久坂部羊のレビュー一覧
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はじめにから
この新書の前に上梓した『人はどう死ぬのか』で、私は上手な最後を迎えるためには、死を受け入れることが大事と書きましたが、その「死を受け入れる」ながむずかしいのだという反響を、すくなからずいただきました。
どうすれば、楽に死を受け入れられるのか。
それはやはり悔いのない人生を送ることではないでしょうか。言い換えれば、うまく生きるということです。
高齢者だからといって、手遅れということはありません。残された時間をどう使うかによります。
ということから始まっていて、
来るべき“その日”を穏やかに迎えるために、残された時間をどうすごすのがいいのか。
みなさんといっしょに考えていければと思います。
で、
第1章 寿命とは何か
第2章 寿命を延ばす方法
第3章 寿命に逆らう苦しみ
第4章 二年後の死は予測できるのか
第5章 現代日本は心配社会
第6章 どちらにころんでも悩ましい現代医療
第7章 望ましい最後のお手本
第8章 寿命が尽きる二年前にすべきこと
医者である著者のお勧めは、病院に行くな、医者にかかるなということです。
古来多くの人が穏やかにあの世に旅立ったのです。
生きものとしての人間は自然界の摂理にしたがって、旅だったのです。
高齢者の多くの死を看取ってきた医者だから言えることだと思います。
次は、「日本人の死に時」を読む予定です。
随分前の作品ですが、今か書かれていることとの整合性を確かめることも含めて(笑)。 -
Posted by ブクログ
脳外科医の白石ルネは、担当していた患者が意識不明で運ばれて来た後、悲惨な状態になるのが目に見えていたことから、家族に延命治療の中止を投げ掛けた。
家族の同意も得たが、最後の別れの場で思いもかけない状況が起こり混乱があった。
しかし、最終的には家族の理解は得られた。
ただ、それから3年後にルネを気に入らない麻酔科医がやってきて、その際の延命治療に安楽死だったと焚き付けた。
そこからの病院側や遺族、治療に関わった看護師の態度に、ルネは愕然とする。
それは人間不信になるにも十分なものだった。
そして終末医療の難しさを痛感する。
2025.8.15 -
Posted by ブクログ
優れすぎた観察眼により外見から病気を診療できる医師、為頼と彼が町で偶然助けた親子のお話。
為頼は犯罪者特有の犯因症も見分けられたがため親子を無差別殺人から救うことになる。その能力を見込んで母親、菜美子は自身が務めるサナトリウムにいる少女のことを相談する。
時を同じくして医療界の拡大勢力となっている白神メディカルクリニックの白神院長も為頼と同じ能力を持ち、とある患者の治療にあたるが、二者の考えは全く異なっていてー
自分には割とグロ耐性がある方だと思っておりましたが、物語の後半、初めて文章をまともに読めなくなり何度も本を閉じながら、深呼吸をしてしまいました。でも読まずには先に進めない、でも想像してはいけないような映像に飛ばし読みをする始末!初めての経験をさせてもらいました。本の内容を頭の中で映像化して読むタイプの人はやや注意が必要かもしれません。
タイトルになっている「無痛」についても言及したいのですが、ネタバレとのバランスが大変難しいところなのであえて書かずにおきます。
星5にしたいくらい楽しませていただきましたが、最後が、、、好みが分かれると思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本書は、医療現場における「生と死の選択」という重いテーマを、鋭く突きつけてくる作品です。
医療従事者として看取りの現場に携わってきた私は、現在の日本で尊厳死が法的に認められていない壁に、常に葛藤を抱いてきました。作中のルナ先生が指摘するように、過度な延命治療が患者の生前の面影を奪い、凄惨な状態を強いてしまうのは紛れもない事実です。彼女がインフォームド・コンセントを経て人工呼吸器を外した決断は、医学的妥当性を超えた「人間としての誠実さ」の現れだと感じました。
