久坂部羊のレビュー一覧
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医者と患者、それぞれの立場から医療について描かれています。
医療って何?
治療って何?
わかりやすかったです。
個人的には、健康関連のお仕事をしているし、親族に医者が多いので、さんざん考える機会があった方です。
だから、この小説に出てくる患者さんたちが言う、「医療(治療)をやめるってことは、生きることを諦めるってってことだ」という思い込みにびっくりしました。
でも、通常、風邪を引いたときも、なにか体に不安がある、、などがあれば、病院に行けばなんとかしてもらえる、、と思っている人には、びっくりする内容なのかもしれません。
医療者、患者側を淡々と描いていますが、読みながら、「えっ、どっち?」などと -
Posted by ブクログ
他校の高校生がビブリオバトルで紹介していた本です。「老乱」をはじめ、老人問題や介護問題に言及する医療系の小説の多い作者の、これもまた衝撃的な作品でした。
脳梗塞などで身体に麻痺のある要介護老人たち。
彼等のQOLや介護者の負担を減らすため、動かない手足を切断するという「治療法」を開発した医師と、彼を巡る社会の混乱を描いた作品です。
一概にフィクションと言いきれないようなディテールの細さに加え、実際問題としてこれからの超高齢社会における「不安」を示している点など、読んでいて「ザワザワ」させられます。
理想に燃える主人公と彼に賛同するスタッフ、一方で彼の独善だと批判するメディア双方の在り方が描か -
Posted by ブクログ
ネタバレ*創陵大学准教授の菅井は患者の黒い肉腫に唖然とした。エイズに酷似するウイルスが骨を溶かし数日で全身に転移、意識障害で死に至らしめる。あらゆる薬が効かず数カ月で日本中にこの「新型カポジ肉腫」が多発したが国は無策で人々は恐慌した。一方ウィーンで天才医師・為頼がWHOの関連組織から陰謀の勧誘を受ける。ベストセラー『無痛』の続編*
前作「無痛」も素晴らしい作品でしたが、今作も同様に読み応えたっぷりの作品に仕上がっています。と言うのも、平面的なストーリー展開ではなく、二面からなる奥の深い物語だからです。新型の病気の蔓延も終息も全てが企みだとしたら?と言う専門家ならではの切り口と、実際にその病に侵された -
Posted by ブクログ
在宅医療クリニックに勤める看護師の視点で描いた、6編の連作医療小説。
何れもリアル感に満ち、あとがきによると著者が在宅医療に携わった体験に基づいた実話だということで、納得。
まず、1話目の「綿をつめる」で、死後処理の克明な描写に圧倒されてしまった。
続いての認知症患者とその家族の「罪滅ぼし」には、涙腺を刺激され、「告知」では自分の場合ではと思い惑うが、「アロエのチカラ」には、そこまで縋りはしないのではないかと。
「セカンド・ベスト」は、究極の問題=安楽死がテーマ。
どのケースもいずれ、原題の「いつか、あなたも」の通り、自分の身に起こるかもしれない、起こるであろう問題。
そうなった時どうする?と