久坂部羊のレビュー一覧

  • 廃用身

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    26 久坂部羊さんのデビュー作。非常に良くできているが、衝撃的で後味も悪いので、強いてお勧めはしません。廃用身とは、脳梗塞等の麻痺で動かず回復しない手足のことで、2050年には、80歳以上が15%になること。他人事とは思えず読みました。

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    2020年04月10日
  • 悪医

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    医者と患者、それぞれの立場から医療について描かれています。
    医療って何?
    治療って何?
    わかりやすかったです。
    個人的には、健康関連のお仕事をしているし、親族に医者が多いので、さんざん考える機会があった方です。
    だから、この小説に出てくる患者さんたちが言う、「医療(治療)をやめるってことは、生きることを諦めるってってことだ」という思い込みにびっくりしました。
    でも、通常、風邪を引いたときも、なにか体に不安がある、、などがあれば、病院に行けばなんとかしてもらえる、、と思っている人には、びっくりする内容なのかもしれません。
    医療者、患者側を淡々と描いていますが、読みながら、「えっ、どっち?」などと

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    2020年04月05日
  • 悪医

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    現役の医師が描くだけあって、真実味がある。
    末期がンの患者に対する医師の本心と思いと現実。
    しかし、患者はもう治療法がないなんて受け入れられない。
    それでもと泣きつく患者に、正直に向き合うか適当に受け流すか…
    医師が考える残りの人生と患者が希望を捨てずにと向かう残りの人生にも大きな壁がある。
    おそらく、ずっと平行なのだろう。
    でも、医者も人間。自分も患者の立場になれば同じようになるのかもしれない。
    とても興味深い話だった。

    2020.1.28

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    2020年01月29日
  • 黒医

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    久坂部羊『黒医』角川文庫。

    7篇収録の医療の未来を描いたブラック短編集。

    爆発的な高齢者増加により貴重な働き盛りの若者が優遇される未来、生まれてくる子供が抱える障害に右往左往する夫婦、少年時代に女性器に異常な興味を持った産婦人科医……

    現実と創作の境目が解らなくなりそうなブラックな短編ばかりだが、物足りなさを感じる。

    本体価格640円
    ★★★★

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    2023年02月06日
  • テロリストの処方

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    勝ち組、何を持って勝ち組と言うのか。医療の隙をついて大儲けしていれば勝ち組?医療の世界を牛耳っていれば勝ち組?
    なるべく医者にかからずに過ごしたいのだけれど……

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    2019年12月16日
  • 廃用身

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    他校の高校生がビブリオバトルで紹介していた本です。「老乱」をはじめ、老人問題や介護問題に言及する医療系の小説の多い作者の、これもまた衝撃的な作品でした。

    脳梗塞などで身体に麻痺のある要介護老人たち。
    彼等のQOLや介護者の負担を減らすため、動かない手足を切断するという「治療法」を開発した医師と、彼を巡る社会の混乱を描いた作品です。
    一概にフィクションと言いきれないようなディテールの細さに加え、実際問題としてこれからの超高齢社会における「不安」を示している点など、読んでいて「ザワザワ」させられます。
    理想に燃える主人公と彼に賛同するスタッフ、一方で彼の独善だと批判するメディア双方の在り方が描か

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    2019年12月15日
  • 第五番 無痛II

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    ネタバレ

    *創陵大学准教授の菅井は患者の黒い肉腫に唖然とした。エイズに酷似するウイルスが骨を溶かし数日で全身に転移、意識障害で死に至らしめる。あらゆる薬が効かず数カ月で日本中にこの「新型カポジ肉腫」が多発したが国は無策で人々は恐慌した。一方ウィーンで天才医師・為頼がWHOの関連組織から陰謀の勧誘を受ける。ベストセラー『無痛』の続編*

    前作「無痛」も素晴らしい作品でしたが、今作も同様に読み応えたっぷりの作品に仕上がっています。と言うのも、平面的なストーリー展開ではなく、二面からなる奥の深い物語だからです。新型の病気の蔓延も終息も全てが企みだとしたら?と言う専門家ならではの切り口と、実際にその病に侵された

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    2019年12月04日
  • 破裂(下)

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    2004年に書かれたとは思えない程、現実的に今の世の中に問題を投げかける少子高齢化問題。15年経っても何も変わらない。でも、命の問題はどうにもならない。。

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    2019年12月01日
  • テロリストの処方

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    久坂部羊『テロリストの処方』集英社文庫。

    近未来の医療格差が広がる日本を舞台にした医療ミステリー。久坂部羊の初期作品はシリアスなものが多かったが、ここ数年ブラックユーモアを感じる作品が増えたように思う。本作もまた医療という深刻なテーマを扱いながら、ブラックユーモアを感じる作品であった。

