柚木麻子のレビュー一覧

  • 終点のあの子

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    世田谷区の私立女子校に通う内部性の希代子(祐天寺)、有名写真家の娘の朱里(神泉)、森奈津子(町田)、高校入学組恭子(鮫洲)オタクで地味な保田(立会川)という住まいの設定がうまい。イケてる恭子は実家の『おしゃれ帝国』がダサいこと、生まれから勝アドレスを持つクラスメイトを羨み、新宿乗換でなく渋谷乗換を選ぶ。意地悪な女の子たちに、あの時苛ついたあの子は今もやっぱりというのもリアル。最高にいやらしく、おもしろかった。

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    2026年09月19日
  • 本屋さんのダイアナ

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    ネタバレ

    ダイアナと彩子のタイプの違う2人が親友になり、すれ違い、互いに成長し、また出会う物語。
    個人的にシェルティと小公女セーラが出てきて熱かった!
    Butterやナイルパーチの女子会等、女ドロドロ系のイメージの強い柚木麻子さん。タイプが違うので気になって読んだ。結果、とても良かった◎
    父を追うダイアナに彩子やティアラがかけた言葉に家族・親友の愛が伝わってきた。
    昔読んだ本も自分が成長したことで楽しめたり、新しい見方ができたり、何度だって読み返せる。
    物語や本屋さんが更にまた好きになりました。

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    2026年09月16日
  • らんたん(新潮文庫)

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    河井道の史実を元にした小説

    柚木麻子さんの母校 恵泉女学園中学・高等学校の創立者 河井道
    その道とシスターフッドとして支え続けた一色ゆりとの絆を描いた、ある意味で女子大河小説

    柚木麻子さんは、実際に在学していた90代の方々にも取材をしたそうな
    そして皆、戦時中でも学校が「楽しかった」という
    そんな学校の設立の経緯と運営のあれこれ

    河井道と一色ゆり

    冒頭は、一色乕児が渡辺ゆりにプロポーズするところから始まる
    河井道とはシスターフッドなため、自分と結婚するという事は河井道とも一緒に暮らすということ
    そんな条件を受け入れて結婚した乕児も、当時としてはかなりの変わり者のように思える

    シスターフッドとは、イエス・キリストのもとに集う姉妹、つまりは血縁関係を持たない女性同士の絆の事

    そんな二人が理想の女学校を立ち上げた経緯と、その後の運営のあれこれが描かれている

    河井道は三重県生まれで神職の娘
    父が友人への資金トラブルで信頼が失墜し、北海道に移住
    父がキリスト教に傾倒して改宗
    そこで出会った新渡戸稲造に見出され、アメリカ留学のため、女子留学を支援するという津田梅子の元に行く
    ブリンマー大学卒業後は津田梅子の女子英学塾時代で勤務
    そこで、生徒であった一色ゆりと出会い、押しかけ女房的に同居する事になる


    主人公は河井道だけれども、実在する関係者も多数登場するし
    河井道が津田梅子の一番弟子のような立場のため、日本に於ける女性の自立に関するエピソードが多数

    津田梅子の学校の生徒達で有名な人もいるし、他にも実在の人物が多数登場する

    平塚らいてう
    山川菊栄
    神近市子
    伊藤野枝
    広岡浅子
    村岡花子
    市川房枝
    柳原白蓮

    それぞれで本になる、むしろそんな本が存在しているような面々
    正に、日本のフェミニズムのアベンジャーズのような作品


    男性でも、新渡戸稲造、有島武郎、野口英世、ロックフェラー、ボナ・フェラーズ、太宰治、白洲次郎など


    河井道はとにかく目的意識がはっきりしていて、そのためには諦める事がない
    お金はないし、時には計画性もない
    だが情熱はある
    女子教育という灯りを絶やさない決意を感じる

    戦時下でも強かに学校を存続させる対応をする
    国策と女子教育との狭間で、のらりくらりと抜け道や言い訳で生徒達の安全と生活を守ろうとする
    「学園だけは楽しく」「それが私たちにできる戦い」だと生徒達を励ます


