あらすじ
〈私はしばしば、「デモをやって何か変わるんですか?」と聞かれました。「デモより投票をしたほうがいいんじゃないですか」「政党を組織しないと力にならないんじゃないですか」「ただの自己満足じゃないですか」と言われたりしたこともあります。しかし、そもそも社会を変えるというのはどういうことでしょうか。〉(「はじめに」より)
いま日本でおきていることは、どういうことか? 社会を変えるというのは、どういうことなのか? 歴史的、社会構造的、思想的に考え、社会運動の新しい可能性を探る大型の論考です。
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学生運動の解説だけではないが
学生運動の解説がまず分かりやすくて、勉強になった。そのあとの思想史も、かつて予備校の倫理社会特別講義のような熱のある内容でした。最後のどう社会に関わるかは、考えさせられた。小熊先生はすごいです。
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色々モリモリ詰まった本。もはや旧来の政治の方法ではうまくいかない=国民が属性化されてない だれも政治に主導権?主体性を持ってると感じていない、自分は代表されていないと感じる…
だからこそ、多くの人が対話とか社会的活動に参加する、取りこぼされた若者を取り込む(積極的労働市場政策)ことが大事。(宇野先生が言ってた熟議民主主義にもつながる)
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なんかしてえなって気持ちが募って購入
大著!
西洋政治史からじっくり学ぶ実践的な政治思想
現代の病理的なものを紐解いて、では何をやろうか?何が良いものなのか?っていうのを考える本だと感じた
これが新書で読めるのはありがたいことだと思う。僥倖
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新書にしては、かなり気合が入った分量である。500ページを超えている。ページ数は多いが、平易な言葉で解説してくれているので、非常に読みやすい。やはり新書である。
社会を変えるにはどうしたらよいのか、どうすれば社会は変わるのか、過去の社会運動、社会思想を振り返りながら、説明している。ちなみに、著者は思想史は門外漢というが、過去の思想の解説は、非常に読みやすく、この部分だけでも一読の価値があると感じた。もう少し言うと、読みやすいのは、平易な言葉を使っているほかに、社会に対する見方が一般的ないし王道に近いからかもしれない。読んでいて、「そうそう」と思わず言ってしまうような書きぶりに感心してしまった。
第3章では、戦後日本の社会運動について述べているが、2011年3月からの反原発デモは、「単純な比較はできませんが、組織動員のない自由参加の数からいえば、「68年」を超えたのではないかと思います。」というから、驚きである。社会運動というと、自分のイメージでは60年代の学生運動が戦後最大であり、あれ以上のものはなかったものと思っていたが、これだけ多様化した現代で、(ソーシャルメディアというプラス要因もあったが)反原発デモが、その規模を超える社会運動であったことに衝撃を受けた。
「いまの社会を変えたい気持ちはある。政治家にまかせておけばいいとは思っていない。だけど政治にかかわっても変わらないと思うから参加しない。しかし、一方で、デモがおきているのをみると、もしかしたらかわるのかもしれないと思う。」こういう心情をもっている人は多いと思う。そういう人のために、社会を変えるとはを解説してくれている。一説を借りると、結論としては、「『自分がないがしろにされている』という感覚を足場に、動きをおこす。そこから対話と参加をうながし、社会構造を変え、「われわれ」を作る動きにつなげていくことです。」と述べている。
なかなか面白かった。
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ゼミの先生のイチオシだったので、読みました。
関係にお金を代替するやり取りの中では幸福は感じられない。お金は幸福への手段であって、それが目的になったとき、幸福は遠ざかる。デモも同じで、目的を達成するための手段が、いつの間にか目的にすり替わる。正義ある目的のために活動する政治家も、いつの間にか目的達成のための集票を目的とするようになる。だからこそ目的を見据えて行動する必要がある。