    勝ち組の医師を狙う連続テロが発生し、医師から一転、医事評論家となった浜川はテロの主犯を同期の医師・塙ではないかと疑うが……

    本体価格620円
    ★★★★

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    2019年10月19日
  • 破裂(下)

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    医療ミス裁判、大学病院でのポジション争いとそれにまつわる保身、厚労省が水面下で進める人口調整のための高齢者のぽっくり死推進、これらが絡み合い物語は進む。本筋は大学病院の隠蔽体質を突く医療ミス裁判のようだが、一方で超高齢化社会をどう乗り切るのかを突きつけてくる。
    ハッピーエンドではないのだが、それゆえに読者に対してこの国の医療制度や先行きに疑問を投げかけているのが印象に残る。

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    2019年10月08日
  • 院長選挙

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    大学医学部の教授、付属病院の院長以下役職のお医者様方。ここまで灰汁の強い方はいないと思いたいが…いるような気もするし…言葉にする方はそんなにいなくても、ふと心に思う方はいるんだろうなぁ。とは思うけれど

    先生方!信じてますよ!!

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    2019年08月29日
  • 悪医

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    患者と医者の思いが、
    交錯しながら綴られていくのが
    面白かったです。

    小説だと、登場人物の考えとか、
    行動とかが一貫して同じになってしまうところ、
    この本の人達は、状況をいろいろに捉えて、
    現実っぽく考え行動していくところが、
    ノンフィクションを思わせました。

    がんを宣告されて、
    余命を充実させることができるのは、
    なにがしかの支えがあってこそなんでしょうね。

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    2019年06月16日
  • 告知

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    初めての久坂部羊さん。在宅医療の現場、辛く救われない事がほとんどなのだろうけど暗さを感じない。さらっと読めました。最期はこんな先生たちに診てもらえたら幸せだろうなと思う。

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    2019年05月30日
  • 告知

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    ほぼノンフィクション。在宅医療は良くなることのない患者の治療であるという事実が胸を衝く。しかし患者にとって病院は非日常で、自宅での生活が日常なのだということもまたあらためて思わされた。

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    2019年08月01日
  • 告知

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    ほぼノンフィクションといってよいだろう連作小説集。いつもの久坂部節ではなく、予定調和も解もなく、今そこにある終末医療の現実が淡々と語られる。その静謐さに圧倒された。

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    2019年03月21日
  • 告知

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    在宅医療クリニックに勤める看護師の視点で描いた、6編の連作医療小説。
    何れもリアル感に満ち、あとがきによると著者が在宅医療に携わった体験に基づいた実話だということで、納得。
    まず、1話目の「綿をつめる」で、死後処理の克明な描写に圧倒されてしまった。
    続いての認知症患者とその家族の「罪滅ぼし」には、涙腺を刺激され、「告知」では自分の場合ではと思い惑うが、「アロエのチカラ」には、そこまで縋りはしないのではないかと。
    「セカンド・ベスト」は、究極の問題=安楽死がテーマ。
    どのケースもいずれ、原題の「いつか、あなたも」の通り、自分の身に起こるかもしれない、起こるであろう問題。
    そうなった時どうする?と

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    2019年01月16日
  • 破裂(下)

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    安楽死合法化は理想的だと思ってしまった。
    佐山さん焦らずプロジェクト進めればよかったのに…
    佐山さんは悪者じゃない
    でも優生学的な世界になるのも怖いもんな〜

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    2019年01月14日
  • 告知

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    ネタバレ

    看護師から見た在宅医療の実態。ほぼノンフィクションだとか。

    医療の世界はドラマのようにはいかない。突然スーパードクターが現れて天才並みの手術を執刀して病気を治してしまうとか、医者と患者との間の感動物語とか、そんなものはフィクションなのか。
    本作は、1つ1つの話自体は地味なんだけど、だから余計にリアリティがあって、なんだか怖くなった。自分が介護する立場になった時、在宅医療を視野に入れた時、どうするだろう?著者が読者に向けて、問題を投げかけてるようにも思えた。

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    2018年12月17日
  • 第五番 無痛II

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    皮膚に黒いカリフラワーのような肉腫が出来、全身に転移し意識障害で死に至る新型の病気と、ウィーンで別人のように生まれ変わったサトミと再会する為頼医師、心神喪失と判定され刑務所を出所するも再び利用されようとしている、画家の弟子となったイバラ。厚くて登場人物も多いけれど読み易く濃密でとても引き込まれた。

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    2018年10月10日
  • 思い通りの死に方

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    【文章】
     とても読み易い
    【ハマり】
     ★★★★・
    【共感度】
     ★★★★★
    ・延命治療を行うのがよい事なのかは、患者本人次第
    ・安楽死が法的に認められる社会になるべき
     ・長く生きる事のみが尊いわけではないはず
    【気付き】
     ★★★・・

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    2018年07月29日