感情タグBEST3
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今まで外国文学にほとんど触れてこなかったことを恥じ、外国文学の「ザ名作」に手を出す今日この頃。
次に読むべき作品が見つかるかしらと何気なく手に取ったこの本だが、なかなかどうして私のツボをがんがんついてきた。
柚木氏の日常の話から作品の紹介へとつなげていくのだけど、それがまた滑らかで柚木氏の日常を垣間見ていると思いきや、いつのまにか作品の世界に入り込んでしまっている。
そしてこの柚木氏の日常の話、いわばエッセイが面白い。軽妙洒脱な語り口の一方で、さらりと至言も残しているのがいい。文章の軽重のコントロールがお上手。個人的には確定申告のエピソードを織り混ぜた「居酒屋」の紹介が秀逸だと思ったな。
さらには、やはりはずせないのが肝心の作品紹介。紹介されているのは女性が主人公のものが多いので、好みは分かれるところかもしれない。いずれにせよ柚木氏の視線がなすのか、筆致がなすのか、名作に出てくる一癖も二癖もある主人公たちをチャーミングに浮かび上がらせてしまうからすごい。
柚木氏が紹介する作品の主人公はたくましく、そしてどこか生々しくて、泥臭くても生き抜くのが大事、そんなことを思わされる。
女の一生、ナナ読んでみよう。
ちなみに本筋ではないが、柚木氏は自身が女子校出身であることに一種のアイデンティティーの拠り所を求めているように感じられて、女子校出身の私は親近感を覚えた。柚木氏の小説はタイトルも思い出せないけれど一度読んだことがあるという程度なのだが、その時に女性どうしの距離感の描きかたに妙にリアリティーを感じたのを覚えている。その理由がわかった気がする。
こんな風に紹介されたら何でも読んじゃうな、と思わせる素晴らしい書評でした。
学生さんに読んでもらったら取っつきにくい名作も興味を持ってくれるんじゃないでしょうか。
少なくとも私が読まされたら全部読むね。図書室なんていう便利な物が身近にある生活は働き出したらそう無いですし。
私が一番笑ったのは白鯨とジェーン・エアです。
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面白かった。読書好きとしては、バイブルとして置いておきたいほと。専攻の関係で取り上げられているフランス文学はだいたい読みましたが、尻の青い大学生の頃にはいかに内容がわかってなかったか思い知らされました。熟年になった今こそフランス文学の魅力がわかるのでは、と強く実感。日本文学、外国文学含めもう一度じっくり読んでみなければ、と思わせてくれます。文学の魅力を噛み砕いて教えてくれた、軽妙な作品でした。スカーレットオハラのドレス、思わず検索してしまいました。
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どちらかというと、名作の中でも皆がこぞって読むメジャーどころは少なめだった印象(特にフランス文学)。未読のものが多かったが、私のバイブル『若草物語』や今年1の『一九八四年』など既読本の感想に共感できたため、本書を取っ掛かりに読みたい本が増えた。いつか読みたい『風と共に去りぬ』『嵐が丘』『大いなる遺産』はもちろん、『居酒屋』『ナナ』『危険な関係』『赤と黒』『花物語』を読んでみたい。
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あなたに寄り添い力を与える名作の主人公たち.柚木さんの体験も挟みながらの巧みなストーリー紹介とここぞという描写や決め台詞の抜粋.読んだ本はもちろん読んでない本も友達になれるような本案内,お見事です.また柚木さんのエッセーとしてもとても面白かった.
