あらすじ
わずかな希望にすがりつき、治療を求める末期がん患者と、効果のない治療で患者を苦しめたくないと悩む若き外科医。現役の医師でもある著者が「悪い医者とは?」をテーマに真摯に取り組み、第3回日本医療小説大賞を受賞した感動の医療長編。
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Posted by ブクログ
末期がん患者と医師、2人それぞれの目線で話が進んでいく中で、両者の葛藤や苦しみ、考え方の違いがありのままに伝わってくる。患者目線では医師からの余命宣告が突き放したように聞こえ、医師の目線では無理な治療はせず残りの大切な時間を有意義に過ごしてほしい思いでの余命宣告、という立場によって全く考え方が違うところが対象的だと思った。患者は苦しみながらも新たな治療法を求め悪戦苦闘し、医師も患者からの「私に死ねというのか」という言葉がいつまでも頭の中に残り心が晴れないまま生きる日々。医療の最善とは何か、患者に寄り添うとは何かを現実的に突き付けてくる内容が心に残る。
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医療系の本をチャットgptに尋ねて提案された本。なるほどわかりやすく、読みやすくて感情の移入がし易かった。がん患者と医者、大きく隔たるそれぞれの考えをどうまとめるのか。最後は上手に落として納得の物語になりました。よかった。
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義父が膵臓癌で亡くなったばかりだったのであまり他人事とは思えず、読み進めました。義父はこの物語の主人公とは性格も選んだ治療法も全然違うのですが、何度もこんなふうに辛かったのかなと思うシーンがありました。
死の直前であっても医者には突き放されたくない、治療法がなくても一緒に考えて悩んでくれる人がいるということが死の淵において、いかに希望になるか。
治療の継続不可が事実だとしても、自分の伝え方でよかったのか、患者はどう思ったのか、もっといい言い方はなかったのか、正解のない答えをずっとずっと考えて続けている医師がいるということを知るだけでも診てもらう側が救われます。言葉の大切さもすごく考えさせられました。
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よかったぁ。久坂部さんの小説面白いね。なんで今まで知らなかったんだろう。
自分の事はいいとして、子どもが癌になってもう治療はできないと言われたら、医者を憎むと思う。
でもそれって、治療とか薬とか、医者側の事を何も知らないってのもあると思う。
だって、抗がん剤とか副作用とか、効く効かないとか知らなかったもん。患者側の知識も大事だなって思う。
最後に2人が交わって終わるのがよかった。
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末期癌患者と医師との間にある溝が描かれていた。癌が進行して治療の余地がないと宣告する医師とそれでも一縷の望みをかけて治療をしてほしい患者の両者の思いが描かれていて僕は医療者側の意見になびきながら読み進めていたが最後の方で医者が見放すことの心理的ダメージがあると書いてありたしかにと思った。医者側からしても医療資源、お金のことがあるけど薬の副作用で余命を縮めて患者のQOLが下がらないようにしたいという思いがあるのもめっちゃ理解できる。
将来自分だったらどうやって伝えようかと考えながら読んだけど難しいな、
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がん末期になっても、最後まで治療してほしいと願う患者。なぜなら、治療をやめるということは死を受け入れることだから。
がん末期になったら、最後まで治療しないほうがよいと言う医者。なぜなら、副作用で体力が奪われるよりも、体力が残されているうちに有意義に過ごした方が患者のためだと思うから。
両者とも、もっともな思いだから、伝え方が大切だと思った。特に、がん末期の患者や家族にとって、その医者からの言葉は最期通告にしか聞こえないから。
私は両親をがんで亡くしたので、とても他人事とは思えない小説だった。
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「もし、私や身内が癌になったら」と考えながら読みました。
有効な治療が無いことを上手く伝えられない事に悩む医者の様子を読んでいると、無理に治療を求める患者を煩わしく感じました。しかし、もし自分や家族が患者という立場になった時、私は医者の言葉を素直に受け止める事ができるのか。この小説を読んで、医療現場で働く人の考えを知ってもいざ自分が当事者となるとなかなか難しいと思います。
ならないのが1番ですが、もし実際に直面した時この小説を思い出したいです。
Posted by ブクログ
身内が癌になって、一切のがん治療を自分から断って亡くなったので、心に響きすぎる内容だった。
癌になって、標準治療が効かなくなった後、自分だったらどうするかな。
どういう形にせよ、自分で道を決めて、やり切ることが大切なんだと思う。
Posted by ブクログ
治療は病気を治す事では無い
治療すれば治る病気なんて数少ない
進行を抑えるのが目的の治療の方が実際は多い
副作用と治療の有益性のバランス
医者の一言って大きいんだなと思った
Posted by ブクログ
評価は5.