    題名の「らんたん」は津田梅子も留学していたブリンマー大学の行事に由来する
    先輩が後輩にランタンの火を継承する儀式
    上級生から下級生に知識の象徴として継承されるランターンの火
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    らんたんの灯を絶やさないで。それは教育という名の希望なのだから──。
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    光をシェアして社会を明るく照らしていこうという指針


    当時、女学校と言えば良妻賢母という教育が基本だった中
    ひとりの人間として生きるための女学校が必要だと尽力した河井道

    作中で、度々シスターフッドの理念が出てくる
    「女が手を取り合わなければ、男たちはすぐ戦争を始めてしまう」
    「女たちが手を取り合えば男たちは戦争ができなくなる」

    多分、こういった事が一番言いたかった事なのかと感じた



    執筆の経緯としては、近所の屋敷からそこに住む老婦人の話を思いついて執筆したのが「マジカルグランマ」
    そしてその屋敷は、実は母校の創立者である河井道と一色ゆりの暮らした一色邸である事を知る
    そこで河井道についての話を書こうとして母校の資料室に出入りしていたが、コロナ禍のためそれもできなくなる
    しかし、母校に入れなくなっても、他の偉人の記録を調べると河井道の記述が見つかるという

    あと、子供を連れて行ける取材先がないけれども
    「子どもが泣き声を出せない場所は、どこかいびつで変なのよ」という作中の言葉の通り、母校では子供の泣き声が迷惑ではないという理由もあったようだ


    解説は村岡花子の孫の村岡理恵
    作中に登場する関係者に解説を依頼できるのも、史実を元にした小説ならではですね

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    この灯は、「妻」や「母」ではなく、「私」のためにある。
    明治・大正・昭和の女子教育を築いた女性たちを描く大河小説!
    世界中が熱狂する『BUTTER』著者の原点がここに――。
    らんたんの灯を絶やさないで。それは教育という名の希望なのだから――。伊勢に生まれた河井道は、札幌で新渡戸稲造に学び、米ブリンマー大学に留学、帰国後は津田梅子が創設した女子英学塾で教えた。良妻賢母ではなく、ひとりの人間として生きるための女学校をつくろうと、道は教え子の渡辺ゆりと奔走する。明治・大正・昭和の女子教育を築いた〈魂の姉妹〉を描く、輝きに満ちた大河小説!(解説・村岡恵理)
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    2026年09月14日
  • 終点のあの子

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    出てくる登場人物の所々が自分と似ていて読んでいてグサグサ刺さって辛かった。読みながら何回もため息が出た。だけど、今後自分を省みて成長するために、何回も読みたいと思った。

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    2026年09月13日
  • 本屋さんのダイアナ

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    ダイアナと彩子の話。
    小さい頃はあまりにも世界が狭くて、色んなことを羨ましく思ったり「人と違う」ということが悪いことに見えるが、大人になったら今よりずっとずっと生きやすくなるんだよと、小さい頃の2人に教えてあげたいと思いながら読み進めた。

    自分はどちらかと言うと彩子のような幼少期を辿ってきて、どうしてもダイアナのような子に偏見があったときもあったが、高校の時はダイアナのような容姿になった。
    今から思えば、なんだかんだ言って憧れみたいなものもあり、その時に出来なかったことを高校になってやったんだと思った。

    ティアラさんの「みんなが正しければ正しいほど、毎日が苦しかった」という気持ちもわかった。
    小さい頃は「いい子」でいたら良かったのに、成長するにつれてそれだけだと「つまらない子」になってしまうのが理解出来なかったなと自分自身思っていた。

    今もよくわかっていないが、大人になれば何かしら出来ることがあれば人と関わらずに働くこともできて、協調性を強いられる部分が少なくなって楽にはなった。
    全体的に、色んなことを言ってくる人はいるけど、自分自身に芯があれば、跳ね返せるというメッセージとして読み終えた。

