久坂部羊のレビュー一覧

  • 人間の死に方 医者だった父の、多くを望まない最期

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    介護などの現実が描かれていて、将来自分自身が経験することになりうる状況に対する心構えを持つために、大変参考になりました。
    また、人間の体の強さ・不思議さを感じ、医療者は患者の治癒力を高めるための良きパートナーであってほしいと思いました。
    (再読)2025.9.21
    人生の終末期にどのような心持ちになるのか、何があってもおかしくない年齢になってなお楽観的にしか考えられない自分にとっても、最期を考えさせられる一冊。人間の生きる力をどこまで信じられるか、頭がどこまで正常に働いているか、いずれにしても幸せにその時を迎えたい。

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    2014年11月08日
  • いつか、あなたも

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    在宅医療クリニックの短編集。
    筆者がこの道を選んだとは驚いた。

    話の中にも出てくるが、ほとんど終末期の医療、看取り、といわれる世界。
    その世界のエピソードをこうやって文字に起こすことは、筆者も葛藤があっただろうけど、ありがとうございました、と言いたい。

    近い将来、母の最期を看取るであろうし、人生の折り返し地点を当に超えた私は、とても他人事とは思えないエピソードばかりでした。

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    2014年10月11日
  • 神の手(下)

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    上下巻まとめて。

    医療の進歩と生命倫理というものは、必ずどこかのラインでせめぎ合う、背反する価値観のようなものだが、その葛藤を象徴する最たる具体例ともいえる、"安楽死"をテーマに据えた本書は、まさしく普遍性を持って老若男女遍く人々に訴えかけ得る。
    老人の終末期においては容易に想像がつくが、実は患者が若くても、その若さゆえに安楽死が求められる状況がある、という説明に関しては驚いたし、医療従事者にしか書けない描写の一端として強く印象に残った。

    小説技巧としては、神業のように卓越している、というわけではないけれど、一本調子ながら、根っこのストーリーが充分に面白いので、グイグイ

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    2014年10月02日
  • 神の手(上)

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    上下巻まとめて。

    医療の進歩と生命倫理というものは、必ずどこかのラインでせめぎ合う、背反する価値観のようなものだが、その葛藤を象徴する最たる具体例ともいえる、"安楽死"をテーマに据えた本書は、まさしく普遍性を持って老若男女遍く人々に訴えかけ得る。
    老人の終末期においては容易に想像がつくが、実は患者が若くても、その若さゆえに安楽死が求められる状況がある、という説明に関しては驚いたし、医療従事者にしか書けない描写の一端として強く印象に残った。

    小説技巧としては、神業のように卓越している、というわけではないけれど、一本調子ながら、根っこのストーリーが充分に面白いので、グイグイ

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    2014年10月02日
  • 神の手(下)

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    長編です。途中冗漫と感じるところもありましたが、安楽死の是非を巡っての政界、医師会、製薬会社、マスコミの魑魅魍魎入り乱れ。
    現実の問題として読者に安楽死、又死というものをエンターテイメントでありながら考えさせる良書と思います。

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    2014年04月08日
  • 破裂(上)

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    医療ミスと、その闇を暴こうと病院内で孤軍奮闘する麻酔医師と、国の立場から恐ろしい企みを試みようと暗躍する厚労省のお役人。それぞれが絡み合って、混沌としていく…

    この著者の作品はテーマが考えさせられるし、面白い。下巻もこのまま一気読みしそう。

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    2014年01月29日
  • 思い通りの死に方

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    医者は毎日死に目に会っているから、すべての患者に親身になっていたらやっていられない。だからきもちの上でギャップがあるのは当たり前のこと。

    自分は安楽死したいが、親は延命治療をしたい、というのは矛盾。
    延命治療をしたがるのは、親孝行が足りないから。

    「余命6ヶ月と言われたら」エクササイズ 「お通夜」エクササイズ
    夫婦げんかも、相手が死ぬことを考えれば、怒りも収まる

    がんで死ぬのがいちばんいい。
    がんの一番の危険因子は加齢。年を取れば取るほどがんになりやすい。
    元気に死ぬためには、がんを治療しないで自然に死ぬこと。

    手遅れの状態で発見された末期がんは、そのとき痛みがなければ最後まで痛みが出

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    2014年01月24日
  • 思い通りの死に方

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    「大往生したけりゃ医療とかかわるな」の著者である中村医師と、医師で作家の久坂部さんの対談。自分も不惑を過ぎ親族の死が身近になってきたので非常に興味深く読ませてもらった。ほとんどみんな病院で死ぬのはどうなんだろうか?寝たきりで食べられなくなっても点滴だけでずっと生き続けているってのはどうなんだろう?などなどの疑問を感じたことがあれば本書はとても有意義な一冊だと思う。もちろん著者らは基本的に現代の医療、とくに終末医療に対して批判的な態度です。とくにガンの治療なんかに関して。そしてタイトルの「思い通りの死に方」というのは無理だ、という結論です。そもそも仏教では思い通りにならないものの4つの中に死があ

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    2014年01月13日
  • 破裂(上)

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    医療ミスの話。
    医者ももちろん人、神ではないので当然ミスも起こる。
    それが許されないから責任が重い。
    普通の職場と違い、命と直結した仕事だからこその話が重い。

    先が楽しみです。

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    2013年08月05日
  • 日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか

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    私はそんなに生きたくないです。
    だから書いてある内容には大賛成で、
    その時が来たら無理に延命する必要はないと思っている。

    こういう本って基本的に
    「生きられる限り何をしても生きる」って思っている人は
    手に取らないんじゃないかね。

    そもそも、寝たきりになっても管がいっぱいつけられても
    できる限り生きるっていう“問題”を作り出すのは
    無理して生きる必要がないと思う人間の意識であって・・・

