柚木麻子のレビュー一覧

  • らんたん(新潮文庫)

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    教育の基本となった「平和のための国際親善」と「生活・労働としての園芸」、恵泉女学園大学がなくなったのは、残念だな…とあらためて感じました。
    中高に受け継がれているようで、道先生のらんたんはつながっているのかなと思う。
    戦前から戦後にわたる女子教育と女性の権利獲得の運動の歴史を感じられる読み応えのある一冊でした。

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    2025年12月14日
  • あいにくあんたのためじゃない

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    大好きな作家柚月あさこの本、今回もとてもよかった。全てのエピソードで伝えたいこと、それは、連帯することは人を奮い立たせ、人を救い、人に生きる希望を与えるということ。
    あくまで個人的な感想だけれど、柚木作品にはいつも分断への抵抗として「連帯」が描かれている。読後はいつも身近な人への感謝、そして世界への希望的観測が生まれる。

    今回の小説でも全てのエピソードに「連帯」が登場する。年齢も職業も性別も異なる他人同士が繋がり、協働し、心を通わせ、誰かのために自分のために前へ進む。1番好きなエピソードはBAKERSHOP MIREYS。詳細はネタバレなので省くけれど、甘いお菓子の香りを通じて、不器用だけど

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    2025年12月13日
  • BUTTER(新潮文庫)

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    複数の男から多額の金銭を受け取って殺害した疑惑で勾留されている「梶井真奈子」という女性と週刊誌の記者の攻防を描いた話。「木嶋佳苗」事件がモデルのフィクションで、ずっと読みたかった本。

    美しくも若くもない太った女性がなぜ多くの男性を翻弄できたのかが注目された事件だったが、自分自身読めば読むほど梶井の魅力にずぶずぶハマっていくのがわかった。幼稚だが、食や性への強いこだわりが生命力そのもののようで惹きつけられる。すごく面白かった。

    エシレバターのバターご飯、ジュエルロブションのフレンチ、銀座ウエストのクリスマスケーキは是非とも食べてみたい。

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    2025年12月13日
  • BUTTER(新潮文庫)

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    名作でした。日本は欧米に比べて容姿で人を差別する文化が強いと聞いたことがある。誠のように、「ふくよかな人=努力ができない人」と見て、その人の性格や生き方を決めつけてしまう風潮が日本にはたしかにある。そんな世の中で、梶井は自分が楽しく生きるやり方を見つけ出した。対して、里佳や伶子は世の中に少しずつ反抗しながらも、ルールの中にどうにか快適さを見つけようとする人たちだ。梶井の行ったことは倫理的にも法的にも悪ではあるが、里佳と一緒に梶井の心に迫れば迫るほど、共感できる部分が出てきた。日本がもっと個人主義ならばこの事件は起きなかったかもしれない。けど里佳のように集団の心地よさとその維持方法に気づけば、も

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    2025年12月12日
  • BUTTER(新潮文庫)

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    自分自身は結構見た目を気にしてて、鏡を見て太ってたりしたら結構気にしちゃうタイプです。この本を読んで同じように見た目を気にしてる人が多いのかなと思ったし、そう思う人は他人に対しても見た目に厳しくなってしまうのかなと思った。
    昨今のアイドル界隈でガリガリが正義みたいな風潮を暗に批判してるような本にも思えた。

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    2025年12月11日
  • BUTTER(新潮文庫)

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    ネタバレ

    女子校出身の女が女に抱くクソデカ感情がありありと描かれており良かった。
    ミステリと思って読むべきではない。

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    2025年12月08日
  • その手をにぎりたい

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    かなり好みの世界観!!!
    久々に、一文一文味わいたいと思えるくらい好きな物語に出会えて嬉しい、、。
    作り物で煌びやかだけどどこか寂しい、みたいな世界観が大好き。特に、それを象徴する東京にまつわる話が好きだなぁ。ロスト・イン・トランスレーションとか江國香織の「東京タワー」とか。
    バブル期に生まれて贅沢して、男女ともに肉食な雰囲気のなか気ままに恋してみたい人生だったな〜笑

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    2025年12月08日
  • らんたん(新潮文庫)

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    面白い!こんなパワフルで魅力的な女性が戦前にいたとは!!日本の女子教育を大きく前進させた偉大な功労者。その人柄と生き方はとても魅力的!

