久坂部羊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
くも膜下出血の終末期医療を行った医師が、悪意も落ち度もなかったにもかかわらず、周辺の思惑に押し流され、殺人罪で有罪判決を受ける。
実際に起きた事件を元に書かれたという本書は、安楽死、尊厳死が制度化されていないために、終末期医療の現場で医師たちが負わされている過大なリスクと責任を如実に示した。
本書は返す刀で司法制度の欠陥にも切り込んでいる。
人の死をタブー視し必要な議論を避ける風潮は、防衛論議とも共通する。
悪意というか、保身と視野狭窄に陥った人物ばかり登場する展開に辟易とするが、控訴審に向かう主人公たち、特に宗旨替えした雑誌記者の存在は、そんな現実に対する作者のわずかな希望の象徴とも -
Posted by ブクログ
事実を基にしたフィクションとのこと。
それだけに真に迫った説得力があり、死を肯定する安楽死や尊厳死の問題に目を向けない世間に対し、鋭く問いかけるサスペンス。
主人公の女医白石ルネが担当する患者が、これ以上生存の見込みがない状態に陥る。延命治療を断っていた患者を思い、最善の治療を行うが、その甲斐無く死に至る。
その死がマスコミにリークされ、安楽死の疑いがかけられる。患者の死が発端となり、賠償金を狙う患者の家族や、死の責任を医師個人に押しつけようとする病院、同僚や看護師の裏切り、医療の専門知識が無いまま彼女に罪をかぶせる警察と検察。
様々な思惑が絡み合い、やがて起訴され裁判に持ち込まれる。己の信じ -
Posted by ブクログ
ある医師の講演を聞き、認知症の父親を施設から自宅へ引き取ることにした好太郎。
好太郎は影響を受けやすいタイプだ。
良いと思ったら一直線。
そして、すぐに焦って先走るタイプでもある。
それが介護の中にも出ている。
それにしても、介護はやっぱり大変だと思わざるを得ない。
好太郎の性格や腹が立つけど個性的なマンションの住民たち。
それがまたリアルでユーモアもあるけど、笑えない。
家族だけでなく、地域からの冷たい対応…
これから、高齢化社会になっていき、誰もが向き合うことになる可能性も高い認知症なのに、そんな風に扱われるの?と思わず顔がひきつる場面も。
ただ、介護するだけでなく、その先の最期まで、考え -
購入済み
人は死ぬものであることは、全ての人は解っています。また、それの受け入れ方は、文化の影響を大きく受けることも解っているのであろうと思います。
著者のご意見は理解できたと思います。著者と反対の医者も有られるであろうと思いますので、両者の意見を比べて、自分で判断したいと思います。
一方で、文化人類学の観点から文化の違いによる点も読んでみたいと思います。
死については、多面的に見ることが必要であろうと思います。その意味では、一つの見解を明確にされた著作ですので、読む価値はあると思います。 -
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やっぱり現役医師のかたの小説は、医療に対する描写に違和感が少ないから読んでいて楽しい!
短編5編。毒気は強め。でも.一気に読みきりました。
以下はちょっとネタバレあり。
「天罰あげる」
うわーいるいる、こーゆー患者!!って感じで読み進めた前半。
ドクターショッピングする患者て、医師側からしたら厄介なんだよなぁ…あーでも患者側も色々つらいのは辛いんだろうなぁ……
との同情の気持ちから一転の結末。恐ろしい、けど絶対にあり得ない、とは言いきれないのが一番恐ろしい。
「蜜の味」
例えば不幸な患者を診た時、ほの暗い愉悦は本当に絶対ないのか、と言われると言葉につまる。そんな自分を暴かれた気持ち。
も