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古典文学、教科書で名前を聞く名作。いつか読んでみたいと思いつつ、タイトルしか知らないからどれから手を出せばいいのかわからない。どれも大作なので、中身もよく知らずに手を出すのがためらわれる。
私はそんな風に思うことが多いが、勇気を出して名作を読んでみると面白さに目からウロコ、ということもまた多い。
たまに自分にもあわない本もあるけれど、だからと言って名作に手を出さずにいるのはもったいない。
本書では、小説家の筆者がいきいきとした筆致で、フランス・日本・イギリス・アメリカの古典的名作を紹介するエッセイであり、私のように「どの本を読もうかな?」と悩む方にとっては頼りになる指針になるだろう。
私はこの本を読んで、5、6冊の名作を、次に読みたい本リストに追加した。
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この作家さん、朝井リョウさんのエッセイの中で名前を知っていて初読。名作と言っても、女性とくに文学少女向けです。
紹介文に挿しこまれる日記めいた部分がかなり笑えたり、同意できなかったり、頷けたりもします。基本、女性作家はファムファタルや悪女大好きなんだよなあ。女性作家の小説が苦手な理由がなんとなくわかりました。
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日常に忙しいといいつつも、暇を見つけては読書してしまうのが本好きのサガ
5~6月と荷物を片付けつつ9冊・・・
「信兵衛」さんの「読書手帖」に「面白いなあ、おもしろいなあ」との感想から
「そうなんだ~~」と興味を持って柚木麻子作品を3冊ほど、そのひとっ
『名作なんかこわくない』
本好きは名作といわれている本たちがずらりと並ぶと、とても喜ぶのは間違いない
「あ、これ読んだ」「名作かな?これ!」「うむうむ、まだ読んでないのがあったぞ」
なんてね、チェック入れたりして楽しむ
「キラキラもギラギラも、すべて名作に詰まっている。」
なるほどね、しかつめらしく名作を解説していない、文章が若いし翔んでいる感
でもって、なにかほのぼのしているおもしろさがある
「へ!こんな読み方あるの」本好きわたしも別の読みどころを教えられたような気分
例えば
『ボヴァリー夫人』のところ、いきなりこうおっしゃる
「あー、ファム・ファタルになって遊んで暮らしたいなぁ」
「ファム・ファタル」・・・男性の運命を変える女性(ふうん、知らなかった)
で、ボヴァリー夫人「エンマ」がそうだという
夫や付き合ってる男性をわがままいっぱい、破滅させるひと
でも憎めないひと、バカでミーハーなだけなんだ
だって平穏な暮らしは退屈なばかり、心からの充実はないからね、と
作者がそうなのか、今どきの女性ってこうなのか(偏見です)
世界は自分中心に回っている感が強いかな、それでいいんだけどね
と、ちょっと趣の違う50何編かの世界文学、フランス・日本・イギリス・アメリカの名作案内
あ、ドイツ文学がない
ふむふむ、あれはロマンと哲学に分け入ってるのが多いからなぁ、愉しくならないし
やっぱり柚木麻子流文学案内だったので・・・
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柚木麻子さんといえば、「ランチのアッコちゃん」で見事「みそ屋大賞」の第1回大賞受賞だし、そのあとも「本屋さんのダイアナ」でも受賞。ってことで、米五とは切っても切れない作家さんですが、昨年期待した「Buttrer」はちょっと苦手でした。
今回は古今東西の名作を紹介したエッセイです。これが結構面白いって言うには、そこに書いての日常があるから。名作の紹介なんだけど、日常の生活の中でこの作品の立ち位置をとらえているような。このエッセイを読むと名作を読みたくなるのは、現代の社会に照らし合わせた世界があってのことって気分になります。
この57冊の紹介の中で読んだ本は2冊くらいですけど(笑)、「女の勲章」と「お菓子とビール」は読んでみようかなって気分。あと「悪女について」は、「読んでない人は人生の半分は損している」ってまで言われたら、死ぬまでには読ぞって気分になりました。
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面白かった。語り口が軽いのでサクサク読める。
紹介された本、全部読みたくなってしまった。
柚木さんは女の生き様や女の関係に強い興味のある人。
本のチョイスから、彼女が女性に対して思うままにのびのびと生きて欲しいという考えが感じられて良いです。
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柚木さんの読書エッセイ。