しかし、物語が浮き彫りにするのは、その「善意」がいかに脆く、組織の論理によって「罪」へと塗り替えられてしまうかという恐怖です。利益や保身を前に、一人の医師を切り捨てようとする病院や家族の姿は、あまりに冷酷で現実味を帯びています。
彼女を応援せずにはいられなかったのは、それが私たちが日々直面している「正解のない問い」への孤独な闘いそのものだったからでしょう。医療技術が進歩する一方で、私たちは「人間の尊厳」をどこに置くべきなのか。ルナ先生の孤独な闘いを通して、改めてプロフェッショナルとしての矜持と、法整備の必要性を深く考えさせられる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ブラックなテイストに対しての人々の反応は、三つくらいに分けられると思う。
①ブラックユーモアが分かる人 ②面白さが分からない人 ③怒り出す人。
この本は①に該当する人にお勧めしたい。
かなり濃い。
そしてお医者様の書く医療物は本格的であり、ああ、こんな患者に悩まされているんだろうなー、そりゃ気晴らしも必要だ、と思う。
【寝たきりの殺意】
寝たきりの高齢男性・守山(もりやま)のモノローグで終始する。気難しくわがままな老人だ。
舅の介護が嫌でたまらない様子の嫁だが、なぜか嫁の方の肩を持ちたくなってしまう。
守山はついに嫁に殺意を抱き、さてどうやって殺してやろうかと想像するくだりが、ブラックユーモア。
首を絞める、小便を漏らす。毒を飲ます、泡を吹いて・・・やっぱり小便を漏らす、うははは、と妄想する守山。
実は・・・
【シリコン】
豊胸手術に失敗した「運の無い」女の復讐。復讐の手段が・・・
おっぱいと一緒に良心もいくらか切り取られてしまったのだろうか。
【至高の名医】
清河武史郎(きよかわ たけしろう)は、神の手を持つと言われる外科部長。ストイックで正義漢。医師にも患者にも厳しすぎるのが玉に瑕。
ふとした事で、病に対する恐ろしい体験をし・・・
【愛ドクロ】
文京大学医学部の解剖学講座の技術員である原山良人(はらやま よしと)は頭蓋骨マニア。
良人は多くの標本を管理するうち、人の頭蓋骨が透けて見えるようになった。
自分だけの美しい頭蓋骨を手に入れたくて仕方がない。
【名医の微笑み】
矢崎逸郎(やさき いつろう)42歳。0.1ミリの狂いが血管を突き破りかねないカテーテル治療の第一人者。そのほか、朝から外来診察、患者への治療説明、医療機器メーカーとの打ち合わせ。病棟の患者の診察では愚痴を繰り返す半身不随の老人、中途半端な医療知識を振り回すわがままな家族にも、矢崎は丁寧な対応と微笑みを崩さない。
自宅では三年前に脳梗塞で倒れた父の食事の介助。妻から、息子の学力についての愚痴。息子は塾の勉強について行けず、妻は進学校に入れることだけが正義と思っている。自分の家族のわがままに対しても、矢崎は丁寧な対応と微笑みを崩さない。
このストレスに見合うほどの息抜きはあるのか?
【嘘はキライ】
水島道彦(みずしま みちひこ)38歳、独身。都立新宿医療センターに勤務。去年、内科医長に昇進。
嘘が見抜けるのでは?と看護師。嘘を言う人間は、後頭部からすっと黄緑色の狼煙が立ち上る。
その能力を、教授選に利用される。 -
Posted by ブクログ
まず表紙の絵を見て、笑った。
白衣を着ている芥川龍之介。
タイトルが『芥川賞』、いや『芥川症』だ。どういう意味だろう…
短編集、そしてタイトルが全て芥川龍之介の作品をもじったもの。
病院の中(薮の中)
他生門(羅生門)
耳(鼻)
クモの意図(蜘蛛の糸)
極楽変(地獄変)
バナナ粥(芋粥)
或利口の一生(或る阿呆の一生)
中でも面白かったのが、『病院の中』だ。病院内で父の死因をめぐり、医師は専門用語を使いうやむやに、看護師は医師に聞いてないことをくちばしる…だんだんと父の死が不審になってくるという病院内の摩訶不思議なことを書いた話。
あと複雑な思いをしたのが『他生門』だ。心臓病を患った主人公が、慈善団体の協力で寄付金を集め、アメリカで移植手術をするが残りのお金で豪遊したら、難病を克服した人はしっかりと生きなければダメだと周りに咎められる話。
小説の意図は非常に面白いが、タイトルの割に内容がイマイチなもの、気味が悪いものなどもあり、星4つとします。