柚木麻子のレビュー一覧
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ネタバレ身に覚えのあるような話ばかりで、どの章も胸が苦しかった。あの頃の友情は不確かで、毎日一緒にいても小さな掛け違いで簡単に壊れてしまう。それが生々しく描写されているので、夢中でページをめくり続け一気に最後まで読み終えた。
【フォーゲットミー、ノットブルー】
本作通して1番苦手なのが希代子。
朱里と仲良くなりたいと思ったのも父親が有名人だからだし、いつもカーストばかり気にしていて本音は言わないのに内心は妬み嫉妬ばかり。現実にいたら絶対仲良くなれないタイプだと思った。
だけど、偶然悪口が書かれた日記を見てしまったら朱里を嫌悪する気持ちも分かる。
【甘夏】
最も高校生の解像度が高いエピソード -
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20代後半の私がまさに直面していた悩みに効く作品だった。1番居心地がよくて、それぞれを尊敬できる仲良し4人組でいるけど、そろそろライフステージが変わってきて疎遠になりそうで怖かった。疎遠にならない為に私も同じペースでライフステージを進めようと頑張ったこともあったけど上手くいかず、それどころか同じペースで進めたところで、所得格差等でどうせ疎遠になると知り、落ち込んでいた。この作品を読んで、「4人で1つではない。1人でもやれるから、4人でもやれる。」のだと思えた。女性の友情はどうしても疎遠になる時期もある。それでも、いつか落ち着いた時、ごく自然にまた集まれるものだと思った。それまで、私もパワーアッ
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主人公矢島大穴は、「世界一ラッキーな子にしたい」という理由から競馬の「大穴」と書いて「ダイアナ」という名前だ。
両親から初めてもらうプレゼントは自分の名前だと思う。とんでもないプレゼントだ。
小3で出会ったダイアナと彩子は、お互い育った環境も性格もまったく違うのだが、違うからこそ相手への羨望の気持ちがめばえ、相手をリスペクトする。「ダイアナ」という名前が引き寄せた関係のようにも思える。2人が本が大好きだという共通点も素敵。
本書では多くの作品が取り上げらている。
赤毛のアン、嵐が丘、夜中の薔薇、孤独の発明などなど。私はダイアナが15才の時にお気に入りだった本、森茉莉さんの「私の美の世界」が -
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ネタバレ2025.06.作家を目指している中島加代子は,自腹で文豪が多く滞在した山の上ホテルに宿泊していると,大学のサークルの先輩で大手出版社分鋭社の編集者として活躍している遠藤先輩がやってきて,「上の階に有名作家の東十条宗典が宿泊し執筆している.明日が原稿の締め切りで間に合わなければ,以前に加代子が書いた原稿が小説ばるすに掲載される可能性がある.」という.そこで,加代子は東十条の部屋にメイド姿で侵入し原稿執筆の邪魔をし,その結果原稿が間に合わなくなる.加代子は相田大樹という名前でぷーアール社の新人賞を取るが,この賞は出来レースでタレントの島田かれんと相田大樹のダブル大賞受賞となるが,島田ばかりにスポ
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柚木麻子さんの文章は、それそれ!!と共感する表現に満ちている。私が本が好きな理由を言い当ててくれて、本を勧める時はこの言い方をしようと思った文の引用。
まるで自分のためにあるような言葉だと思う。これでいいんだよ、と励まされている気分だ。「はっとりけいいち」さんは、ダイアナの気持ちをきっとわかってくれるはずだ。こんな風に心にぴたっとくる描写や表現に出会えるから、読書はやめられない。
読書好きのダイアナと彩子。ダイアナはキャバ嬢のシングルマザー家庭、彩子は料理教室の先生の母と編集者の父の家庭で育つ何の不自由もないお嬢さん。全然違う価値観の家で育ったからこそ惹かれ合う友だち同士、幼い頃はそういう