    すごいいい本だったな。
    またふたりが本の話をするところを見たかったなと思った。

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    2026年09月13日
  • 本屋さんのダイアナ

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    ネタバレ

    リアルに近いフィクション作品だった。
    小学校で仲良かった2人が私立と公立中学、名門大学
    に進学、そうして徐々に交わることのない二つの世界へと進む。見た目に反して一途でずっとダイアナのことを思い続ける武田くん、不器用ながら強く生きるティアラなど歪な家庭環境でも愛に溢れていることに気づき始めたダイアナ素敵。

    やがて2人の世界が混ざり合う、どんなに離れてもまた昔みたいに戻れるかもしれない、そんな旧友を振り返りながら読めた本。ありがとうまた読む

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    2026年09月10日
  • あいにくあんたのためじゃない

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    最高の短編集。柚木節炸裂!
    トリアージ2020が1番好きだった。

    コロナ禍で奮闘する女性の話が多くて、あの時期の息苦しさや、弱い立場に皺寄せがぐんときた怒りを思い出した。あの突然の休校のことを私は一生許さない。

    そういった身近な理不尽さに、連帯してスッキリする話も良かったけれど、「トリアージ2020」の自分のできる範囲で他人同士が助け合う話が1番気持ちよく読めた。今は怒ったり意思を表明するのに、ちょっと疲れてるのかもな。

    コロナ禍にあったあの時の雰囲気を、元気になるワクチンと一緒にパッケージしたような作品でした。

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    2026年09月10日
  • あまからカルテット

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    こんなに、勇気と元気をもらえる小説があるだろうか。友情、言葉では簡単だし友達という広い世界に共通する言葉。でも、この小説は違う。友情がどれだけありがたいことか、尊いことか、生きていく源の一つになるか、自分の一部を作っているまわりの大切な人達の存在を思わずにはいられない。何度も読んで、何度もこの気持ちになりたい。星5個なんて足りない、出会えて幸せな小説でした。

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    2026年09月09日
  • ランチのアッコちゃん

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    「食」を中心に現代を生きる女性達にフォーカスした4編の短編集。月並みな感想だけれど、悩みながらも前に進もうとしている人たちを見ると元気がもらえる。アッコさんと三智子の関係性が尊いなあと感じた。

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    2026年09月05日
  • 王妃の帰還 新装版

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    書店でこういう系読みたいなーってなって買った本だけど、自分が想像してたより何十倍も面白くて何十倍も深みのある本だった!!

    世界観と語り口が面白すぎてぐいぐい読み進めてしまうし、展開の面白さが抜群!!

    これ本当に中学校で起こってることだよな??って何回も疑問に思ってしまうくらい、大人な考え方というか自分の理解度が高い人が多くて尊敬の気持ちが湧いたなぁ

    でもこの主人公を含むグループがそうってだけで、他の人たちはどうしようもなく子供らしくてそこのギャップも面白かった!

    物語が終盤に向かうにつれてそれが少しずつ逆転してる部分もあったけど、最終的には全員が言いようのない青春の輝きを放っててラストはもはやスタンディングオベーションしたい気分になる!

    このところ美しい世界観の本を割と読んでたから久しぶりにおもしろさ120%の本読めて最高だった!!

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    2026年09月01日
  • ナイルパーチの女子会

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    ナイルパーチが意図せず生態系を壊すように、喰らい合う女たち。女友達の関係性って、ほんとに難しい…。ジワジワとえぐられました。

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    2026年08月31日
  • オール・ノット

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    私たちは酷い目に遭っても、ブチギレて薪を割る一方で、弱いものからは搾取しないし、下の世代が自分よりさらにひどい苦境に立たされているのをみると、憐れみではなく死に物狂いで宝石箱を託す。

