久坂部羊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久坂部羊『善医の罪』文春文庫。
実際に起きた事件をモデルにしたフィクションのようだが、フィクションであるならば、このようなグレーな結末でお茶を濁さず、もっとスッキリとした結末を描いて欲しかった。
終末期医療をテーマにした医療&法廷サスペンスということで読む前には非常に興味があったのだが、いつまでも足踏み状態が続くストーリー展開の遅さにイライラ感が募る作品だった。
脳外科医の白石ルネはクモ膜下出血で意識不明の状態で搬送されてきた66歳の横川達男を蘇生させ、懸命の治療を行うが、数日後に多臓器不全となり、家族の同意のもと延命治療を中止する。
家族立会いのもとルネは、ほぼ脳死の状態にある横川の気管チューブを抜いて尊厳死に導こうとしたのだが、うめき声を上げる横川に動揺したルネは筋弛緩剤を点滴し、うめき声を止めようとする。横川のうめき声は収まり、ようやく死を迎える。
それから3年後、白石ルネを嫌う麻酔科医長の大牟田寿人は、看護師からルネが過去に横川という患者を積極的に安楽死させていたことを聞き、自めらの待遇改善と引き換えに、そのことを病院側に告発する。やがて、そのことはマスコミにも知られ、ルネは逮捕、起訴され、ルネの罪は裁判で判断されることになる。果たして、白石ルネは有罪なのか、それとも無罪なのか。
アメリカに尻尾を振りまくる日本のおバカな首相は、異次元の少子化と騒ぐだけ騒いでおきながら結局は何も出来ず、既に末期状態にある超高齢化社会については全く眼中に無いようだ。
そして今まさに日本は、医学の進歩、医療の高度化により、昔なら既に亡くなっていてもおかしくない高齢者を救命し、さらには延命させる一方で、高齢者をケアする手が足りないというジレンマに陥っている。高齢者施設は常に何十人、何百人という入所待ちの状態で、高齢者は命のあるうちに施設に入所出来るのかどうかという笑うに笑えない状況である。
以前、社会問題になった待機児童については異次元の少子化も手伝い、どうやら自然解決したようだ。これからは待機老人が社会問題になるだろう。
そんな中、高齢者の延命治療についてはデリケートであるが、自らが高齢者となった時に備えて、真剣に考えなければならない問題である。身体中にチューブを付けられ、自発呼吸もままならぬ状態で生きながらえるのが良いのか、尊厳死或いは安楽死を選択するのが良いのか。また、どこまでの延命治療を求めるかということも、予め自分の考えを家族に伝えておきたい。
自分の父親は、昨年、生死の境目をさまよった際に家族宛に残した書類の中に発見した『一切の延命治療は拒否する』という家族と主治医宛の書物によりその潔さに驚き、あらためて父親への尊敬の念を深めた。
自分自身も還暦を迎え、自らの死という現実にも向き合わなければならないと思い、最近、大規模な断捨離を決行した。1万5千冊以上の蔵書は全て売却し、趣味の道具なども最低限を残して廃棄した。その上で父親にもならい、5年日記を付け始めた。日記を付けながら、少しずつ自分自身の考えを整理し、来たるべき死に備えておきたいと考えたのだ。
本体価格980円
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Posted by ブクログ
久坂部羊『怖い患者』集英社文庫。
5編収録の毒気に満ちた患者や医師たちを描いたブラックなイヤミス短編集。もう少し面白いストーリーを期待したのだが、少し期待外れだった。
『天罰あげる』。最近はメンタル的な問題を抱える人たちが多いように思う。世にあふれる情報の洪水、ストレスやプレッシャーなどが原因だろうか。何とも嫌な結末。本作の主人公の区役所勤務の愛子は同僚の陰口を聞いたことを切っ掛けに度々発作を起こすようになる。区役所を休職し、心療内科を受診するが、思うような答えと結果が得られず、ドクターショッピングを繰り返す。やがて、気に入った心療内科が見付かり、定期通院するのだが……★★★★
『蜜の味』。他人の不幸は蜜の味。隣の芝生は青いとやっかみながら、近隣の不幸の噂に喜々とする。世の中なぞ、そんなものだ。自分さえ良ければと思う人間の多い世の中。医師になって4年目の美人外科医が主人公。患者の不幸に僅かな喜びを感じるようになるが、順風満帆の人生を過ごすうちに、いつしか自分の不幸を願いようになる。しかし、なかなか不幸は訪れず、むしろ幸運にばかり恵まれるという皮肉。そんな美人外科医が味わう悲劇とは……★★★★
『ご主人さまへ』。妊娠という不安の中で他人のことが気になる余りに変調をきたす主婦の様子がリアル。二人目を妊娠した主婦の主人に届いた誹謗中傷の手紙。手紙を読んだ主婦は疑心暗鬼と不安にさいなまれる。★★★
