柚木麻子のレビュー一覧

  • さらさら流る

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    前情報なして読み始めて「お散歩ほのぼの恋愛小説かな?」と思ったのも束の間、柚月麻子先生がそのような作品を書くわけもなく…(好き)

    過去の恋人に撮られた裸の写真の流出と、周りの協力を得ながらそこから這い上がる主人公菫。リベンジポルノというかなり重い題材ではあるが、登場人物が少しずつ自分や自分の周りの人と重なるのがさすが柚月先生だなと思った。

    「今回は写真の流出という形で表に出ただけで、根っこにあるのは「女をモノ扱いする男」という問題です」というのがいろんな人の視点を通じて描かれていて、そうなんだよな〜と。それを小学生の祐の台詞として表面化させたりするのが良かった。

    光晴がコテンパンに罰を受

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    2022年08月01日
  • ねじまき片想い

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    報われない片想いを胸に秘め、大好きな彼の受難を先手先手で防いでいくスーパーガール。知恵もあり行動力もある主人公の、でも体当たり出来ない切ない恋が歯痒い。
    自分の心にねじを巻いてくれるのは自分だけ。
    自分の価値を他人の評価に委ねてはダメ。
    まだまだあった名台詞、何度もジワッときたし、何度もクスッとさせられた。
    恋愛小説?推理小説?冒険譚?成長物語?カッコいい人生の先輩たちや、一緒に足掻いてくれる仲間たちに、読後すぐまた逢いたくなる素敵な作品だった。

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    2022年07月31日
  • 奥様はクレイジーフルーツ

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    深刻な夫婦の問題だが、コミカル要素もあり、ついつい笑ってしまう場面がたくさん。きっかけがあればヒョイっと超えてしまうであろう境界線のギリギリ手前で戦う初美。頑張れ初美!と、ついつい応援したくなる主人公。また章ごとの果物にも女性心がくすぐられる。ももの種のところなんて共感(笑)
    両極端にあるものなのに、全てを手にすることはなかなか難しいのだと、二十代の時にはわからなかったものがつまってる。とてもおもしろかった。同年代の友人におすすめしたい本。様々な意見が飛び交い、話に花が咲くであろう。

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    2022年06月16日
  • 伊藤くんA to E

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    どの章も主人公はボロボロになった後、再起して終わるので、読後感は良かった。最終章で、伊藤くんが狂人なりの正論を述べるところ(結局はいつもの強がりだったと判明する)で、読者をグラっと揺るがせに来るが、これに負けるわけにはいかない、てのが人間の生きる道ですよね。最後、脚本家によって人間のクズ的なものの象徴にまで祀り上げられる伊藤くん、滑稽でヒサンだな~。
    あと同性愛とか、肉体関係とかがないまぜになった、友情に関する描写が特に新鮮で何度か涙ぐんだ。

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    2022年06月05日
  • BUTTER(新潮文庫)

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    すごい

    相変わらず柚木さんの作品は読んでて、丁寧な描写のため安易に想像できる素晴らしい料理達!なんじゃこれめっちゃ美味しそう!と刺激された食欲が、人間らしいというか、あー、、、、って感じの女のドロドロした闇や裏切りを見せられて、ズーーーンと凹んでって、やっぱ元気なときにしよう、、、、っていう、、、なんとも言えない後味を残してくれます

    自分がどっちかって言うと、リカ達のキラキラ系頑張る女子ではなく、カジマナのような外見なので、なるほど納得な部分多い

    美味しいもの食べて、太って何が悪いって感じ
    食べたいもの我慢して、痩せるのが本当にいいのか?

    、、、って思っても、やっぱ骨の髄まで「痩せ

    #怖い #深い #切ない

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    2022年06月01日
  • 王妃の帰還

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    女子中学生達によるスクールカーストの革命のお話

    腕時計事件の弾劾裁判を発端に、最上位グループのトップから陥落した滝沢さん
    どのクループからも爪弾きにされたのを見かねて地味グループが迎え入れる
    しかし、彼女の傲慢でわがままな態度にグループは崩壊の危機を迎えたため、彼女を姫グループに戻す「プリンセス帰還作戦」が始まる

    カトリック系小中高大一貫の女子校の中等部が舞台

    2-Bのグループ
    お姫様グループ:王妃をトップとした最上位グループ、王妃の滝沢さんを中心にしているものの、主導者は村上
    チームマリア:聖歌隊やハンドベル部に所属する優等生達
    ゴス:V系バンドを好むバンギャ。アイラインをしっかり書く

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    2022年05月17日
  • 名作なんか、こわくない(PHP文芸文庫)

