柚木麻子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
話題作。
「ランチのあっこちゃん」が読み応えごなくて、もうこの人の本は読まなくていいと思っていたが、話題になったので読んでみた。こっちが実力だったらしい。面白くて、驚いた。
結婚を餌に男性から金を巻き上げていた実在の事件を下敷きにしている。
「本当は殺してないけど、飽きてほっぽらかしたら死んでたのよ」との解釈は面白い。
実際にはそんなことないだろう。たまごっちじゃあるまいし。とはいえ、この本は面白い。
モテない自分を傷つけないような(格下の)女を選んだつもりが、その女に殺される、など自分を卑下してその気持ちを女性に向けている心理など、醜くて残酷。
また、女性の容姿に対する侮辱の酷さ(加害者は男性限定ではない)の描写はリアル。そんなすごくリアルな部分に対してフィクション感の強い部分が混在している。
犯人は被害者男性を当初とても可愛く思っていたが、喜ぶ姿を見ているうちに飽きてしまった、それで放置したら、絶望して死んでたわ、でも、それで死ぬなんてそもそも最初から生きていたと言えるかしら。初めから死んでたようなものよ。と言うくだりは、筋の一貫性が優先されて現実的ではない。詭弁だなあと思う。
全体的に女性が中心になっていて、男性の痛みは扱いが悪い。
この話を男性側から書くならば、苦役列車になるのだろうか。男性と女性、女性と女性の間にある溝と憎悪、それに傷つく女性の心理が描かれている。
と言うのが前半。後半は人間同士のつながりや連帯で救いや希望がある感じ。この部分はまた理想論で現実感はいささか薄くなる。そうなれたらいいけれど、信頼をベースに繋がり合うのもなかなかハードルが高そう。
「見た目を気にしないで食べたいものを食べ、やりたいことをしている私を、他の女どもは妬んでいるのよ」と言うあたりは、痩身願望が強すぎる現代社会では結構当たっているのかも。
結構いろんなテーマが入っていて、飽きない -
Posted by ブクログ
タイトルの通り、
こってりこってりしたお話。
出てくるお料理もリッチすぎて
読んでいるだけで胃もたれをしてしまうほど。
梶井真奈子の醸し出す独特な雰囲気に
虜になり翻弄されまくる主人公、里佳。
彼女と一緒に私自身も惑わされながら
次々とページをめくり夢中になって読んでいた。
結局、梶井真奈子は何者だったのか。
正直分からないことばかりだけも、
なんだか私にはとても寂しい人のように感じた。
そしてそんな彼女に翻弄されまくった里佳は
本当にたくさんのものを失ったかもしれない。
ただ、それ以上に気付きや自分らしく生きる道を
見つけることができたようにも思う。
辛い時に誰かに助けを求める
そんな"勇気"を持てる自分でありたいな。 -
Posted by ブクログ
散りばめられるバター料理が印象的。歯ごたえのある厚みのエシレバターで作るバター醤油ごはん、銀座ウエストのバタークリームケーキ、そしてロブションのディナー。実際読んでて胸焼けした。
『こころ』の次に読んだので『(梶井に事件の核を聞くには)心臓を差し出さねばならない』が印象に残った。『こころ』では差し出された側はありがたくないと思ったが、その血が肉がバターになってるなら美味しそうかもしれない。
中盤からは怜子の大冒険、篠井さんの家での同居生活と場面も目まぐるしく楽しい。
塩野さんは男は男のために死ねるが、女は女のために死ねないと。でも、女は女がいないと生きていけないのかも。
ひたすらかじまなの印象が浮き沈みするものの、中盤以降は巨悪なんかでなく小賢しい女に思える。最後の梶井の裏切りなんか想像できる(頂き女子リリちゃんを思い出した)が、ショックを受ける里佳がおぼこくて少し可愛い。
昔はこう言う小説に、確固たる自分の意見を持って「こんなやつは嫌い!」「私ならこんな行動しない!」と思いながら読んでたと思う。今や、「自分がこの立場だったら…そうしちゃうかもねえ」と、人間の複雑さを噛み締める。昔の思考めぐる楽しい体験にはならなかったが、自分も大人になったなぁと思えた。 -
Posted by ブクログ
アラサー女として生きていると、両手いっぱいに友人を持っていても、気づくと指の間からぽろぽろと減っていく
結婚とか子供とか仕事とか、男性以上にライフスタイルに差が出てくる時期だから
それを身をもって知っているから、もしかしたら1番共感できたのは必死で友達を繋ぎ止めようとしている真織かもしれんかった
主人公の2人は各々が各々の生きづらさを持っていて
別に共感はできないんだけど
どうしても友達がほしいとか、1人で生きる不安とかはひしひし分かる
とはいえさすがに栄利子がキモすぎて他責すぎて哀れだった
一応2人とも前を向いて過去の自分を清算した終わり方だったから、もう他人を食い荒らさずになんとか幸せになってほしい -
Posted by ブクログ
アンソロジーの良いところは、一冊で複数の作家さんの美味しいところを大きな一口でつまみ食いできること。小学生以来、本そのものから離れていた私は、全員はじめましての状態だった。
酒が主役!ではなく、酒から繋がる人間関係にどれも繋がり、なるほど、ほろ酔いだとひとりごつ。気持ち良く酔ってしまえば、周りの感情どころか自分の心さえどこかへ行ってしまうのだから。
どの話も素敵だったが、うーん、どうしてもやはり原田さんの短編がざらりと残る。すき焼きのたれの甘ったるさに似た余韻の残り方。調べれば古本食堂にランチ酒…積読に眠っているものたち。また楽しみが増えてしまったなぁ。