小熊英二のレビュー一覧

  • 基礎からわかる 論文の書き方

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    ネタバレ

    ・IMRAD(72)
     ①導入 Introduction
     ②資料(対象)と方法 Materials & Methods
     ③結果 Result
     ④考察 Discussion
     ※素材を実験・調査した経緯や結果を書くのに適した形式(79)
    ・主題の設定(136)
     ①答えの出る問いを立てる(主題を問いのかたちで立てる)
     ②手に負える問いを立てる(具体的に調べられる対象から問いを探究する)
     ③データアクセスのある対象を選ぶ(自分が調査可能な対象を設定する)
    ・論文の審査ポイント(431)
     ①主題、対象、方法が設定されており、お互いに整合しているか。
     ②既存の先行研究や学問体系と

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    2025年09月02日
  • 日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学

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    よく海外サービスを日本に輸入して広がっている場面を見るが、採用や組織などいわゆる人事関連サービスは日本ならではの特殊な市場があると感じている。例えば、海外でよく使われる転職ツールはLinkedinだし、候補者も自ら応募して転職に踏み切るケースが多い。一方で日本はエージェントからの紹介やスカウトからの応募などどちらかというと受け身的な転職活動が多く、直近は新卒市場でも同様の傾向が見られるまでになりつつある。

    上記のような状況を事実として受け入れつつも内心「なんでそんなことになっているんだろう?」と理解しきれていなかったが、本書を読んだことでその疑問が多少なりともクリアになった感覚がある。人や組

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    2025年02月22日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    知らない論者も多いのだが,なかなか良い企画だったと思う。
    個人的に自由に最高の価値を置いているつもりなのだが,そもそも自由とは何か,きちんと考える必要がある。自由でないから自由という概念が必要となるという指摘はそのとおりだし,自由と秩序の関係も深める必要がある。
    学術会議の問題は解決されないまま世間からは忘れられてその動きは目的を達しようとしている。カネは出すけど口は出さないなんて器量をこの国に望むのはもう無理なのかもしれない。

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    2024年10月14日
  • 社会を変えるには

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    小熊英二(1962年~)氏は、東大農学部卒、岩波書店勤務、東大大学院総合文化研究科博士課程修了、慶大総合政策学部専任講師・助教授を経て、同教授。専攻は歴史社会学、相関社会科学。『社会を変えるには』は新書大賞(2013年)を受賞。その他、サントリー学芸賞、毎日出版文化賞、小林秀雄賞等を受賞。
    本書は、20世紀に入り、社会を変えたい、と思いながら、実際には変えられると思えない、或いは、そもそもどうしたら「社会を変える」ことになるのかわからない人が増える中で、「社会を変える」とはどういうことなのかを、歴史的、社会構造的、思想的に説いたものである。
    具体的には、日本社会の現状(第1章)、社会の変化につ

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    2024年02月05日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    今、私が自由だと思っているものは本当に自由なのだろうかと考えた。秩序はたしかに大事だけれど秩序以上に大事なものを蔑ろにしていないか。
    国は私を守ってくれるが同時に傷付けも見捨てもする。安易にぬるま湯に浸かっていることの危険性。
    これから先の時間を生きる人が傷付き見捨てられないように今を大事にしようと改めて感じた。

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    2024年01月29日
  • 私たちの国で起きていること 朝日新聞時評集

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    2011年~2019年まで朝日新聞時評集
    二つの国民論や「枢軸国日本」と「日本」を区別する視点等面白い(T.N)

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    2023年06月25日
  • 社会を変えるには

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     本書の目的は、運動を敬遠している、あるいは忌避感を抱いている人たちに、運動の魅力を伝え、運動をしてみようかなと思わせることである。最初に反原発運動こそがあらゆる運動が開花する肝である(となりえる)ことを主張し、その後なぜ過去の日本の左翼運動が破綻したのかをわかりやすく解説し、議会制民主主義に囚われることなく、運動によってこそ社会が変えられることを力説している。後半ではいろいろな社会変革理論をとりあげているが、著者が言うように、本書は運動の正解を示すようなものではなく、むしろ議論の叩き台となるようなものである。あくまでも本書は運動を行おうという人のための導きの糸に過ぎない。したがって、本書の評

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    2023年06月11日
  • 基礎からわかる 論文の書き方

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    不完全だから勉強する、それが面白い。SFCの過去問を見たのをきっかけに読んでみた。異常な勉強量、ニュートラルな立ち位置、何を取っても感銘を受けた。では、自分もこうなりたいか、いや、もっと社会の役に立つことがしたい。

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    2023年05月14日
  • 日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学

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    COURRIER JAPON
    著名人の本棚
    篠田真貴子さんの推薦図書より

    「歴史的経緯とは、必然によって限定された、偶然の蓄積である」
    本の終わりに差し掛かるところで、印象的な一文に出会った。

    社会のしくみは何によって作り上げられてきたのか。
    また、どうやって変えていけるのか。
    私は、どんな風に変えていきたいのか。

    流れゆく時間の中で、いまの世の中の必然性から慣習が生まれていく。
    それは合意形成を経て恣意的に作られたものだ。

    本書は日本の雇用環境のみならず、広く、福祉や教育、格差や差別、戦争や軍隊の影響や、人々の潜在的な意識、アイデンティティに至るまで、あらゆる面から日本社会が考察され

