小熊英二のレビュー一覧
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1989年に始まった平成時代は、30年後の2019年に幕を閉じた。本書は平成が終わり、令和が始まった2019年に、平成史を書くという試みのもとに編まれた本である。編者は小熊英二、それ以外に7人の執筆者が参加している。最初に小熊英二が、「総説」を書き、以降、政治・経済・地方と中央・社会保障・教育・情報化・外国人/移民・国際環境とナショナリズムというテーマで、それぞれの専門家が執筆している。
小熊英二は、「総説」の中で、平成について下記のように述べている。
【引用】
「平成」とは、1975年前後に確立した日本型工業社会が機能不全になるなかで、状況認識と価値観の転換を拒み、問題の「先延ばし」のため -
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アイザック・ニュートンの名言として「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです。」というものがあります。どんなに偉大な発見も先人の思考の受け継ぐことによって生まれるって意味だと理解しています。学問というのは必然的に継続性の中で進んでいくものなのでしょう。一方、望月新一朗のABC予想の証明が論文掲載後も未だに議論されているという話題が、最近の数学ブーム(?)の中で取り上げられています。学問は開かれた場で徹底的に検証されるもの、ということの事例なのでしょう。学問というものが必要とされる歴史への接続性と誰も拒否しない公開性を成り立たせるツールが、本書が取り上げる
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日本社会のしくみ
・非正規の増加→大企業正社員とそれ以外(2~3割とそれ以外)の格差拡大 都市型大企業型を念頭に置きがちな自分…
・自営業者の減少が雇用者の増加→非正規の増加につながった 大企業正規の人数はほとんど変わってない
・日本では、大企業に中途で入ることは困難 中小は容易 大企業と中小企業とで2つの労働市場があるので、賃金が全然違う
・家族を持つ労働者保護の為、欧米では政府による児童手当、公営住宅など 共稼ぎも多い アメリカでは、組合所属の労働者は先任権がある=勤続年数長い人を最後に解雇、最初に再雇用
・日本では大学名で能力を判断 欧米では学士修士博士で判断
・企業内では、少なくとも -
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テクニック的なものかと思って、軽く手にしてみたが、良い意味で裏切られた。帯にも記載されているとおり、学問それも特定の領域や分野に偏らない本当の意味で普遍的な学問の型、それへの取り組み方を明確に示してくれている。長く今の仕事をやっているうちに我流の方法が身についてしまって、それでもどうにかやれてきているが、考えを改めさせられた。今から全面的に方法転換するのは難しいが、まだしばらくこういったことには取り組ませてもらえるだろうから、少しでも変えていきたい。これからも動的に変化はしていくと思うが、現時点に限定すると「研究の入門書」としてはベストな一冊であると言えるのではないだろうか。もっと早く出会った
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よく日本は雇用のり流動性が低いと言われ、解雇に関するハードルを下げるべきとか被雇用者の意識を変えるべきという意見をテレビでよく見る。しかし、この本を読むとどうしてこのような社会ができたのか、また欧米では職種ごとに社会で評価できる仕組みが歴史的に構築できているという違いが理解できる。確かに私自身も社内の評価は見える化されていない上司の主観や仕事相手の属人的評価だけで、社外に通用するものではない。社外資格を持つことで転職に有利とか昇進に有利というのは聞いたことがない。このように歴史的な経緯を示しつつ、他国との比較をしてもらえると深い知識が得られるように感じる。
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購入済み
学生運動の解説だけではないが
学生運動の解説がまず分かりやすくて、勉強になった。そのあとの思想史も、かつて予備校の倫理社会特別講義のような熱のある内容でした。最後のどう社会に関わるかは、考えさせられた。小熊先生はすごいです。
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良書 論文とは何か、どういう構成で、どう考えて、どう描くかが丁寧にかかれています。
論文の構成、記述だけでなく、人を説得する技法として、テーマの選び方から、調査、そして、その記述までが平素な言葉でつづられています。
気になった点は以下。
・論文は①主題提起、②論証、③主題の再構成という構成が古代ギリシャから唱えられていた。
・古代ギリシャの構成が原型となっていて、現代アメリカでは、①序論・②本論・③結論というエッセイが教えられている。
・論文とは「人を説得する技法」である
・論文は、自然科学と人文科学とでは、若干構成がことなる。自然科学では、序文、対象と方法、結果、考察の四部構成となる。
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- カート
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試し読み
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ある一般市民がどのように戦争に巻き込まれ、戦後を生きたか記録されている。
戦時に始まり、シベリア抑留から帰国するところで終わる本だと思っていたが、彼の両親・祖父母がどのように暮らしていたかから丁寧に紐解かれ、彼がどのようにして徴兵されたか、戦後どのように生計を立て、引退後の生活をどのように過ごしたかが克明に記録される。
いままでわたしが触れてきた戦争について描かれている媒体では、戦争中の悲惨なエピソード、玉音放送を聴いて打ちひしがれる国民、という描写に留まるものが多かった。本書を読んで、一般的な市民にとっては、戦争が終わっても、無事生き残っても、必死の思いで生還しても、特に金銭的・物理的な救 -
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この著者さんの本は、分量が多いけど、分かりやすい文章なのですらすら読める。
日本型雇用へのバッシングをよく目にするが、
必然というか、成り行きがあってこうなっている?だなということを
改めて知ることができた。
でも現状のしくみでは立ち行かなくなっているのも事実。
最後の「10年勤めた自分と昨日入ってきた女子高生の時給がなぜ同じなのか」というシングルマザーの問いにあったように、
①同一労働でも、年齢と家族構成に見合った賃金にすべき
②同一労働だから同一賃金なのは当たり前。シングルマザーが資格や学位をとってキャリアアップできる社会にすべき
③同一賃金はやむを得ない。児童手当などの社会保障政策 -
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日本社会の仕組み、とりわけ日本型雇用慣行(年功序列・新卒一括採用・終身雇用etc)について、その概要と源泉について述べられている本。
注目するべきは、筆者が、日本型の雇用慣行を「慣習の束」としている点。
即ち、日本型の雇用慣行は、歴史的・文化的経緯を経て、暗黙含めた合意のうえで成り立っている、まさに「慣習」であるとしている。
それは各国の雇用慣行についても同様であり、即ち、別の国の雇用形態をいいとこどりしようとしても、直ぐに日本の雇用形態に適合させることはできないということである。ある意味、我々が暮らしている社会のしくみは、労働者と経営者の「社会契約」によるものと言い換えてもよい。(例えば -