柚木麻子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前情報なして読み始めて「お散歩ほのぼの恋愛小説かな?」と思ったのも束の間、柚月麻子先生がそのような作品を書くわけもなく…(好き)
過去の恋人に撮られた裸の写真の流出と、周りの協力を得ながらそこから這い上がる主人公菫。リベンジポルノというかなり重い題材ではあるが、登場人物が少しずつ自分や自分の周りの人と重なるのがさすが柚月先生だなと思った。
「今回は写真の流出という形で表に出ただけで、根っこにあるのは「女をモノ扱いする男」という問題です」というのがいろんな人の視点を通じて描かれていて、そうなんだよな〜と。それを小学生の祐の台詞として表面化させたりするのが良かった。
光晴がコテンパンに罰を受 -
購入済み
すごい
相変わらず柚木さんの作品は読んでて、丁寧な描写のため安易に想像できる素晴らしい料理達!なんじゃこれめっちゃ美味しそう!と刺激された食欲が、人間らしいというか、あー、、、、って感じの女のドロドロした闇や裏切りを見せられて、ズーーーンと凹んでって、やっぱ元気なときにしよう、、、、っていう、、、なんとも言えない後味を残してくれます
自分がどっちかって言うと、リカ達のキラキラ系頑張る女子ではなく、カジマナのような外見なので、なるほど納得な部分多い
美味しいもの食べて、太って何が悪いって感じ
食べたいもの我慢して、痩せるのが本当にいいのか?
、、、って思っても、やっぱ骨の髄まで「痩せ -
Posted by ブクログ
女子中学生達によるスクールカーストの革命のお話
腕時計事件の弾劾裁判を発端に、最上位グループのトップから陥落した滝沢さん
どのクループからも爪弾きにされたのを見かねて地味グループが迎え入れる
しかし、彼女の傲慢でわがままな態度にグループは崩壊の危機を迎えたため、彼女を姫グループに戻す「プリンセス帰還作戦」が始まる
カトリック系小中高大一貫の女子校の中等部が舞台
2-Bのグループ
お姫様グループ:王妃をトップとした最上位グループ、王妃の滝沢さんを中心にしているものの、主導者は村上
チームマリア:聖歌隊やハンドベル部に所属する優等生達
ゴス:V系バンドを好むバンギャ。アイラインをしっかり書く -
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ネタバレよかった。
元彼が、ミソジニーから抜けきれてなくて、無意識でごりっごりの性差別しながら、悪いことを悪いことだと受け止めきれずにいて、その立場から見た世界の描写が秀逸だなと思った。
本当に酷くて取り返しのつかないことをしたのに、いつまでも自分ごととして受け止めきれない元彼の呑気さに腹が立った。実際こういうものなのだろうか。
また、性被害に遭って男性が怖くなったり全てがしんどくなったりしている主人公の心情や行動もとても共感できるもので、読んでいて辛くなったし、でもこれを描く物語があったことに救いを感じた。
また、性被害の加害者が、昔はかけがえのない大切な相手であった事、それと被害の落差がものすごく -
Posted by ブクログ
官能的?なのに全然そういうドロドロな感じ?というか嫌な感じもなく、サラッと性的な描写が書かれてるところがとても良かった。
セックスレスって重い話題だと思うし、主人公である初美の葛藤とか考えたら全然笑えないはずなんだけど、【グレープフルーツをねじふせて】なんかは笑っちゃったし、全体を通して「頑張って!初美!」と応援したくなる1冊だった。
フルーツはどうやって絡んでくるんだろうかと思っていたけど、1話ごとにそれぞれのフルーツもちゃんと主役というか、物語を盛り上げる大事なキーワードになってるのがすごい。
主人公と自分が重なりすぎて無我夢中で読んだけど、こういう夫婦って割と多いんだろうなと思っ -
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今まで外国文学にほとんど触れてこなかったことを恥じ、外国文学の「ザ名作」に手を出す今日この頃。
次に読むべき作品が見つかるかしらと何気なく手に取ったこの本だが、なかなかどうして私のツボをがんがんついてきた。
柚木氏の日常の話から作品の紹介へとつなげていくのだけど、それがまた滑らかで柚木氏の日常を垣間見ていると思いきや、いつのまにか作品の世界に入り込んでしまっている。
そしてこの柚木氏の日常の話、いわばエッセイが面白い。軽妙洒脱な語り口の一方で、さらりと至言も残しているのがいい。文章の軽重のコントロールがお上手。個人的には確定申告のエピソードを織り混ぜた「居酒屋」の紹介が秀逸だと思ったな。
さら -
Posted by ブクログ
新人賞は獲ったがその先になかなか進めない新人作家、中島佳代子がパワーとハッタリ、成功に対する執念で文壇の海を貪欲に泳いでいく。最初は無理して泊まった「山の上ホテル」で階上で缶詰になっている大物作家東十条の執筆の邪魔をして原稿を落として自分の短編を捻じ込むためにさてどうするか?から始まるのだがその解決法が可愛らしく思える程次々出てくるピンチに対する対処が大学の先輩編集者遠藤他を巻き込んでどんどん豪快になっていく。これが痛快かつ表現者の闇の深さをびりびり感じてページをめくる手が止まらない。東十条初め嫌な奴!なのに後半は掌返してしまう。実際の作家達や読書メーターまで出てきてにやり。最終章こうきたか!
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購入済み
絶対に読んで欲しい一冊
今まで出会った本の中でもトップクラスで好きな本。ダイアナと彩子という正反対な二人のそれぞれの視点で描かれ、どちらの気持ちも共感できた。
作品の中に登場するたくさんの本もまだ読んだことのない本を読んでダイアナをもっと深く知りたいと思った。 -
Posted by ブクログ
フランス、日本、イギリス、アメリカの「名作」を読み解く、書評というかエッセイ集。
フランス文学と日本文学のチョイスが特に柚木さんっぽくてよいな〜〜と思った。
ラクロ「危険な関係」の項がすき。そんなことで負けるあなたじゃないでしょ、メルトイユ公爵夫人。
日本文学編は、全て昭和の女性作家作品。そういえば日本の女性作家は今まであまり読んでこなかったなと後悔。いくつかポチッた。社会に抑圧されながらもしたたかであっけらかんと生きていく日本の女性たち。柚木さんの作品のルーツを何となく感じた。
〝女の子は誰かのものになんてならず、のびのびと感性の翼を羽ばたかせるべきなのだ。〟(「アップルパイの午後」)