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    2023年01月29日
  • 基礎からわかる 論文の書き方

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    卒論は徒手空拳で望んだ様なものだったが、その頃にこの本を読んでいたら(20年も前の話なので不可能だが)、もう少ししっかりした卒論になっていたと思う。

    本書の内容は仕事にも充分生かせると思う。提案書や稟議書、報告書に反映させる事が可能。

    本文には「論文を書くことは人間の不完全さに気づくこと」とある。一生涯を論文(研究)に捧げた研究者は、人間(自分)の不完全さに真正面に向き合い続けた人なのかな、と感じた。

    著者の著作は注が膨大な事が1つの特徴だが、本文中の「注記と要約」を読むとそれも納得出来る。

    今後の著者の本を読む上でのガイドブックともなる一冊。

    ジュンク堂書店近鉄あべのハルカス店にて

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    2022年12月30日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    ネタバレ

    今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
    そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
    それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。

    気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる

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    2022年11月14日
  • 基礎からわかる 論文の書き方

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    「論文とは何か」から解き起こし、どの学問分野にも汎用性がある「論文の書き方」の基礎を解説。
    450頁を超える大部だが、受講生との対話形式も交えた明快な内容で、すいすいと読み進めることができた。
    学生時分などに既に触れたことのあるような情報も少なくなかったが、学問、研究とはどういうものかという根本的なことも含め、論文の書き方、いわゆるアカデミック・ライティングについて、自分の中で知識を整理することができた。
    本書を読んで、やっぱり研究っていいなと感じ、また何か論文を書いてみたくなった。

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    2022年11月05日
  • 日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学

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    600ページの大冊だが、意外に読みやすかった.社会の構成を「大企業型」、「地元型」に分類し、それ以外を「残余型」とした発想は非常に的を得ていると感じた.日本企業ではタテの移動だけで、欧米のようなヨコの移動がないことは、団塊世代の小生としては実感した通りだ.最後の章で、社会的機能分類を提示している.「企業のメンバーシップ」、「職種のメンバーシップ」と「制度化された自由労働市場」だ.最後に、透明性の向上を提言している.重要な視点だと感じた.

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    2022年09月28日
  • 基礎からわかる 論文の書き方

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    学問とは、論文とは、が何となくわかった。
    学問は共通の前提や公理を元にして論理的に積み上げたもの。現代では現実をより説明できる学問が重要視される。論文は人を説得するもの。説得力を増すために今の書き方に落ち着いている。再実験や反証は大歓迎。

    自然科学と比べて人文、社会科学はコントロールできない変数が多すぎて書き上げた論文は反証の余地がありすぎると思ってしまう。そのような論文に意味はあるのだろうか。

    学生が卒論のテーマ決めたり研究室を選ぶ前に読むといいと思う。

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    2022年09月17日
  • 日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学

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    企業における業務改革が全員賛成なのに失敗するのは、「変わりたくない」と心の底では思っているからです。
    課題=>対応策は賛成、でも対応策によって生じるマイナス面、これに対する抵抗感です。そして、通常このマイナス面は暗黙の了解で表に出てきません。
    明確な解決法を本書は述べていないものの、キーは透明性なのは間違いありません。暗黙の了解には触れずいるのがこれまでの「日本社会のしくみ」、変えるにはオープンに議論する事の慣習化、と言えるでしょう。

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    2022年08月16日
  • 基礎からわかる 論文の書き方

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    学生時代に読みたかった。今思えば何気なく書いた卒論も本書に記載されている構成で成り立っていると気付かされた。批判や追検証を通じてさらに論文を飛躍させることができたかもしれない。論文だけでなく、プレゼンなどでも応用可能な一冊。

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    2022年08月13日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
    ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。

    例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。

    詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対

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    2022年08月01日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    「知る」ことで「知らない」では感じられなかった物事が立体的に色彩を持って立ち上がってくる。
    ニュースを見て感想を抱くだけといった姿勢では流れに逆らうことはできないが、思考し行動することは人を新たな場所へ連れて行ってくれる。
    本書では各分野の著名人が各々の視点から考えを述べており、他人の視点、思考、背景等を感じながら読み進められるという点で対話的な(厳密には違うが)一冊になっている。
    自由を重んじる立場の方々の考えに多く触れることができて心地良さすら覚えるが、逆に反論する立場の人の意見にも触れたい気持ちになった。

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    2022年06月01日
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    第二章 文化芸術の自由は誰のためにあるのか
    から読み始めました

    「芸術」の周辺にいらっしゃる
    人たちの 肌感覚による発言が
    そのままストレートに伝わってきます

    いつの世でも
    どの国でも
    「弾圧」「排除」は
    ピンポイントで行われる

    危うい この国では
    よほど意識しておかなければ
    いつのまにやら 加害者側に取り残されている
    ことになってしまうことが多いように思う

    本書を(肯定的に)読んでいる人たちとは
    どこかで しっかり つながっておきたい

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    2022年03月08日
  • 日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学

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    日本の社会がどういう人を評価しているのか、何をみているのか戦前に遡って紹介されています。やっぱりそうかと思うと同時に、知ることで見えていなかったものも少しは気づくことがあるかもしれません。
    就職活動前の大学生では遅いかもしれない。ああでも、高校生の頃に読んだとして果たして明るい未来を描くことができるかな?

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    2021年12月28日