柚木麻子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
柚木麻子さんは、とにかく美味しさの言語化が天才的。前半は食テロ恋物語なのかと思わせながら、実はバブル経済期の時代の中で生きる、都会で働く女性の社会的位置と生き方を描いた作品だと感じた。
各章が寿司ネタになっていて、バブルのピークから崩壊へと進む構成は巧妙で、寿司の一貫一貫が人生の取り返しのつかなさになってる。勘違いだらけのバブル時代の空気感が、そのまま青子の人生を歪めていくところが印象に残った。
頑張れば頑張るほど、何のために頑張っているのかわからなくなっていく。その感覚が、この作品のいちばんリアルで怖い部分だと思う。
華やかで一見豊かに見える時代の中の空虚さと意識のズレを寿司というモチ -
Posted by ブクログ
題材となった事件については以前から知っていたため、読み始めてすぐに「あ、これは…」と気づいた。その瞬間から、この物語がどのように切り込み、どんな角度で再構築していくのかという興味が一気に高まった。
現代では女性の社会進出が一般化したと言われる一方で、依然として女性には「こうあるべきだ」という視線や役割が押しつけられがちである。本作は、その見えにくい圧力や偏見を、逃げ場のないほど精密に描き出している。読み進めるほどに、女性として生きることの重さや孤独、そして社会との摩擦が胸に迫り、時に息が詰まるほどだった。
しかし、この作品が真に力を持つのは、ただ苦しさを描くだけではなく、「それでもどう生きるか -
Posted by ブクログ
自分の人生に普通じゃいられなかった時期があるかどうかで、この物語の受け取り方はかなり変わる気がする。
自分や身近な人の狂いに耐性があれば、「そうそう、こういう感じ」と思えるけど、そうじゃないと少しキツイかもしれない。
梶井のことは怖いけど、誰かのためにご飯を作って食べることの幸せさを教えてもらった。
一人の場合でも、そのとき食べたいものを思い浮かべて、レシピを調べて、材料を買って、家に帰って台所で作る。
それって、自分のことを大切にして生きてるって実感できる行為だったのか。
自炊も楽しくなったし、バターの魅力にもハマりそう。
早速、エシレの焼き菓子と森永のチョイスを食べてみた。チョイスが -
Posted by ブクログ
著者・柚木麻子さんの作品は初めて読みました。どの作品も先が読めないエンターテイメント感溢れるものばかり!寓話として良くできているなと感じた感じた「BAKFRSHOP MIREY'S」「スター誕生」はNHKの単発ドラマの原作として使ってもらいたいと思わせる心に刺さる作品でした。奥田英朗作品、伊坂幸太郎作品が好きなかたは、特に刺さるのではないでしょうか
過去のブログ記事が炎上中のラーメン評論家、夢を語るだけで行動には移せないフリーター、もどり悪阻とコロナ禍で孤独に苦しむ妊婦、番組の降板がささやかれている落ち目の元アイドル……いまは手詰まりに思えても、自分を取り戻した先につながる道はきっ -
Posted by ブクログ
実在する事件を題材にした作品。主人公の記者の視点から容疑者梶井真奈子の生き方を知るうちに、自身の見た目の価値観、人生においての適量、周りの人たちとの関わり方に変化を及ぼしていく。
すこーしネタバレ
梶井は浅く見れば女から嫌われる女、よく見れば自分の芯を一本持ってるぶれない女。そんな女が女友達を欲しくて少し変わろうとしていたのに逮捕されちゃってもう魔が悪いのなんのって。
みんなで食べたくて七面鳥を焼くなんて、歩み寄ろうとしてたんじゃん、、、
ちなみにこの本を読んでバター醤油ごはんに挑戦してみましたが北海道バターではあまり美味しさがわかりませんでした。やはりエシレでないといけないのか、、、 -
Posted by ブクログ
BUTTERの出版が2017年。
本作「ナイルパーチの女子会」が2015年。
まさに“BUTTER前夜”といった作品だった。
タイトルに「女子会」と銘打たれているし、
実際作中で描かれているのは女性同士の関係性について。
でもそこから社会全体の
歪みのようなところまでテーマが到達する。
家庭にいること。
子を育てること。
社会にいること。
地位を持つこと。
カネを稼ぐこと。
カネは性別にかかわらず稼ぐことができるが、
子を産むことは女性にしかできない。
この非対称性を、
いまだに男性も、社会も、
あるいは女性自身も、まだ対処できていないのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
実際にあった木嶋佳苗の事件をモチーフにした小説。
主人公の町田里佳が、梶井真奈子カジマナに惹かれ、それを乗り越えカジマナを支配できたと思ったら、最後にまた逆襲を喰らう。
登場人物は、家族に何かうまくいってない人達で、それぞれにストーリーがある。
バターや料理を媒体にして、女とは、男とは何かを問う。
誰かによく見られようと努力して、自分の欲求を我慢するのか、自らの欲望のまま生きるのが幸せなのか、色々考えさせられた。
世間は努力してダイエットして、スリムであることをよしとし、太っていることは自分に甘い人だ判断する。
木嶋佳苗のルックスでなぜ男が惹かれるのか、疑問だったが、この小説を読んでその心理が