久坂部羊のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「無痛」の続編にあたる作品。
ある日、原因不明の新型カポジ肉腫の恐怖が日本を襲う。
小さな斑点のようなものにはじまり、劇的に悪化して死に至る肉腫。
その病にかかるひとびとと治療法を探る医療人。
同じ頃、ウイーンで在日本人のための診療所で医師として働く為頼のもとに、白神と共に日本を離れた南サトミが現れる。
エボラ出血熱、エイズ、狂牛病、SARSといった日本でも話題になった疾患と、WHOを絡め、物語は進む。
医学の世界の光と闇。それも、利権争いや汚職といったものではない、もっと恐ろしく深い闇。
こんなことあるわけない。馬鹿らしい。
こう言って一笑に付すことの出来ない真実味がこの作者の文章にはあ -
Posted by ブクログ
確かに、『死』への距離が短くなっている。
どう死ぬのか?
と言うことは、重要なことに見える。
アルツハイマー症にはなりたくない。
寝たきりもいやだ。
それ以外ならば いいかな。
そうすると ガンが 痛みが伴うけども
いいのかな。
中途半端な脳梗塞が 危険だ。
死ぬ時に 快楽があれば。
という 説が いかにもいいね。
主人公が いないのが 特徴的な編集法。
松野が 医療過誤を暴くかと思ったが、違っていた。
江崎は 重要なところで 麻酔中毒者となり リタイアー。
香村も 裁判では 実質的な負けとなり、別の事件で襲われる。
江利子は、最後までは 追求せず、元の鞘に収まる。
佐久間の野望は 途 -
Posted by ブクログ
在宅医療。それは医療と名はついているが、病院での「治す」治療とは異なる。主に自宅で最期をすごすのを「看取る」ことが多い。
仕事として、何人もの人生の最期に定期的に関わるということ、それがどれだけ重みか。
本書では、どうしようもなさ、葛藤、苦しみ、そして死という、医療の華麗な部分とはかけはなれた部分がメインである。
読んでいて決して心地よいとはいえない、しかしまぎれもないリアルで、だからこそその人そのものと言える最後の姿は心に深く刻まれる。
「いつか、あなたも」。自分はどう…と考えるにはまだまだ至らないけれど、目を背けられない終わりという現実、そしてその現実に心をこめて寄り添う方々が描かれている -
Posted by ブクログ
問題点は、諸々の幻想を否定するために依拠しているのが、ほとんど主観に基づくものだってところ。もちろん、医療従事者から見た医療の現場は、一般人よりも的を射ているのは当たり前。だから、マスコミとか政治に対する主観は、概ね的確な指摘だと思う。ただ、諸々の医療行為とか治療に関する部分は、科学的に検討する必要が当然ある訳だけどそれがなされていない、ないしはその記載がない。ただ、実は本文中にその断りがさりげなく出てくるんだけど、流し読みだと見逃しそう。でも、メディアを批判する論拠がメディアから得たもの、じゃいかんでしょう。という訳で、科学的な部分:3、主観的な部分:4で四捨五入して☆4つ。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ安楽死を題材にした医療…サスペンスですかね。
本作では安楽死賛成派と反対派が痛烈に激突。どっちもどっちだなーと思うくらいやり過ぎだったりしますが、意見の相違の根幹にあるのは「生きる」の定義なのかなー。
反対派はとりあえずでも生物として生存していることを「生きる」としているように思います。例えそれが堪え難い苦痛に苛まれ、何の悦びも見いだせない「生」であっても。
賛成派が考える「生きる」は、幸福感を得るためのアクションを起こすことができることを「生きる」と言っているのかな、と。
自分としては後者派ですかねー。例え寝たきりでも目で文字を認識できるなら、本を読むことで幸福感を得られると思います -
Posted by ブクログ
上下巻まとめて。
医療の進歩と生命倫理というものは、必ずどこかのラインでせめぎ合う、背反する価値観のようなものだが、その葛藤を象徴する最たる具体例ともいえる、"安楽死"をテーマに据えた本書は、まさしく普遍性を持って老若男女遍く人々に訴えかけ得る。
老人の終末期においては容易に想像がつくが、実は患者が若くても、その若さゆえに安楽死が求められる状況がある、という説明に関しては驚いたし、医療従事者にしか書けない描写の一端として強く印象に残った。
小説技巧としては、神業のように卓越している、というわけではないけれど、一本調子ながら、根っこのストーリーが充分に面白いので、グイグイ -
Posted by ブクログ
上下巻まとめて。
医療の進歩と生命倫理というものは、必ずどこかのラインでせめぎ合う、背反する価値観のようなものだが、その葛藤を象徴する最たる具体例ともいえる、"安楽死"をテーマに据えた本書は、まさしく普遍性を持って老若男女遍く人々に訴えかけ得る。
老人の終末期においては容易に想像がつくが、実は患者が若くても、その若さゆえに安楽死が求められる状況がある、という説明に関しては驚いたし、医療従事者にしか書けない描写の一端として強く印象に残った。
小説技巧としては、神業のように卓越している、というわけではないけれど、一本調子ながら、根っこのストーリーが充分に面白いので、グイグイ