柚木麻子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
栄利子は最後までヤバい奴だし全く共感できないんだけど、それでも人並みに人間関係を作れるようになりたくて必死にもがいてるところは応援したくなる。
終盤までどんよりするような展開が続くけど、ラストは、これといった救済も大きな変化もないけれど、それでも静かに栄利子も翔子もほんの少し前に進むことができてちょっと希望が見える終わり方でよかった。
Butterとこれの2冊しか読んでないけど、カジマナや栄利子みたいな常識から外れたキャラクターは、全く理解の及ぼないモンスターとして描けばそれでも話としては成立すると思うのだけど、しっかり内面や思考を描いて、共感はできないけどこいつはこういう人間なんだな、と思わせてくれるところが柚木さんのすごいところなんだろうな。 -
Posted by ブクログ
女あるあるが沢山散りばめられていて、とても面白かった!!最後以外は。結末が案外あっさりしていた印象。
女のギスギスを直に感じた。あぁめんどくさいなこんな友達いたら、と素直に思ってしまった。
絶対江里子なんかと友達になりたくない。反対に私は翔子に「共感」していた。ぜひ友達になりたいと思った。
しかし、友達ってどこの基準からできるのだろうか?言われてみれば、「共感」からご飯に行ったり、お出かけ行くようになったりしたのかな。友達ができない、ってなんだろうと思った私はおめでた、なのかもしれない。だけど、読んでいたらなんとなくわかる。2人に足りていないものが何か。
ナイルパーチ、あんまり関係ないと思ったけど、ほぉそんなところに繋がってくるんか、と新しい発見もあった。久々に読んでも疲れない小説に出会えた気がした。 -
Posted by ブクログ
面白かった!
なんだかノリスケ達がえらい大人に思える時もあれば、しっかり中学生の思考で安心した。
こんな露骨ではなかったがどの学校にもカーストはあるんだなぁと思った。
スーさんのおっとりしてるのに芯がまっすぐなところがすごい好きだった。
王妃のことも、こんなワガママすぎてやばいと最初は思ったが、中学生で可愛いかったらもう世の中の全てを手に入れたと思っちゃうよな…と思ったり、大人になった今はまぁ仕方ないのかなと思うが、当事者たちにとっては世界の全てで、もがかないといけないことなんだなと思った。
ノリスケの最後の怒りはもっともだったが、なんだか王妃の行動に拍子抜けした。
その行動できるなら、もっと早く行動してれば良かったのでは?と思ってしまった。
何がともあれ、結果はハッビーエンドでたのしかった。 -
Posted by ブクログ
菫と光晴の出会いは唐突だった。東京は暗渠が多いのはブラタモリを見て知っていたけどその理由が東京オリンピック前に街の景観を整える為にたくさんの川を暗渠にしたと言う事だ。目から鱗だった。
この足の下には隠れた水の流れがある。18歳の春人生で最初にそれを菫に教えたのは光晴だった。しかし22歳のあの夏一緒にいてもこんなに惨めで菫が菫である事を忘れさせ、いたたまれない気持ちにさせる男とはもう会うべきではないと決死の覚悟で断ち切った。凄い決断だと思った。次の日からの生活を想像するだけで自分には絶対できない。
暗渠の下を流れる淀んだ汚い川でも心がけ次第で時間は掛かるが自然の持つ力がいつか浄化してくれたのではないだろうか?次々と湧き上がる力に押されて『さらさらながれて』いってしまうのだから...