聖と俗という考え方や、資本主義の発展についても詳しく書かれ、貨幣の発生や民主制などについても触れている。
公と私、聖と俗という考え方は、キリスト教の根付いた国ではいまだに日常的なことで、仕事や家のことは俗、思想や儀式は聖、俗に属していることは仕方なく行うという考え方のようだ。
日本ではさまざまな時代背景から、仕事があるだけでありがたい、忙しいことは美徳とされてきたが、ポスト工業化にあっては時代錯誤なのかもしれない。
例えば弁証法や再帰性などの、哲学や経済に関することばが、家族や恋愛、友達の関係にも応用できるという点をわかりやすく説明してくれた点が良かった。社会を変えるには、というテーマでありながら、ポスト工業化の中でなぜ原発は推進され、政府が後に引けなくなったのかということなど、関心のある原発に関する知識が深まった。
また、ポスト工業化の中で、日本社会が包括的な社会保障ではなくカテゴリ別の社会保障を用意していることなど、日本社会の抱える問題とその限界、その歴史背景も広く学ぶことができた。
デモに参加したくなった。
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現象学に基づく立場、構築主義
人が動くことによって社会が変わらないということはむしろ不可能。
なるほどその通り。
結構アジられて、かつ社会運動史、思想史の概説もしてくれる。
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「新書大賞2013 第1位」の話題作なので、もともと興味のある分野ではないが手にとってみた。
3.11以後、脱原発のデモが広まったが、果たしてデモは社会を変えるに当たって最善の方法なのか。そもそも社会を変えるとはどういうことか。
まずこれまでの世界の変遷(思想・哲学・政治において)を振り返る。
正直言って消化不良で理解が不十分なので何度か読み返そうとは思うが、著者の「社会を変えよう」という気迫が感じられる大作であった。
―私の思いつくかぎりでは、答えは一つしかないようです。みんなが共通して抱いている「自分はないがしろにされている」という感覚を足場に、動きをおこす。
そこから対話と参加をうながし、社会構造を変え、「われわれ」を作る動きにつなげていくことです。(P439)
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MEMO
19
ポスト工業化社会とは。みんなが「自由」で「多様」になっていく。これは先進諸国でほぼ共通しておきた現象です。
53
原発は一種の不良債権
再稼働しても、廃棄物の貯蔵先がないことを考えると10年続かない
電力会社が負債として計上することを先送りしてるだけ
56
古い仕組みのなかでも、その仕組みから利益を得ている人が少なければ少ないほど、変えるのは簡単になります。
117
進学率が15%を超えると学生はエリート層ではなくなって大衆化する。日本で15%を超えるのは1963年です。
137
全共闘やベ平連などの運動は、従来のピラミッド型ではなくネットワーク型の運動に変わってきた
183
日本でも、緑の党は台頭するか
192
この「われわれの代表」という感覚が持たれているかどうかは、人びとを納得させられるか、正統性があるかに大きくかかわります。
209
重要なのは、議論が盛り上がること。「みんなで決めた」という気がしてくることでみんなが納得する
267
技術というものは、それを使う発想と社会基盤がないと、社会を変えません。ただし、いったんそれが回り始めると、技術を手にした人の発想が変わり、社会を変えていきます。
296
自由主義は権力から自由になるのがいいという考え方。民主主義は、みんなで権力を作るのがいいという考え方。
329
学生たちの不満の根底にあったのは、「われわれは代表されていない」という感情でした
338
何より衝撃だったのは、科学と理性が発達した結果、行われたのが殺し合いだったことです
398
小さな単位で対話に参加できる仕組みを取り入れ、直接民主主義の活力で代議制を補完しないと、民主主義そのものが持たなくなってきた
434
現代の誰しもが共有している問題意識があります。「自分はないがしろにされている」という感覚です。
465
結局のところ、人間のやることですから、なかなか万能の理論などは出てきません。ただある理論がどういう前提で立っているかを知れば、それが適用できそうな領域の見当がつきます。
491
分担は、その人固有の属性ではなく、役割です。