内容(BOOKデーターベース)
余命宣告された52歳の末期がん患者は、「もう治療法がない」と告げた若き外科医を恨み、セカンドオピニオン、新たな抗がん剤、免疫細胞療法、ホスピスへと流浪する。2人に1人ががんになる時代、「悪い医者」とは何かを問う、第3回日本医療小説大賞受賞の衝撃作。
余命を言い渡された患者の絶望的な気持ちや、何かにすがりつきたいと思う気持ちが痛いほど伝わってきた。確かに医師は自分の仕事を精一杯努めるしかないだろうが・・がん難民いつか誰にでも訪れるだろうと思うと切なかった。
Posted by ブクログ
一気読み。久坂部先生のマジメ本ではトップクラス。感動する作品です。
「余命三か月」と医師からこう宣告され残された時間を有意義に生きなさいと宣告される患者。
セカンドオピニオン外来から始まり、がん免疫療法と現実を受け入れることなく、最期まで諦めません。結局ジタバタすることが、有意義な過ごし方だったんです。
治る見込みのない患者をこれ以上抗がん剤で苦しめずに、残りの時間を体力のあるうちに有意義に暮らしてもらうにはと悩む医者と必死に生きようとする患者が交互に出てきます。
癌に罹患していない今だから冷静に読める本ですね。
Posted by ブクログ
医療小説は好きでたくさん読んだけど、私にとって1番の衝撃作。
医者の立場の言い分もわかる。
患者の立場の言い分もものすごくわかる。
ウチの息子には医学部に進んで欲しい反面、医者になるのは可哀想な気もする。。。
Posted by ブクログ
一気読みでした。
抗がん剤は毒で、逆に命を縮ませることもあるから、残りを有意義に生きるためにやめた方がいい。という医者の気持ちも分かります。
ただ、患者からすると、治療法が無くなるのが怖いのです。
特に、色々な治療をしてきた人にとっては、使う薬が無くなったと言われると、死ぬしかないのか。ってなると思います。
医者と患者のこの距離がどこまで縮めることができるか。これが、この本の読みどころなのかなと、思いました。
Posted by ブクログ
今の時代、がん=不治の病という認識はだいぶ変わってきてはいるものの、やはり医師からがんを宣告されたら、誰でも大きなショックを受けるでしょう。
小説の主人公は50代のがん患者。そして、もう一人の主人公は30代の医師。数ページ単位で、それぞれの話が進んでいきます。
この本の著者は現役の医師で、がん治療の描写がとてもリアルです。(私の身内にがん患者だった者がいて、それとの比較です)
山崎豊子さんの白い巨塔のようなベストセラー本にはなっていませんが、とても現実的で、私も主人公と同じ立場になったらどうなるかと考えさせられる一冊でした。
Posted by ブクログ
がん患者を診る医者と患者の両面の心理を、細かな描写で綴っている。どちらの心理も胸を突く内容で、どちらも辛い。患者側の心理が時間と共に安らかに落ち着いていく様が興味深い。あがいてあがいてどこまでも治療に執念を燃やす気持ちに、健康な自分は理解ができないが、その立場になればどうなるんだろうと恐ろしくなる。
最後には、両者が寄り添うようなシーンがあり、読んでいてスッキリする瞬間がある。
Posted by ブクログ
僕自身、末期がんなどの終末医療に携る医療者がどのように患者さんと接するのか気になっていたためこの本を手に取りました。
頭では理解していても、死への恐怖は克服など到底不可能なのだろうなと改めて思いました。
何よりも、ここではどのようにするのが正解とかは具体的にはなく、小説ありきなハッピーエンドもなく現実味があります。
医療を学ぶ身として、本当に自分がいつ死ぬかは分からないものなのだと実感します。
だからこそ、今を生きていくしかないのだと。
そしたら後悔しないとかではないのだけれど。
死とは永遠のテーマですね
Posted by ブクログ
医者と患者の視点から癌治療に関する捉え方を描いた作品。
癌治療は副作用が治癒作用を上回る事があるという事を知りました。
癌治療の副作用に耐える患者の描写が生々しく思えて身につまされました。
Posted by ブクログ
何もかもが共感させられる。ものすごくリアル。医療者側の気持ちも生活も悩みも、患者側の気持ちも病状の描写も両者全てにおいて。何が正しいのか安易な正解も示されていないところがなんとも現実的。現実はとっても複雑だから。そういうのがそのまま描かれておりぐさぐさきました。
Posted by ブクログ
いろいろ考えさせられました。
現時点で健康な自分は医者側目線というか、森川の考えに頷きながら読んでた。
でも自分が患者になった時、小仲のような気持ちや思いになるんだろうか……
なってみないと分からないけど、いやいや絶対になりたくないし、もしそうなってしまった時、この本のことを思い出そう。
Posted by ブクログ
