柚木麻子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
予想以上に面白かった。実際の事件はあくまでもモチーフ、その後文春でより詳しい犯人の生い立ちから追ったドキュメンタリーが連載されたが、当作品の主人公と被って一興かも?
作品自体はシスターフッド物であるが、女性の周りを取り巻く人間関係の難しさ、危うさ、心強さが散りばめられている。大学時代からの親友伶子との気のおけない信頼関係とその変化が核となる。首都圏連続不審死事件の犯人、梶井真奈子と接見を重ねるうちに強い影響を受けていく主人公里佳のみならず、伶子にも変化が現れて…と物語に自然に引き込まれていく。他にも登場人物は多いが、絶妙なバランスで配置されていて無駄がない。(個人的には篠井さんがご贔屓笑)
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Posted by ブクログ
主人公やその登場人物の心理描写が巧みに書かれている、一方で話の中心人物になる「梶井真奈子」の心理の真実がどこにあるのか、最後まで追っていく、著者の特徴である人物の詳細な心理描写にミステリー要素も含まれた読みごたえのある一冊。
タイトルにあるButterも物語には重要な役割をしめており、何度も出てくる料理の描写はリアリティがあると同時に登場人物達の心理描写に一役買っている。
中盤までは登場人物達の心理の移ろいを緩やかに表しているが、終盤に一気に終わりに向けて畳み掛けてくる疾走感は引き込まれた。
終わりの結び方も意外だが、いい形で余韻を残しており、読後感もただすっきりするわけではないが良い心地のも -
Posted by ブクログ
ネタバレ男の自己愛、幼児性からくるセルフネグレクト。女は献身に生きがいを感じるものの、それを当たり前だとおもわれると殺意にも似た感情を抱く。この辺りが見事に描かれている。緻密な料理に関する描写は、その両方に対して象徴的な意味を持っている。これが初期モチーフか。
そして、本作はシスターフッドの物語だった。いや、そこだけに収まっていない。親子、友情、パートナー、コミュニティの再生の物語だった。
最大の見せ場は、主人公のカジマナへの対峙の仕方だ。同感、共感、対決、そして、共感。痛めつけられても、拒絶はしない、内面での対話を続ける姿は、新しい文学を見た思いがした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとても良かった。
柚木麻子さんの小説は初めて。
『BUTTER』で話題になっていて、気になった。
とりあえず、どんな作品があるのか、確認して、この本が読みたくなった。
氷河期の私より少し上のバブル世代の女性の10年。
寿司屋の一ノ瀬に会いにいく青子。
自分の安心できる場所。
自分が自分らしくなれて好きになれる場所。
そういう場所があるって本当に大切だ。
とても共感できた。
男女の仲にならない方が、いいのかなって思う。
最後にお互いの気持ちがわかったし、青子の手をにぎりたいという願いも叶った。
だけど、一ノ瀬が言うように、男女になって結婚となるとうまくいかない気がするというのは当たって -
Posted by ブクログ
私の名前は章子!
名前で苦労した事は無かったが名字が保田で中々ヤスダとは読んで貰えなかって記憶がある。でも結婚して工藤になった時は嬉しかった(^_^)v
だからと言う事も無いが15歳になったら「名の変更許可申立書」を出すと言う選択肢もわかなくは無いのです。ティアラの子育てもいくら訳ありでも大穴は無いよね。周りの言う「あんたのママおかしいよ」は言われなくてもその通りだった。どうして普通のお母さんの様になれないのかわざわざ指摘されなくてもいつもため息をつきたかった。そんなダイアナに彩子ちゃんは変な名前じゃ無いと言ってくれた。まるで正反対の二人の出会いである。小学3年生から22歳頃迄のガール・ミーツ -
Posted by ブクログ
ふたりの対照的なヒロインが小学生からハタチを超えるまでの十数年を描くガールミーツガール小説。
性格も環境も考え方も、なにもかもが違うふたりの少女が本を傍らに悩みながら歳を重ねていくしていく様が丹念に描かれておりぐっと引き込まれた。
女の子として成長していく中で揺れる繊細な苛立ちややるせなさが澱を残していく様がリアルで、深く感情移入した。
私は綾子が自分のトラウマと自分自身に向き合う場面が特に好きで、[誰かを救うということは過去の自分を救うことです]とは正に、カラオケボックスで過去の自分自身に手を差し伸べるような構図の場面にはわず唸った。
人と人が出会うことの美しさと苦しみを、暖かく感じさせて