オススメ本と共に柚木さんの人となりが分かって面白かった。
柚木さんは中学・高校が女子高出身と聴き、どうりで…と納得していたら、後で、周囲の人からよく納得されるとありまたまた大納得。
そんな柚木さんのオススメ本は女性が主人公の作品が多い。
しかも世間の常識に囚われない個性的な女性が多いように思った。
妙に自信満々で世間に対して果敢に挑む「強い」女性達。
「意地悪、怖いと言われる女性のどこかに私はいつもユーモアや人間味を感じてしまう」と書いておられるように、一般的には避ける人も多い女性同士のドロドロした関係も柚木さんは楽しんでおられる。
王子様から魔法をかけて貰うのではなく、逆に王子様に魔法をかけてしまう天晴れな女性達。
私も好きなタイプの女性達で、柚木さんのように爽快感を味わいたくなった。
所謂古典的な作品なのに、主人公の女性達の悩みやコンプレックスは現代と何ら変わりがないことにも驚いた。
柚木さんのお陰で今まで手にしていなかった古典文学に興味がわいた。
正しく表題通り「名作」と怖がっていてはいけない。
読んでいない人は人生の半分くらい損をしている、とあった柚木さんオススメの有吉佐和子『悪女について』は是非読みたい。
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柚木麻子さんの世界の名作紹介とエッセイ。
読んだことがない本ばかりだけれど、そして外国の小説は苦手なんだけど
(人の名前や地名が覚えられなくて)
読んでみたくなる本がたくさんありました。
柚木さんの小説に出てくる主人公は結構キャラが強いんだけれど…
その中に柚木さんの一部が入っているのかなと勝手に思っていたけれど…
豊富は読書量や読み方捉え方から成り立ってるのかなと思いました
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世界名作全集に載るような本にはどうしても苦手意識があってつい避けてしまいがちだったけれど、このエッセイを読んでとても興味が湧いた。今更だけど読んでみようかな。
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これまでおよそ読んでこなかったフランス文学をはじめとする、名作揃いの世界文学。時代ごとに女性の描き方は違えども、女性は女性。その辺りを柚木さんは見事に捉えていらっしゃる。上流階級の女性、貧しさと差別の中で生きる女性、女同士の確執などなど。正直取り上げられたフランス文学やイギリス文学にはあまり惹かれなかったけれど(翻訳の文体に馴染めなかった覚えがあります。)大人になったローラ・インガルス・ワイルダーについては、私も愛読したので面白かった。これは翻訳でも読めたんだよね。
ここにある日本の小説はまあまあ読んでいたのですが。
感性が光ることばにもハッとさせられます。
「人間の本質をえぐるのではなくサクリと切り取ってみせる熟練の技術。えもいわれぬふくよかな読後感」向田邦子をこう言ってみせる柚木さん。林芙美子には、最も「ガツン!」とやられてしまいました。
バブルっぽい世相や、都会的な女性には縁がないので、現実には興味もないのけれど、柚木さんの小説になると、興味深く読まされてしまう。そこが、すごい。
エッセイには創作のヒントも見え隠れしていて興味深かったです。色々発見があって面白かったのだけど、それは読書メモに書いておこう。
ここにある本を読んだら、また読み返したい。やはり読んでいればもっと面白いから。
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あ~面白かった!
20代の頃は岩波文庫を読み漁っていたなと懐かしむ。
そっかフランス文学が私は好きだったのか、と。
本棚に静かに眠っているその子たちを、また取り出してみようかと思う。
読んでない日本文学もチェックしつつ、新訳版の「風と共に去りぬ」も読みたいかも。
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著者による初のエッセイ集。
アニメ番組「世界名作劇場」のようにゆっくりとした展開で名作を紐解いていきたい……そんな思いに駆られた著者が、古今東西の文学を読み解き、その魅力とそのお話にまつわる思い出を綴ったとのこと。
読んだ人も、これから読む人も、読むつもりがない人も、みんなが楽しめる名作案内ってことで、まーた読みたい本が増えちゃったらどうしよう!!と思っていたんだけど、さすが名作文学揃い!まるで紹介された本を読みたくならなかった、というある意味すごい1冊ですwww
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名作はほぼ読んだことがない。学生時代にしぶしぶ教材として読んだくらいで、つまらないイメージしか残っていない。しかし柚木さんの紹介文を読んでいると「読んでみようかな」と言う気になる。小説を読んだ後で再び柚木さんの書評を読むのもオツである。けっこう映画化、ドラマ化になった作品も多く、改めて名作は多くの人々の心に響くのだなと思った。
