ、その代わり医療費を免除。
    ・医師の将来の保証。その分若い頃に技術修練などに頑張れる。

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    2009年10月04日
  • 大学病院のウラは墓場 医学部が患者を殺す

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    同じ自由が認められながら、なぜ今までは日本の医療はまがりなりにもやってこられたのか。それは端的に言えば、医師と時代そのものにモラルがあったからであろう。自由に任せていても、医学生は自分の能力に応じた科を選び、必要とされる場所で勤務し、節度をもって開業していた。医学部がそれほど多くなく、優秀なものが医師になり、世間から尊敬される分、それに見合う責務を果たしていた。
     時代のモラルが低下したことも大きい。ルールさえ守れば何をしてもいいという風潮、少しでも自分が得をすることが要領のよい生き方とされ、若者はそのための情報収集に奔走している。
     診療にすぐれた医師を優遇せよ
     良い医療が優遇されれば、医

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    2009年10月07日
  • 命の横どり

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    命の贈り物とみるか、命の横どりと捉えるか。現代日本の脳死と臓器移植(特に心移植)を取り巻く状況を解説しつつ、登場人物を通じて臓器移植の賛成派と否定派それぞれの意見を紹介しているので、自分はどう考えてどう行動するか、考えるきっかけとなった。そして免許証の裏に意思表示を記入した。綺麗事ばかりのストーリーではないし、単純なハッピーエンドでもないのが良かった。

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    2025年12月21日
  • 命の横どり

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    心臓移植を巡る物語。

    心臓病の専門病院で、臓器移植コーディネーターとして働く立花真知は、将来の五輪金メダリスト候補とされるフィギアスケーター・池端麗を担当する。

    心臓移植しかない麗のドナーが見つかったとき、ドナーの家族の中で母親だけが納得してなかったのだが、真知が取った行動が…。


    命の横取りをしないでと叫んだ母親だが、臓器提供は命の贈り物だと…
    強要そのものは禁忌だが、消極的なままだと助かる命が失われるわけで…
    助かる患者の喜びの裏で、別の悲劇を生むことも…


    読みながらも複雑な思いに駆られる。
    自分ならどうするだろうか…
    どちら側にしても直ぐに答えを出せない。
    命は重いからこそ、簡

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    2025年12月19日
  • 命の横どり

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    日本での臓器移植の現状がわかる。ここで出てくる「死にきる」という弁護士の主張がこじつけとしか思えない。大事なこととして思うのは、これは気持ちの整理の問題だろうか。人間は誰もが、いつかは死ぬ。その時どう生ききるかが大事と思う。心臓を提供する意思を 亡くなった当人が強く望んでおり、周囲の家族がその意思を汲んでいく•••その登場人物たちの姿勢に感激しました。

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    2025年12月18日
  • 命の横どり

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    臓器を提供する家族、臓器を提供してもらう人。どちらも大きく感情な揺さぶられるんだな。
    命の贈り物か、命の横どりか。リアルな表現にお医者さんが書いた本だと知り納得した。

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    2025年12月14日
  • 命の横どり

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    法律上「脳死は人の死」として認められています

    脳死後、本人の意思表示で行われる臓器提供(生前に書面で意思表示があれば尊重される)


    臓器提供によって救われる命がある
    生活状態が大きく改善される人がいる
    臓器提供は純粋な善意によって行われるもので金銭の授受は発生しない
    このようなことから臓器提供は「命の贈り物」とも呼ばれています


    ただ、いきなり大切な人を脳死で亡くし残された家族にとっては、その死を受け入れることができないのも事実である
    「脳」が死んでも「心臓」は動いているので、まだ死を納得することはできない

    十分に納得できないまま臓器提供を行うと、あとで大きな悔いを抱える家族もいる

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    2025年12月10日