あらすじ
国立大学の最高峰、天都大医学部の病院長・宇津々が謎の死を遂げた。自殺・謀殺説が囁かれる中、近く病院内で行われる新院長選挙。候補者は4教授。心臓至上主義の内科・徳富、内科嫌いの外科・大小路、収益の4割を稼ぐ眼科・百目鬼、改革派の整形外科・鴨下。誰が院長の座に? 選挙運動真っ盛り、院長の
死に疑問を持った警察が動き出した……。
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Posted by ブクログ
物語の舞台は国立大学の最高峰、天都大病院。そこの病院長が謎の死を遂げたので、次期新院長選挙が行われることになった。主人公は女性ライター、医療崩壊について記事を書こうと取材を申し込んだ…
ところが、新院長候補者は4教授いるが、心臓至上主義の内科・徳富、内科嫌いの外科・大小路、眼科・百目鬼、改革派の整形外科・鴨下。お互いに他の科をとにかくけなしあう。このさまが何とも滑稽でした。シビアな空気の白い巨塔を少しユーモラスにした感じかな、最終章のタイトルは『面白い巨塔』でした(笑)
例えば循環器内科の教授は、医学科にはメジャーな科(内科、外科、小児科、産婦人科)とマイナーな科(眼科、耳鼻科、皮膚科)があると言い切り、その中でも循環器内科は1番エース格。扱う臓器が人間で1番大事な心臓であり、脳や肺、肝臓や腎臓よりも扱いが難しく、心臓部を治す我々が一番偉いと言う。(その理由も長々と書かれているのが可笑しい)
さらに他の科の教授もそれなりの理屈で1番は自分の科で、他の科の悪口が止まらない…
・整形外科なんて骨と皮だけをいじる単なる修理業社
・泌尿器科はシモの臓器を扱う汚い科
・消化器外科は糞をいじるクソッタレの科
・眼科はひとつの臓器だけを診る狭い範囲でコセコセ治療する守備範囲の狭い科(耳鼻科は耳と鼻があると自慢)
・内科や外科は死ぬ病気が多く、救急外来も大変、楽で安全で儲かるのが眼科
担当科の医師が聞いたら激怒しそうな内容ばかり。
もちろん誇張はあると思うが、現役医者の久坂部羊だからこそ、実態に近いのかなあ…と想像できる。(久坂部さんは外科らしい)
果たして誰が院長の座に着くのか…
いつもいく大病院の循環器内科の先生に聞いてみたい。
『やっぱり循環器内科が1番偉いんですかね?』と(笑)
自慢が始まったらどうしよう…
Posted by ブクログ
久坂部さん範疇の医療作品だが、一味違うコメディ作品だが最後まで笑って一気読みする。大病院の医者、看護婦、薬剤師、事務・技師のカースト化された体制、又医者内でも細分化された診療科の優劣への拘りを背景とした次期院長選挙のストーリー。
次期院長を狙う、其々の診療科のトップでその診療科に近い派閥科を束ねる4人の副医院長の軋轢が子供の喧嘩レベルで笑える。「面白い巨塔」の章ネーミングセンスやダジャレの効いた登場人物の名前も壺にハマる。
エリート意識の高い医者の世界は、多かれ少なかれ差別意識、コンプレックス、優越感を抱えているのは良く聞く話で周りは笑えるが当の本人は真剣何だろうと思える。
舞台は、日本医療の頂点に君臨する天都大学医学部附属病院で宇津々医院長(緊急救命部長教授)が亡くなりその委員長の椅子を狙う副医院長4人
・徳富(循環器内科教授)
・大小路(消化器外科教科)
・鴨下(整形外科教授)
・百目鬼(眼科教授)
と医学部長の夢野(麻酔科教授)
が其々近い診療科の教授連と共に派閥を作り選挙での医院長の座を狙う。
徳富:メジャー4科以外はマイナー科でメジャー科の中でも上ランクの内科が一番、内科の中でも唯一絶対の心臓を扱う循環器内科が一番と疑わ無い、先人教授の残物を隠して教授部屋を鏡貼りにして過ごす研究好き。
大小路:外科医としてずば抜けた実績を持ち手術後の備え付け風呂に浸かるのが至福の時間だが、女子風呂設置で男風呂が狭くなって事に不満を抱える。又、女好きで有名。
・鴨下:自称若手組ホープでイケイケ気質で百目鬼と犬猿の仲
