小熊英二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ著者は「日本社会のしくみ」とタイトルした。しかし、それだけでは、本書の内容をイメージするには困難であるので、副題がたくさんついている。
「雇用、教育、福祉の歴史社会学」
「日本を支配する社会の慣習」
「日本の働き方成立の歴史的経緯とその是非を問う」
この「日本社会」という言葉を、「日本の労働社会」とか「日本の経済社会」とかいう意味合いで自身はとらえて読み進めた。
電子書籍で読んだので物理的な分厚さを感じることはできなかったが、新書にしてはかなりのボリューム。しかもすべての論拠に統計データが裏付けられており、直感的に述べたられたようないい加減さは全くなかった。
また、「日本のしくみ」を述べるのに、欧米を中心とした世界的な実情との比較を述べることで、日本の特徴を浮き彫りにしており、本書は著者のこのテーマに関する論文のダイジェスト版ともいえるのではないだろうか。
「終章」において、「自然科学」と「社会科学」の違いについて述べ、その「社会科学」の特徴をアダム・スミス、ウェーバー、ジンメル、デュルケーム等の学者の研究成果などを例示し述べられているあたり、著者の本来の論文は、それらも含めて述べられるべきところだろうと思うが、本書は「新書」の形で、できるだけ一般の読者にわかりやすくまとめられたのだろうと思う(正直、それでも大変な論文と感じたが・・・)。
第1章 日本社会の「3つの生き方」
第2章 日本の働き方、世界の働き方
第3章 歴史のはたらき
第4章 「日本型雇用」の起源
第5章 慣行の形成
第6章 民主化と「社員の平等」
第7章 高度成長と「職能資格」
第8章 「一億総中流」から「新たな二重構造」へ
終章 「社会のしくみ」と「正義」のありか
話のつかみ(序章)では、2018年6月21日の日経新聞の記事「経団連、この恐るべき同質集団」であり、経団連の正副会長19名がどういう人物であるのかが切り口である。日本の経済界のトップの特徴を見れば、現在の日本の経済社会、労働社会の特徴がわかるだろうということだろう。
日本人、男性、62歳以上、年功序列・終身雇用・生え抜き主義の成功者(=大企業システムの成功者)、学歴偏重(東大12名、一橋大3名、京大、横国大、慶大、早大=首都圏大学に集中)。
ここから、女性、外国人、地方が不利の実情を指摘し、また学歴については「何を学んだか(専攻したか)を重要とせず、ただ学校名を重視している」と述べ、経歴については「1つの組織における勤続年数を重視している」と指摘している。
欧米企業では、「どこの大学」というより「何を専攻してきたか、何を専門とするか」が重要要素であり、自身の専門とする職種をもって企業を渡り歩くことによりキャリアップしていく形態が社会の姿であることから、終身雇用の日本とは、この2つの点でまったく異なる特徴があるとする。
これらのを取り巻く、雇用のしくみも、教育のしくみも、社会保障のしくみも、必然的に欧米と日本は異なってくるという。
こういう「しくみ」が出来上がるのは、慣習(=暗黙のルール)によるところが大きいとし、では現在の日本の「しくみ」が出来上がったのは、どんな歴史的背景に基づく社会の慣習が原因しているのかということを述べていた。
最初に興味をひかれたのは、第1章での「日本の生き方の類型」で、3つの類型を提示している。①「大企業型」
②「地元型」、③「残余型(①でも②でもない型)」の分類である。
ここで読者は、自分自身の日本人としての生き方を、この分類に当てはめることになる。おそらく、自身の適合範囲の類型ばかりを見て、他の類型には全く振り返ることなく人生を過ごしてきたことを再認識するだろう。
これらの類型がパラレルで存在しているならば問題はないが、例えば冒頭の経団連の記事のように、「大企業型が日本のしくみである」とされた瞬間に違和感を感じざるを得ない。
そしてまた、日本のしくみがそういう大企業型のしくみへ誘導されることによって、②③の類型にひずみが発生していくる。そのことを述べられていたように思う。
②「地元型」には、自営業や農林水産業の人々が分類されるが、昨今では人口減少傾向にあるという。これまでの仕事を廃業した人は、どこへシフトしているかというと、非正規労働者の増加と連動しているという。そしてその次には、正社員と非正規労働者との処遇のギャップなどの問題が浮き彫りになってくる。