(メンバーが変われば役割も変わる)
515
新奇なものではなく、昔からあるものの使いまわしだからこそ、お互いに基盤になっているものを共有して議論でき、それが蓄積になっていくのが、ヨーロッパ思想の強みです。
516
日本でも最新西洋思想の輸入合戦をやる時代は終わっています。
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分厚い新書であるが、とてもエキサイティング。
個人的な志向性としては、行政セクターへ働きかけるイノベーターを目指しているので、
ギデンズとベックの関係などが面白かった。
第6章で論じられている「再帰性の拡大」がキーワードだと思った。
Posted by ブクログ
日本近代史、社会活動史の振り返りから入り、民主主義の歴史、哲学史を概説。その上で、現代の社会課題に対するには、組織に縛られず個人が自由になり、個々人の社会の位置付けが流動的な現代に合わせ、柔軟で流動的な活動が必要なのではとヒントを提示する。2012年の作品で、東日本大震災後の反原発のデモの活況を反映した内容となっている。様々な切り口で社会活動を考える基礎を教えてくれるという意味では、社会学の基本書というだけでなく、一般向けにも参考になる内容だと感じる。
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小熊英二(1962年~)氏は、東大農学部卒、岩波書店勤務、東大大学院総合文化研究科博士課程修了、慶大総合政策学部専任講師・助教授を経て、同教授。専攻は歴史社会学、相関社会科学。『社会を変えるには』は新書大賞(2013年)を受賞。その他、サントリー学芸賞、毎日出版文化賞、小林秀雄賞等を受賞。
本書は、20世紀に入り、社会を変えたい、と思いながら、実際には変えられると思えない、或いは、そもそもどうしたら「社会を変える」ことになるのかわからない人が増える中で、「社会を変える」とはどういうことなのかを、歴史的、社会構造的、思想的に説いたものである。
具体的には、日本社会の現状(第1章)、社会の変化につれて、社会運動がどう変わってきたか(第2章)、戦後日本の社会運動の歴史(第3章)、古代ギリシャの民主主義(第4章)、近代自由民主主義とその限界(第5章)、現代思想における民主主義(第6章)、社会運動に関する様々な理論と、「社会を変えるには」どうすればいいのか(第7章)、という構成となっており、新書にしては珍しい500頁の大部である。
著者は、「この本は社会運動と対話民主制を薦めている」と要約し、それを「正解」として盲目的に従うことはしないで欲しい(その理由は、本書の中で繰り返し出てくる)と書いているのだが、備忘のために、私なりの理解をシンプルにまとめると以下である。(歴史や思想については省く)
◆工業化社会からポスト工業化社会への移行(欧米では1960~70年代、日本では1990年代後半)に伴って、「労働者」や「農民」のような階級、或いは「若者」や「女性」といったカテゴリーが社会運動の主体とならなくなった。
◆古代ギリシャの直接民主主義では、全員が議論に参加し、盛り上がることによって、「みんな」や「われわれ」が決めたという納得感を得ていた。
◆近現代の、代議制による自由民主主義においては、個人が自由になったことと裏腹に、上記のようなカテゴリーの枠が希薄化し、自分たちは「ないがしろにされている」、「居場所がない」、「代表されていない」と考える人が増えてきた。
◆こうした状況を打開するためには、個人が自ら対話をする機会(社会運動など)に参加し、新しい「われわれ」を作り出す努力をするしかない。そのために、政府や専門家がするべきことは、個人が(対話)力をつける機会を作って手助けをすることである。そして、それこそが「社会を変える」ことなのである。
◆民主主義の原点は、参加者みんなが生き生きとして、思わず参加したくなる「まつりごと」である。そこにおいて、人は、自分個人を超えたものを代表していると思い、それとつながっていると感じることができる。
2012年に本書が出版されてから10年以上が経つが、今日では、著者の望んだ方向とはむしろ逆に、考えることも、異なる意見を持つ人と対話をすることもない人々が増え、それを扇動するポピュリスト政治家が、世界を席巻している。(日本とて例外ではない)
チャーチルは、第二次世界大戦終結直後に、「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」と語り、事実、自由民主主義は、ファシズムにも社会主義にも打ち勝ってきたはずなのに。。。
