矢樹純のレビュー一覧
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ネタバレお受験で繋がった4人のママ友。一見すると、余裕のある暮らしをしているようだが、内情はまったく違っていて、全員が他の3人に気取られないように、取り繕って生きている。今の暮らしを守るため、子供のためにやがて犯罪に手を染め、状況は二転三転していく。
主婦の犯罪もので、ちょっとOUTを思わせる作りだ。こんな風に冷静に犯罪者と対峙できるもんなのか。私だったらすぐ警察に駆け込むけどなぁ。
いちおう、やり返してハッピーエンドのような形になっているけれども、そもそも彼女たちが抱えていた、家庭の問題、金銭的問題は解決していないのでは?とも思うが、みんな前を向いて生きているからいいのか。 -
Posted by ブクログ
矢樹純『不知火判事の比類なき被告人質問』双葉文庫。
何とも奇妙なタイトルで大いに興味を惹かれてしまった。
主人公は極めて突飛な質問をして、隠された真相を白日のもとに曝してしまう不知火春希判事で、その狂言回しをフリーライターの湯川和花が演じる五章から成る連作形式の作品であった。
これまで読んだ矢樹純のイヤミスとは全く違う路線の作品であることに驚いた。
『第一章 二人分の殺意』、『第二章 生きている理由』、『第三章 燃えさしの花弁』は柚月裕子か薬丸岳の法廷小説並みの面白さがあったのだが、『第四章 沈黙と欺瞞』で失速、最後の『第五章 書けなかった名前』で挽回出来なかったようだ。
それでも高いレベルの作品であることは間違いない。
『第一章 二人分の殺意』。もしや、このパターンで五章が描かれるのかと思うとワクワクするようなストーリーだった。フリーライターの湯川和花は知り合いのライターに頼まれ、ピンチヒッターとして殺人事件のルポを書くために裁判を傍聴する。裁判はシングルマザーの佐伯昌子に育てられた30代で無職の汐美が妹の美波のためにと昌子を絞殺した事件であった。汐美はあっさり犯行を認めて結審すると思われたが、左陪席の不知火春希判事が最後の質問で、被告本人しか知りえない事実を指摘して公判を振り出しに戻してしまう。不知火の言う『二人分の殺意』とは。
『第二章 生きている理由』。これもまた天地がひっくり返るような逆転劇が描かれる。足場施工会社を経営する多田賢司は経営難を苦に元請けの鹿島建設の社屋の6階から飛び降り自殺を図るが、下に居た鹿島建設社員の三条修にぶつかり、2人とも大怪我を負うものの命は助かる。多田に対する裁判で不知火判事は再び突飛な質問を投げかけ、事件の真相を明らかにする。再び裁判を傍聴したフリーライターの湯川和花は不知火判事に並々ならぬ興味を持つ。
『第三章 燃えさしの花弁』。提出された証拠から真相を炙り出す不知火判事の鋭い眼力。フリーライターの湯川和花も見事な推理力を発揮してみせる。エステティックサロン運営会社役員の秋葉隆介の部下で不倫相手の吉沢愛華が秋葉を殺害した事件の裁判。三度、湯川和花の目の前で、不知火判事が事件の真相に迫る質問を投げかける。
『第四章 沈黙と欺瞞』。これはミステリーの謎解きの方に走ったためか、ちょっと苦しかった。それでも、不知火判事のことが少し明らかになる辺りは興味深い。また、湯川和花の推理力が発揮されるが、『第三章 燃えさしの花弁』がその伏線だったようで、見事に不知火判事の鋭い質問にひっくり返される。伊坂大智が裏社会の2人を殺害し、金銭を強奪した事件。
『第五章 書けなかった名前』。何とフリーライターの湯川和花も当事者となり、湯川に裁判傍聴の仕事を譲ったライターが被告となった殺人事件の裁判で不知火判事が他に類をみない質問を投げかけ、全ての真相を明らかにしてしまう。不知火判事に隠された何らかの事実が最後には明らかになるのかと期待したのだが、何も無かった。
本体価格780円
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本作は、読み始めた当初は怪異的なホラー作品だと思っていましたが、読み進めるうちに「人が怖い」タイプのホラーなのではないかと印象が変わり、最終的にはやはり怪異的な恐怖へと収束していく構成がとても印象的でした。
物語全体を通して伏線の張り方と回収が非常に巧みで、後から振り返ると「そういうことだったのか」と強い納得感があります。最後の方まで謎の全体像が見えないため、先が気になり、はらはらし続けました。不気味さが途切れることなく続くため、最後まで余すことなく不気味さと不安を味わえる一冊だったと思います。
また、阿南君の推理には爽快感と頼もしさがあり、ホラーでありながらミステリーとしても高い満足感がありました。読者が混乱しそうな場面でも、彼の存在が物語を引き締めており、恐怖と論理のバランスがとても良かったです。
伏線回収や明かされる事実には驚くものが多く、思わず声が出そうになる場面もありました。怖いだけでなく、驚きと納得が何度も味わえる点が、この作品の大きな魅力だと感じます。 -
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ネタバレホラー小説はそれほど読む方ではないが、近年比較的よく見るようになった気がする。
『このホラーがすごい』とかも出るようになったし、雨穴さんや背筋さんなどの活躍で世間への浸透度が増しているような気がする。
ということで、普段読まないジャンルだけれど気になった作品。
全体としては一つの長編という訳ではなく、それぞれ別の視点、背景を据えた幾編かの物語を編んだ形になる。
青森県のP集落、亀の刺青の男。
この2つが全編をゆるーく繋ぎ止める感じが何とも不気味で薄気味悪い。
各編それぞれにもえぐさや怖さはあるのだけれど、それよりもやはり裏でうっすら糸引く何かの方がぞくぞくする。
文字面では同じ場所、同じ人物を指しているようだが決定的な言及はないし、若干これ同一のものでいいのか?と思うような時代の経過やそれに伴う描写のねじれがあって正体が掴みきれないところが何とも言えない。
真相は闇の中、とすら言ってくれない匂わせ終焉に、読み終えて残るもやもや感にこれも一種のリドルストーリーかという感慨。
演出としてのえぐさは好きじゃなかったけど、なんか変なの読んだなぁと残るこの読後感は嫌いじゃない。 -
Posted by ブクログ
おぞましいと先ず思うホラーの短編集。
次の話に行くたびに、前の話の登場人物だったり、謎だったりを、明言はしていないが想像できる作りになっている。
土俗の風習が好奇心を遠ざける為にできたのか、風習が形骸化したから綻びに好奇心が刺激されたのか、ちょっとした好奇心や心の緩みが転げる様な底へつながっている。
単語としては気味の悪いものが多いのに、読後の感想としてはちっともそうは感じない。
がんべと呼ばれる人に似た人ではないもの、心の働きや善悪の元?点?になるのが他の人とはずれている存在。と思ったらこの母親の心自体も読者とは違う点から始まっている。もしくは閉鎖的な村だからその点から始まったのだろうか。
点から点へと繋がり、それが母娘と継がれていく程に全く違う形を表していくのならば、もう滅ぶしかないのかとさえ感じる。