柚木麻子のレビュー一覧
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料理にまつわる短編のアンソロジー。
小洒落た創作寿司屋、土鍋ご飯、金平糖、蕗の薹(ふきのとう)、パン…。
どれも美味しそうで、お腹がすいてくる本だ
★5が2本
★4が2本
★3が3本
やはり大好き作家さんのは面白かった!
男たちの下心が渦巻く隠れ家的な高級寿司屋。
男たちが落としたい女性にお寿司のウンチクをスマートに披露している場面に、唐突にのしのしと現れたのは…。
乳児を抱っこ紐で抱え、母乳で汚れたカットソーにスウェットを履いた体格良い中年女性。
ドスンとマザーズバッグを置き、ツウなお料理を野太い声で次々と注文し始める。
お母ちゃんに支配されていく店内の様子が痛快!
このストーリーは柚木麻 -
Posted by ブクログ
かつて富裕層として暮らしていた一族の生き残りと、家庭環境も人間関係も恵まれず独りで慎ましく生きる苦学生がアルバイト先で出会い、交流を持ったことでそのずっと先の人生の助けとなる存在となる人の縁(えにし)のお話。
託された物や思いって見た目や想像以上に重かったり、悲しくなるほど軽んじられたりすることがあるけれど、それをどう扱うかは自分自身の人間としての力量次第で毒にも薬にもなります。
託されただけでは何も変わらない。自分がどう生きて成長するかでその価値も変わるのです。
私自身にも覚えのある懐かしい横浜港町の記憶の断片も親しみ深く、長い年月をかけての人とのかかわり合いや仕事、人生観の変化が面白かった -
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5人の作家による、「お酒」にまつわるアンソロジー。
粒揃いの楽しいアンソロジーだった。
続編「おかわり」も読みたい。
そしてもちろん、お酒も飲みたーい。
織守きょうやさん、初読。「ショコラと秘密は彼女に香る」は、リキュールボンボンと、お酒をたっぷり使ったお菓子。甘〜い。
坂井希久子さん「初恋ソーダ」は、果実酒。長く熟成されて美味しくなる。ひとつとして同じ味にならない。甘いだけじゃない。フレッシュなだけじゃない。タイトルの甘さを、気持ちよく吹っ飛ばされる。
額賀澪さん「醸造学科の宇一くん」は、日本酒。農業大学を舞台に、実家の酒蔵の酒の美味しさを初めて知る女子学生(でもまだ未成年)小春と、 -
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ananに連載されていた柚木麻子によるドラマ評。
どうしてこんなに私はドラマ評や書評が好きなんだろうか、と思ったら、あ、そうか、単純に本当に私はドラマと本が好きなんだな、と気づいた。や、好きかなーと思ってたけど、すごい好きなんだな多分。ドラマと本。
というのも、このエッセー、その時やってる一つのドラマを起点に、過去作にも遡ってフェミニズム的に読み解いたりしていくのだが、だいたいそのドラマ全部わかる。
だってドラマ好きなんだもん。ほぼ全ドラマ見てるもん。
さて、そんなことよりこのドラマ評本。しっかりドラマを社会批評、フェミニズム批評していてとっても面白かった。
なるほど柚木麻子。 -
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2014年3月から10年に渡り「anan」に連載された「柚木麻子のドラマななめ読み!」を書籍化。
柚木麻子さんの小説は何冊か読ませていただいているし、私もドラマ大好き。
お話を作る職業にある柚木麻子さんがどのようにドラマを観ているのかと、興味がありました。
何気なく観ていた時に私がモヤモヤと感じていたもの、漠然とした感想といったものに、見事に言葉を与えてくれていた。
そして、柚木麻子さん的な名言も色々あって、目から鱗。
「歌は世につれ世は歌につれ」というフレーズがあるが、その「歌」は「ドラマ」に置き換えられる。
ドラマが時代を先取りしたり、そのまま売れ筋にあぐらをかいていたら時代と視聴者に取 -
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2014年からananで連載されていたエッセイをまとめた一冊。
最新のドラマと過去のドラマを比較しながら、女性、マイノリティ、恋愛、家族等のあり方について柚木さんの視点から語っています。
知っているドラマも知らないドラマもありましたが、10年前のドラマ内の女性の描き方が現在の視点から見ると随分古くてびっくりします。
ジェンダーギャップ指数がまだまだ低い日本ですが、10年前から比べると世の中は少しずつアップデートされてきていることが、ドラマからよく分かります。
柚木さんの社会問題に対する鋭い批評精神に、何度もハッとしたり、現実への解像度が上がった気がします。特に納得した部分を以下に引用すると…