柚木麻子のレビュー一覧
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ネタバレ4編の短編集
アッコさんがグイグイとお節介をやく2編と関西の土地柄が出ている2編。
どちらも、自分自身を振り返ることで本当の気持ちを大切にしながら、一歩踏み出す力が湧いてくるようなお話でした。
特に『3時のアッコちゃん』はアッコさんの存在がかっこいい。そして、考え方や使い方一つで無駄なことなんてないなぁと思った。
アイデアの出ないチーム会議の司会とお茶係にほとほと困っていた三智子に、アッコさんは
「お茶を用意する係こそが、頭の使い方次第で会議を牛耳り、会社の舵取りができる」
と教え、
「5日間続けて、午後3時に企画会議を開け。自分がアフタヌーンティーを用意する」
と言い放つ。
アッコさんの登場に、最初は戸惑う面々も、美味しいお茶とお菓子に場が和み、会議の雰囲気とメンバーの意識が劇的に変わっていく。
あと『梅田駅アンダーワールド』で、就活のために一生懸命自分自身を説明する言葉が、真実か虚飾か訳がわからなくなる感じが、すごくリアルだった。
回り道しても、自分の大切なものは大切なままに。そんな考え方もいいなぁ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ夢中になって何でもキラキラして見えるときと、それが冷めてしまうときとの落差が切ない。真央視点もミャーコ視点も舞視点も同じ。山戸四葉は何度もそうやって大切にしてきた人たちに離れられてしまってなんて悲しいんだろうと思ってしまった。みんなどこか心のうちは薄情だし。でもたしかに四葉さんは最後まで愛されていた。
ずっと決して綺麗事ではなくて、「失敗」を何人もの女たちが紡いでいった結果、誰かが救われる「瞬間」がある。ひとの人生丸ごと救うなんてそうそうできないけど、まっすぐな生き方が近くにいる誰かの心を温めるってことがあるんだろうなと思った。
【下の世代が自分よりさらにひどい苦境に立たされているのを見ると、腹の底から湧いてくる感情は、憐れみではない。この国への怒りなのだ。】
帯の言葉すごいなあ。現実とぴったりリンクするわけでないけど、どこか社会への諦観が滲み出ている。暗くて辛い日本社会への嘆きも感じる。でもきっとエールなんだろうな。この社会で苦しくても生きなきゃいけない我々に、地に足ついた励まし方をしてくれている気がする。
どうしようもないミャーコの魅力が、真央の言葉でわかってしまうようなところがある。いいなあ。年齢も育ちも関係ない、歯に衣着せぬ話せるこういう親友がいたらいいんだろうな。
-ミャーコさんが消えたら、まったく評価されていないような映画や本の話をする人が周囲から完全に消えてしまう。寂しい、と正直に打ち明けてくれる人がいなくなる。おおっぴらに誰かを好きになっては、しつこくしすぎて嫌われてしまう人もいなくなる。自らの失敗をあっさり認める人もいなくなる。こんな風に、朝からは想像もつかなかった、真っ暗なだけの景色にひとりで魅入る経験もできなくなる。 -
Posted by ブクログ
柚木麻子さんは、名作と呼ばれる本をどんなふうに読んできたんだろう?
それが知りたくて手に取った一冊。
フランス、日本、イギリス、アメリカ文学と、ずらりと並ぶ名作たち。読んだことのある本は、そんな見方もあるのかと面白く、そして、未読の本は更に興味がわく。読書案内を読むと、読みたい本がさらに増える。本好きの積読はこうして育っていくのですね。
なかでも読み返したくなったのが、宇野千代の『おはん』
ちょうど来週から始まる朝ドラ『ブラッサム』は宇野千代がモデル。宇野千代と親交のあった文豪たちも登場するそうで、芥川龍之介や梶井基次郎をモデルにした人物もいるとか。となれば個人的には、ぜひ谷崎潤一郎もお願いします。
そして本書の中で、気になったのが、宇野千代の「極道すきやき」。牛肉を生卵とブランデーにからめて焼くという、名前からしてただ者ではない一品。これは、ここぞという時に作ってみたい!
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Posted by ブクログ
「話のテーマが重すぎて、ちょっと読むのがツラいんだよーーーーッ!!!!」と途中で読むのをやめていたけれどなんとか全部読み終わった。しんど!!!!!!!!!!!!
東京の地理に詳しかったらもっと楽しめたのかしら、と思った。
等々力渓谷は知ってる。10年以上前、友だちと東京観光で行った。なんでわざわざ等々力渓谷に行ったかというと、好きなバンドマンが行っていたからだった。あそこは本当に森で、東京じゃないみたいだった。
私の母と祖母は東京出身である。
でも私は関西に住んでいる。母が関西を選んだからだ。東京の方が水が合うらしいが、母はもうこっちに住んでからの人生の方が長い。
二十歳そこそこの頃はしょっちゅう、それこそ毎週ペースで東京に行っていた時期があり、祖母が喜ぶと思って「今回は等々力渓谷に行ったよ」「今回は荻窪に行った」「三鷹に行ったんだけどね」「下北沢に行ったよ」と逐一教えていたら「田舎ばっかり」と肩を落とされた思い出がある。「田舎!?有名なとこばっかだよね!?」と私が母に問うと、「おばあちゃんの時代の話だから」「23区じゃないとこもあるし」みたいな反応だった。今の時代はどうなのだろう。私はすっかり東京への用事がなくなってしまった。東京でやりたかったことは若いときに全て済ませた、ようにも思う。それともまた行きたくなるときが来るのだろうか。
写真の件に関してはもう本当に。怖かった。流出するなんて思わないものね。分からないものね。隠し撮りされてる可能性もあるし。付き合ってる人と裸で向き合っているとき、「へんなの」「滑稽だ」と思ってつい笑ってしまったことがある。アジカンの「架空生物のブルース」が頭に流れることもあった。
あれは二人だけの空間のはずだったのに、そんなのが世界にばらまかれたら、怖いだろうな。嫌だった。怖かった。気分が悪かった。でも最後まで読んでよかった。