久坂部羊のレビュー一覧
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著者のデビュー作『廃用身』に度肝を抜かれ、その後のいずれの作品にも衝撃を受けました。いちばん最近読んだ『嗤う名医』で初めて短編を読み、その腕にも唸りました。本作はそんな著者による芥川龍之介作品のパロディ。登場順に(括弧内が芥川の元ネタ)、『病院の中』(『藪の中』)、『他生門』(『羅生門』)、『耳』(『鼻』)、『クモの意図』(『蜘蛛の糸』)、『極楽変』(『地獄変』)、『バナナ粥』(『芋粥』)、『或利口の一生』(『或阿呆の一生』)。最終話の『或利口の一生』に「パクリ」という項があり、そこに著者の本音がそのまま記されているようです。「小説というものは自分で筋を考えなければならないものだと思っていたの
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Posted by ブクログ
死に至る新型ウィルスが日本で発生する。
同時期、遠く離れた外国で医師たちが連続して殺害されるという事件が発生。
為頼はかつて日本で起きた一家四人惨殺事件で知り合った少女と再会を果たし、彼女の治療に手を貸すことになる。
医学界の暗部とも思える謀略と、それらの事柄がひとつに繋がったときに見えてくるものは為頼にとっては到底受け入れられるものではなかった。
前作を上回る壮大なスケール・・・と言ってしまえればいいのだろうが。
大風呂敷を広げすぎて、結果的にきちんと終われていない物語のように感じてしまった。
為頼のキャラクターも変わってしまっている。
確かに登場人物の一部は前作と繋がっているけれど、主人公 -
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6篇からなる短編集。
この作品も読みやすくスラスラ進む。
短編なので、やや物足りない感もあるが、軽く読みたいときには手頃だろう。
寝たきりの殺意
寝たきり状態となった男が、世話をする嫁に対する不満を募らせる。嫁は男のことを痴呆だと嘘をついて嫌がらせをしていると、往診の医師に訴える。
シリコン
豊胸手術を受け、胸部にシリコンを注入された女。はじめはうっとりする程美しく膨らんだ胸が、次第にボコボコとし腫瘤のようなものが触れるようになった。癌ではないかと不安になり、女は病院へ行く。
至高の名医
腕が良く、ゴッドハンドともてはやされる外科医の男は、常に仕事に対し厳しく向き合っていた。あるとき、担 -
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下巻に入り、当初の安楽死の問題よりも医師会問題に重点が置かれたようになる。
そのため、興味を持ちきれない。
途中にはさまれる白川とは別の安楽死反対派の医師が、苦しむ患者を前に安楽死を決断出来ない状況の描写は、医師ならではの生々しい残酷さで読者を引き込む。
この作品では、多くのひとが死んでいく。殺されたり自殺したり。
安楽死と医師会の問題に巻き込まれ、ひとが実際に死んでしまうことはあるのだろうけれど、警察も余り捜査をしていなかったり、犯人がどういう手口で犯行を行ったのかが重視されていない。
ひとが死んでいるのに、あっさり過ぎてしまうということに、ひとの命を雑に扱っている印象を受け、読んでいて気 -
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安楽死と医師会に焦点を絞った、久坂部羊さんらしい医療への問題を掲げた作品。
21歳の末期癌患者である若者の除ききれない激痛と向き合う主治医白川。
付き添いをしている伯母の頼みもあり、患者自身の意思を確認したため、安楽死を決断する。
しかし、殆ど見舞いにも訪れなかった母親によって告発される。
安楽死の四要件(P46)
患者が耐えがたい肉体的苦痛に苦しんでいること。
苦痛を除去する方法を尽くし、ほかに代替手段がないこと。
生命の短縮を承諾する本人の、明示的な意思表示があること。
死が避けられず、死期が迫っていること。
白川も感じているが、この要件って少しおかしい。
痛みがあって苦しんでいて、