もう、治療法はありません。
そう宣告された人に必要な事は何だろうと考えました。
私は二十代の頃から難病からくる半身不随で、社会的な立場を何も持っていないので、末期がんを宣告されても驚きはしますが、生きる事にあまり執着を見せないかもしれません。なるべく楽な方法が良いなぁ、とだけ考えています。
作中に出てくるお医者さん同士の会話は、ちょっとショックでした。多分これを何倍にもしたのが、患者と医師の溝の大きさなのかなとも感じました。
Posted by ブクログ
末期ガンと死について、医者と患者、それぞれの立場からの切実な声が心に痛い。
多分これは医療というより、宗教とか精神的なものの方が力を発揮する分野だろうなと思う。
Posted by ブクログ
癌に興味があったから読んだ。癌患者の苦しみは良くかけているな、おそらくこんな感じなんだろうなと思ったけど、医者の書き方が、ステロタイプで深みが感じられなかった。著者が医者だから現実に近いんだろうけど、おそらくだからこそ、手心が加えられているんじゃないか。総じて、もっともっとどろどろした感情を抱えているんじゃないか。そこんところを深く掘り下げて書いてほしかった。
Posted by ブクログ
タイトルからどんな腹黒い医師が登場するのかと思ったら全然違っていた。
治療法がもう無いからと自分に余命宣告をした医師を悪医と呼ぶ患者とその宣告をした医師、2人の視点から描かれる物語。両者とも悩みながらもがきながら懸命に生きる人。今の自分は「生」にしがみつく気持ちはないけれど、土壇場になったら果たしてどうだろう?と考えさせられた。
Posted by ブクログ
医者と患者、それぞれの立場から医療について描かれています。
医療って何?
治療って何?
わかりやすかったです。
個人的には、健康関連のお仕事をしているし、親族に医者が多いので、さんざん考える機会があった方です。
だから、この小説に出てくる患者さんたちが言う、「医療(治療)をやめるってことは、生きることを諦めるってってことだ」という思い込みにびっくりしました。
でも、通常、風邪を引いたときも、なにか体に不安がある、、などがあれば、病院に行けばなんとかしてもらえる、、と思っている人には、びっくりする内容なのかもしれません。
医療者、患者側を淡々と描いていますが、読みながら、「えっ、どっち?」などと混乱することもなく読みやすかったです。
Posted by ブクログ
現役の医師が描くだけあって、真実味がある。
末期がンの患者に対する医師の本心と思いと現実。
しかし、患者はもう治療法がないなんて受け入れられない。
それでもと泣きつく患者に、正直に向き合うか適当に受け流すか…
医師が考える残りの人生と患者が希望を捨てずにと向かう残りの人生にも大きな壁がある。
おそらく、ずっと平行なのだろう。
でも、医者も人間。自分も患者の立場になれば同じようになるのかもしれない。
とても興味深い話だった。
2020.1.28
Posted by ブクログ
患者と医者の思いが、
交錯しながら綴られていくのが
面白かったです。
小説だと、登場人物の考えとか、
行動とかが一貫して同じになってしまうところ、
この本の人達は、状況をいろいろに捉えて、
現実っぽく考え行動していくところが、
ノンフィクションを思わせました。
がんを宣告されて、
余命を充実させることができるのは、
なにがしかの支えがあってこそなんでしょうね。
Posted by ブクログ
阪大医学部卒、外務省の医務官を9年務めた経験が光る作風の著者。今回はがん治療がテーマ。
医療については素人な自分は「抗がん剤って癌を“治す”ものじゃない」という一節に驚愕した。多分そういう基本認識のすれ違いは患者として医療に向き合う際にミゾを作りやすい部分なんだろうな、と実感。
医者と患者の溝は埋まらないのか、歩み寄れるのか悩むところだけど、両者とも人間なわけで、尊厳を忘れない対応を心掛けないといけないなと思えた。
Posted by ブクログ
ストーリーは
52歳の男性、ガンが再発、治療の結果
「残念ですが、もうこれ以上、治療の余地はありません」
と若い外科医に余命宣告されてしまう
「つらい抗生剤治療で命を縮めるより時間を有意義に」と
52歳の男性「先生は、私に死ねと言うんですか」
納得いかない男性「もう先生には診てもらいません!」
若い外科医を恨みながら「ガン難民」になってしまった男性
苦しみの果てホスピスにたどり着くまでを
患者の苦しみ、医者の悩みを対比させながら、展開される
わたしなら?
昨日見た再放送
NHK「ドキュメント72時」「海の見える老人ホーム」
の中でホーム住人高齢の男性がいみじくもおっしゃっていた
「80代になっても気持ちは30代と一緒なんだよなぁ」
「だってさ、みんな具合が悪くなれば医者に行くでしょ」
その恬淡とした物言いが印象深い