著者の次の言葉を改めて心に刻みたいと思う。「社会を変えるには、あなたが変わること。あなたが変わるには、あなたが動くこと。言い古された言葉のようですが、いまではそのことの意味が、新しく活かしなおされる時代になってきつつあるのです。」
(2024年2月了)
Posted by ブクログ
本書の目的は、運動を敬遠している、あるいは忌避感を抱いている人たちに、運動の魅力を伝え、運動をしてみようかなと思わせることである。最初に反原発運動こそがあらゆる運動が開花する肝である(となりえる)ことを主張し、その後なぜ過去の日本の左翼運動が破綻したのかをわかりやすく解説し、議会制民主主義に囚われることなく、運動によってこそ社会が変えられることを力説している。後半ではいろいろな社会変革理論をとりあげているが、著者が言うように、本書は運動の正解を示すようなものではなく、むしろ議論の叩き台となるようなものである。あくまでも本書は運動を行おうという人のための導きの糸に過ぎない。したがって、本書の評価軸は、社会思想などの著者の理解の正確さよりも、果たしてこれを読んだ人が本当に運動をプラスに捉えてくれるのだろうか、ということに求められるべきであろう。それは私たちのその後の行動が示すのだから、ここで本書の評価をすることは適当でない。しかし、ここでは学術的な観点から見ることにし、その場合、社会思想の解説で一部不正確な箇所(例えばマルクスの物象化論)があったため、星を一つ減らしておく。
Posted by ブクログ
「考え」を押し付けられるのではなく
「考える」ヒントがちりばめられている
小熊英二さんの著を読むたびに
思わせられること
「デモをする社会」が書かれている
もちろん
あなたもデモに参加しなさい
という安直なことが書かれているわけではない
その時代の その時の
その人たちが なぜ「デモ」という表現に
至っているのか
そこにいたるまでの経緯
その時代の必然的な理由
その人たちの行動のとらえ方
さまざまな要素を
実に分かり易く
「絵解き」してくれている
「おわりに」の中で
この「本」を「教科書」にしないで欲しい
私を講演会に呼ぶのではなく
この「本」を読書会の話題に取り上げて
あなたが 自分の頭で考えて欲しい
あなたが 自分の言葉で語って欲しい
と おっしゃる
小熊英二さんの言葉が
「これから」を「考える」後押しをしてくれている
Posted by ブクログ
総ページ数は517頁。大著の多い著者の本にふさわしく、読み応えのある一冊。民主主義をめぐる思想について、ギリシアの民主制から説き起こし、現代にいたるまで、その足跡をたどりながら、また、日本の社会の変遷をたどりながら、(本作は2012年の著書なので)東日本大震災と原発事故を受けた原発反対運動に民主制の希望を見出す。民主制というのは決して多数決などではないし、社会を変えるためには、自らが動きながら、他者との関係性を変えていくことから始めなければいけない、というのは、東日本大震災から8年が経過したいまでも、決してアクチュアリティを失っていない。それは、現実の政治・社会は、それとは程遠い動きを見せていることの裏返しかもしれないが。。
Posted by ブクログ
民主主義=投票、っていう考えも根強くあると思う。政治家からすれば都合のいい論理で、選ばれたら何をやっても「多数」であることを理由に正当化される。一方で社会運動に参加するのは多くの人々にとって敷居が高い。暇もないし、他人から「活動家」と見なされるのもちょっと怖い?
文庫本で買ったけど結構情報量は多く、日本の社会運動の歴史、民主主義とは、その限界、社会運動に参加することの重要性とその意義について詳細に記載されていて参考になりました。後半に社会運動の戦略論みたいなところもあって、なるほど・・そういう見方もあるのか、と。
現在の政権を見ていると選挙で結果を出すことも大事だけど、一方で官邸を包囲し続けることもより効果的かもしれませんね。
Posted by ブクログ
いい幹事 よりも 鍋を囲む
究極の真理を一方だけが知っている、という事は弁証法的にはあり得ない。
参加者みんなが生き生きして、思わず参加したくなるのが民主主義。数が集まらない事を反省するのは、楽しくない証拠。来ない人は損したね、となるべき。そんなの自己満足さ、と卑下する感覚になるのも本当に満足していれば出ないはず。
それ自体が楽しい時、目的である時は、自慢したいとか、貶めたいとか結果にこだわらないはず。