あるいは、学歴偏重の方向性から、中卒、高卒就業者への減少傾向、大卒者の増加、、、しかしながら企業の人材需要に変動はなく、就職難の現象が現れたり、企業内の昇進ポスト不足の問題が発生したりと、現行システムに歪みが生じてくる流れなども説明されている。
日本の特徴的慣行として、「定年制」「定期人異動」「新卒一括採用」を挙げている。「大部屋型オフィス」は、どこの企業でも当たり前の姿であるという認識だったが、これは日本独自の特徴なのだと改めて認識した。
現在「人事考課」の基礎となっている職能資格制度なども、しくみの歪みの修復から発生してきた制度のようだが、それらも明治期の官庁制度や、軍隊の階級制度などがベースとなったものがほとんど変化していないようであり、それはそれで様々な驚きの要素がある。
社会のしくみが、慣習に強い影響を受けていること。慣習はある意味、法律などと同等かそれ以上の影響力をもっていること。そして、そういう慣習の流れは、経済界であったり、政府であったり、同労組合であったりが作っているということを改めて認識した。
一方で、戦後の高度成長、石油ショック、バブル崩壊、あるいは団塊世代、団塊ジュニア世代などによる人口現象による影響など、様々な要因でしくみの変化が常に求められるナマモノであるということも再認識できた。
しくみへの不適合が発生しることにより、不満が発生したり、不平等が発生したりする。そして社会問題へと発展してくる。非常に難しいものだという認識だけは深まった。
著者は、これらの分析から、将来の予測と改善に活かせと述べているのだと思う。 -
地域をまわって考えたこと
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試し読み
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「日本の地域をまわることによって、一つの地域にとどまらない、日本の地域一般がおかれている状況を構造的に理解したい」というのが、筆者による、本書執筆の動機だ。本書で紹介されているのは、いくつかを除けば、主に衰退しつつある、地方の市町村。それらの地域を何とか元気にしようとしている方たちの努力が、多く紹介されている。
たまたま本日の夕刊に、2015年から2020年にかけての各都道府県の人口の増減に関しての記事が載っていた。人口が増えたのは9都府県のみ。5年間で最も人口減少が大きかったのは秋田県の▲6.2%。また、全国にある1718の市町村の8割で人口が減っており、10%以上減少した自治体も245に上るということである。
私の実家も九州の田舎で人口減少地域である。帰省するたび、と言うと少し大げさではあるが、さびれる一方という印象を持つ。
最近、ノマドワーカーに関しての本をたくさん読んでいた。ノマドワーカーと地域に残り、あるいは、地域に移住をして、その地域の振興に励んでおられる方では、生き方が全く違う、正反対と言っても良い。どちらが良いとか、悪いとかということではなく、平たく言えば好みの問題である。本書を読んでいると、地域での活動にもやりがいがあり得るが、どちらかを選べと言われれば、少なくとも中年までの年齢であれば、ノマドワーカーを自分は選ぶであろうと思う。 -
地域をまわって考えたこと
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試し読み
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「地域」という言葉に対してどんなイメージを描くだろうか。僕はいわゆる都市部には住んでいない。地方である。その中にも同じ市の中にも様々な地域があり、独自の文化、暮らし、自治会、人が生きている。
この本はどちらかといえば移住をしたり、衰退する地域をなんとかして盛り上げよとしたりしていろいろな生き方をしながら活躍しておられる方々が描かれている。きっと、全国各地の様々な場所において同じように知恵を絞っておられる方はたくさんおられると思う。
自分の住んでいる地域も同様な問題がある。この本の中にあった「その地域に住む理由がなければ人は離れていく」。納得した。自分は生まれ育ったという理由でこの地域に住んでいる「。それは問うまでもなく自分の中では当たり前のことであった。しかし、外から移住した人からすればどうだろうか。この地域はどう見られているのだろうか。
