柚木麻子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ夢中になって何でもキラキラして見えるときと、それが冷めてしまうときとの落差が切ない。真央視点もミャーコ視点も舞視点も同じ。山戸四葉は何度もそうやって大切にしてきた人たちに離れられてしまってなんて悲しいんだろうと思ってしまった。みんなどこか心のうちは薄情だし。でもたしかに四葉さんは最後まで愛されていた。
ずっと決して綺麗事ではなくて、「失敗」を何人もの女たちが紡いでいった結果、誰かが救われる「瞬間」がある。ひとの人生丸ごと救うなんてそうそうできないけど、まっすぐな生き方が近くにいる誰かの心を温めるってことがあるんだろうなと思った。
【下の世代が自分よりさらにひどい苦境に立たされているのを見ると、腹の底から湧いてくる感情は、憐れみではない。この国への怒りなのだ。】
帯の言葉すごいなあ。現実とぴったりリンクするわけでないけど、どこか社会への諦観が滲み出ている。暗くて辛い日本社会への嘆きも感じる。でもきっとエールなんだろうな。この社会で苦しくても生きなきゃいけない我々に、地に足ついた励まし方をしてくれている気がする。
どうしようもないミャーコの魅力が、真央の言葉でわかってしまうようなところがある。いいなあ。年齢も育ちも関係ない、歯に衣着せぬ話せるこういう親友がいたらいいんだろうな。
-ミャーコさんが消えたら、まったく評価されていないような映画や本の話をする人が周囲から完全に消えてしまう。寂しい、と正直に打ち明けてくれる人がいなくなる。おおっぴらに誰かを好きになっては、しつこくしすぎて嫌われてしまう人もいなくなる。自らの失敗をあっさり認める人もいなくなる。こんな風に、朝からは想像もつかなかった、真っ暗なだけの景色にひとりで魅入る経験もできなくなる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ食に無頓着で生活に遊びが無い仕事人間の主人公が、容疑者 梶井真奈子の取材を通して欲望に耽る快楽を知っていく。
その過程で、それまで当然に感じていた世間の価値観に疑問を抱くようになる。
傷つきながらも成長していく、1人の人間の内面を見事に描いた作品。
作品全体を通じて、心理描写がとことん腑に落ちる作品だった。こちらから寄り添ったり理解しようとせずとも、自然に浸透してくる感じ。
話の展開も自然でありながら動きがしっかりあるので、読者を離さない。
あと、亮介さんが可哀想だった…。
奔放な玲子に振り回されていて、普通ならもっと揉めていてもおかしくない。
でも、その「普通」や「常識」という他人が決めた価値観から解き放たれた「個人」にフォーカスを当てた作品でもあると思うので、
この読者の心の動きも著者の狙い通りなのかもしれない。
終盤の主人公の独白にもあるように、
他人のレシピ(考え方、価値観)を取り込んで自分流に味付けすることが、
個人として生きていくための1つの方法なのかもしれない。
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Posted by ブクログ
柚木麻子さんは、名作と呼ばれる本をどんなふうに読んできたんだろう?
それが知りたくて手に取った一冊。
フランス、日本、イギリス、アメリカ文学と、ずらりと並ぶ名作たち。読んだことのある本は、そんな見方もあるのかと面白く、そして、未読の本は更に興味がわく。読書案内を読むと、読みたい本がさらに増える。本好きの積読はこうして育っていくのですね。
なかでも読み返したくなったのが、宇野千代の『おはん』
ちょうど来週から始まる朝ドラ『ブラッサム』は宇野千代がモデル。宇野千代と親交のあった文豪たちも登場するそうで、芥川龍之介や梶井基次郎をモデルにした人物もいるとか。となれば個人的には、ぜひ谷崎潤一郎もお願いします。
そして本書の中で、気になったのが、宇野千代の「極道すきやき」。牛肉を生卵とブランデーにからめて焼くという、名前からしてただ者ではない一品。これは、ここぞという時に作ってみたい!