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    フランス文学、日本文学、イギリス文学、アメリカ文学、いろんな名作と云われる本が出てきて楽しい!紹介されてる名作文学の抜粋部分を読むだけでも楽しめるし、柚木麻子さんの書評には共感フレーズが大量に出てくる。そして昔の本なのに、今の時代の自分と重ねてしまう女性主人公の作品を多数発見。読まなければと思わされるような文学がたくさん!さぁ、まずは何から読もうかな。あぁ、私の本の読み漁り時期はまだまだ終わらなさそう。

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    2022年05月04日
  • 名作なんか、こわくない(PHP文芸文庫)

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    フランス文学、日本文学、イギリス文学
    アメリカ文学、の順に分類して書かれている。
    古くは、1600年代から、1900年代に書かれた古典の名作について、クスッと笑えたり、エスプリに満ちた解説で、楽しいエッセイでした。

    かなり昔、読んだ筈の本が、こんな内容だったのか!
    と言う感じで、自分が全く理解していなかったのと、忘れてしまった事で、まるで別の本の様!

    未読の本も、読んでみようかなぁ、と思ってしまう話術?文章で、眼の前で、話しを聞いている様な楽しさ、流石ですね。

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    2022年04月28日
  • さらさら流る

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    ネタバレ

    よかった。
    元彼が、ミソジニーから抜けきれてなくて、無意識でごりっごりの性差別しながら、悪いことを悪いことだと受け止めきれずにいて、その立場から見た世界の描写が秀逸だなと思った。
    本当に酷くて取り返しのつかないことをしたのに、いつまでも自分ごととして受け止めきれない元彼の呑気さに腹が立った。実際こういうものなのだろうか。
    また、性被害に遭って男性が怖くなったり全てがしんどくなったりしている主人公の心情や行動もとても共感できるもので、読んでいて辛くなったし、でもこれを描く物語があったことに救いを感じた。
    また、性被害の加害者が、昔はかけがえのない大切な相手であった事、それと被害の落差がものすごく

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    2022年04月04日
  • さらさら流る

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    久しぶりに一気読みしてしまった。そもそも暗渠に目をつけたの「おお…!」ってなるし、冒頭暗渠巡りのシーンから「うわぁ…すごい…めっちゃ好き…」ってなってた(語彙力ないな)話の要所に暗渠、川、海で人物とか状況を象徴するのシンプルに天才かと思う…そして各人の人間味がいい、そんでもって情景描写が良すぎた。読んでて何回もため息でた。「ナイルパーチの女子会」は読んだけど、柚木麻子の他の本も読もうと思った。本屋であらすじ読んだだけではおそらく読んでないから、この本を薦めてくれたY氏に感謝。

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    2022年02月15日
  • 奥様はクレイジーフルーツ

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    官能的?なのに全然そういうドロドロな感じ?というか嫌な感じもなく、サラッと性的な描写が書かれてるところがとても良かった。

    セックスレスって重い話題だと思うし、主人公である初美の葛藤とか考えたら全然笑えないはずなんだけど、【グレープフルーツをねじふせて】なんかは笑っちゃったし、全体を通して「頑張って!初美!」と応援したくなる1冊だった。

    フルーツはどうやって絡んでくるんだろうかと思っていたけど、1話ごとにそれぞれのフルーツもちゃんと主役というか、物語を盛り上げる大事なキーワードになってるのがすごい。


    主人公と自分が重なりすぎて無我夢中で読んだけど、こういう夫婦って割と多いんだろうなと思っ

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    2022年02月13日
  • ねじまき片想い

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    ねじまき片思い
    おもちゃプランナーとしてできる女性 富田宝子
    美人で仕事ができて満点な女性
    ところが さえない男性に片思いを継続
    その男性の為 献身的に尽くす事で 色々なハプニングが発生 
    また より完璧な女性になっていく
    TVドラマ化か映画化したら面白いな

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    2022年01月23日
  • さらさら流る

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    相変わらず
    細やかな情景を空想しながら読み進め次の展開が気になって仕方なくなる大好きな柚木さんの作法。
    東京が暗渠だらけということも初めて知って
    興味深く色々調べたくなった

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    2021年11月29日
  • 名作なんか、こわくない