自分が住む場所の未来はこの先どうなっていくのか。今できることは何だろう。行政としてではなく、この地域に住む人と共に考えていく時期に来ているのだと思う。
やってやろつと思う。自分たちの次の世代がこの地域に生まれてよかったと思えるように。 -
Posted by ブクログ
「考え」を押し付けられるのではなく
「考える」ヒントがちりばめられている
小熊英二さんの著を読むたびに
思わせられること
「デモをする社会」が書かれている
もちろん
あなたもデモに参加しなさい
という安直なことが書かれているわけではない
その時代の その時の
その人たちが なぜ「デモ」という表現に
至っているのか
そこにいたるまでの経緯
その時代の必然的な理由
その人たちの行動のとらえ方
さまざまな要素を
実に分かり易く
「絵解き」してくれている
「おわりに」の中で
この「本」を「教科書」にしないで欲しい
私を講演会に呼ぶのではなく
この「本」を読書会の話題に取り上げて
あなたが 自分の頭で考えて欲しい
あなたが 自分の言葉で語って欲しい
と おっしゃる
小熊英二さんの言葉が
「これから」を「考える」後押しをしてくれている -
Posted by ブクログ
概ね面白く、というか、考えさせられながら読んだ。
ただ、一つだけ強烈に違和感があったのが、P240からの「世界の解雇規制」だ。
このトピックスでのテーマは、日本の解雇規制は、世界的にみて厳しいのか、という点である。
全体的には、日本の解雇法制と欧米のそれとは、ベースが異なるので比較が難しいのではないか、という、なるほどそうだよね、という主張。これに違和感はない。
違和感は、筆者が「整理解雇の四要件」に触れないまま、日本には、解雇に関する社会的ルールがないと主張している点。企業で、人事の仕事をしている人間なら、日本における解雇に関する社会的ルールはこれだと、ほとんどの人は答えると思う。解雇を扱う新聞記事にも頻繁に登場する。
この四要件を知らずに解雇法制について論じているのであれば、単純に勉強不足。知っていて触れていないのであれば、不誠実。筆者の他の論考や著書を読む限り、前者だと思うが。
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地域をまわって考えたこと
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試し読み
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Posted by ブクログ
日本の平成を、政治・経済・地方自治・社会保障・教育・情報化・移民政策・ナショナリズムの観点からまとめた本。
総じて言うなれば、日本の平成とは、変化するさまざまな環境に対して、昭和の枠組みをその場しのぎで改変することで対応してきた時代であり、その綻びがあらわになってきた時代といえる。
重要な観点は、ポスト工業化における個人化。昭和はある意味一定のライフコースしか想定しておらず、そこから漏れ落ちた人々に対しては想定をしていなかった。だからこそ、こうしてそれぞれの観点からまとめてみると、ちぐはぐな対応に見えてしまう。
システムは入れた途端陳腐化するが、それは全ての精度に対しても言えるのかもしれない。ビジョンを持ったアップデートが求められるが、それも簡単な話ではない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ歴史的経緯の蓄積を踏まえず他国の「しくみ」「慣習の束」を実現するのはほとんど不可能に近い
・「慣習の束」(8)
・日本社会のしくみの成立(552)
①「大企業型」「地元型」「残余型」
②企業を超えた横断的基準の不在=日本型雇用最大の特徴(「職務の平等」より「社員の平等」)
③他の社会では職種別労働組合や専門職団体の運動
④「官僚制の移植」が他国より大きい(近代化における政府の突出)
⑤他国では職種別労働運動などで影響が少ない
⑥戦後の労働運動と民主化により、長期雇用や年功賃金が現場労働者レベルに広まった。→社会の二重構造を生みだし、「地元型」と「残余型」を形成
