矢樹純のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
矢樹純『不知火判事の比類なき被告人質問』双葉文庫。
何とも奇妙なタイトルで大いに興味を惹かれてしまった。
主人公は極めて突飛な質問をして、隠された真相を白日のもとに曝してしまう不知火春希判事で、その狂言回しをフリーライターの湯川和花が演じる五章から成る連作形式の作品であった。
これまで読んだ矢樹純のイヤミスとは全く違う路線の作品であることに驚いた。
『第一章 二人分の殺意』、『第二章 生きている理由』、『第三章 燃えさしの花弁』は柚月裕子か薬丸岳の法廷小説並みの面白さがあったのだが、『第四章 沈黙と欺瞞』で失速、最後の『第五章 書けなかった名前』で挽回出来なかったようだ。
それでも高 -
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Posted by ブクログ
本作は、読み始めた当初は怪異的なホラー作品だと思っていましたが、読み進めるうちに「人が怖い」タイプのホラーなのではないかと印象が変わり、最終的にはやはり怪異的な恐怖へと収束していく構成がとても印象的でした。
物語全体を通して伏線の張り方と回収が非常に巧みで、後から振り返ると「そういうことだったのか」と強い納得感があります。最後の方まで謎の全体像が見えないため、先が気になり、はらはらし続けました。不気味さが途切れることなく続くため、最後まで余すことなく不気味さと不安を味わえる一冊だったと思います。
また、阿南君の推理には爽快感と頼もしさがあり、ホラーでありながらミステリーとしても高い満足感が -
Posted by ブクログ
ネタバレホラー小説はそれほど読む方ではないが、近年比較的よく見るようになった気がする。
『このホラーがすごい』とかも出るようになったし、雨穴さんや背筋さんなどの活躍で世間への浸透度が増しているような気がする。
ということで、普段読まないジャンルだけれど気になった作品。
全体としては一つの長編という訳ではなく、それぞれ別の視点、背景を据えた幾編かの物語を編んだ形になる。
青森県のP集落、亀の刺青の男。
この2つが全編をゆるーく繋ぎ止める感じが何とも不気味で薄気味悪い。
各編それぞれにもえぐさや怖さはあるのだけれど、それよりもやはり裏でうっすら糸引く何かの方がぞくぞくする。
文字面では同じ場所、同じ人 -
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Posted by ブクログ
おぞましいと先ず思うホラーの短編集。
次の話に行くたびに、前の話の登場人物だったり、謎だったりを、明言はしていないが想像できる作りになっている。
土俗の風習が好奇心を遠ざける為にできたのか、風習が形骸化したから綻びに好奇心が刺激されたのか、ちょっとした好奇心や心の緩みが転げる様な底へつながっている。
単語としては気味の悪いものが多いのに、読後の感想としてはちっともそうは感じない。
がんべと呼ばれる人に似た人ではないもの、心の働きや善悪の元?点?になるのが他の人とはずれている存在。と思ったらこの母親の心自体も読者とは違う点から始まっている。もしくは閉鎖的な村だからその点から始まったのだろうか。