社会が変わるにはあなたが変わること。あなたが変わるにはあなたが動くこと。
Posted by ブクログ
勿論、「社会を変える方法」というタイトルでも、マニュアル本のような「方法」が載っているわけではありません。「変えるきっかけになる」と著者が考えた本や事例などが色々と載っています。通常の新書の倍くらいの厚さがあります。
特に4章からのギリシャ時代からルネッサンス、産業革命を経て現在の「再帰的時代」まで、議会制民主主義に至った解説は面白いです。事例の1つ「べ平連」の信条「組織ではなく運動である」は個人的に心に響きました。
Posted by ブクログ
社会構造の変化とともに、社会運動がどのように変化していったのか。知らない情報も多く、面白かった。特に、古代ギリシアからひもとき、哲学、科学、そして20世紀の近代の行き詰まりまでを広く追いながら説明していく。ただ、説明が冗長な部分も多かった。また一番最後の章で、社会を変えていくにはどのような「戦略」が必要なのかを、社会運動における資源動員論を始め、様々な理論的研究も紹介しているが、戦略としては弱いのではないかと思った。民主主義の可能性を信じて疑わないその主張に共感できる部分も多いが、2016年現在の状況を見ていると、そんなに楽観視できないのではないかとも思う。2012年に出版されているので、それから4年経っている。学生の時に読んだら、とても勉強になっただろうなと思う。でも筆者は、教科書的に本書が使われることは拒否しているようだ。
Posted by ブクログ
すっごい読みやすい。
オレが求めてきたもの、たとえば、ビートニクス、ヒッピー、アシッド革命、キング牧師、マルコムX、ブラックパンサー党、フラワーチルドレン、反ベトナム戦争、反イラク戦争、アンベードカル、オルタナティヴ、ラヴパレード、個人情報保護法反対デモ、反原発デモ、ウォールストリート占領、暗号通過、ウィキリークス、サイファーパンクス・・・・・。
要するに、オレは、社会を変革できる理論と実践を、いつも探してきた。
Posted by ブクログ
近代日本社会の構造が分かりやすく書かれている教科書的な本。
全517ページで通常の新書二冊分くらい。結構なボリュームがある。気になる章から読んでもいいと思う。
以下メモ。
「革新者と初期採用者の合計である16パーセントを突破すると、爆発的に普及がおこるという」(p.454)
「社会を変えるには、あなたが変わること。あなたが変わるには、あなたが動くこと」(p.502)
Posted by ブクログ
安保法案を可決させないためのデモを見ていて、そういやこんな本を買っていたなと読み始めました。
デモのことも扱われていますが、ロビイングや選挙のことなど多岐にわたり「社会を変えるには」どうしたらいいのか書いてあります。
今の俺の状況からすれば安保なんかより生活をなんとかしてほしいと思う方が強いですが、もっとみんな色々関心を持っていかなければ社会なんて変わらないだろうなってのが感想です。
あとデモの効果をどちらかと言うと冷ややかに見てましたが、冷ややかに見ていた理由もわかりました。
まぁこの先もデモに参加することはないだろうなぁ。
さてまずは生活をなんとかしなくては…
Posted by ブクログ
社会運動の歴史をなぞり,その目的と問題点とを明らかにした上で民主主義の沿革を論じ,デモに代表される社会運動を肯定的に評価した本。
人口規模からすれば議会制民主制を採用することはやむを得ないが,デモに代表される直接民主主義的行動による刺激が必要不可欠であるとする。
また,タウンミーティングのような熟議民主主義にも好意的。
社会のとらえ方はウルリッヒ・ベックの『リスク社会』に,解決方法は,アンソニー・ギデンズの『第三の道』に依拠。
最終章は社会運動の理念から具体的戦略まで論じる。
デモを楽しむことを勧める部分は,一見,手段の目的化を肯定しているようにも思われるが,その真意は,参加者が,「個人」を超えるモノを代表しているという感情をもつことができ,それが政治的好循環をもたらすというところにあると思われる。
Posted by ブクログ
社会を変えるには
2025.4.11
the大学教授の講義って感じの本。
私が動いたところで•・・・と考えるのはもう古い。デモをして何が変わるのだ?ではなく、デモをしてデモができる団体ができるのだ!という考え方に転換して重きを置くべきである。
人は想像以上に相互に影響を与えているから、まず行動することは大事だと実感した。
