小熊英二のレビュー一覧

  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体

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    初めて読む方の文章が新鮮で特に印象に残った。山田和樹さん、永井愛さん等。既によく読んでいる方の名前につられて本を手に取り、新しい方のご研究などに興味が広がっていくのがうれしい。
    この本を読んで逆に「自由」という言葉を簡単に定義し使うことが難しくなったが。
    自由を手放したくないし、奪われそうなら戦う!新たな自由をつかみ取りたい!そして次の世代に手渡したい。

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    2021年09月20日
  • 日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学

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    ネタバレ

    著者は「日本社会のしくみ」とタイトルした。しかし、それだけでは、本書の内容をイメージするには困難であるので、副題がたくさんついている。

    「雇用、教育、福祉の歴史社会学」
    「日本を支配する社会の慣習」
    「日本の働き方成立の歴史的経緯とその是非を問う」

    この「日本社会」という言葉を、「日本の労働社会」とか「日本の経済社会」とかいう意味合いで自身はとらえて読み進めた。

    電子書籍で読んだので物理的な分厚さを感じることはできなかったが、新書にしてはかなりのボリューム。しかもすべての論拠に統計データが裏付けられており、直感的に述べたられたようないい加減さは全くなかった。

    また、「日本のしくみ」を述

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    2021年09月18日
  • 地域をまわって考えたこと

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    「日本の地域をまわることによって、一つの地域にとどまらない、日本の地域一般がおかれている状況を構造的に理解したい」というのが、筆者による、本書執筆の動機だ。本書で紹介されているのは、いくつかを除けば、主に衰退しつつある、地方の市町村。それらの地域を何とか元気にしようとしている方たちの努力が、多く紹介されている。
    たまたま本日の夕刊に、2015年から2020年にかけての各都道府県の人口の増減に関しての記事が載っていた。人口が増えたのは9都府県のみ。5年間で最も人口減少が大きかったのは秋田県の▲6.2%。また、全国にある1718の市町村の8割で人口が減っており、10%以上減少した自治体も245に上

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    2021年06月26日
  • 日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学

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    労作。研究者の仕事って感じする。社会のしくみの方向性を変えるのに、社会運動が果たした役割の大きさを実感したけど、今、ゆでガエル的な状況と価値観の(更なる)多様化があって、社会運動が生まれにくい気もしてて、難しいなと思った。

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    2021年06月06日
  • 日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学

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    小熊ファンの私としては、本屋で見て買わずにはいられず。中段は、なかば読み飛ばしたが、それでも大意がわかる本なのが素晴らしい。

    第1章を読んで、恐ろしや、新卒のときこれを読んでたら迷わず大企業をめざしたのでは?と思ってしまった、中小企業畑の私。

    第1章と最終章だけ読むのでも損はないと思いました。

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    2021年05月22日
  • 地域をまわって考えたこと

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    「地域」という言葉に対してどんなイメージを描くだろうか。僕はいわゆる都市部には住んでいない。地方である。その中にも同じ市の中にも様々な地域があり、独自の文化、暮らし、自治会、人が生きている。

    この本はどちらかといえば移住をしたり、衰退する地域をなんとかして盛り上げよとしたりしていろいろな生き方をしながら活躍しておられる方々が描かれている。きっと、全国各地の様々な場所において同じように知恵を絞っておられる方はたくさんおられると思う。

    自分の住んでいる地域も同様な問題がある。この本の中にあった「その地域に住む理由がなければ人は離れていく」。納得した。自分は生まれ育ったという理由でこの地域に住ん

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    2020年09月27日
  • 私たちの国で起きていること 朝日新聞時評集

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    遡る形でその時々の評論をまとめた本です。
    しっかり声を上げること、対話をすること、民主主義の原点だと思います。

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    2020年09月12日
  • 社会を変えるには

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    「考え」を押し付けられるのではなく
    「考える」ヒントがちりばめられている
    小熊英二さんの著を読むたびに
    思わせられること

    「デモをする社会」が書かれている
    もちろん
    あなたもデモに参加しなさい
    という安直なことが書かれているわけではない
    その時代の その時の
    その人たちが なぜ「デモ」という表現に
    至っているのか

