柚木麻子のレビュー一覧
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大手商社に勤務する英利子は、信奉している主婦ブロガーの翔子と偶然出会い、意気投合します。ところが翔子は英利子のストーカーのような行動に違和感を感じ、彼女を拒絶します。しかし翔子の浮気現場を押さえて弱みを握った英利子は、「親友になって」と翔子に強要します。なぜ英利子は「女友達」にそこまでこだわるのか?
翔子と偶然であった喫茶店も、英利子はリサーチ済みだったように思えます。序盤の英利子はバリキャリとして描かれていましたが、早い段階で彼女の粘着質で自己中心的な素顔が明かされます。特に思い込みの激しさが際立ち、「私が〇〇してあげなければ」「〇〇すべきだ」と英利子が翔子などの他人を見下し、コントロール -
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わずかな温度の変化で溶けて、固まり、また溶けては流れ込み、さりげなく染み込むバター。さらりとしながら濃厚な風味と重量感のある深い味わい。摂り過ぎてもいけないかな、と思いながら止められない背徳感も味わいのひとつだろう。
ためらうほどの主張があるのに入り込む。わかっているのに止められない。そんなものかな、人間関係も。ひとりで生きているようで、いとも簡単に自分の領域に入り込ませてしまう隙。入り込む側の人間こそバターの特性にまみれている。摂り過ぎた結果の、わかり切った不都合ですら二の次にしてしまう甘さ。したたかさを許す甘さ。
たぶんそれでいい。それ以外に何もできっこないから。なるようにしてなること。因 -
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らんたんとはランターン(ランプ)のことで、教育の志や灯火を次の世代へ引き継ぐという意味が込められている。本書は、アメリカ留学後に日本で女子のための英語塾を開いた津田梅子の後を継ぐ、河井道と一色ゆりの物語である(恵泉女学園を創設した二人)。明治から昭和にかけて、日本の女子による女子のための教育を切り拓いた歴史を描くと同時に、道先生とゆりさんのシスターフッドの物語でもある。文庫で700ページ近い大作で読み応えがあるが、柚木麻子による「女子の自由と自立」を描いた物語が面白くないはずはない。
「シスターフッド」という観点にはあまり馴染みがなかったため、新鮮に感じた。キリスト教的な思想なのだろうか。光 -
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女子校のスクールカーストをめぐる、青春の成長物語
私は男子校出身なので、本作で描かれる「グループ」という存在は興味深かった。現実はここまで極端ではなくとも、出身者の談によれば確かにグループは存在するらしい。
本作では、カーストトップグループの代表者が不祥事により追放されたことをきっかけにおこる、各グループの混乱や騒動を描いています。目まぐるしく動く人間関係からは目が離せず、とても面白いです。
また、この手の作品では珍しく、親や教師といった大人が存在感を放っている点が地味な評価ポイント。みんなまだ中学生ですからね。
なお、本作はフランス革命をモチーフにしているうえ、主人公・ノリスケがフラン -
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一番好きだったのは三篇目。人と人のつながりの美しさをこれでもかと表現されている。新たな命を世に産み出す未来に孤独で立ち向かおうとする語り手。そんな語り手を心配に思ったネットの友人が、近所に住む母を語り手の元へ送り届ける。語り手と同じく一人で娘を育てた彼女からの差し入れやそれと共に添えられたメモも相まって、語り手は感じてた孤独感が、幾つも年上の友人の手によって取り払われる。
そんな二人の会話や、ネットの友人と新しく出来た友人の親子関係にも確かな繋がりがあり、心が浄化された気分になった。終わり方も好みで、実際の距離が離れていくことで、心の距離の近さがより強調されていたように思えた。
初めと終わり -
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柚木麻子さんの中高の母校、恵泉女学園の創立者河井道を軸に、日本の女子教育の歩みを描いた歴史小説となっています。
ただし一人の偉人伝ではなく、女性たちの活躍が連なり、群像的な構造です。
単行本は2021年刊行。
第一部は文芸誌「きらら」第二部はウェブきらら、第三部は書き下ろしとなります。
タイトル『らんたん』は、アメリカのキリスト教系学校における灯火の儀式に由来するそうです。灯りを手渡す行為は、教育や信念の継承を象徴。本作における女性たちの連帯、いわゆるシスターフッドの主題と重なります。
読み始めすぐに NHKの連続テレビ小説でそのまま使えるわと思いましたが 著者も狙ってたみたいですね。