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    2025年12月08日
  • BUTTER(新潮文庫)

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    久しぶりに読んだ本。
    想像以上にバターの話だった。
    女性を取り巻く働く環境、ルッキズム、人間関係、いろんな要素がバターみたいに溶け合ってる
    食べ物がとにかく美味しそう。カトルカール、何か他の本でも遠い昔に読んで、その時も食べてみたいと思った

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    2025年12月06日
  • BUTTER(新潮文庫)

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    自分が幸せだと感じている家族との時間の中に、こんなにも作中の内容に心当たりがあるという事実を、投げつけられたのが冷たくて、答えを探すように読んじゃった
    「いいんだよ、それで」が自分に対してできなくて心を病んだ身としてはぶっ壊れてからも立ち直れる女たちが嬉しかった
    あたしも大丈夫だ

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    2025年12月05日
  • BUTTER(新潮文庫)

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    海外でも評価されているとのことで
    さすが、本当に面白かったです。もっと早く読めばよかった。
    カジマナの狂気に触れたときは怖いと思いながらも、背景を追っていく内にルッキズムの社会の生きずらさや同性同士のコミュニケーションのむつかしさなど、人々の心の動きや葛藤がすごく緻密に繊細に描かれていて、いろんな考え方やコミュニケーションの取り方があるよねと考え方まで変えてくれました。
    現代社会に生きる人は一回読んでおきたい一冊だなと思いました。

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    2025年12月05日
  • BUTTER(新潮文庫)

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    主人公が初めてバター醤油ご飯を食べたシーンも圧巻だったけれど、初めてケーキを焼いたシーンも異様に印象に残る。
    (P197)あなたには壁がない。仕事もプライベートも、本音も社交も全部がまじりあってる。見ていると疲れる。
    (P214)壁を築くとは、何も肩をいからせ、他者を拒絶することではない。(中略)甘く柔らかいお菓子だっていいのだ。
    (P217)篠井さんに頼ることを一瞬でもためらっていたら、決して作れなかった。こんな風に、取捨選択の判断を今より研ぎ澄ませば、たとえば一日の終わりに趣味でカトルカールを焼くような時間を捻り出すことは可能なのではないだろうか。

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    2025年12月04日
  • けむたい後輩

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    読後に振り返ると割と重いが、コミカルな場面が多いので笑える。学校名からしてお嬢様っぽいけれど通販会社もしてそうで印象に残った。

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    2025年12月03日
  • 注文の多い料理小説集

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    このお店(書籍)、絶対おいしいに決まってますっ!
    だってワタシ一度胃袋つかまれてるから♡

    ✨柚木麻子
    『あまからカルテット』
    『ランチのアッコちゃん』 
    『BUTTER』

    ✨伊吹有喜
    『BAR追分』

    ✨井上荒野
    『チーズと塩と豆と』

    ✨坂井希久子
    『たそがれ大食堂』

    ✨中村航
    『僕の好きな人が、よく眠れますように』

    ✨深緑野分
    『この本を盗む者は』

    ✨柴田よしき
    『風のベーコンサンド 高原カフェ日誌』

    本棚への登録の有無にかかわらず、どの作者さまもお料理の描写がお上手なことをワタシは知ってるのです…。
    (*´艸`*)♡

    ほんとうにおいしゅうございました
    どの作者さまもおなじ料

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    2025年12月07日
  • ナイルパーチの女子会

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    「両思い確定だけど、まだ恋人になってないワクワクキラキラキュンキュン状態」が女子の友情の特定の期間にはあると思うのですよ。自転車の2ケツシーンが正にそれで、エモすぎてこれ以上読み進めるのが勿体無い!と一旦本を閉じてエモさを噛み締めました。
    が、その後の展開が辛すぎて…。。あぁ、そうだった、私たちはそんなに一筋縄ではいかないのよね。わかるーーーー!!