⑦「学歴」のほかに能力の社会的基準がない→企業の学歴抑制効果と、企業秩序の平等化/単線化がおきた
⑧「大企業型」の量的拡大は、石油ショック後は頭打ち。その後は非正規労働者の増大、人事考課や「成果主義」による厳選などがあったが、日本型雇用はコア部分では維持
・「カイシャ」と「ムラ」を社会の基礎とみなす意識
・現存する不平等を階級間ではなく企業間の格差とみなす意識
・3つの社会的機能で類型化(554):「企業のメンバーシップ」(日本)「職種のメンバーシップ」(ドイツ、弁護士・税理士)「制度化された自由労働市場」(アメリカ、非正規労働市場)
・福祉レジーム論(エスピン-アンデルセン)(560)
交換(市場)・再分配(政府)・互酬(家族)の3機能の複合→誤解を招きやすい分類。例)ドイツと日本では互酬の単位となる共同性のあり方が違う
・すべての社会関係は、一定のルールに基づいて行われる、利害と合意のゲーム(569)
・ルールを無視して一方的に利害を追求すれば、合意が成立しなくなる。相手の合意を得て、自己の利害を達成するためには、ルールを守らざるを得ない。そのことによって、ルールは少しずつ変形されながらも、維持されている。
・こうしたルールは、歴史的経緯の蓄積(=必然によって限定された、偶然の蓄積)で決まる(570)
・日本の雇用慣行の改革の多くが失敗した理由は、①新しい合意が作れなかったから(例:1990年代以降の「成果主義」)、②他国の長所とみえるものを、つまみ食いで移入しようとするものが多かったから。
・長い歴史過程を経て合意に到達した他国の「しくみ」や、世界のどこにも存在しない古典経済学の理想郷を、いきなり実現するのはほとんど不可能に近い。こうした点に、ときに人はナイーブである。どこにも実在しない社会を基準においた議論では、現実の社会を変えていくことはむずかしい。
・だが慣行は不変ではなく、人々が合意すれば、変えることができる
・日本の「しくみ」は、どういう方向に変えるべきだろうか(572)
もっとも重要なことは、透明性(と公開性)の向上:結果だけでなく、基準や過程を明確に公表し、選考過程を少なくとも当人には通知する -
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生きて帰ってきたある日本兵の戦前戦後史。
センチメンタルに、あるいは大仰に語られがちな戦前戦後史を、ある1人の生涯を軸に語っている。
そのため、月並みな感想だが、この本を読むことで戦前戦後史に対して違った見方を得ることができる。或いは、歴史に対して違った見方を得ることができる。
その時の人が、どう感じ、どう生きたかは、いわゆる歴史書では知ることができない。当時世間を賑わせた出来事であっても、その時代に生きた一部の、或いは多くの人にとってはどうでも良いことだったのかもしれない。そのような実感を考えることなく、歴史を語ることは非常に浅いことなのかもしれないと感じる。何故なら、歴史を作ってきたのは、他ならぬその時代に生きた人々だからである。
他の本で、著者は、戦争責任に対して、誰もが被害者であり加害者でもある、というより、それすら整理できないのが戦争なのである。という趣旨のことを述べている。おそらく、著者のこの考えは、この本と通ずるところもある。なぜならば、この本の語り手である謙二も、戦争の加担者でありながらも、その責任がどうであるとか、考える暇もなく、時代の流れに巻き込まれていたからである。
なんとなく、「この世界の片隅に」に通じる気がする。
読み物としても興味深いし、誰でもない1人の目線をもとに歴史を描き出すという試みの本という目線から見ても、非常に良い本。 -
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(中略)その変動とは、人々の個人化が進み、関係の安定性が減少していく流れである。
それは、人々が固定した関係を嫌い、自由になろうとすることで促進されている。
この一文に喚起され、購入しました。
著者は、この変化のプラス面とマイナス面を踏まえた上で、
その変化そのものを批判しても、止めようがないと指摘しています。
それよりも、そうした変動を前提とした上で、プラス面を活かしていく道を考えた方が、
よいといいます。それは、過去の人々は、社会の制度や国の形を作り替えることで、
「変化」に対処してきたからです。