特にやりたいことは責任のない若いうちにやれ!は正しいに違いない。今を精一杯に生きようと勇気づけられた。
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500ページ越えの大作で期待していました。各章それぞれには学ぶ点も多いのですが、最終章のまとめのために、各章読んだ割につながりが今ひとつ見いだせない。
Posted by ブクログ
工業化、ポスト工業化と原発との関連はわかりやすかった。と言っても原発の知識がないので他の本でも確認したい。
政治思想や社会学、経済に関する考察が幅広く知識の補給、整理ができたのは良かった。
デモまでいかなくても、問題意識を行動に繋げてみようと思った。
Posted by ブクログ
社会運動の歴史や文化的、時代による違いなど、膨大なページ数でたっぷりとレクチャーしてくれる良書。多少、著者の主観も混じりはするが、イデオロギーに係る市民運動を体系的学ぶには良いと思う。
Posted by ブクログ
確かに、昔のように『資本家』と『労働者』等のように単純なカテゴリーの分類が出来なくなっている。それなのに民進党は未だに「連合」なるものの影響下にある。古い枠組みの中で活動する組織では、社会を変えることは不可能だろう。
右翼・安倍の言いなり自民党に変わりうる政党には程遠い。
しかし対岸の米国では、一人の大統領で社会が大きく変わろうとしている。しかも人種差別主義者で自国第一主義者という、アメリカの矜持を捨て去った人間により。
なんだか世界が全て自国第一主義に変わり始めている。英國のユーロ離脱、ロシアのクリミア併合、中国の海洋進出、そして今回のトランプショック。
社会を変えると言っても、悪い方向になるのは困るよね。
Posted by ブクログ
戦後日本の社会運動の歴史を振り返るとともに、自由で多様なポスト工業化社会においては従来の社会運動を理解するためのカテゴリーが無効となったことなどが、西洋の政治思想における自由主義と民主主義の歴史にも言及しつつ、わかりやすく解説されています。ただし本書は、単に分かりやすい解説書というだけではありません。じっさいに声をあげ、社会を変えていくための具体的な戦術についても、ある程度説明されています。
著者の本はどれも分厚いのですが、新書なのに本書も500ページ超というヴォリュームです。分厚いだけに多くのテーマがあつかわれているのですが、概説としてもちょっと不十分な印象です。とくにフッサールの現象学からエスノメソドロジーにかんする説明は、むしろばっさり省略したほうがよかったのに、と思ってしまいます。また、市民運動が排外主義に結びついてしまうという問題もとりあげられていますが、リスク社会における社会的包摂の重要性に軽く言及するだけでかたづけられているのも不満がのこります。
おもしろく読めたのは事実ですが、500ページを読み終えてなお、もっとくわしく語ってほしいというもどかしさを感じてしまいました。
Posted by ブクログ
「新書大賞2013」を受賞した作品。だけどそこまでよい作品とも思えなかった。なぜなら、あまりにも理想論、建前論に寄りすぎているからだ。内容は大半が社会運動史の概説に近く、理論的なことをダラダラと述べているだけの部分も多い。歴史や方法を知ることが社会を変えることの第1歩なのはそのとおりかもしれないが、しかしいくら高邁な理想を掲げていても、できうるかぎりの方策を講じてみても、じっさいには限界があってなかなか社会は変えられないのである。その好例が、著者がたびたび言及している原発問題だろう。あの事故いらいスッカリ日本じゅうに原発を嫌悪するムードが漂い、世論調査においてもつねに反対派が多数派を占めるようになった。それでも現在の安倍政権は、再稼働に向けて着着と準備を始めている。社会を変えようとアレだけデモをしても、けっきょくなにひとつ変わっていないではないか。理想と現実が異なるのもまたあたりまえのことであり、それで著者を責めるのも酷かもしれないが、そのことにたいするエクスキューズはもうすこし言及してほしかった。また、内容の信憑性も微妙。安保闘争などにかんするくだりは、伝聞なども多い。体系的な先行研究がすくないのかもしれないが、ならば厖大な参考文献をつくるなどして、内容の真実性を担保すべき。内容についていえば、2012年の刊行ということもあって、現在でみるとどうなのかなと思う部分があった。社会を変えようと思うことはよいことかもしれないし、その方法を学ぶことに意義はあるだろうが、本作を読んだだけではかえって絶望感だけが強まりかねない。