    全体的にデフォルメ感があるので、「いや、そんなんありえんやろ」な展開に現実に引き戻される事もありつつも(まおちゃんの指令とかね)、結局は家庭環境に端を発していることなどは頷きすぎて首がもげそうでした。

    子育てが若干落ち着いて、ようやく女子の友情

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    2025年12月02日
  • BUTTER(新潮文庫)

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    ネタバレ

    展開が気になり、一気に読み進めてしまった。終わりに近づくにつれて終わってほしくないと思った本は久しぶりだった。

    里佳がカジマナのペースに飲み込まれ自分の生活や体型が変化していく様子、玲子が横田の家で過ごす時間、里佳がカジマナの罠にかかり底に落ちていく様子どの場面を切り取っても、あまりに濃厚で胸焼けがする。

    しかし恐怖で震えていたと思えば、里佳の周りに確かにある人との交流や温かさに心がじんわり溶けていく。里佳は梶井真奈子と出会わなければ、食べる喜びもカジマナにはいない友達の大切さにも気づけなかっただろう。カジマナと出会ったから、彼女を追い続けて考え続けたから最後に自らの居場所を作りみんなで七

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    2025年11月30日
  • その手をにぎりたい

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    ネタバレ

    初めての読後感。とにかくリアルな本だった。
    バブルを経験してないが、バブル期に激動する不動産業界の生々しさが鮮明に伝わってきた。
    就職先に不動産業界やめとこう笑笑

    一ノ瀬さんと青子が不倫関係になるのではなく、最後はけじめをつけて終わるのが一ノ瀬さんの生涯の堅実さをしっかりと表していてリアルだった。
    まあ、なんといってもただ手を繋ぐだけ、ただ目を合わせるだけその一つ一つのちょっとした関係性の変化を官能的に描写できる著者の腕がすごい…
    読んでいるこっちまでドキドキする本だった。

    好きな人を心に秘めながら他の人と結婚する感じがめちゃくちゃリアルすぎた…広瀬、同僚の男、一ノ瀬、
    全員一番好きな人と

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    2025年11月28日
  • BUTTER(新潮文庫)

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    今年一かな
    素晴らしい作品や

    まず、食への感性がぐんと上がる。読む人すべてをバターの虜にしてしまいそうな描写のうまさ。1人暮しをして、ご飯用意した経験があるからこそ、深く共感できる。自分のために料理をすること、それを味わっておいしく食べることって何事にも変え難い、素晴らしいこと。まさに、生きるための切実で尊い行為。

    料理や掃除。女性が家事として担ってきた行為への考察。それらは、ロックであり、「実は、家事ほど、才能とエゴイズムとある種の狂気が必要な分野はない」。家事について、保守の男性は、弱弱しく何もできない女性のための仕事と捉えているかもしれない。しかし、その家事能力に潜むパワー、その行為

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    2025年11月27日
  • 本屋さんのダイアナ

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    めっちゃよかったです。本へのオマージュや愛情はところどころにありましたが、それより主人公と友人の二人称で章ごとにストーリーがすすむのですが、その成長物語が心に来ます。柚木麻子、バターとは違う良さを感じさせてくれます!!!

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    2025年11月18日
  • ナイルパーチの女子会

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    ネタバレ

    読み終えて、胸がずーんと重くなった。
    登場人物の誰にも共感できるところと、そうでないところがあって、人間って本当に複雑...

    相手の感情を読み取りすぎても、無視しても、どちらも行きすぎなんだなぁ。
    人間関係は白でも黒でもなく、グレーな部分を探りながら育てていくものなんだと思う。

    栄利子の行動は、自分自身にもある見てほしい・認められたい気持ちで痛いほど分かった。
    でもそれに飲まれると、他人が見えなくなる。

    ラストは、個人的には救いを感じたかなぁ、

    栄利子も翔子も実は狭い世界の中で、自分の都合のいいように考えていただけで
    一歩外に出て俯瞰してみれば、苦しみから抜け出すのは案外簡単なことなの

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    2025年11月13日