『老人の園』。間もなく超高齢化社会が到来し、介護施設や老人ホームに入れない待機児童ならぬ待機老人が社会にあふれるのではなかろうか。今でさえ、特別養護老人ホームへの入所希望者は何百人待ちという状況で介護認定を受けて、介護レベルが高くないとなかなか入所出来ない。入所を待つうちに亡くなってしまう老人も居るに違いない。そんな介護施設を併設する高齢者向けのクリニックに集まる老人たちのブラックな物語。様々な症状の老人たちの揉め事の果てに……★★★
『注目の的』。薬やワクチンの副作用は恐ろしい。新型コロナウイルスの3回目を接種した後、吐気と動悸に苦しめられた。いつもは何ともない階段の昇降時に心臓がバクバク鳴り、寝ている時にも激しい動悸で心臓が止まるかと思った。症状は3週間くらいで収まったが、ワクチンでこんな酷い思いをしたのは初めてだった。ヘルペスの治療薬による副作用に苦しむ患者たち。しかし、その裏には……★★★
本体価格640円
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Posted by ブクログ
本書の説明文には、「健康診断を毎年受けると短命に? 牛乳を飲みすぎると骨折する?」などと書いてあったので、ライトな雑学的な内容だと思って読んでみたが、エンタメ度はあまり高くなく、割としっかりとした真面目な内容であった。
宣伝やニセの健康情報に騙されない様にというスタンスで書かれているので好感が持てた。
個人的に読んで良かったと思うのはモーツァルトの左耳の異形の話である。モーツァルトの息子、フランツが、モーツァルトの弟子であるジュスマイヤーの子供ではないかという噂話があるが、フランツはモーツァルトと同じ異形の耳だったことから、モーツァルトの子供と判明したことが書かれていた。モーツァルトの関連本は何十冊も読んでいるが、これは初耳だったので、知ることができて良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ寿命を決める要因=テロメア説、心拍数説など。
健康寿命を延ばそうとするとおのずと平均寿命が延びる=差は短くならない。
健康寿命は、国民生活基礎調査で主指標と副指標のアンケートをもとに、サリバン法で算出。
低めのカロリー摂取=栄養不足はほとんどの動物で新陳代謝が減るため寿命が延びる。
がんは上皮細胞にできるもの。それ以外の細胞は肉腫という。子宮がんと子宮肉腫、これの良性のものが子宮筋腫。
がんは切った際には細胞レベルでは転移している。再発は目に見えるくらいの大きさになっただけ。
サーチュイン遺伝子で長寿化が証明されているのは線虫とショウジョウバエと酵母だけ。
医者は治療しないと何もしないといわれるので治療する。
死を受けいれる。
下顎呼吸は1~2時間続くが苦しくない。
通常の量が食べられなくなるのは死が近づいている証拠。活動量が減る。無理には外出しない。
がんは治療しなければだいたい1~2年で死ぬ。むやみに長生きしないことがいいこと。
ぽっくり死は心筋梗塞やクモ膜下出血などでできるが、猛烈に痛い。
老衰も、不自由で不如意な長い日々を送ることになる。
水木しげるの「一つ目小僧」=一つ目なら子供と同様今しか見られないから心配がなくなる。
検査被ばくによるがん患者が世界でダントツに多い。前漢患者の3%以上。英米の3~5倍。CTスキャンは世界の30%が日本にある。1回の検査で年間自然被ばく量の2.5~15倍被ばくする。
モーツァルトは高熱の時瀉血をしてなくなった。
治らない病気を無理に治そうとしない。いったんスイッチが入ったら、治療しても死ぬものは死ぬ。
芥川龍之介『芋粥』=過ぎたるは及ばざるがごとし。命も同じ。いつまでも死なない、と思ったら生きていることの価値が薄れる。
自分の人生をつらいことで満たす。そのことで人生が輝きいつまでも元気でいられる。
「人生の夕日」はまたいいもの=若いころの欲がなくなって邪心が消える。
富士正晴氏のエッセイ。
飛行機が着陸するように生きる。老化で弱るのは準備。
時間は有効に使おうと思えば思うほど、足りなくなる。何もせずにおこう、と決めると一一が長くて困るほど。
健康はお金と似ている。多くの人が求める。それを得ることが目的になりやすい。なくなることへの恐怖がある。ある程度たまったら満足する心の準備をすること。
ある年齢を超えたら、もう十分だと思って2年間に備える。その間にしたいことをする。
医療には近づかない。延命治療は受けない。
将来の心配ばかりしない。”いつまでも元気で長生き”の呪文に縛られない。