久坂部羊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
介護施設で起こった入居者の転落事故。
たまたま事件前に施設に取材をしていたルポライターの美和は、事故に不可解なものを感じ、再度 施設の介護士たちに話を聞いた。
その中で、第一発見者の小柳は苦しんでいる高齢者は早く死なせてあげた方がいいという発言をしていた。
その後、立て続けに施設で起こる高齢者の死亡事故に、美和は小柳に疑惑を抱く。
しかし、小柳は掴みどころがないというか、本当のことを言っているのか、何を考えているのかわからない。
ただ、この話は現実の事件から着想しているということからも、決して絵空事ではない。
介護問題の根は深く、高齢化社会では避けて通れないことだと痛感する。
2025.9. -
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Posted by ブクログ
在宅医療専門の「あすなろクリニック」の医師と看護師たちが対する患者さんたちとの短編集。
最期は慣れ親しんだ自宅で迎えたいという末期がんや治る見込みの低い患者さんたち。
まだ在宅医療に入って間もない三沢医師と自宅のご遺体のエンゼルケアを完璧にこなす中嶋看護師との医療側でのやり取り。
そして、家で家族を介護する家族と医療側のやり取り。
末期癌やアルツハイマー、精神的な病にALSの難病まで、様々な患者さんのそれぞれの思いに寄り添いながら、大変という一言ではとても片付けられない現場。
家族との意志疎通も難しい。
寿命が長くなった現代、在宅介護は増えるかもしれない。
そんな未来に向けて、覚えておきたい一 -
Posted by ブクログ
●科学博士の書評指数:
楽しみ度:★☆☆☆☆
共感度 :★★★☆☆
学び度 :★★★★☆
話題度 :★★★☆☆
お薦め度:★★★☆☆
●概要:
医師としての経験をもとに,死の現実を冷静かつ具体的に描いた本になります.病気・老衰・事故など多様な死の形態を紹介し,延命治療の限界や死に向き合う心構えについて述べています.日本と海外の死生観の違いや比較も交え,死を避けるのではなく受け入れることの重要性を述べております.「どう生きるか」を医療の観点から考えさせる一冊と考えます.
●感想:
【1】 一番印象に残ったのが,筆者の若い時の患者に対する体験.患者を助けようと徹底的な医療を試みるのだが,無残に -
Posted by ブクログ
6篇からなる短編集。
久しぶりの久坂部羊さんのご著書。
今作はなぜか惹かれるものがあり手に取り読んでみた。
「闇の論文」
がんの診断のために行われる生検が、
がんの転移を引き起こす可能性がある。
その研究結果を公表すると意気込む医師。
ただ、すんなりとことは運ばない。
P93
〈だれもが医療を信じている。治る患者も、
治らない患者も、医療によって危険にさらされている患者さえも、
みな医療という神にすがろうとしている〉
「絵馬」
手術前に絵馬を奉納し
無事に手術が終わるよう祈る先輩医師。
その行いを馬鹿にする内科医。
医師も患者も、最後にすがるのは神なのか。
短編集なので、サクサク読むこ -
Posted by ブクログ
お医者様に少~しだけ関わる仕事をしているですが、お医者様もなかなか変わった方が多い職種だと未だに思っています。
でも、この本は完全に患者側が【怖い】の原因。
でも、パーソナリティに問題がある人ってお医者様だけでなくて、書いてあることするよね。
いずれも精神的なケアが必要な近くにいる人と何ら変わらなくて、より恐怖を感じる。
作中に出てくるような人、モブ出演含めて周りに結構な人数いる気がする。
この本の内容って、たまたま作者さんが現役の医師で患者と医者の立場であっただけ…というか、視点がお医者様だったというだけだと思って。
言うなれば、現役美容師とか現役CAとかどこの世界にもまん延しているヒトコワ