・百目鬼:白内障手術等で病院の利益に最大に貢献しているのが自慢の守銭奴のあだ名を持ち鴨下と犬猿の仲
この4人が表裏何処の場でも織りなす相手を貶す口喧嘩が面白い。
ストーリーとしては最後、医学部長の夢野が漁夫の利を得て医院長を兼務すると思いきや、陰で4人のスキャンダルを調べ陥れ且つ、宇津々医院長殺しの犯人で捕まり終える。
Posted by ブクログ
久坂部羊『院長選挙』幻冬舎文庫。
大病院に行くのが怖くなるようなブラック医療コメディ。医者と言えど、人間だから色々な性格や精神構造の方が居て当たり前なのだが、社会的地位の高さや恵まれた生活環境により、一般人より性格の悪い部分だけが増長されるのかも知れない。それにしても、こんな病院には絶対に行きたくないぞ!(^_^)
天都大医学部の病院長、宇津々が謎の死を遂げ、近々、病院内で新院長選挙が行われることに。候補者の4教授はいずれも歪んだ性格の変人ばかりで、互いに足を引っ張り合い、新院長の座を譲らないのだが……
本体価格600円
★★★★★
Posted by ブクログ
国立大学の最高峰といわれる天都大学医学部付属病院(天大病院)の院長が謎の死を遂げ、次の院長候補の副院長4人が選挙に向けて動き出す。
そんな天大病院に「医療崩壊」をテーマに、ノンフィクションライターの吉沢アスカが乗り込む。
ちょうど院長選挙に絡めての取材にもなり、面白い記事が書けるのではないかという思いもあったが…
なんとも破天荒でメチャクチャな副院長たちに、愕然とする。
とてもじゃないけど、これが天下の大学病院の医師なのかと疑問じゃなくて、恐怖を感じる。
登場人物の名前も面白く付けられていて、それぞれのキャラの濃さも読み応えがあった。
2025.5.8
Posted by ブクログ
最後まで面白く読ませていただきました。院長選挙を題材としてとんでもない医者の実態が面白く書かれてあります。この作者の他の作品もよんでみたいです。
Posted by ブクログ
大学医学部の教授、付属病院の院長以下役職のお医者様方。ここまで灰汁の強い方はいないと思いたいが…いるような気もするし…言葉にする方はそんなにいなくても、ふと心に思う方はいるんだろうなぁ。とは思うけれど
先生方!信じてますよ!!
Posted by ブクログ
急死した大学病院の地位を巡って、各科の副院長がお互いを罵りながら院長を目指す笑える話。
おそらく、本当の病院の偉い人達もこのレベルなんだろうなと思いながら読んだ。
現場はたいへんなのに何をやってるんだか、と呆れながら笑いたい人には向いている本。
Posted by ブクログ
国立大学の最高峰、天都大医学部の病院長・宇津々が謎の死を遂げた。自殺・謀殺説が囁かれる中、近く病院内で行われる新院長選挙。候補者は4教授。心臓至上主義の内科・徳富、内科嫌いの外科・大小路、収益の4割を稼ぐ眼科・百目鬼、改革派の整形外科・鴨下。誰が院長の座に?選挙運動真っ盛り、院長の死に疑問を持った警察が動き出した…。超エリート大学病院の医師たちの、序列と差別、傲慢と卑屈だけを描いた抱腹絶倒の医療小説!
Posted by ブクログ
不真面目なほうの久坂部さん(笑)。真面目に書いているとはとても思えないほどふざけています。登場する医師の名前はほとんどが誰かをパロったもの。章のタイトルが『面白い巨塔』だったりして、吉本興業ばり。フィクションのふりをした暴露本なのかもしれません。どの医師も自分の専門こそいちばん偉いと思っていて、内心はお互いを蔑み合っているなんて。信頼できる医師はここには誰もいないし、誰が院長になっても困りもの。腕の悪い人格者より腕の良いゲス野郎が選ばれるってねぇ、でもまぁそういうことになっちゃうか。
先がよめてしまった
院長達のキャラクターが生き生きとしていて読んでいて楽しかった。
ただ途中から展開が読めてしまい少し残念だった。
登場人物が多くて最初の目次で戸惑ったが自然と読んでいるうちに頭に入ってくるので問題なく読めた。