菫の圧倒的な強さに傷つけられ、おののき憎みながらもどうしても目を逸らすことができなかった。菫は他のどんな人間とも違っていたがその本質には少しも気付いていなかったのだ。
菫にも暗部はあるはずだ。菫は自分の奥底でわだかまった淀みから目を逸らす事をしなかっただけなんだね。光晴はなんて馬鹿なんだろうか。酔って記憶が無くなるのって最低。でもリベンジポルノで無かったことが救いかなぁ〜光晴に叩き落とされた谷底から自力で這い上がって辿り着いた場所はそのまま世界に繋がっている広大な場所だ。たぶん光晴には一度も経験した事が無い、選び取る事が絶対出来ない場所だと思う。
菫が駄目だった事は、本当は嫌なのに好かれたくて自分を殺して光晴に写真を撮る事を許した事なんだ
失敗しても転んでも一歩ずつ前進する事が大切なんだね。
-
Posted by ブクログ
ネタバレオーディブルで聴いた。
女子教育というものが、戦前は当たり前ではなかったことに改めて衝撃を受けた。女性参政権もなかったのは、うっすら学校で習って知っていたけれど、想像をしたことがなくて、女性の人権がなかったんだなと思った。
私もキリスト教の女子校出身なのだけれど、自分の学校は戦争中どんなふうだったのかも気になった。
祖母が、戦時中は女子は学校ではなく工場で働かされたと言っていたのを思い出した。
道先生や、様々な先人たちのおかげで、日本でも女性が教育が受けられるようになったんだなと思った。
『一房の葡萄』の有島武郎が嫌な奴で出てきて、そんなキャラだったのか!と驚いた。(有島武郎については、一房の葡萄しか知らなかったので。)
他にも、新渡戸稲造や、野口英世や、赤毛のアンの訳者の村岡花子や、くまのプーさんの訳者の石井桃子などが出てきて、豪華キャスト!と思った。
あとがきで、柚木麻子さんの恩師が、一色義子(とらじと渡辺ゆりの娘)なのか!とびっくりした。
-
Posted by ブクログ
2026.48
小説は時代をうつすと聞いたことがあるけど
この作品を読んで本当にそうだなと思った
過去であり現在であり未来だった
第5章の散りばめられた言葉たちが
小さな炎のように見えた
いいなあ、今読んで良かったなあ
====
P75 「私、怖いんですよ、もし、動けなくなったら、私どうなるんだろう」
P155 「大丈夫だよ。オール・ノットの真珠にすれば。あんたみたいながさつな子も。これは絶対に切れない、そういうつなぎ方をしているんだよ」〜「え、オール・ノットって、全部ダメだって意味じゃなかったつけ?」「それはall not だよ。このつなぎ方はall knot ね。あとall notは全部ダメって意味もあるけど、全部ダメってわけでもない、っていう意味もあるんだよ。そうだよ。全部ダメってわけじゃないんだよ。なにごとも」
P276 今年で四十歳になった。奨学金はあと半年で返し終わる。近隣諸国との関係悪化から防衛費が増大した分、文教および科学振興費は激減している。少子高齢化の影響もあって、大学が次々に廃校して全人時代がやってきたものの、授業料無償化には未だ至っていない。
P295 自分が同じ立場になったからわかる。下の世代が自分よりさらにひどい苦境に立たされているのを見ると、腹の底から湧いてくる感情は、憐れみではない。この国への怒りなのだ。 -
Posted by ブクログ
恵泉女学園創立者の河井道を主人公に、明治期以降、日本の女性の地位向上に奮闘した人々を描く大河小説。
明治期、まだ女性は「家」に従属するものであり、独立した「個」とは見做されていなかった。
個人の夢なんかより「奥様」になり子をなすことを要請する日本社会に抗い、女子の自立を目指した津田梅子が主宰した女子英学塾。
そこから、主人公の河井道をはじめ多くの女性が、日本の女性の地位向上のために立ち上がっていく。
新渡戸稲造、津田梅子に始まって、平塚らいてうや山川菊栄、市川房枝…などなど、歴史で習った有名人が出るわ出るわ。
こんなにも多くの人たちが、それぞれにできるやり方で世の中を変えようと奮闘してきたのかと、頭が下がる思いになる。
主人公の河井道は、キリスト教の「シェアの精神」を体現した人物で、自らの善意は惜しみなく分け与えるとともに、他人の善意も有り難く受け取る。そうやって、感謝の輪が広がり、活動の輪が広がっていく姿は、まさに河井道が若き日に留学先のブリンマー大で見たランタンの継承そのもののようだ。
小説の組み方も、過剰な装飾はしない。ただただ、河井道ら、多くの登場人物の生き様がもう重厚なドラマなのである。とはいえ、それを引き立てるためのちょっとした仕掛け(随所で形を変えて登場する"暗闇"は旧時代の象徴だろうし、ちょっと可哀想な描かれ方をしている徳富蘆花や有島武郎は分かりやすい対比)を散りばめているところに、著者のうまさを感じた。
700ページを読み切ったとき、河井道ら、この激動の時代を戦い抜いた彼女たち自身が希望の灯となり、その灯が次から次へと広がって、暗闇を明るく照らし出す……そんな情景が自然と心に浮かんだ。
教育の重さを改めて感じ、少なくとも我が子の親としての自分の責任を感じて背筋を正す思いだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ津田梅子から戦後まで、連綿と続くシスターフッドの物語。
メインは、恵泉女学園の創始者、河井道と教え子の一色ゆり。
解説は村岡恵里で、もしやと思ったら村岡花子の義理の孫だった。
明治~昭和まで、活躍した女性たちがたくさん登場するが、みんなそれぞれに考えがあり、決して一枚岩ではない。
それでも、女性の地位向上のためにゆる~く連帯する様子がシスターフッドなのか。
しかし、登場する男性は総じてクズばかり。
まともな男が、ゆりの夫の一色乕児しかいない。
あ、新渡戸稲造も良い男に描かれていた。
有島武郎に至っては、相当ひどい書かれようである。
その有島が、道の心の闇を照らす亡霊として、死後も登場し続けるのもまた興味深い。
それにしても、明治の頃から日本の男は、若い女性が楽しそうにしているのが気に入らないんだな……。
「女が死なないとドラマにならない」って、なんだそりゃ。