久坂部羊のレビュー一覧
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医療幻想の題名だが、患者が作る医療への幻想について、いくつかの観点から取り上げている本だった。著者が医者であり、また小説家でもあるので、医療事情にも詳しいことと、海外勤務からの経験から諸外国との比較の話もあり、興味深かった。
本書を通じて、製薬会社、マスコミ、厚労省、学会、等々の医療の幻想を作る機関についても指摘しているが、筆者の言葉もかなりキャッチな言葉が並んでいるように感じた。その言葉が、エッセイのように読みやすさにもつながっているのでよいのではないかと思う。
何はともあれ、医療や自分の死は人生で無関係ではいられないことなので、もう少ししっかり考えなくてはと自戒の思いになった本だった。 -
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面白いところだけ抜粋します。
死にたい、という患者さんに「異常ないですね」というと、「まだ死ねないんですか」と言って怒る。
70、80、と年をとると、どうしても前のように動けなくなる。「前のように動けなくなってきた」そんな人が病院にきても困る。病名もつけられない。
「気持ちに体を合わせるのではなく、体に気持ちを合わせて欲しい」皆、自分だけは老衰にならず、まして病気にかからない、と思っている。
サプリについて。「エビ、カニ、サメ、のなんたらを体に入れてなんとかなるなら摂れば?
戦争のとき、「丁種不合格」で生き延びた97歳の、「早くしにたい」という老人がいる。「死ぬにはまだ不合格だな」と -
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ネタバレ[ 内容 ]
何歳まで生きれば“ほどほどに”生きたことになるのか?
長寿をもてはやし抗加齢に踊る一方で、日本人は平均で男6.1年、女7.6年間の寝たきり生活を送る。
多くの人にとって長生きは苦しい。
人の寿命は不公平である。
だが「寿命を大切に生きる」ことは単なる長寿とはちがうはずだ。
どうすれば満足な死を得られるか。
元気なうちにさがしておく「死ぬのにうってつけの時」とは何か。
数々の老人の死を看取ってきた現役医師による“死に時”のすすめ。
[ 目次 ]
第1章 長生きは苦しいらしい
第2章 現代の「不老不死」考
第3章 長寿の危険に備えていますか
第4章 老後に安住の地はあるのか
第5章 -
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ネタバレ[ 内容 ]
心臓外科医が患者を四人連続死なせたがそれを「トレーニング」とうそぶいた(東京医大)、未熟な医師がマニュアルを見ながらの内視鏡手術で死なせた(慈恵医大青戸)、人工心肺の操作ミスで死なせたあとカルテを改竄(東京女子医大)…なぜ医療の最高峰ともいうべき大学病院は事故を繰り返し、患者の期待に応えられないのか。
その驚くべき実態と医師たちのホンネに迫り、医者と患者の間に立ちはだかる本質的な壁を浮き彫りにした。
[ 目次 ]
第1章 「大学病院だから安心」ではない
第2章 大学病院の言い分
第3章 大学病院は人体実験をするところか
第4章 必要悪「医局」を崩壊させたのはだれか
第5章 先祖 -
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作者は「廃用身」とともに一段と深刻化する高齢化社会に向けた警告を発している。「廃用身」での驚くべき発想は医学など門外漢の私には今にも実現できそうなリアリティを感じさせた。医学に関わる方の感想を伺いたいと思った。実際、介護の現場は壮絶なものだろう。医療の進化が産んだ弊害だと言われれば確かにそうだよなと納得させられそうになる。
老化に伴う各臓器機能の低下、脳機能の低下→医療に頼る→保険料の請求増化→賄う財源の確保は?
医者からするとお年寄りを、それもぼけちゃって家族からも見放されたような、長くベッドに繋げて置くだけで金が入るわけだが、(70歳以上の高齢者は医療費負担が一割…だったっけ、九割は保険 -
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久坂部さんの今までの小説をすでに読んでいるなら、もうわかりきったことが書かれている。『破裂』や『廃身用』なんか特に、彼の考え方が如実に表れているんだと、改めて実感した。いくら長生きはできても、寿命は決して変わらない、という事実にはハッとさせられた。寿命を迎えてから医療にすがった長生きは、死んでいる身体を無理やり生かせているだけ。長生きすればするだけ、1つずつ何かを諦めていかなくてはならない。例えば歩行。そして飲食。そして意思の疎通。何を諦めてでもいいから生きたいかを、意識しておかなくてはならない。気づけば心臓が動いているだけ・・なんてなりかねない。一度病院に頼ったら最後。まず、自然な死を迎える