久坂部羊のレビュー一覧
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代々若くして死を迎える医師の家系土岐一族。
祝葬・真令子・ミンナ死ヌノダ・希望の御旗・忌寿
の5つの短編集のように描いているが、4番目までは土岐一族の一人ずつが主人公で、死までの物語となっている。長編好きの自分には、気持ちよく入り込めないばらばらな世界だった。
希望の御旗は、この作者の『悪医』にもあるように、ガン治療(根治を目指す治療と、治療によって命を縮める矛盾)の難しさを改めて感じる。
最後の話、忌寿で、西暦2068年の世界にとんで、一つの大きな物語として納得できる気がした。
病の診療、死、寿命、長生き、それらを考えさせるこの作者らしい作品。
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読書録「嗤う名医」4
著者 久坂部羊
出版 集英社文庫
p259より引用
“「ほんとうさ。疋田教授は学会の基準地決
定に影響力があるだろ。彼の一声で中性脂肪
の基準値が一〇ミリグラム下がれば、薬の売
り上げが億単位で伸びるんだ。だから、製薬
会社からな」”
目次より抜粋引用
“寝たきりの殺意
シリコン
至高の名医
愛ドクロ
名医の微笑”
医療や病院界隈で起こる事件を描く、短編
小説集。全六編。同社刊行作文庫版。
不便な体でありながらも、日課の運動をこなす男性。努力しても動かない下半身とあまり関係の良くない息子の嫁とのやり取りにいら立つが…。(寝たきりの殺意)
上記の引用 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2021/12/26予約 5
R.I.P
Rest In Peace
安らかに眠れ
同じ年に産まれた兄二人を持つ、薫子は下の兄、村瀬真也が嘱託殺人で捕まり、とうてい本当の話とは信じられなかった。できることをするべき、とかつて診てくれていた心療内科のドクターにアドバイスされ、自力で動き始める。
母が病院に行くことを拒否する時、無理に治療を受けさせるのが親孝行ではない。本人が望むことをさせるのが、親孝行。世間一般で良しとされても、母が嫌がることはしたくなかった。
自殺を否定するわけではなく、自殺をすることの全否定を否定したかった。本当の思いやりとは?
生きるのが辛い人に行う殺人は、競走 -
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ネタバレ医療系ミステリー。600ページ以上の長編でグロい場面もあるが、話がどんどん進んでいくので、すぐ読めた。読後の印象は「キャラクターが白黒はっきりしすぎ」ていることと「不快」。
結末が中途半端だと思ったら、続編があるらしい。以下、気になった点は、続編で回収されるのか?
・海外に逃亡した白神とサトミはその後どうなったのか?
・白神がサトミを治療して一緒にいる動機は?イバラと同様、サトミを殺人者に仕立てるつもりなのか?
・白神の「臓器に興奮する感覚」は、その後どうなったのか?
・熱田はどうなったのか?
・逃亡したイバラはその後どうなったのか?
気になるが、続編は読むかどうかわからない。