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    今まで外国文学にほとんど触れてこなかったことを恥じ、外国文学の「ザ名作」に手を出す今日この頃。
    次に読むべき作品が見つかるかしらと何気なく手に取ったこの本だが、なかなかどうして私のツボをがんがんついてきた。
    柚木氏の日常の話から作品の紹介へとつなげていくのだけど、それがまた滑らかで柚木氏の日常を垣間見ていると思いきや、いつのまにか作品の世界に入り込んでしまっている。
    そしてこの柚木氏の日常の話、いわばエッセイが面白い。軽妙洒脱な語り口の一方で、さらりと至言も残しているのがいい。文章の軽重のコントロールがお上手。個人的には確定申告のエピソードを織り混ぜた「居酒屋」の紹介が秀逸だと思ったな。
    さら

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    2021年09月24日
  • ねじまき片想い

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    レビュー数も少ないのであんまりなのかな…と思いつつ読んでみたところ、これが見事にツボに。誰もが手にしたであろうおもちゃと柚木先生お得意の悩める女性の描写、面白くない訳がなかった。
    ご都合主義な展開やダメ男・重い女感は少々あるものの、恋する人のために暗躍する宝子のカッコよさが輝いていて、読んでいて楽しい。おもちゃ箱の中を見ていたあの頃と同じくらいワクワクしました。「好き」がある人間は強い。

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    2021年08月26日
  • 私にふさわしいホテル

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    ネタバレ

    文学新人賞を受賞した加代子、本格的に小説家の道を歩もうと思うのだが、何故かこの賞に人気アイドルもW受賞で加代子は全く目立てず。加代子の受賞は全く蚊帳の外。これに怒った加代子は大物の男性作家である東十条宗典を出し抜いて彼の執筆枠を横取りする。この東十条も熱いお爺ちゃん。加代子との対決を楽しむようになる。この2人の対決がとてもコミカルだけど作家の苦悩を考えると他人ごとではいられない。作家の世界は厳しい。それだけ個性の強い、批評に負けない図々しさを有する人が、本屋の陳列棚に作家のスペースがあるんだと尊敬と感動

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    2021年06月25日
  • 私にふさわしいホテル

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    新人賞は獲ったがその先になかなか進めない新人作家、中島佳代子がパワーとハッタリ、成功に対する執念で文壇の海を貪欲に泳いでいく。最初は無理して泊まった「山の上ホテル」で階上で缶詰になっている大物作家東十条の執筆の邪魔をして原稿を落として自分の短編を捻じ込むためにさてどうするか?から始まるのだがその解決法が可愛らしく思える程次々出てくるピンチに対する対処が大学の先輩編集者遠藤他を巻き込んでどんどん豪快になっていく。これが痛快かつ表現者の闇の深さをびりびり感じてページをめくる手が止まらない。東十条初め嫌な奴!なのに後半は掌返してしまう。実際の作家達や読書メーターまで出てきてにやり。最終章こうきたか!

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    2021年06月23日
  • 本屋さんのダイアナ

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    絶対に読んで欲しい一冊

    今まで出会った本の中でもトップクラスで好きな本。ダイアナと彩子という正反対な二人のそれぞれの視点で描かれ、どちらの気持ちも共感できた。
    作品の中に登場するたくさんの本もまだ読んだことのない本を読んでダイアナをもっと深く知りたいと思った。

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    2021年03月14日
  • 名作なんか、こわくない(PHP文芸文庫)

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    フランス、日本、イギリス、アメリカの「名作」を読み解く、書評というかエッセイ集。

    フランス文学と日本文学のチョイスが特に柚木さんっぽくてよいな〜〜と思った。

    ラクロ「危険な関係」の項がすき。そんなことで負けるあなたじゃないでしょ、メルトイユ公爵夫人。

    日本文学編は、全て昭和の女性作家作品。そういえば日本の女性作家は今まであまり読んでこなかったなと後悔。いくつかポチッた。社会に抑圧されながらもしたたかであっけらかんと生きていく日本の女性たち。柚木さんの作品のルーツを何となく感じた。
    〝女の子は誰かのものになんてならず、のびのびと感性の翼を羽ばたかせるべきなのだ。〟(「アップルパイの午後」)

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    2021年03月13日
  • 名作なんか、こわくない(PHP文芸文庫)

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    柚木さんのエッセイを含んだ本を紹介するための本。
    柚木さんの作品と同様に女性が主人公の作品ばかりです。
    紹介される作品もその時代や境遇に抗うだけの主人公ばかりではなく、様々なタイプの女性が主人公で新鮮味も失われず面白そうな作品をたくさん知ることができました。
    またさすが作家さんというべきか、作品への愛が深いのか柚木さんのエッセイもおもしろく読めます。
    海外作品をたくさん知ることができるのもよかった。
    次何を読もう、となったら開いてみるようにします。

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    2021年01月30日