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エッセイ風の作者のおすすめの本についてのレビュー作品。
個人的に昔のフランスやイギリスなどの海外作品は読みにくそうだなと偏見が勝手にあったけど、このレビュー本を読むと今まで読んでなかったのがもったいないくらい、色々な名作があったんだなと思った。
また、著者が勧める作品に出てくる女性はとてもポジティブでたくましい女性が出てくる作品が多く、見ていてこちらも励まされる作品だなと感じました。
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読んだことある作品をどうまとめているか、読んだことない作品で面白そうと思えるものがあるか知りたくて手に取った。
仏文はどうしてこうも恋愛で身持ちを崩すのかw
あとは大体女が逞しい
2023.5.29
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柚木さんの初のエッセイ集
と言っても名作案内になっているのでエッセイ@レビュー本の風情です。
紹介されている本は57冊
数冊は読んだ事があったけれど、海外物に手を出した事がないので(カタカタの名前が覚えられない人_| ̄|○)
フランス文学篇、イギリス文学篇、アメリカ文学篇は未知の世界でした。
しかしそこは柚木さん、ご自身のエピソードを絡めながら非常に解りやすく解説されています。
レビュー部分より導入部の柚木さん自身の生活部分、そして〆の言葉がとても印象的。
本レビューも参考になりましたが、完全なるエッセイも読んでみたいものだ。
赤ずきんちゃんをモチーフにした装丁やタイトル(石野真子さんの『狼なんか怖くない』と掛けてる?)フォントも好きです。
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柚木麻子さんが今まで読んできた「世界名作劇場」。
正直、読んだことのない名作ばかりで、
あぁー、私って本当に読書してこなかったんだなぁーと
改めて思っちゃったよー。
どれも、柚木麻子さんの作品に繋がるような感じがして、
「ふむふむ」と読んだよー。
「嵐が丘」では、読書感想文を書いて教師に注意される
なんてエピソードもあり、笑えてしまったー。
Posted by ブクログ
なんというか感じ方が女性だなぁ、としみじみ思う。
強い女性が主人公かサブキャラの作品が多いと感じていた。しかし、作者自身は日々悩み、映画の俳優に黄色い声を上げる普通の女性であったことに新鮮さを覚えた。
作者が紹介した「高慢と偏見」は「本を守ろうとする猫」でも出てきた。そして「白鯨」の紹介中に登場したクィークェグは「書店主フィクリーのものがたり」でカクテルとして登場。
本と本が繋がるのは楽しい。
何となく日頃Twitterやニュースを見てモヤモヤしていたことが、彼女の言葉ですっきりした。
「どうして今、こんなに野心や情熱が疎まれるかといえば、それは、誰しも感情を殺すことになれっこだからだと思う。ガツガツ生きるさまが見苦しいという以上に「私達が我慢しているんだから、あなたも我慢しろ」が本音だろう。」
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一言でいうと「大人女子のための恋愛名作感想まとめ本」といった感じです。著者とまるで女子トークをしているかのような心地で、世界の名作についての大まかなあらすじを知れます。私が気になった名作は「放浪記」です。映画や舞台で有名な作品だということは知っていましたが、読んだことはなく。。。「悩みやうだうだをスパッと切り捨て、明るい方向へ向かって力強く踏み出したいあなたに、ぴったりな1冊である」とのこと。ぜひ、読んでみようと思います。
フランス、日本、イギリス、アメリカの名作文学が合計57冊紹介されています。恋愛もの小説が好きな方は、きっと気になる名作に出会えると思います。
Posted by ブクログ
名作ブックガイド。フランス文学はファム・ファタル押しなのが柚木さんらしい。紹介された日本文学に興味が持てないのはなぜだろう…。ロシア文学も紹介してほしかった。
Posted by ブクログ
これを読んで、確かに名作と呼ばれるものって怖いというか、難しそうって思っていたなということにまず気づかされた。それくらい読んだことのない名作が多い。
けど、これを読んで、あ、この本読んでみたい! という感情はあまり芽生えなかったので、ブックガイドとしてはちょっと違うかな。エッセイ的な要素ではさらっとしていてよかったけれども。