    そこにいたるまでの経緯
    その時代の必然的な理由
    その人たちの行動のとらえ方
    さまざまな要素を
    実に分かり易く
    「絵解き」してくれている

    「おわりに」の中で
    この「本」を「教科書」にしないで欲しい
    私を講演会に呼ぶのではなく
    この「本」を読書会の話題に取り上げて
    あなたが 自分の

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    2020年07月14日
  • 私たちの国で起きていること 朝日新聞時評集

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    概ね面白く、というか、考えさせられながら読んだ。

    ただ、一つだけ強烈に違和感があったのが、P240からの「世界の解雇規制」だ。
    このトピックスでのテーマは、日本の解雇規制は、世界的にみて厳しいのか、という点である。
    全体的には、日本の解雇法制と欧米のそれとは、ベースが異なるので比較が難しいのではないか、という、なるほどそうだよね、という主張。これに違和感はない。
    違和感は、筆者が「整理解雇の四要件」に触れないまま、日本には、解雇に関する社会的ルールがないと主張している点。企業で、人事の仕事をしている人間なら、日本における解雇に関する社会的ルールはこれだと、ほとんどの人は答えると思う。解雇を扱

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    2020年03月30日
  • 地域をまわって考えたこと

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    小学校が廃校寸前になりつつある
    地域の友達、
    地方都市で町会議員に「志して」
    なった友達、
    できるだけ小さな町を渡り歩いて
    小さなコンサートを続けている友達、
    その友達の顔が
    ずっと思い浮かんでいました

    「小さな村」の中で
    少子高齢化、過疎化の中で
    日々の暮らしの中でできることを
    真剣に考え、気分良く暮らせる生活を
    考えている人には
    とても参考になる一冊だと思います

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    2020年03月28日
  • 平成史【完全版】

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    日本の平成を、政治・経済・地方自治・社会保障・教育・情報化・移民政策・ナショナリズムの観点からまとめた本。

    総じて言うなれば、日本の平成とは、変化するさまざまな環境に対して、昭和の枠組みをその場しのぎで改変することで対応してきた時代であり、その綻びがあらわになってきた時代といえる。

    重要な観点は、ポスト工業化における個人化。昭和はある意味一定のライフコースしか想定しておらず、そこから漏れ落ちた人々に対しては想定をしていなかった。だからこそ、こうしてそれぞれの観点からまとめてみると、ちぐはぐな対応に見えてしまう。

    システムは入れた途端陳腐化するが、それは全ての精度に対しても言えるのかもし

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    2020年03月15日
  • 私たちの国で起きていること 朝日新聞時評集

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    「日本社会のしくみ」に続けて読む。
    この時評集に取り上げられている時評と縦糸で繋がっていると実感。

    横糸として「私たちはいまどこにいるのか」「私たちはどこへ行こうとしているのか」「論壇日記」辺りと通して読むと著者がその時々何を考えていたか感じる事が出来るのではないか。

    気軽に小熊英二の思索・文字の海に触れたい人にオススメ。

    ジュンク堂書店近鉄あべのハルカス店にて購入。

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    2020年02月12日
  • 日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学

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    ネタバレ

    歴史的経緯の蓄積を踏まえず他国の「しくみ」「慣習の束」を実現するのはほとんど不可能に近い

    ・「慣習の束」(8)
    ・日本社会のしくみの成立(552)
     ①「大企業型」「地元型」「残余型」
     ②企業を超えた横断的基準の不在=日本型雇用最大の特徴(「職務の平等」より「社員の平等」)
     ③他の社会では職種別労働組合や専門職団体の運動
     ④「官僚制の移植」が他国より大きい(近代化における政府の突出)
     ⑤他国では職種別労働運動などで影響が少ない
     ⑥戦後の労働運動と民主化により、長期雇用や年功賃金が現場労働者レベルに広まった。→社会の二重構造を生みだし、「地元型」と「残余型」を形成
     ⑦「学歴」のほか

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    2025年04月17日
  • 私たちの国で起きていること 朝日新聞時評集

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    (中略)その変動とは、人々の個人化が進み、関係の安定性が減少していく流れである。
    それは、人々が固定した関係を嫌い、自由になろうとすることで促進されている。

