小熊英二のレビュー一覧
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「地域」という言葉に対してどんなイメージを描くだろうか。僕はいわゆる都市部には住んでいない。地方である。その中にも同じ市の中にも様々な地域があり、独自の文化、暮らし、自治会、人が生きている。
この本はどちらかといえば移住をしたり、衰退する地域をなんとかして盛り上げよとしたりしていろいろな生き方をしながら活躍しておられる方々が描かれている。きっと、全国各地の様々な場所において同じように知恵を絞っておられる方はたくさんおられると思う。
自分の住んでいる地域も同様な問題がある。この本の中にあった「その地域に住む理由がなければ人は離れていく」。納得した。自分は生まれ育ったという理由でこの地域に住ん -
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「考え」を押し付けられるのではなく
「考える」ヒントがちりばめられている
小熊英二さんの著を読むたびに
思わせられること
「デモをする社会」が書かれている
もちろん
あなたもデモに参加しなさい
という安直なことが書かれているわけではない
その時代の その時の
その人たちが なぜ「デモ」という表現に
至っているのか
そこにいたるまでの経緯
その時代の必然的な理由
その人たちの行動のとらえ方
さまざまな要素を
実に分かり易く
「絵解き」してくれている
「おわりに」の中で
この「本」を「教科書」にしないで欲しい
私を講演会に呼ぶのではなく
この「本」を読書会の話題に取り上げて
あなたが 自分の -
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概ね面白く、というか、考えさせられながら読んだ。
ただ、一つだけ強烈に違和感があったのが、P240からの「世界の解雇規制」だ。
このトピックスでのテーマは、日本の解雇規制は、世界的にみて厳しいのか、という点である。
全体的には、日本の解雇法制と欧米のそれとは、ベースが異なるので比較が難しいのではないか、という、なるほどそうだよね、という主張。これに違和感はない。
違和感は、筆者が「整理解雇の四要件」に触れないまま、日本には、解雇に関する社会的ルールがないと主張している点。企業で、人事の仕事をしている人間なら、日本における解雇に関する社会的ルールはこれだと、ほとんどの人は答えると思う。解雇を扱 -
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日本の平成を、政治・経済・地方自治・社会保障・教育・情報化・移民政策・ナショナリズムの観点からまとめた本。
総じて言うなれば、日本の平成とは、変化するさまざまな環境に対して、昭和の枠組みをその場しのぎで改変することで対応してきた時代であり、その綻びがあらわになってきた時代といえる。
重要な観点は、ポスト工業化における個人化。昭和はある意味一定のライフコースしか想定しておらず、そこから漏れ落ちた人々に対しては想定をしていなかった。だからこそ、こうしてそれぞれの観点からまとめてみると、ちぐはぐな対応に見えてしまう。
システムは入れた途端陳腐化するが、それは全ての精度に対しても言えるのかもし -
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ネタバレ歴史的経緯の蓄積を踏まえず他国の「しくみ」「慣習の束」を実現するのはほとんど不可能に近い
・「慣習の束」(8)
・日本社会のしくみの成立(552)
①「大企業型」「地元型」「残余型」
②企業を超えた横断的基準の不在=日本型雇用最大の特徴(「職務の平等」より「社員の平等」)
③他の社会では職種別労働組合や専門職団体の運動
④「官僚制の移植」が他国より大きい(近代化における政府の突出)
⑤他国では職種別労働運動などで影響が少ない
⑥戦後の労働運動と民主化により、長期雇用や年功賃金が現場労働者レベルに広まった。→社会の二重構造を生みだし、「地元型」と「残余型」を形成
⑦「学歴」のほか -
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生きて帰ってきたある日本兵の戦前戦後史。
センチメンタルに、あるいは大仰に語られがちな戦前戦後史を、ある1人の生涯を軸に語っている。
そのため、月並みな感想だが、この本を読むことで戦前戦後史に対して違った見方を得ることができる。或いは、歴史に対して違った見方を得ることができる。
