久坂部羊のレビュー一覧

  • 寿命が尽きる2年前

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    著者と同じように管に繋がれ生かされている状態より、程々で死んでいきたい、とはよく思う。
    相反するが、著者が急にもう死ぬかも、と感じた時、生きたいと思った、と書いてあった。
    今までの持論を覆すことになっても真実を書くところに好感を抱き、お医者さんでもそうなのか、としみじみ感じた。
    なので自分がこの先、ジタバタしても仕方ないか、とも思った。
    死に際が素晴らしかった身内のことを思うと、改めてすごかったなと思う。

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    2024年03月03日
  • 嗤う名医

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    ネタバレ

    短編集。
    手術シーンとか妙にリアルやと思ったら作者もお医者さんらしい。
    1番面白かったのはシリコンと至高の名医かなあ。
    シリコンは豊胸手術に失敗した女性がシリコン除去手術を受けるものの適当な処置をされて胸まるごと失ってしまって絶望…ていう話。
    あまりにも女性が哀れやし手術にあたった医師と看護師が嫌な奴やねんけどちゃんと報復もあってスッキリするラストで良かった。
    至高の名医は主人公の医師が自分にも他人にも厳しくてなんかいいキャラしてた。
    そんな彼が心底怯える出来事に初めてぶつかることで角が取れて丸くなるのが面白かった。
    理由もまさか周りが聞くと彼が?!て思うようなことで…(女遊びに無縁やったの

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    2024年02月28日
  • 祝葬

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    ネタバレ

    著者は阪大医学部卒の医師。
    著者自身が疑問に思っているのであろう、行き過ぎた医療行為に一石を投じる趣旨の小説。
    短命の医師の家系のそれぞれにスポットライトが当てられるオムニバス。
    ある者は死に怯え続け、死を救いのように考え、同じような希死念慮に囚われた恋人に"救済として"安楽死させられる。
    ある者は、自身が見てきた延命医療行為に対する疑問から、自身の病気には一切治療をせず病死する。
    ある者は、自身が長年推し進めた、がんの検診、切除手術、あらゆる延命のための治療を自身のがんにも徹底的に適応し、壮絶な末路を辿る。
    最終話は遠くない未来。医療は発達し、延命治療も同じく進化。無理矢

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    2024年01月28日
  • 破裂(上)

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    上下を通して一気読み。
    医師出身の作者というバックグラウンド。

    ストーリー自体はさくさく進んでいくし、主要人物には記述が多いので混同もせず、混乱せず読みやすい。

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    2024年01月10日
  • 無痛

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    看護師さんから面白いとすすめられ読みました。
    表現がグロテスクと感じるところもありましたが、グッと入り込める内容で面白かったです。
    無痛IIがあると知り、さっそく読んでみたいと思います。

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    2024年01月07日
  • 破裂(下)

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    上巻に続いて一気読み。

    ミステリーとして読むには、途中から展開が予想できてしまったところもあって、ちょっと不完全燃焼。

    キャラが全員すごく立っているんだけれども、地の文に誘導されるようなところもあり、先入観を持って読み進めてしまったところもあるのかなあと。

    主題に関わる、医療ミスなり、高齢者問題なりは、難しい問題。倫理的にはそうかもしれんが、社会的には何が悪、というか問題なのかは議論がつきない。

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    2024年01月07日
  • 砂の宮殿

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    先が気になりどんどん読み進めれる小説で、なかなか面白かった。
    患者に何か起こってしまうのか?と思わせぶりな展開で話は進んで行き、終盤からはミステリー小説の色が濃くになって行きました。
    事件の真相暴露が少しあっさりし過ぎでは?とも思いましたが、犯人らしくても実は犯人ではなさそうな人が犯人で、そう来るかぁ!?と思いました。
    エピローグはもう少し深堀して欲しかったです。容易に顛末が想像出来る終わり方でしたが、良しとしましょう。

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    2024年01月05日
  • 無痛

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    刑法39条について深く考えさせられました…
    あまり関わることの少ない医療現場の実態が生々しく描かれていて読み応え抜群でした。

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    2024年01月02日
  • 老乱

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    怖いねえ。
    自分が、自分の家族がこうなるかもしれないのが怖い。
    介護する側とされる側の心境両方に頷く。
    逆アルジャーノンかもしれない。
    幸造はこれで幸せだったのか、はきっと誰もわからない。
    幸造自身ですらわからないかも。

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    2023年11月28日
  • MR(上)

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    天保製薬堺営業所で働くMR達。薬を病院で使ってもらうために大変な思いをしている。医者って、患者ファーストの人って本当にいないのだろうか。
    下巻は、大きな問題に立ち向かっていくので、読みごたえがありそう。