    「死ぬまでに一回でいい。強い感情に突き動かされて、後先考えず行動して、失敗してみたかった」
    これができるのが、最も恵まれた境遇なんだ。

    柚木麻子の女たちが本当に好きなのは、彼女たちがしたたかで逞しくて、judgyであり、それはすなわち価値判断する価値基準を育んできた人生なんだと裏付けるから。
    そして、社会や時代というジャングルを個人がサバイブする世界観であること。世界の側に因果はなくて、単にそんな海の中を泳げるように泳げという個人主義は、構造が悪いと言うよりも承知している点で温かみがあるなあ。でもその海は冷たすぎる涙涙

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    2026年08月31日
  • ナイルパーチの女子会

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    ネタバレ

    ほんタメのあかりんさんがおすすめしていたことをきっかけに読んでみた。
    柚木麻子さんの作品を読むのは初めてだったが、解説を読んで『BUTTER』の作者だと知り、そちらも読んでみたいと思った。

    登場人物のほとんどがどこか変わった部分を持っていて、特に印象に残ったのが栄利子だった。
    かなり「やばい」人物だと思う一方で、自分もあまり友達が多い方ではないので、友達を求める気持ちには共感できる部分もあった。
    ただ、親友という関係にこだわり、自分の理想を翔子に無理やり押し付けていく姿は、途中からホラーを読んでいるようだった。

    翔子は自堕落な部分があり、相手から守ってもらうことを優先しすぎているように感じた。
    圭子は人生を諦め、無気力に生きているように見えた。それぞれ違った問題を抱えている三人だったが、最後には三人とも今の自分を変えようと前を向き始めていたことが良かった。

    読んでいて、何かを変えたいときは、他人や状況を変えようとするのではなく、まず自分が変わる方がいいのではないかと感じた。
    人生に決まった答えはない。友達がいなくてもいいし、無理に女性同士で団結しようとする必要もない。
    それぞれが自分に合った生き方を見つけていけばいい。三人にはこれから、それぞれの人生を頑張って歩んでいってほしいと思った。

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    2026年08月30日
  • あいにくあんたのためじゃない

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    短編集とは思えないほど、一つ一つの話が濃くて、コロナ禍の空気やジェンダー、声にならない声が凝縮されていた。

    数え切れない共感に、柚木麻子と握手したくなるような痛快さだった。

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    2026年08月30日
  • 本屋さんのダイアナ

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    ネタバレ

    児童文学のような、素敵な作品だった。

    大きい穴とかいてダイアナといういわゆるキラキラネームを持ち、絵に描いたようなTHEギャルといった母と二人で暮らす少女ダイアナ、上品で育ちのいい何も不自由しない家庭で育った彩子。
    正反対のような存在の少女の二人の10年間が描かれている。

    ダイアナより彩子の方が良い環境・良い家庭すばらしい両親の元で育っていると多くの人は思うだろう。
    それでも、なにをかもをもっていても、彩子はダイアナがうらやましい。
    もちろんダイアナも彩子がうらやましい。自分にないものを持っているお互いをずっときらきらした存在だと感じ、大切にしている。
    そんな二人だったがある日仲違いし、そのまま仲直りをすることもなく中学・高校と時は流れていく
    (仲直りのチャンスはきっと御影につぶされてしまったのだろう、とも思うが彼女は彼女で親が彩子の家庭へ心酔していた被害者であった為、はっきり彼女だけが悪いとも言い難いな、と複雑な気持ちになっている)

    少女から大人になるにしたがって、彩子はもう大人に守ってもらえないことを知り傷つく。そのことを忘れようと本当にしたかったことではないようなことばかりをし、深みにはまっていく。
    ダイアナは小さいころは嫌でしょうがなかった自分の母の強さ、そして素晴らしかったことを大人になってから知る。
    さらに、切望していた失踪した父親との再会、さぞ感動的な再開なのだろうと期待が膨らんだところにがっかりするような展開が待ち受けていたが、そんなこともあったからか、自然とあまりショックではなかったし爽やかささえあった。