その時の人が、どう感じ、どう生きたかは、いわゆる歴史書では知ることができない。当時世間を賑わせた出来事であっても、その時代に生きた一部の、或いは多くの人にとってはどうでも良いことだったのかもしれない。そのような実感を考えることなく、歴史を語ることは非常に浅いことなのかもしれないと感じる。何故なら、歴史を作ってきた -
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(中略)その変動とは、人々の個人化が進み、関係の安定性が減少していく流れである。
それは、人々が固定した関係を嫌い、自由になろうとすることで促進されている。
この一文に喚起され、購入しました。
著者は、この変化のプラス面とマイナス面を踏まえた上で、
その変化そのものを批判しても、止めようがないと指摘しています。
それよりも、そうした変動を前提とした上で、プラス面を活かしていく道を考えた方が、
よいといいます。それは、過去の人々は、社会の制度や国の形を作り替えることで、
「変化」に対処してきたからです。
そして3つの、することを提起しています。
①現状のしっかりした診断が必要(何を、どう客観 -
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総ページ数は517頁。大著の多い著者の本にふさわしく、読み応えのある一冊。民主主義をめぐる思想について、ギリシアの民主制から説き起こし、現代にいたるまで、その足跡をたどりながら、また、日本の社会の変遷をたどりながら、(本作は2012年の著書なので)東日本大震災と原発事故を受けた原発反対運動に民主制の希望を見出す。民主制というのは決して多数決などではないし、社会を変えるためには、自らが動きながら、他者との関係性を変えていくことから始めなければいけない、というのは、東日本大震災から8年が経過したいまでも、決してアクチュアリティを失っていない。それは、現実の政治・社会は、それとは程遠い動きを見せてい
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民主主義=投票、っていう考えも根強くあると思う。政治家からすれば都合のいい論理で、選ばれたら何をやっても「多数」であることを理由に正当化される。一方で社会運動に参加するのは多くの人々にとって敷居が高い。暇もないし、他人から「活動家」と見なされるのもちょっと怖い?
文庫本で買ったけど結構情報量は多く、日本の社会運動の歴史、民主主義とは、その限界、社会運動に参加することの重要性とその意義について詳細に記載されていて参考になりました。後半に社会運動の戦略論みたいなところもあって、なるほど・・そういう見方もあるのか、と。
現在の政権を見ていると選挙で結果を出すことも大事だけど、一方で官邸を包囲し続け -
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太平洋戦争末期に徴兵されて、シベリアに2年ほど抑留された人の話なのだけど、それ以前から戦後の混乱期、高度経済成長期を経て定年後の話もあり、物凄く濃かった。
もちろん、彼の生き方・考え方が徴兵された人代表というわけではないが、市井の人の素朴な価値観を知ることができた。
印象的な箇所はたくさんあったが、自分が特に印象に残ったのは以下の点。
・戦前の素朴な戦争感。
・戦中の報道は新聞を読んでたけど、日本軍が転進・玉砕と書いてあり、薄々おかしいと感じてたこと。
・戦中末期に徴兵され、毎日しごきを受けてたこと。
・シベリア抑留時代の過酷な話。
・戦前に富士通信機で働いてて戦後に戻ろれるはずだったけど -
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Posted by ブクログ
淡々と書かれているが、内容は壮絶。
シベリア抑留、結核療養所など、身体的にも過酷で精神的にも厳しい状況でただただ日々を精一杯生きて、今日まで命をつないできた人生に、心から敬服する。
当時の日本を生きてきた人は、多くがそういう思いを経験を乗り越えてきたのだと思うと、なんとも言えない気持ちになる。
あのような戦中、戦後を生き残った人々が、必死で今日を作り上げてきてくれたのに、今の世代がこれでいいのだろうかと申し訳ないような気がする。
後半、現代に近い部分は少し駆け足で語られたような気がするが、社会的な動きは自分でもある程度記憶があるので、それほど物足りない気はしなかった。
戦後補償の問題など、きっ