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    2023年10月31日
  • 砂の宮殿

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    癌の先進医療をテーマにした作品で保険医療との関係性が学べ、最近歯医者通いで自由治療と保険治療の差を痛感する身としては、生死を分ける癌治療のある意味闇に触れる思いで完読。
    医師の医療に対する考え方の違い、臨床研究と治験医療、検査と治療、専門医科等々の立場による違いで千差万別の治療が有ると感じる。深刻な病状を患者へ告知に関しても主人公の才所も悩み、父の死を教訓とした考えも恋人を真逆の考えで亡くし結局、患者其々の考え方に依ると悟る。

    カエサル・パレスクリニックは理事長のロボット(ダビィンチ)の使い手外科医の才所を筆頭に放射線科女医の有本、腫瘍内科の趙、予防医学の小坂田3人の理事で癌細胞の見える化C

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    2023年10月17日
  • 黒医

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    誰も悪くはない、ないからラストはポッカリ穴が開く「無脳児─」。嫌らしさにゾクっとする「のぞき穴」。この男にとって最高の自己満足、まさに黒医。この二篇は出来がいいと思った。見えない部分が綺麗じゃないことは誰しもわかってる。この短編をどこか楽しんでいる君も黒いんだよって? それもわかってる。

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    2023年09月20日
  • 怖い患者

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    清々しいほどのバッドエンドばかりで、どんな心情の時にこれを読めばしっくりくるのか良く分かりません。各患者に出された診断も物語の何処かで示されていたら良かったかも!?

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    2023年08月29日
  • 怖い患者

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    最後の最後に本当の怖さがわかる、怖い患者達の短編集。人の心が体に与える影響の大きさ、思い込みの怖さを充分に感じられた。

    「天罰あげる」「蜜の味」「ご主人様へ」「老人の園」「注目の的」

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    2023年08月29日
  • 善医の罪

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    久坂部羊『善医の罪』文春文庫。

    実際に起きた事件をモデルにしたフィクションのようだが、フィクションであるならば、このようなグレーな結末でお茶を濁さず、もっとスッキリとした結末を描いて欲しかった。

    終末期医療をテーマにした医療&法廷サスペンスということで読む前には非常に興味があったのだが、いつまでも足踏み状態が続くストーリー展開の遅さにイライラ感が募る作品だった。


    脳外科医の白石ルネはクモ膜下出血で意識不明の状態で搬送されてきた66歳の横川達男を蘇生させ、懸命の治療を行うが、数日後に多臓器不全となり、家族の同意のもと延命治療を中止する。

    家族立会いのもとルネは、ほぼ脳死の状態にある横川

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    2023年08月20日
  • 黒医

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    なんというか…面白くもないし、すっきりするわけでもないし、腹が立つわけでもない。もちろん感動なんかしない。どうしてこんな本を書くの?

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    2023年08月19日
  • 第五番 無痛II

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    ネタバレ

    無痛の続篇長編小説。

    無痛が最後 犯人イバラの逃亡で終わったので、その直後から始まると思いきや数年経ったところからだったので ちょっとビックリ。
    逃亡した直後の様子はなしで 刑を終えて出所していたので それもビックリ。

    今回は新型ウイルスがメインテーマだが、登場人物は無痛のままで、新たに数名が加わる感じ。
    医療の意味を深堀することがテーマにもなっており、犯罪小説しての部分は二の次の様に感じた。

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    2023年08月14日
  • 怖い患者

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    久坂部羊『怖い患者』集英社文庫。

    5編収録の毒気に満ちた患者や医師たちを描いたブラックなイヤミス短編集。もう少し面白いストーリーを期待したのだが、少し期待外れだった。

    『天罰あげる』。最近はメンタル的な問題を抱える人たちが多いように思う。世にあふれる情報の洪水、ストレスやプレッシャーなどが原因だろうか。何とも嫌な結末。本作の主人公の区役所勤務の愛子は同僚の陰口を聞いたことを切っ掛けに度々発作を起こすようになる。区役所を休職し、心療内科を受診するが、思うような答えと結果が得られず、ドクターショッピングを繰り返す。やがて、気に入った心療内科が見付かり、定期通院するのだが……★★★★

    『蜜の味

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    2023年08月03日
  • 怖い患者

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    信頼できない語り手なので、落ちがどうなるのかドキドキする。
    どれもまあ予想どおりのラストなんだけど、後味は悪くて良いです。

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    2023年08月03日
  • 砂の宮殿

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    ネタバレ

    最初は難しい医学用語が飛び交い読みにくいかも…と思っていたけれど、物語が進むに連れてぐいぐいと引き込まれていった。末期癌の患者に真実を告げるべきか希望をもたせるようにするべきか…大きな石を心の深いところに投げられた気分になった。ひさしぶりに小説を読んで考えさせられる作品に出会った。そんな1冊。
    砂の宮殿はタイトル通りの話だった。

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    2023年07月12日