    この一文に喚起され、購入しました。
    著者は、この変化のプラス面とマイナス面を踏まえた上で、
    その変化そのものを批判しても、止めようがないと指摘しています。
    それよりも、そうした変動を前提とした上で、プラス面を活かしていく道を考えた方が、
    よいといいます。それは、過去の人々は、社会の制度や国の形を作り替えることで、
    「変化」に対処してきたからです。
    そして3つの、することを提起しています。

    ①現状のしっかりした診断が必要(何を、どう客観

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    2019年12月02日
  • 社会を変えるには

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    総ページ数は517頁。大著の多い著者の本にふさわしく、読み応えのある一冊。民主主義をめぐる思想について、ギリシアの民主制から説き起こし、現代にいたるまで、その足跡をたどりながら、また、日本の社会の変遷をたどりながら、(本作は2012年の著書なので)東日本大震災と原発事故を受けた原発反対運動に民主制の希望を見出す。民主制というのは決して多数決などではないし、社会を変えるためには、自らが動きながら、他者との関係性を変えていくことから始めなければいけない、というのは、東日本大震災から8年が経過したいまでも、決してアクチュアリティを失っていない。それは、現実の政治・社会は、それとは程遠い動きを見せてい

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    2019年07月17日
  • 私たちの国で起きていること 朝日新聞時評集

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    2011年から朝日新聞論壇委員、16年から18年に同紙論壇時評を担当した著者(歴史社会学者)の時評集。
    世界に普遍的な傾向が日本でどう表れているか、戦後日本の「国のかたち」がどう揺れ・新たな合意はどう作られうるかの関心で通底した新聞時評。
    沖縄の実情や原発への感覚など、認識を新たにしてくれる情報をもらえた。
    ここでの指摘が正鵠を射ているとは限らないという疑いの目や事実関係を検証することも必要だが、一定の見識として読んだ。
    例えば日韓関係など、この国の課題が網羅されている訳ではない点は残念に思った。
    19-74

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    2019年06月28日
  • 社会を変えるには

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    民主主義=投票、っていう考えも根強くあると思う。政治家からすれば都合のいい論理で、選ばれたら何をやっても「多数」であることを理由に正当化される。一方で社会運動に参加するのは多くの人々にとって敷居が高い。暇もないし、他人から「活動家」と見なされるのもちょっと怖い? 
    文庫本で買ったけど結構情報量は多く、日本の社会運動の歴史、民主主義とは、その限界、社会運動に参加することの重要性とその意義について詳細に記載されていて参考になりました。後半に社会運動の戦略論みたいなところもあって、なるほど・・そういう見方もあるのか、と。
    現在の政権を見ていると選挙で結果を出すことも大事だけど、一方で官邸を包囲し続け

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    2019年01月06日
  • 社会を変えるには

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    いい幹事 よりも 鍋を囲む
    究極の真理を一方だけが知っている、という事は弁証法的にはあり得ない。
    参加者みんなが生き生きして、思わず参加したくなるのが民主主義。数が集まらない事を反省するのは、楽しくない証拠。来ない人は損したね、となるべき。そんなの自己満足さ、と卑下する感覚になるのも本当に満足していれば出ないはず。
    それ自体が楽しい時、目的である時は、自慢したいとか、貶めたいとか結果にこだわらないはず。
    社会が変わるにはあなたが変わること。あなたが変わるにはあなたが動くこと。

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    2017年11月11日
  • 社会を変えるには

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    無知な自分に対して色々な示唆を与えてくれる。
    ただし思想は強め。
    相対化してしっかり考えていきたい。

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    2017年08月14日
  • 私たちはどこへ行こうとしているのか 小熊英二時評集

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     俺の立場は反中央である。
     就活の結果、東京からはじき出されたという思いが今でも残り、地方生活が長くなった今となっては人口集中した東京の機能不全が目について仕方がない。
     地方から人口を吸いあげた上に、都民ファーストと称する傲慢さは都民に自覚がないのだろうか。

     ところでなのだが、保育園不足による待機児童の問題は、俺が持つ市民感覚からは完全に外れている。
     知人の話では、児童数の減少により保育園の経営が成り立たなくなり廃業が増えていて、遠くの保育園までの送り迎えが大変だという。
     こちらのほうが正しいと思う。
     待機児童の問題と俺の市民感覚のギャップが何かと考えると、つまりは保育園不足は東

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    2017年04月21日