そして3つの、することを提起しています。
①現状のしっかりした診断が必要(何を、どう客観的に見るか(WHAT))
②その現象がどういう背景で起こり、どういう変化を示唆しているか
(何が、どういう背景で起こったのか(HOW・WHY))
③今の変動そのものは、世界的に普遍に見られる。
日本では、それがどう表れているか(Compared)
情報が毎日洪水のように溢れています。
何が時代を左右するのか、象徴するのか、また自分に大きな影響を与えるのは、
どんどんわからなくなっています。
そういう時に、やはり知識人の視点は、
非常に参考になります。
こういう大きな視点を持っている人は、どんどん少なくなっています。
学問の専門性のさらなる細分化による弊害です。
歴史社会学者は、社会変化を、言語化するプロです。
やはり素人とは違います。
その言葉を自分の生活に当てはめたり、
今の変動やこれからの変化を予測したり、
その原因の構造を勉強するのは、非常に有益です。
現代は、個人が簡単にSNSで発信できるようになりました。
ただ、それは、思考を伴った他者にとって有益なものかというと、
そうではなく、単なる自己満足です。
で、何か問題でも?の社会環境です。
自身の生理的な反応(うまい、楽しい、凄い、悔しい)を、
映像・言葉で発信するだけになっています。
それを共有することを「シェアする」と言いますが、
それをやり過ぎると、思考力を失うような感じがするのは、私だけでしょうか。 -
Posted by ブクログ
総ページ数は517頁。大著の多い著者の本にふさわしく、読み応えのある一冊。民主主義をめぐる思想について、ギリシアの民主制から説き起こし、現代にいたるまで、その足跡をたどりながら、また、日本の社会の変遷をたどりながら、(本作は2012年の著書なので)東日本大震災と原発事故を受けた原発反対運動に民主制の希望を見出す。民主制というのは決して多数決などではないし、社会を変えるためには、自らが動きながら、他者との関係性を変えていくことから始めなければいけない、というのは、東日本大震災から8年が経過したいまでも、決してアクチュアリティを失っていない。それは、現実の政治・社会は、それとは程遠い動きを見せていることの裏返しかもしれないが。。
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Posted by ブクログ
民主主義=投票、っていう考えも根強くあると思う。政治家からすれば都合のいい論理で、選ばれたら何をやっても「多数」であることを理由に正当化される。一方で社会運動に参加するのは多くの人々にとって敷居が高い。暇もないし、他人から「活動家」と見なされるのもちょっと怖い?
文庫本で買ったけど結構情報量は多く、日本の社会運動の歴史、民主主義とは、その限界、社会運動に参加することの重要性とその意義について詳細に記載されていて参考になりました。後半に社会運動の戦略論みたいなところもあって、なるほど・・そういう見方もあるのか、と。
現在の政権を見ていると選挙で結果を出すことも大事だけど、一方で官邸を包囲し続けることもより効果的かもしれませんね。 -
Posted by ブクログ
太平洋戦争末期に徴兵されて、シベリアに2年ほど抑留された人の話なのだけど、それ以前から戦後の混乱期、高度経済成長期を経て定年後の話もあり、物凄く濃かった。
もちろん、彼の生き方・考え方が徴兵された人代表というわけではないが、市井の人の素朴な価値観を知ることができた。
印象的な箇所はたくさんあったが、自分が特に印象に残ったのは以下の点。
・戦前の素朴な戦争感。
・戦中の報道は新聞を読んでたけど、日本軍が転進・玉砕と書いてあり、薄々おかしいと感じてたこと。
・戦中末期に徴兵され、毎日しごきを受けてたこと。
・シベリア抑留時代の過酷な話。
・戦前に富士通信機で働いてて戦後に戻ろれるはずだったけど、シベリア帰り=アカということで受け入れられなかったこと。
・シベリアの民主教育でアカには染まらなかったけど、心情的には左寄り、ただしアメリカの方がソ連よりはましという考え。
・戦争責任について。
政治家は元より、天皇にも一定の責任があるという考え。
あと、結核療養所で青春時代を5年過ごしたというのも中々切なかった。
ペニシリンが普及する前で、肺を潰したというのはえぐかった。