    再び道が交わった二人の未来が素晴らしいものとなることが確信できる終わりでとてもさわやかな気持ちで読み終えた。

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    2026年08月26日
  • その手をにぎりたい

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    ネタバレ

    食の描写がお腹すく。
    思うままに賢く生きて、自分の足で立ちたい。自分がダメになった時に手を伸ばしてくれる人には、素直に甘えたい。2つの気持ちは共存しないようだけど、どちらも本当で。本当であるがために自分の矛盾に頭を抱えるんだよね、嫌になるよね。
    10年間の答え合わせのような、最後の寿司屋の場面が大好き。なんて焦ったい、なんて切ない、なんて清々しい。2人の関係がこれまでみたどの恋愛小説より濃密で、官能的だった。性的なことは何もしてないのに、そう思わせる柚木さんの筆致に脱帽

    「私達には価値がある。財布を出さないことこそステイタスである、と幸恵は主張する。しかし、青子はかえってそのせいで、本来あるはずのたっぷりした自由を根こそぎ奪われている気がしてならない。本来の自由というのが、どういうものか、うまく説明はできないのだが。」

    「本当に美味しいものはたった一人で集中して味わいたい。青子にとっての贅沢とはそういうことだ。」

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    2026年08月24日
  • ナイルパーチの女子会

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    この本は私の人生の大切な一冊。
    ここで吐き出させてほしい。長文。

    本当に本当にしんどいことがあった。
    私は皮膚科クリニックで働く医者、転職しのんびり働いていた。土日の繁忙期だけ非常勤の先生が来てくれるけど、すれ違えばあいさつ程度のそれぞれ個々に働く感じで人間関係はノンストレスだった。
    ある日職場に新しく年上の女の先生が来た。これから毎週来るらしい。最初は私の診察室にわざわざ来てあいさつをした。しばらくすると私の診察室にだけある冷蔵庫や電子レンジを使うらしく、1日に何度もこちらに来た。その度に軽い話をふられるようになった。「この仕事はしんどい」「ここの看護師は態度が悪い」日を追うごとに文句が増えてきたが、私は全く同意できないのでそうですねぇと適当に返答していた。これが良くなかった。彼女にとって私は同調したと受け取られたのだろう、「このクリニックはストレスが多くて、あなたはかわいそう」「看護師に監視されている」「あなたの人間関係は良くない」と意味不明な過激な発言が増えてきた。さすがにしっかり否定したがもう遅かった。仲が良いと思われてしまっていた。ある日私の出勤状況や給与をすでに察していた彼女が「○曜日はお互い休みだから、私の行きつけの店にいこう。今予約する。」と目の前でスマートフォンで店に電話をかけ予約を取った。通話後に店名を言われ、調べるとランチ4万の超高級割烹だった。唖然とした、すぐに断る勇気が出なかった。その日の彼女は「少し高いけど、あなたの給料多いから大丈夫よね」「好き嫌いはないか」「連絡先を交換しておく?」と診察の合間に何度も話かけに来た。個人の連絡先の交換はクリニックから禁止されているので断れたが、食事はやはり断りづらかった。私がいい顔して弱い性格なのがいけないと反省した。

    食事の当日
    しっかり割り勘だった。私は恐ろしく高いランチを親しくない人と食べた。この話は友人にして笑ってもらおうと思った。食事中、何度もまた来ようねと言われたが、機会があればタイミングがあえば都合がよければと返事をした。腹が立っていたのと二度と行きたくなかったので冷たく返したつもりだった、断っているつもりだった。甘かった。