    難しいね。で片付けちゃいけないけど、
    とりあえず、難しいね。ということでまとめます。

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    2013年07月10日
  • 日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか

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    いろいろと考えさせられる著作だった。
    延命治療が必ずしも本人のためになっていないどころか、逆に本人を苦しめることになっているとは。
    身内の死はもちろん、自分の死に時を真剣に考えなきゃいけないと思った。

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    2013年06月28日
  • 思い通りの死に方

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    誰もがいつかは死と向き合い、どう最後を過ごすかを選択しなければならない。
    そうなる前に、ぜひこの本を読んでおくことをお薦めする。
    延命治療や胃瘻などの選択もあり得る現代医学ではあるが、実際、医者は自分や自分の家族にはしたくはないと考えているそうだ。
    知識の乏しい患者の家族と多くの最後を看取ってきた医者との間で考えの相違があるのが当たり前であり、患者側の言いなりにならず、抗議を覚悟の上で熱心に説明してくれる医者にかかりたいと切実に思う。

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    2013年05月14日
  • 医療幻想 ―― 「思い込み」が患者を殺す

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    検診をすれば安心、薬を飲めば安心、診断がつけば安心、医者にかかれば安心、などなど。よく考えればそうでないことがわかるのに、そう思い込みたくなるこれらの「幻想」。これが患者を不幸にしているという主張には納得できる。
    「医者にかかるな」というような内容の本がよく売れるのもそのためであろうが、逆に言うと日本では医者にかかることは比較的容易であるということなのだろう。これ自体は幸福なことなのだが。

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    2013年05月12日
  • 神の手(下)

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    安楽死をめぐる医師や政治の話。人や世論や国が動いたのは結局はある人物の欲のためであった結末がなんともリアルかも。
    とは言え、もう少しこの本は話題になっても良いのではないか…。

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    2013年05月05日
  • 医療幻想 ―― 「思い込み」が患者を殺す

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    医療幻想の題名だが、患者が作る医療への幻想について、いくつかの観点から取り上げている本だった。著者が医者であり、また小説家でもあるので、医療事情にも詳しいことと、海外勤務からの経験から諸外国との比較の話もあり、興味深かった。

    本書を通じて、製薬会社、マスコミ、厚労省、学会、等々の医療の幻想を作る機関についても指摘しているが、筆者の言葉もかなりキャッチな言葉が並んでいるように感じた。その言葉が、エッセイのように読みやすさにもつながっているのでよいのではないかと思う。

    何はともあれ、医療や自分の死は人生で無関係ではいられないことなので、もう少ししっかり考えなくてはと自戒の思いになった本だった。

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    2013年04月03日
  • 医療幻想 ―― 「思い込み」が患者を殺す

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    ・消毒をするとかえって傷の治りを遅くする
    ・心不全の死亡率は、軽度の肥満の方が痩せた人より低い
    ・健康診断を熱心に受ける人は、受けない人より短命
    ・抗がん剤でがんは治らない。延命効果を期待するだけ
    ・レントゲン被曝
    ・メタボ健診
    ・ヒアルロン酸、コラーゲン…

    なかなか過激である。

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    2013年03月30日
  • 思い通りの死に方

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    面白いところだけ抜粋します。

    死にたい、という患者さんに「異常ないですね」というと、「まだ死ねないんですか」と言って怒る。

    70、80、と年をとると、どうしても前のように動けなくなる。「前のように動けなくなってきた」そんな人が病院にきても困る。病名もつけられない。

    「気持ちに体を合わせるのではなく、体に気持ちを合わせて欲しい」皆、自分だけは老衰にならず、まして病気にかからない、と思っている。

    サプリについて。「エビ、カニ、サメ、のなんたらを体に入れてなんとかなるなら摂れば?

    戦争のとき、「丁種不合格」で生き延びた97歳の、「早くしにたい」という老人がいる。「死ぬにはまだ不合格だな」と

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    2013年01月25日
  • 神の手(下)

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    安楽死の是非を巡る対立、利権。意外なセンセイの正体。人間の欲望が生命をも軽いものにするのか… 登場人物の相次ぐ死が生命の軽視に拍車をかけるようだった。

    もしかしたら、人間は余りにも自然の摂理と闘い過ぎてるのではないだろうか。自然に死を受け入れる達観を身に付けるのも一つの生き方ではないか。いろいろと考えさせられた。

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    2012年12月04日
  • 神の手(上)

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    安楽死を巡る賛成派と反対派の争いに巻き込まれていく外科医の白川。カギを握るセンセイの正体は… 深い医学知識に裏付けられた非常に面白い医学ミステリー。

    冒頭から描かれる末期癌患者の苦痛の描写。まるで読者に安楽死を容認させるが如く。医学が進み、昔ならば死を覚悟した病気でも、何とか延命される現代。完治であればよいのだが、身体的障害や苦痛を伴なう延命の場合、家族への負担は計り知れない。安楽死が是か否か… 下巻では答えが出るのだろうか。

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    2012年12月04日
  • 破裂(下)

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    医療ミスの背後には国家的な陰謀が。予想を超えるスケールで展開する医療ミステリー。現代日本の抱える重大問題である老齢化社会に深く斬り込んだ作品。死とは、老いとは、幸せとは何か深く考えさせられた。

    主人公と思われた元新聞記者の松野の殺害、正義の麻酔科医、江崎の転落という意表を突く展開に驚愕。見事なストーリー展開だ。

    医療機関に比べ、一般人が何とも不利なことか。余りにも真実味のある物語に医療に対する不信感が募る。そればかりか、国家機関への不信感、疑念も。

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    2012年12月04日