    次の出勤日が重なった日、彼女を避けて空き時間はできるだけトイレや廊下やバックヤードですごした。クリニックに内緒で、事前に家電を彼女の診察室に移動した。こちらの診察室に来る理由をなくした。正直前回の自分の態度は冷たすぎたなと気まずい気持ちもあった。しかし私のドタバタした生活音や診察中の声を聞いて、在室中にこちらに来た。この間の食事会のお礼といった想定内の会話をした。その日の二度目の来室で彼女は「この前約束していた店を予約したから。○月○日の○時、また現地集合で。」と言った。どうして勝手に予約を取るのだろう、どうして伝わっていないのだろう、私がいつ約束したのだろう。ギリギリなんとか捻り出した返事は「その日は予定がわからない。家族の都合も確認しないといけない。自分の給与を全部自由に使える訳でもないから家族に聞かないとわからない。」だった。彼女の退室後に絶望で頭を掻きむしった。こんな事態を招く自分がほんとうに情けない。どうしてもうおばさんの私に同性のおばさんが執着するのか理解できない。狂ってしまいそうだった。
    その日はその後も「診察室を自由に行ったり来たりしよう」「あなたが1人で外食するのを家族が羨ましいなら、お互いの家族を呼んで食事会にしよう」と話かけてきて、私の気持ちなんか少しもわかっていない友情モード全開だった。
    結局彼女は翌週には契約違反行為バレて退職し二度と来ないことになった。私は約束の日に店にも行っていないし店に連絡もしていない。私の精一杯の仕返しのつもり。

    この本を読んで擬似体験だと思った。
    どうして誘っておいて割り勘なんだろう、友達みたいな距離感なんだろうと悩んだが、オヒョウとエリコが教えてくれた。あの出来事の前に本に出会っていればもう少し心に余裕があったかもしれない。

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    2026年08月22日
  • ナイルパーチの女子会

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    栄利子の考え方に、自分と重なるところがあって心が痛かった…
    自分はもっと仲良くなりたくて知りたいのに、相手は自分の情報をよく覚えていない、興味を持ってないの?ともどかしさに焦る、不釣り合いさになぜか怒りを覚える感覚。栄利子の並外れた行動力と、取り返すための悪あがきが毎回最悪で、人間関係における客観視と冷静さがどれほど大切か身に染みる話だった。

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    2026年08月20日
  • その手をにぎりたい

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    ネタバレ

    私も就職で上京して3年。
    物質的には恵まれた何でもある東京で、良いも悪いも全てを受け止めて、揉まれて、それでも1人の力で生きていくには、自分の全てをかけられる絶対的な何かが必要だと感じた。
    食、人、住まい、金、若さ、永遠ではないにせよ、そのときの自分にとって間違いのないもの、信じられるものを何かひとつでも見つけられるのが大切なのかな。

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    2026年08月17日
  • その手をにぎりたい

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    ネタバレ

    <不易>時代が変わっても、「私はどう生きたいんだろう」という迷いは変わらない。
    <抽象>人は、自分が本当に欲しいものに出会ったとき、生き方まで変えてしまう
    <抽象>恋愛によって人生が変わる小説

    カウンター越しに時間を積み重ねてきた一ノ瀬と青子。

    平成元年…天安門事件にベルリンの壁崩壊

    p101 以下の文章からは、主人公・青子が、昇進してお金も手に入れて恋愛を楽しむ余裕が出てきていることがうかがえる。
    「カウンターの下で、広瀬の手がそっと、自分のそれに伸びてくる。彼が満足するなら、指先ぐらい好きにさせてやろうと思った。なぜなら、青子の心と体は自由だからだ。誰のものでもない。一ノ瀬さんの手をとることが出来ないのと引き換えに、青子は無限の自由を手に入れたのだ。」

    ・背中を押してくれる
    ・心のお守りになるフレーズが見つかるといい
    ・令和に働いている女性も共感
    p108「口先だけで何もしないこんな部下でさえ、新卒で総合職採用された男というだけで青子より給料が良いのが、怒りに一層拍車をかける。チームリーダーとは名ばかりで、待遇は一般事務職とほとんど変わらない。残業代で稼いでいるのが実情だ。この業界では、女はいつもなめられ、まともに扱ってもらえない。どんなに青子が努力しようと、今は下にいる浦和にもいずれ抜かれる運命なのだ」

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    2026年08月14日